2011年9月29日
千葉県知事 森田 健作 様
政府の第3次補正予算と県の来年度予算編成にあたって、大震災と原発事故などによる県内農林水産業の被害を最小限に食い止めるとともに、全面補償を促進するための要請書
農民運動千葉県連合会(千葉農民連)
会長 大木傳一郎
〒289-1107 八街市八街は18
Tel.043-443-9260 Fax. 043-443-9261
3月11日の大震災・原発事故から半年が経過し、地方自治体と住民が一体となって懸命な復旧活動が展開され、復興にむけた動きも加速されているところです。
千葉県でも対策に尽力されていることに敬意を表し、今後一層の県内農林水産業の発展に力を尽くされますようお願い申し上げます。
地震によって惹き起こされたとはいえ、原発事故は多くの有識者・市民からたびたびの警告・要請があったにもかかわらず、これを聞き入れず「安全神話」にしがみついて必要な対策を怠ってきた国・電力事業者による人災と言わざるをえません。「安全神話」にどっぷり漬かっていたため、放射性物質の汚染、避難対策もほとんど無策でした。原発事故はいま震災復興の最大の障害となっています。事故の収束がいまだ見えない中で、放出された放射性物質は人智による制御がきかず、空中、土壌、海洋に拡散し農畜産・魚介物、水、人体等を汚染しています。
放射線対策は「正確な情報に向きあい、正しく恐れる」ことが重要です。県が以下の対策に取り組まれるよう要請します。
1、放射能対策、震災復興対策に引き続き全力をあげ、防災対策の充実を
原発事故は風評被害も含めて本県の農業、漁業に甚大な被害をもたらしています。この損害を最小限に食い止め、地域産品のブランド力を保つためには、自治体の真摯な姿勢を消費者等に伝えることが重要です。一見生産者にとって不利と思える情報を含めて、科学的知見と事実にもとづいた調査・情報公開を徹底することによって、「あのまちのものなら信じられる」と思ってもらえる対応をすることが、長い目で見れば、生産者の利益にとっても重要です。国に予算措置を求めながら、また東京電力に「損害賠償」請求を推進しながら、生産者団体と連携してさしあたり次の措置を求めます。
①県は土壌や農畜水産物などの放射能検査の品目・地域・頻度を増やすこと。
②核種ごとの放射線量が測れる分析装置を自治体独自に導入し、生産者・消費者・流通業者の求めに応じて格安で検査できるようにすること。
③要望のある生産者団体や店舗等に、放射線量測定器の支給・貸し出しを行うこと。 ④原発事故は県内農畜産物・水産物生産者を中心にはかりしれない損害をもたらしています。すべての損害の速やかな賠償にむけて、生産者団体まかせにせず、県が東電・政府 に対する損害賠償請求のための支援等の役割を果たすこと。
⑤損害賠償請求のとりまとめは、漏れの無いよう県は市町村に指導を徹底し、個別事情を尊重し、本人の自主性・主体性を尊重して行うこと。
⑥原発事故による損害をきちんと賠償させることが、地域経済の復興にとっても重要だという点を含めて周知徹底し、積極的な賠償請求を励ますこと。
⑦国と東京電力に対して、全損害の速やかな賠償をするよう強く求めること。
⑧東京電力は本払いを3カ月ごとに行うとしているが、最低限、1カ月ごとに支払うよう是正させること。特に農家は12月が精算の時期であり仮・本払いを早期に実施する、本払いにあたっては、過度な書類の提出を強要しないよう東電に要求すること。
⑨東京電力は、風評被害の仮払いについて、JAが提出した請求には仮払いしているにもかかわらず、個人の請求についてはその請求書式すら明らかにしないなど差別的扱いをしている。本払いにあたっては団体、個人の差別的扱いをしないよう県は行政指導すること。
⑩農作物の放射能検査費用については、原子力損害賠償審査会の「中間指針」でも明記しているように、東京電力が賠償すべきものと考えるが、県は当座の検査費用について融資制度等の支援措置を講ずること。
⑪土壌の除染費用は東京電力が負担すべきと考えるが、県は対策にあたって政府が万全を期すことを求め。きめ細かい土壌の放射能測定を行い、民間による除染についても積極的に県は支援すること。
2、再生可能自然エネルギー関連の「産業おこし」について
県として独自の自然エネルギー関連の産業おこしをすすめるため、さしあたって次の取り組みをすすめること。
①原発依存からの転換をできるだけ早く達成するため、再生可能な自然エネルギーについて、千葉県として自然エネルギー等の産業振興と導入促進、そして省エネルギーを推進すること。
農水省は農山村の再生可能エネルギーを試算し、全国総電力量の43%(原発の2倍)と発表した。「電力エネルギー自給率100%超」自治体は全国に57市町村もある。自然的条件を活かした県の「農山漁村地域のエネルギー地産地消計画」を検討すること。
②自然エネルギー導入に対する補助制度を創設・拡充し、創設していない市町村への働きかけを強め、「太陽光発電補助事業」をつくって普及を広げること。
③県は施設の省エネ・自然エネルギー化をすすめ、促進されるよう計画を策定すること。 ④県は飯田市の「おひさま0円システム」のような市民共同発電事業を組織し、市町村にも出資して事業を育成すること。
⑤県内の気候・産業等の条件に応じた様々な自然エネルギー発電や省エネルギー関連の製品・技術開発が進むよう、「自然エネルギー産業開発検討会(仮称)」を組織すること。 ⑥地域住民や商工観光業者・農畜産漁業者等により組織し、地域資源活用型地域経済再生の取り組みを系統的に強め、国の「地域再生制度」の活用等もはかりながら、県は「地域発の新しい産業」をおこしていくこと。
3、県内の農林水産業をこわす「壊国」TPP不参加を政府に進言し、農業・農村の発展を TPPの情勢は野田新首相の誕生、前原政策調査会長などの就任によって、TPP早期参加の危険性が高まっています。野田新首相は12日、経団連会長に「TPP進めなくてはいけない」と述べ、交渉への早期参加に前向きな考えを示しました。戦前に戦争協力した新聞などマスコミは今、政府に「TPPで手腕示せ」と「早期参加に全力を」(読売新聞)と国民の反対を押し切って再び重大な過ちを押し進めようとしています。
TPP(環太平洋連携協定)への参加は、経団連参加企業のもうけのためにあらゆるルールを破壊し、地域の農林水産業を壊滅させ、地域経済と環境、福祉、医療、くらしを破壊するものです。
民主党政権がTPP参加を検討するために設置した「食と農林漁業の再生実現会議」の中間提言では、「平地で20~30ha、中山間地で10~20ha規模の経営体が大宗を占める構造を目指す」としており、日本の国情に合わない政策を進めようとしています。
①県議会や県内各地方議会の決議にそって「TPP参加に反対する千葉県宣言」を発表し、県下市町村に広げ、JA等生産者団体と連携して国にTPP参加反対のための緊急意見書を建議すること。
4、台風15号被害について
①台風被害の実態把握をすすめるとともに万全な対策を講ずること。
以上
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