2012年10月30日火曜日

東日本大震災:焼却灰保管
我孫子市議会、県の説明会開催を非難
議長声明を提出【千葉】

 
 放射性セシウムに汚染された焼却灰の一時保管場所として、手賀沼終末処理場(我孫子・印西市境)を提案する県が周辺住民への説明会を9日に開催することについて、我孫子市議会の川村義雄議長は7日、県庁で坂本森男副知事と会い、説明会開催を非難する議長声明を手渡した。

 説明会は、処理場の半径200メートル以内の220世帯が対象。市議会は受け入れ拒否や白紙撤回を求める決議を全会一致でしており「2度の決議を軽視したもので、遺憾」と県の対応を批判。「県の所有地とはいえ、我孫子市の合意なく進めることがあってはならない。説明会開催をもって市の合意が得られたと判断することは認められない」とし、改めて白紙撤回を申し入れている。市議会側によると、坂本副知事は面会の際「市議会への説明会開催の申し込みはできないか」と話したが、川村議長は「この声明がすべてです」と拒否したという。

 一方、この声明について、森田健作知事は7日、記者団に対し「地元の皆さんに丁寧に説明しなくてはいけない。市議会にも説明を聞いてもらいたい」と語った。

────毎日新聞 2012年06月08日 地方版────

2012年10月27日土曜日

東京湾で放射性物質調査へ
────県と国が連携────

 
  県は13日から、東京湾内の海水や海底の泥に含まれる放射性物質の調査を国と連携して開始する。これまで湾内の港や海水浴場で海水は調査してきたが、海底を調べるのは初めて。東京電力福島第一原子力発電所事故で、東京湾に注ぐ河川の流域に降下した放射性物質が海底にどれだけ移動し、蓄積しているかを解明するためだ。8月上旬には結果を県のホームページなどで公表する。調査対象は、浦安市から富津市にかけての沖合や湾中央部など。海水と海底の泥について、〈1〉文部科学省と環境省が河口部を中心に7地点〈2〉県が木更津、富津両市の沖合8地点〈3〉湾中央部などの10地点は、政府が「海底の泥」、県が「水質」――という分担で調べる。

 千葉県は、県の水質調査船「きよすみ」で7月上旬までに水や泥を採取する予定だ。調査結果を踏まえ、再調査を検討する。

 厚生労働省によると、湾内の海産物から国の基準を超える放射性セシウムが検出された例はない。しかし放射性物質が雨水で流され、河川や海に流れ込む可能性を踏まえ、国は3月、放射性物質の「総合モニタリング計画」を改定し、湾内の調査を決めた。県水質保全課は「海底に放射性物質がたまっているのではという不安の声もある。実態把握に努めたい」と話している。

────2012年6月12日 読売新聞────

2012年10月26日金曜日

来夏は役場の電力自給
大多喜町の小水力発電

 
 鮮やかな緑が清流の水面に映える観光地の千葉県・養老渓谷。ここで人口約一万人の大多喜町が、小水力発電の計画を進めている。来年八月までの稼働を目指し、完成すれば町役場の消費電力を自給できるようになる。自治体の小水力発電は県内で初の試みだ。 

 予定地は、養老川沿いの約二千四百平方メートルの土地。計画では、渓谷の約四十五メートルの高低差を利用し、落ちてきた水の勢いで発電機を回す。発電量は最大五十キロワットを見込む。 

 この場所では、昭和三十年代まで東京電力が水力発電を行い、周辺に電気を供給していた。水力不足などから東電は撤退し、町が土地を譲り受け、跡地を浄水場の一部として使っていた。既存の導水路などがあることが、今回計画に乗り出した大きな決め手だった。

 発電した電力を町で使うか、東電に売電するかは決まっていない。仮につくった電気を、七月に始まる「固定価格買い取り制度」で売電すると、年間約千二百万円の収入が見込める。庁舎と浄水場の電気料金は年間約七百万円。つくった電気を直接使わなくても、使用料分は回収できる計算だ。 

 町によれば、年間維持費は約千二百万円かかるが、リース期間(八年)後は町の所有施設になるため、十分の一程度に抑えられる。担当者は「将来は利益も見込める計算」と期待を込める。町の観光資源は将来の節電に大きく貢献しそうだ。 

 
 大多喜町の小水力発電は、市原市能満にある「新工法開発研究所」が開発した発電技術が生かされている。同市の田淵川にある実験発電所では、川から毎秒〇・〇五立方メートルの水を引き込み、一般家庭四軒分の電力をまかなえる三・五キロワット(最大五・五キロワット)を発電している。

 同研究所の装置は、水車を横にして二つ並べ、その間に水を通し、増速機で回転数を上げて発電機を動かす。後ろには三つ目の水車が待ち構え、残った水の勢いを再利用する。少ない水量でも効率良くエネルギーを生み出せる仕組みは、他に例がないという。 

 二〇〇六年に開発に着手し、一〇年に三カ月の実証実験を実施。これまで二百近い自治体が視察に訪れ、一般の見学者は三百人を数えた。大多喜町のほか、九州で発足した市民電力会社も導入を決めているという。

 小水力発電の利点は、水の流量と一定の落差があれば、どこでもできること。山と川が豊富な日本には適している。川本正男所長(63)は「川の水は減らないし汚れない。自然環境を守れる。ランニングコストのかかる地熱などと違い、小水力の施設は一年に二回メンテナンスをすれば、四十~五十年は使える」とメリットを語る。

 資源エネルギー庁などによると、電力事業者や自治体などによる小水力発電施設は全国に四百八十カ所(出力一千キロワット未満、二〇一〇年三月時点)。近年は商社や地域の建設会社など民間業者の参入が目立つという。 
 
 節電の夏が来る。今年も各自治体が趣向を凝らした節電対策に乗り出す。既存の電力に頼らない自然エネルギーによる発電に力を入れる自治体や市民グループもいる。行政が、市民ができる脱原発を追った。
 
────東京新聞 6/12────

2012年10月24日水曜日

来夏は役場の電力自給
大多喜町の小水力発電

 鮮やかな緑が清流の水面に映える観光地の千葉県・養老渓谷。ここで人口約一万人の大多喜町が、小水力発電の計画を進めている。来年八月までの稼働を目指し、完成すれば町役場の消費電力を自給できるようになる。自治体の小水力発電は県内で初の試みだ。 

 予定地は、養老川沿いの約二千四百平方メートルの土地。計画では、渓谷の約四十五メートルの高低差を利用し、落ちてきた水の勢いで発電機を回す。発電量は最大五十キロワットを見込む。 

 この場所では、昭和三十年代まで東京電力が水力発電を行い、周辺に電気を供給していた。水力不足などから東電は撤退し、町が土地を譲り受け、跡地を浄水場の一部として使っていた。既存の導水路などがあることが、今回計画に乗り出した大きな決め手だった。

  発電した電力を町で使うか、東電に売電するかは決まっていない。仮につくった電気を、七月に始まる「固定価格買い取り制度」で売電すると、年間約千二百万円の収入が見込める。庁舎と浄水場の電気料金は年間約七百万円。つくった電気を直接使わなくても、使用料分は回収できる計算だ。 

 町によれば、年間維持費は約千二百万円かかるが、リース期間(八年)後は町の所有施設になるため、十分の一程度に抑えられる。担当者は「将来は利益も見込める計算」と期待を込める。町の観光資源は将来の節電に大きく貢献しそうだ。 
 
 大多喜町の小水力発電は、市原市能満にある「新工法開発研究所」が開発した発電技術が生かされている。同市の田淵川にある実験発電所では、川から毎秒〇・〇五立方メートルの水を引き込み、一般家庭四軒分の電力をまかなえる三・五キロワット(最大五・五キロワット)を発電している。

 同研究所の装置は、水車を横にして二つ並べ、その間に水を通し、増速機で回転数を上げて発電機を動かす。後ろには三つ目の水車が待ち構え、残った水の勢いを再利用する。少ない水量でも効率良くエネルギーを生み出せる仕組みは、他に例がないという。 

 二〇〇六年に開発に着手し、一〇年に三カ月の実証実験を実施。これまで二百近い自治体が視察に訪れ、一般の見学者は三百人を数えた。大多喜町のほか、九州で発足した市民電力会社も導入を決めているという。

 小水力発電の利点は、水の流量と一定の落差があれば、どこでもできること。山と川が豊富な日本には適している。川本正男所長(63)は「川の水は減らないし汚れない。自然環境を守れる。ランニングコストのかかる地熱などと違い、小水力の施設は一年に二回メンテナンスをすれば、四十~五十年は使える」とメリットを語る。

 資源エネルギー庁などによると、電力事業者や自治体などによる小水力発電施設は全国に四百八十カ所(出力一千キロワット未満、二〇一〇年三月時点)。近年は商社や地域の建設会社など民間業者の参入が目立つという。 
 
 節電の夏が来る。今年も各自治体が趣向を凝らした節電対策に乗り出す。既存の電力に頼らない自然エネルギーによる発電に力を入れる自治体や市民グループもいる。行政が、市民ができる脱原発を追った。

────東京新聞 6/12────

2012年10月23日火曜日

千葉私教連、県に無償化求め要請書
学費滞納:11年度末の私立高、長期滞納改善せず
────千葉────

 県私立学校教職員組合連合(私教連)は5日、11年度末の県内私立高校生の学費滞納調査結果を発表した。1校当たりの滞納者数は3・61人と昨年の6・11人より半減した一方、6カ月以上の滞納者の割合が54%と昨年の50%より4ポイント悪化。私教連は県の授業料減免制度などが一定の効果をあげたと評価する一方で、長期滞納者の改善については不十分として、同日に県に対し、学費の実質無償化などを求める要請書を提出した。 

 調査は全日制私立高校54校のうち、私教連に加盟していないなどの学校を除く19校の1万9416人の生徒が対象。滞納の理由は、母子家庭で低所得というものが多く、家業不振や両親の別居もあがった。私教連によると、県が10年度に導入した授業料減免制度は、年収350万円未満世帯の授業料(年平均29万252円)が免除されるが、授業料と同額に近い施設設備費(同25万3431円)は対象外という。私教連は「長期滞納者が減らないのは施設設備費の負担が原因」と分析。要請書には、年収350万円未満世帯への施設設備費を含めた学費の無償化や、給付型奨学金の新設などを盛り込んだ。

────【田中裕之】毎日新聞 2012年06月06日地方版────

2012年10月20日土曜日

「脱原発を目指す首長会議」が4月28日発足した

 
 これには全国35都道府県の現・元首長72人が会員となった。千葉県からは相川堅治・富里市長、石井俊雄・長生村長、小坂泰久・酒々井町長、玉川孫一郎・一宮町長、根本崇・野田市長の5現職が参加した。加入数は首都圏でトップである。東京は現職3、元職1、埼玉は現職3、神奈川は現職2である。

────東京新聞5月15日付────

森田知事が訪独 国際空港など視察

 
 森田健作知事は30日、成田空港からドイツの友好都市デュッセルドルフ市へ飛び立った。6月6日までの日程で、国際空港やサイクルツーリズムなどを視察するとともに、本県の観光などをアピールする。

 出発に先立ち、森田知事は「千葉の海の幸、山の幸、温泉をPRしたい。サイクルツーリズムではコースの選び方や市民との一体感をどのように考えているのかをぜひ見てきたい」と意気込んだ。

────2012年05月31日千葉日報────

2012年10月19日金曜日

────千葉────
カジノ複合施設誘致 成田に推進協発足
「挑戦しないと衰退」

 
 カジノを主要な収益源とした会議場やホテルなどの複合施設「IR」を成田空港周辺に誘致することを目指す民間団体「IR誘致推進協議会」が三十日、発足した。カジノが法制化されるまでに、成田市を挙げて候補地として名乗りを上げたい意向。会員は同市を中心に富里、印西両市などの四十八の団体、個人。成田商工会議所の諸岡孝昭会頭が会長に就任した。

 県が示したIR導入可能性調査結果の二案を軸に、六~七月に成田市議会、市長、県、国に誘致を要望する。治安の悪化やギャンブル依存症の増加など市民が抱く不安要素は、勉強会などで理解を求めていく。

 諸岡会長は設立総会で「成田はこのままで安泰とは言えず、挑戦しないと衰退していく。積極的に誘致に向かっていきたい」と話した。 

────(小沢伸介)2012年5月31日 東京────

2012年10月16日火曜日

利根川の天然ウナギから基準値超セシウム
────千葉────

 
 千葉県は1日、香取市の利根川で5月23日に捕獲した天然ウナギの放射性物質検査をしたところ、食品に関する国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を上回る1キロ当たり130ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した。 

 利根川では4月25日にギンブナから同110ベクレルのセシウムが検出され、それ以降は水産物の出荷が自粛されている。天然ウナギも市場には流通していないという。 

 県内6漁業協同組合に所属する約20人が利根川で天然ウナギ漁に従事しており、平成21年の漁獲高は約8トンだった。9月に最盛期を迎える。 

 県は「ウナギは放射性物質が蓄積しやすい川底に生息するため、影響を受けた可能性がある」と分析している。

────2012.6.1 産経────

2012年10月13日土曜日

────千葉────
災害復旧費が37倍増
震災の影響大きく 基金取り崩しで確保
54市町村の本年度当初予算

 県内54市町村の2012年度の普通会計当初予算額は、前年度比1%増の1兆9627億4500万円となり、4年連続で増加したことが県のまとめで分かった。東日本大震災を受け、前年度2億1300万円だった災害復旧事業費が約37倍の79億4600万円と激増し予算規模を押し上げた。一方で、収入の柱となる市町村税は1・3%減少しており、国からの地方交付税や基金の取り崩しで不足財源を確保。基金の取り崩し額は前年度より96億6900万円(21・2%)増え、本年度末の基金残高は大幅に減少する見込みで、今後の市町村の財政運営は厳しさを増しそうだ。 

 県市町村課によると、歳入は、市町村民税が企業収益の回復などで38億9700万円(0・9%)の増加となったものの、固定資産税が評価替えに伴い173億4300万円(4・4%)減少し、市町村税は全体で前年度比122億5400万円(1・3%)減の9278億9千万円と2年ぶりに減少した。 

 一方で、震災復興特別交付税が31億2700万円計上されたことにより、地方交付税は同184億1100万円(13・4%)増の1559億6800万円となった。地方債も防災・減災事業費の増加などで145億7300万円(8・8%)増加したほか、繰入金も88億4400万円(17・7%)増加。不足財源は、自治体の貯金に当たる財政調整基金(財調)の取り崩しや起債などでしのいだ。

 財調残高は11年度末の1555億5200万円から1224億500万円と21・3%の大幅減となり、基金残高は13・8%(394億7千万円)減の総額2467億8200万円まで減少。同課は「自治体によっては年度間の財源調整が困難な状態にまで減少する」と危機感を募らせている。

────2012年06月04日 千葉日報────

2012年10月10日水曜日

────東日本大震災────
学校給食の安全確保へ県教委、4日から放射性物質検査
【千葉】

 
 県教育委員会は31日、学校給食の安全性を確保するため、すでに実施済みの一部自治体を除く、希望する県内30市町村の小中学校の給食食材の放射性物質検査を、4日から始めると発表した。県教委によると、市川、市原、茂原、浦安、八千代、野田、君津、銚子、館山、旭などの小中学校のほか、県立、国立の特別支援学校など44校の学校給食で検査を始める。千葉、船橋、松戸、柏など一部の自治体では、自前の機器や外部の検査機関を利用し、すでに同種の取り組みを実施している。県内5カ所の教育事務所に放射性物質の検査機器を各1台設置。各市町村の教育委員会などが、調理前の生の食材をタッパーに入れて持ち込み、検査を行う。検査は1検体あたり約20分かかり、各事務所で1日につき12検体まで検査できる。県教委は「給食に使うすべての食材を調べることはできないが、使用頻度の多い食材や旬の食材など各市町村の希望に応じて検査し、児童生徒らの安心・安全を確保したい」としている。検査結果は各市町村の教育委員会や県立学校、県教委のホームページで公表される。

────【斎川瞳】毎日新聞2012年06月01日────
 

2012年10月7日日曜日

────千葉────
大型物流施設、湾岸に続々

 
  大型物流施設が県内で活況を呈している。業容拡大を続けるインターネット通販企業などが、都心へアクセスの良い湾岸部に拠点を構える例が目立つ。商品を保管する倉庫としての機能だけでなく加工なども手がけ、数百人規模の従業員が働く施設も。地元自治体も雇用や税収につながると期待している。(武田泰介) 
 物流施設運営のプロロジス(東京)は28日、習志野市茜浜で大型物流施設「プロロジスパーク習志野4」の建設に着手した。埋め立て地の突端に建設する地上5階、延べ約10万8500平方メートルの全フロアを衣料品通販サイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイ(千葉市美浜区)が借り受ける。2013年8月に完成予定で、リース料の総額は約125億円だ。

 ゾゾタウンは若者に人気のファッションブランドなどを数多くそろえ、登録会員は437万人。今後も商品取扱量の拡大を見込んでおり、物流センターを一気に4倍の規模に広げることにした。新たな施設ではアルバイトも含め数百人のスタッフが勤務し、入荷した衣料品を採寸し直したり、サイトに載せる写真を撮影したりする。前沢友作社長は起工式で「物流センターは当社の成長に欠かせない戦略拠点。素晴らしい施設に出合えて感謝している」と述べた。

 プロロジスは10年にも市川市塩浜の施設でインターネット通販大手の楽天と賃貸契約。近隣には米系ネット通販のアマゾンジャパンも物流センターを構える。ジュピターショップチャンネル(東京)とQVCジャパン(千葉市美浜区)のテレビ通販2強も県内に商品センターがある。

 もともと高速道路などの交通網が発達し、成田・羽田両空港にも近い県内湾岸部は「人気の高いエリア」(プロロジス)。住宅街が近く、人手を集めやすいことも、施設が集積する要因という。米系不動産サービス会社CBREの瀬尾茂之氏は「店舗を持たない通販会社にとって物流施設の重要度は高い。利便性が良く、江東区など都内より賃料が安いことも増えている理由」と話す。

────2012年5月29日 読売新聞────

2012年10月3日水曜日

カジノ施設構想:動き活発化
「成田か」「幕張か」
どちらが企業や利用客ひきつける
知事ら海外視察や具体案提示
────千葉────

◇慎重論や否定的声も
 県内で、カジノを含む複合施設(IR)誘致の動きが盛り上がってきた。県は経済団体などを巻き込み、外国人が多く集まる成田空港周辺での建設を目指し、具体案をまとめるなど実現に向けて本格始動。千葉市でも、地元経営者らが幕張新都心へのカジノ誘致に名乗りを上げ、熊谷俊人市長と海外視察に出かけるなど動きが活発化している。【斎川瞳】  森田健作知事は就任当初から、羽田空港への対抗策として成田空港周辺でのカジノ構想に思いを巡らせてきた。成田空港関連の会議では必ずカジノ構想について触れ、昨年11月にはシンガポールのカジノを視察。年収の高い日本人1500人にカジノ構想についてのアンケートを行うなど、積極的に実現に向けて歩を進めている。
────毎日新聞 2012年05月28日 地方版────

2012年10月2日火曜日

成田カジノ
県が経済効果1兆円超予想

 
 千葉県は、成田空港周辺に誘致を検討しているカジノを含む複合施設「統合リゾート(IR)」について、5年間で建設費を大幅に上回る1兆円超の経済波及効果があるとの予測をまとめた。県は明るい未来を描こうとするが、周辺自治体からは採算性や集客能力を疑問視する声が出ており、千葉市・幕張の方が適しているとの指摘もある。

 調査は県が昨年度実施し、成田空港を軸に経済活性化策を探る「グレード・アップ『ナリタ』活用戦略会議」に参画する経済団体や空港周辺自治体の関係者らに示された。 

 調査では、建物の高さ制限がある空港隣接地に小・中規模の施設を建設するA案(建設費2千億円)と、離れた場所に大規模施設を置くB案(同3600億円)を設定。

 5年間の経済波及効果は、建設投資による効果も含めA案で1兆1千億円、B案で1兆5千億円とした。雇用はA案で2万人、B案で2万8千人が見込めるとし、両案とも初年度からの黒字を想定している。 

 しかし、地元はこの試算に懐疑的だ。成田市の片山敏宏副市長は、「国際空港を持つ成田のポテンシャルは高いが、大規模施設で採算が取れるだけの需要があるかというと厳しい」と指摘。甘い需要予測に基づく施設整備は地方経済を疲弊させかねないだけに、「議論を深めていく必要がある」と慎重だ。

 幕張新都心へのIR誘致を目指す動きが出ている“ライバル”の千葉市も県の試算を疑問視する。世界最大のIRがあるシンガポールを視察したばかりの熊谷俊人市長は、「滞在する観光客が少ない成田では、投資が回収できるだけの客数を集められない」と指摘。その上で「幕張はコンベンション施設やアウトレット、海浜などがあり、(IR整備の)可能性はかなり高い」と千葉市に優位性があるとみている。

────2012.5.25 産経────