2012年5月26日土曜日

────千葉────
地盤沈下 九十九里全域で
14市町村県が調査 匝瑳、最大6.5センチ

 
 県は15日、東日本大震災による九十九里地域の地盤沈下調査の結果を公表した。14市町村の107地点の全てで沈下が発生し、沈下幅は匝瑳市東小笹で最も大きい6・51センチだった。県は、堤防かさ上げや浸水予測図作製など今後の津波対策で、こうした地盤沈下のデータを考慮に入れる方針だ。(中村みほ)

 調査は2011年10月、匝瑳市から勝浦市までの九十九里地域のうち、御宿町を除く14市町村内で実施された。11年1月1日時点と比べ、全地点で標高が低くなっており、沈下幅が最小だったいすみ市行川でも1・93センチだった。東日本大震災の震源に近い北東部ほど沈下幅が大きくなる傾向があった。県は天然ガス採掘や井戸水くみ上げによる地盤沈下を監視するため、毎年1月1日時点で、県内1130か所の標高を調査している。天然ガス田が多い九十九里地域では特に地盤沈下の監視が重要なため、県は震災による沈下量を早期に把握する必要があるとして、同地域のみ緊急に調査した。今年1月現在の調査結果は10月に発表する。

 県水質保全課によると、例年は調査地点によって隆起や沈下が見られるが、地下水くみ上げなどによる沈下量は最大でも年2センチ程度にとどまる。今回調査した14市町村のうち、南北両端の匝瑳市と勝浦市にはガス田がなく、「今回判明した地盤沈下の大半は震災による地殻変動と見られる」(同課)という。

 東日本大震災後の地盤沈下を巡っては、国土地理院が震災直後に全地球測位システム(GPS)を使って実施した調査で、宮城県石巻市で107センチ、女川町で89センチなど、三陸沿岸で大きな地盤沈下が確認されている。同じ調査で県内でも広範囲にわたって沈下が見られ、銚子市東小川町が15センチと最も大きく、成田市多良貝で12センチ、千葉市花見川区で9センチなどだった。県の調査は実際に現地を測量したため、国土地理院のGPSによる調査より精度が高いという。

 県は15年度までに、九十九里沿岸の堤防かさ上げを行う予定で、この堤防の高さに地盤沈下幅を反映させるため、さらに詳しく調査する。また、今月中に公表する新たな津波浸水予測図でも、沿岸部の地盤沈下を考慮して作製を進めている。

────2012年3月16日 読売新聞────

2012年5月25日金曜日

森田知事の本部到着、発生2時間後
職員参集は6割

 
 千葉沖地震最大震度5強を観測した地震の揺れで石塀が倒壊した民家=15日、千葉県銚子市榊町(城之内和義撮影)

 千葉県内の広い範囲で震度4や5強の揺れを観測した地震から一夜明けた15日、県は発生と同時に立ち上げた災害対策本部による警戒態勢を解除した。本部長の森田健作知事は発生当時、東京都内で会合に出席しており、本部到着は発生の約2時間後だった。本部には担当職員の約6割が参集、情報収集などにあたった。

 県は地震発生約1時間後の午後10時ごろに、県庁内での災害対策本部設営を完了。県内で震度5強の地震が発生した場合、県土整備部など関係各部局の職員1764人が本庁舎や出先機関に参集することになっており、同11時までに1020人(57・8%)が駆けつけた。

 森田知事は当時、都内で財界人らとの会合に出ていたといい、本部到着は同11時ごろ。同11時半ごろ開いた2回目の本部会議から出席した。それまでは、同10時半ごろに到着していた石渡哲彦副知事が指揮を執った。

 森田知事は15日午前9時過ぎ、本部による警戒態勢を解除した。森田知事は、本部到着まで2時間かかったことについて、記者団に対し、石渡副知事と連絡を取ったうえで会合を切り上げて駆けつけたと釈明。そのうえで「各部局の連携や情報収集などに、新防災計画が非常にうまく反映された」とした。県防災危機管理監は、「東日本大震災時にあったような情報の錯(さく)綜(そう)がなくなった」と総括した上で、「職員の参集率は100%を目指す」として、参集しなかった職員に理由を聞くなど検証する考えを示した。

 県はより迅速に対応するため、平成25年4月をめどに県庁舎内に災害対策本部の機能を備えた危機管理防災センターを常設する。

────2012.3.15 産経────

2012年5月24日木曜日

ラムサール条約:三番瀬の登録求め
8年かけ14万人署名 県に提出
────千葉────

 
 県内外の自然保護団体など70団体でつくる「三番瀬を守る署名ネットワーク」(田久保晴孝代表)は14日、三番瀬のラムサール条約登録に向け、8年にわたって集めた14万2019筆の署名簿を県に提出した。登録に向けた地元の合意形成など、積極的な働きかけを求めた。

 同条約登録を巡っては「三番瀬の保全につながる」と早期登録を望む声がある一方で、「漁場再生など再生事業が先。時期尚早だ」とする声もあり、地元の意見が割れてきた。

 署名活動は04年4月に開始。韓国での締約国会議(08年)に向けて活動してきたが、同会議での登録が難しいことが判明し、提出が先延ばしにされてきた。同ネットワークの織内勲事務局長は「署名してくれた人に失礼という意見があり、7月のルーマニアでの締約国会議を前に提出することにした」と説明。「(県は)14万人が望んでいることを重く受け止めてほしい」と話した。【味澤由妃】

────毎日新聞 2012年3月15日 地方版────

仮設防寒ぜひ 千葉・旭市津波被害
民青、ボランティア経験政府に

 
日本民主青年同盟千葉県委員会は13日、衆議院第1議員会館で国会要請を行い、東日本大震災で津波により大きな被害を受けた同県旭市の被災者が暮らす仮設住宅の生活環境改善を求める要望書を復興庁職員に手渡しました。

 畑野君枝衆院南関東ブロック比例予定候補、さいとう和子衆院千葉4区予定候補、志位和夫委員長の国会秘書の窪田則子氏が同席しました。

 要請した学生らは、旭市でのボランティア活動を通じて寄せられた被災者の声を紹介。「防寒対策がなされず、冬場は光熱費がはね上がっている」「病院や診療所への移動手段がなく、予防医療が行き届いていない」と指摘しました。

 復興庁職員は「復興庁は基本的に自治体を支援するもの。県や市から被災者支援の要望があれば対応する」と表明。要請の中で質問に上がった仮設住宅利用期間(現状2年)の延長については「復興状況をふまえて検討する」と答えました。

 畑野予定候補は、旭市や液状化被害を受けた浦安市など県内被災地の現状を指摘。「千葉県の被災状況もしっかり把握してもらいたい」と強調しました。

 民青同盟県委員会の寺尾賢委員長は「復興庁を機能させるため、被災者の生活の実態を伝える取り組みを続けていきたい」と話しました。

────赤旗3/15────

2012年5月23日水曜日

君津市議会:県外残土の搬入禁止
条例改正案、可決へ
────千葉県内 初────

 
 君津市議会文教民生常任委員会は13日、県内初となる県外発生残土の搬入禁止などを盛り込んだ残土条例改正案を、賛成多数で可決した。排出状況や運搬経路を明確にするため、排出元の工事現場などの直接調査権も盛り込んだ。市内に埋め立てられる残土の約9割は、東京都や神奈川県など県外から運ばれ、搬出元が不明の残土に有害物質が混入している事例が少なくなかった。26日の本会議で可決される見通し。

 市によると、残土は市域の約6%に及ぶ1800ヘクタールの砂利採取場跡地などに運び込まれてきた。ところが、昨年1月にアスベストを含んだ屋根に使う建材、今年1月には、安全基準を超える量のヒ素が市内に埋め立てられた残土から発見された。県外からの残土は、船からの積み替え時に、排出元の異なる残土が混ざる場合があり、市などによる安全確認が課題だった。

 市内では、対策を求める市民の声が根強く、市は昨年10月に条例改正案の素案をまとめ、今議会に改正案を提案した。委員会では一部議員が「残土処理業者の失業対策は考えているのか」などと反対したが、出席した6議員中5人の賛成で可決した。【黒川晋史】

────毎日新聞 2012年3月14日 地方版────

────【千葉】県民共生センター────
統合の議案を可決 県議会常任委

 
 男女共同参画に関する啓発などを行う県の「ちば県民共生センター」分館の東葛飾センター(柏市)を本館(千葉市)に統合する議案が九日、県議会総合企画水道常任委員会で賛成多数で可決された。一部委員は「地域の拠点をなくすのは政策の明らかな後退」と反対した。

 東葛飾センターは、昨年三月に県行革推進委員会から統合の検討を求められていた。県によると、相談機能は残し、四月一日に本館に統合。約四千二百万円の財政削減効果があるという。県は(1)市に同様のセンターがあり、二重行政になる(2)相談機能は残すためサービス低下にはならない-と説明した。

 県は二月上旬に統合案を公表し、同下旬に利用団体に伝えた。県の男女共同参画施策に意見を述べる有識者の外部組織には三月下旬に報告するとした。

 これに対し、常任委の入江晶子氏(市民ネット・社民・無所属)は「利用者側が知ったのは二月下旬。外部組織にも諮らずに統合を決めるのは極めて拙速だ」と批判している。 (小川直人)

────2012年3月10日 東京────

2012年5月22日火曜日

続大震災・安心の行方:
13.11製油所タンク爆発 被害抑えた偶然の連鎖
────千葉────

◇住民200人がバス避難

 3月11日夕、市原市が定めた避難所でもある市立若葉小学校には、避難勧告を受けた住民が、不安な表情で集まっていた。約2・5キロ北北東に位置するコスモ石油千葉製油所では、午後3時15分ごろの余震でタンクが倒壊し、液化石油ガス(LPG)の爆発が続き、同5時ごろ校内は爆風で窓ガラスが割れ、空は炎でオレンジ色に染まり、熱風が伝わってきた。

 「何とかバスを出してほしい」。小湊鉄道の小杉直営業企画課長が受けた市の担当者の声はあせりのあまり、うわずった。一刻も早く、バスを派遣する必要は理解していたが、車庫から避難所に通じる幹線道路の交通渋滞で、到着時間の見通しが全く立たない。何よりも、運行の安全がとても保障できない。要請はその後も繰りかえされた。「どうしたら良いか」と頭を抱えていた小杉課長に、避難所に近いJR五井駅近くにバスが待機しているという情報が入った。東京湾アクアラインの通行止めで運行が取りやめになっていた車両だった。

 急きょ、避難所に差し向けたバスは3台。約2・8キロ南東の国分寺台西小学校などへ約200人を運んだ。小杉課長は振り返る。「思っていたほど爆発が広がらず、幹線道路ほど道も混まなかった。本当に好条件が重なった」

 ◇ ◇

 バスによる移動が続く間も、爆発現場では、消火活動が続いていた。真っ赤に焼けた金属製のタンクの手すりが飛び散る。消防車両の赤色灯は破損し、屋根も大きくへこんだ。現実のLPGタンクの爆発とコンビナートの大規模炎上は市原市消防局も初の経験だった。炎と黒煙で、状況把握さえおぼつかない。「最初はテレビ局のヘリコプターの映像を参考に態勢を検討するしかなかった」。同局幹部はそう話す。

 火勢の状況を把握可能になったのは、応援に入った北隣の千葉市消防局のヘリコプターから現地映像の電送が始まってからだった。ようやく放水ポイントの指示も可能になり、ヘリの飛べない夜間は、千葉市消防局の高所カメラなどの映像を頼りに、東京都などから派遣された海上の消防艇からの消火も作業も可能になった。

 従来、市原市消防局は、海上からの放水は想定しておらず、消防艇も保有していない。同局幹部は「海上からの消火は想定外で、ヘリのカメラがなければ、消火の指示さえ出せなかったかもしれない」と話す。

 火災は10日後に鎮火し、タンク17基が損傷した。県によると、最大の飛散物は、隣の製油施設に落ちた約10メートル四方の金属製タンク殻。最も遠くまで飛んだのは、長さ180センチ、幅40センチの金属製の板。約6・2キロ離れた幼稚園近くの民家の庭に落ちたが、重軽傷者は製油所周辺にいた6人にとどまった。この幼稚園に孫が通う女性(64)は「ここまで破片が飛んだなんて知らなかった。子供にあたっていた可能性もある。恐ろしいことです」と話した。

 ◇ ◇

 市原市防災課によると、従来、市消防局とコンビナート内の各企業と連携した訓練は実施していたが、コンビナート外にまで被害が広がると想定はしていなかった。住民を含めた避難訓練も未実施で、地域防災計画の想定を超えた。同課の柴田孝課長は「災害ごとに避難所を変えたり、地域の特性に応じた避難マップ作りも検討したい。住民への迅速な情報提供の手法も課題」と話す。

 たまたま近くで待機していたバス。タイミング良く応援に入ったヘリに装備されていた映像電送システム。そして、幸運にも人にはあたらなかった飛散物--さまざまな偶然が重なり、人的被害の拡大が免れたようにもみえる。【森有正、荻野公一】=つづく

 大震災からまもなく1年。原発事故や津波災害など「想定外」の連鎖が被害を拡大させたという分析が続いている。万一の「想定外」を少しでも小さくするべく、社会は想像力を発揮しているのか。「安全」の先にある「安心」を得ることはできるのか。記者たちが、隠れたリスクを再検証する。

────毎日新聞 2012年3月9日 地方版────

2012年5月21日月曜日

宅地3・3%下落 浦安が最大、14・9%減
────千葉県内市町村平均評価額────

 
 千葉県固定資産評価審議会が8日開かれ、県内市町村から提示された2012年度固定資産平均価額を了承した。宅地の平均価額は前年に比べ3・3%下落。リーマンショック後の景気悪化に加え、東日本大震災による不動産取引の低迷が影響したとみられる。県市町村課によると、平均価額は市町村が全ての土地を評価した上で昨年1月1日時点を基準に算出している。昨年は3月に大震災が発生したため千葉、旭、習志野、我孫子、浦安の5市の被災宅地は、7月1日までの下落幅などを加味し修正している。

 その結果、県内の宅地平均価額は1平方メートル当たり3万5567円で前年比3・3%減。リーマンショックの影響が大きかった10年度から3年連続の下落となった。0・3%上昇した芝山町を除く53市町村が下落した。

────2012年03月09日 千葉日報────

────千葉────
浦安液状化 住民16人が提訴
(三井不動産)

 
東日本大震災による液状化で被害を受けた浦安市入船の一戸建て住宅十一軒の住民計十六人が八日、適切な液状化対策を怠ったとして、宅地開発した三井不動産(東京都中央区)や住宅メーカーなど計六社に対し、約五億八千万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。

 訴状によると、三井不動産などは埋め立て地が液状化しやすいのを認識していたのに、適切な対策を取らなかったとしている。三井不動産広報部は「訴状が届いておらず、内容を確認していないのでコメントは差し控える」としている。

────2012年3月10日 東京────
 

2012年5月19日土曜日

────自民党市原市支部────
規約案通らず幹事長“不在”に
党員の不満噴出、衆院選に不安材料

 
 自民党市原市支部(支部長・鈴木昌俊県議)の定期総会が3日、市内で開かれたが、役員構成の規約改正案がまとまらず、幹事長ポストが“空席”となるなど紛糾した。また敗けた市長選への総括をめぐっても不満が噴出。反転攻勢を目指す衆院選を控え、不安の声が聞こえ始めた。

 総会では幹事長、総務会長、政調会長という現行の三役体制を、支部長と支部長選任の副支部長の両頭体制に変更する支部長の規約変更案が議題となる予定だった。昨年の市長・市議選後、同党市議会会派が運営や方向性をめぐり分裂したことから、支部長に権限を一本化する狙いがあった。

 ところが「組織として成立しない」「偏った組織だ」などの批判が続出し、議題にさえならず。最後には、幹事長の伊豆倉節夫市議(61)=4期=が昨年の市長選敗戦の責任を取り辞任。後任が決まらず、役員構成は現状維持で、支部長の幹事長兼任という苦肉の策でしのぐ結果となった。

 従来の総会は一般党員の出席が少なく、議題も支障なく通った。しかし今回は一般党員51人が出席。「市長選の総括がない」「現状で一丸となって衆院選を戦えるか」などの不満や、執行部の責任を問う厳しい声も上がったという。

────2012年03月05日千葉日報────
 

────千葉────
介護保険料20%増 65歳以上
新年度から月4400円に 県内平均

 
 県は29日の県議会一般質問で、介護保険の65歳以上の第1号被保険者が支払う保険料について、2012年度は今年度に比べて1人当たり平均20%引き上げられるとの見通しを示した。高齢化の進展で介護給付費が増えるためで、保険料は月約4400円となる。

 65歳以上の保険料は、市町村が介護が必要な高齢者数の予想などを基に、3年ごとに見直す。県によると、09~11年度は1人当たりの平均額が3696円だった。

 08年度末と比べると、要介護、要支援認定者数は、14年度末の時点で約21%増加し、約21万5000人となる見込みだ。ただ、県内54市町村のうち5市町村は保険料を据え置く予定で、実際の保険料は居住地や被保険者の所得に応じて異なる。国が決定する40~64歳の現役世代の介護保険料も、12年度から引き上げられる見通し。

────2012年3月1日 読売新聞────
 

────千葉────
汚染で除去土壌1万3000トン
知事「国は責任もち対処を」

 
 国が放射性物質の除染費用を負担する「汚染状況重点調査地域」に指定された野田市や柏市など9市が、除染で取り除いた土壌の保管や処分に苦悩している。一時的な保管場所を設けたくても、放射線の影響を心配する周辺住民の反発が予想されるためだ。これまでに発生した汚染土壌は少なくとも計約1万3000トンに上るが、最終処分の見通しも立たず、今後も曲折が予想される。

柏市内の小学校で27日に始まった本格的な除染作業(柏市立柏第三小学校で) 東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、国が昨年10月に発表した汚染土壌の中間貯蔵施設などに関する工程表は、汚染土壌は、市町村が現場や「仮置き場」で一時的に保管した後、管理型最終処分場で処理すると定めている。

 だが、9市のうち、仮置き場を確保できたのは我孫子、印西、白井の3市だけで、大半は現場での保管を余儀なくされている。我孫子市は、現場保管を原則としつつ、放射線量が高い場所の土壌や、現場保管が困難な道路側溝の土はコンテナ袋に入れ、市クリーンセンター敷地内の仮置き場に保管している。市は今後、約2800万円をかけて建屋を建設して土壌の流出を防止する方針だ。

 印西、白井両市は、市役所の敷地を暫定的に仮置き場としたが、多くは現場で保管している。白井市は周辺住民に配慮し、市役所内の放射線量の測定結果をホームページで公表している。市放射線対策室の担当者は「仮置き場候補地の周辺住民と交渉は続けているが、めどは立っていない」と話している。ほかの6市は、放射性物質の拡散防止措置を取った上で現場に埋めたり、汚染土壌の上をコンクリートで覆ったりして対応している。これまでに除去した土壌は、各市が計量を終えた分だけで約1万2731トンだが、今後、除染や計量が進めば、更に量は増える。土壌の最終処分については、国が処分基準を定めていないため、実施のめどすら立っていない。

 森田知事は28日の県議会一般質問で、汚染土壌の処分について、「最終的には国が責任をもって対処すべきだ。県としては国に強く要望している」と述べ、政府に対して処分基準の早期策定などを求めていく考えを示した。

 政府の工程表では、最終処分場は、既存の施設を活用するとされている。

 だが、放射性セシウムに汚染された県内のごみ焼却灰のうち、国の基準で通常の埋め立てが可能とされる1キロ・グラム当たり8000ベクレル以下の灰についても、受け入れを拒む民間の処分場が多いのが現状だ。このため、「汚染土壌についても国の方針通りに処分できるとは思えない」(県幹部)との指摘が出ている。

────2012年2月29日 読売新聞────
 

2012年5月14日月曜日

県内人口減:県庁内に新組織
知事表明 諸課題や経済政策検討
────千葉────

 
 県の人口が昨年、1920年の統計開始以来初めて減少に転じた問題について、森田健作知事は23日、人口減の要因を検証し、県政の方向性を再検討する組織を、来年度早々に庁内に立ち上げる方針を明らかにした。県議会で阿部紘一議員(自民)の代表質問に答えた。  森田知事は「東日本大震災の影響とはいえ、予想外に人口が減少したことを目の当たりにし、県が進むべき方向性や諸課題について直ちに検討しなければと強く感じた」などと答弁した。

 県政策企画課によると、この組織は人口減によって生じる課題を整理したり、経済や産業面などで県が従来通りの活力を維持するための方策を再検討するもの。総合的な検討が必要なため、部局を越えて人員を集め、組織化する方針という。

 これまで県は、県人口は17年にピークを迎えると推計しており、予想より7年前倒しで人口減が始まったかたちになっている。震災後、東京湾岸の埋め立て地などでの液状化や、東葛地域などで周辺より空間放射線量が高い地域が広く分布したことなどにより、特に従来多かった県北西部への転入者が大きく減少したことが、人口減の要因として指摘されている。【斎藤有香】

────毎日新聞 2012年2月24日 地方版 明るい会────

カジノ施設構想:比較的所得高い日本人にアンケート
半数が「行きたい」
────千葉────

◇犯罪、治安悪化の懸念の声も

 成田国際空港周辺でカジノを中心とした複合施設導入を検討している構想について、県が比較的所得の高い日本人1500人(3分の2が年収1000万円以上)にアンケート調査をした結果、約半数が「行ってみたい」と回答していることがわかった。

 県空港地域振興課によると、調査は三菱総合研究所に委託し、首都圏で1000人、その他の地域の500人を対象に実施した。カジノや温泉などを持つ複合施設を成田空港に隣接して建設したと想定したところ、「ぜひ行ってみたい」「行ってみたい」と答えた人が過半数の52%いた。  一方、「あまり行きたくない」「行きたくない」という回答は37%だった。行きたくない理由(複数回答可)として最も多かったのは「ギャンブルは好きではないから」(52%)で「千葉県までは遠い」と答えた人も31%いた。

 また、複合施設の建設で懸念される問題として、70%が「犯罪の増加、治安の悪化」を挙げたほか、「ギャンブル中毒や経済破綻者の増加」(56%)、「渋滞や騒音など環境悪化」(40%)が続いた。

 カジノを中心とした観光資源を活性化させる構想については、森田健作知事が県政の検討課題のひとつと位置付けている。昨年11月のシンガポール訪問では、カジノのある複合施設を訪問するなど、外国人観光客誘致を進めるうえで県が検討する施策の目玉の一つとなっている。同課は「来月末にまとまる最終的な調査結果をふまえ、複合施設導入の可否を検討したい」としている。【斎藤有香】

────毎日新聞 2012年2月24日 地方版────

2012年5月12日土曜日

────千葉・森田健作知事────
教育とは子育て

 
 「教育というのは子育て。学力向上だけが目的じゃない」が持論の森田健作知事。2月定例議会に提出した平成24年度当初予算案に、その理念を反映した施策を盛り込んだ。23日から始まった代表質問では特に異論は出ず、意気軒高だ。

 目玉と位置づけるのが、地域の安全を守る「移動交番車」の配備増、子育て家庭の負担を減らす「中3までの入院医療費無料化」、学校間の切(せっ)磋(さ)琢(たく)磨(ま)により教育の充実を促す「私学助成の拡充」の3点だ。「安全安心、健康、学力。どれが欠けてもいけない」と説明する。

 教育、子育ては有権者の関心が高いだけに、どの首長も個性を打ち出そうとする。散会後、記者が橋下徹大阪市長が提唱する義務教育の留年制について話を振ると、「思いつきで言っているだけでしょ。興味ないよ」と歯牙にもかけなかった。

────【週刊知事】産経2/25────

2012年5月11日金曜日

県企業庁保有地:整備事業収束の12年度末時点で
「未処分」815ヘクタール 分譲めど立たず
────千葉────

 
 12年度末で土地造成整備事業を収束させる計画を打ち出している県企業庁の保有地について、坂本森男副知事は27日、12年度末時点で、分譲できず未処分のままの土地が815ヘクタールに達する見通しであることを明らかにした。県議会で佐藤浩議員(みんな)の代表質問に答えた。

 坂本氏などによると、未処分が予想される土地の内訳は(1)幕張新都心(65ヘクタール)(2)東京湾岸の臨海地域(90ヘクタール)(3)千葉ニュータウン地区(351ヘクタール)(4)内陸部の工業団地(21ヘクタール)(5)事業自体が中止となっている工業団地(173ヘクタール)など。坂本氏は、代金の分割納入などの活用を念頭に「多様な土地分譲制度を効果的に活用し、処分の促進を進めたい」と答弁した。

 県企業庁によると、今年度は63ヘクタール、来年度は37ヘクタールの土地分譲を見込んでいるという。12年度内に造成工事や公共施設の自治体などへの引き継ぎを終了させるが、分譲終了の具体的な時期について、同庁は「景気の動向に左右されやすく、めどはたっていない」と説明している。

 同庁は急激な景気の悪化と土地需要の低迷に対応するため、10年に新経営戦略プランを策定。土地造成事業に一定の区切りをつけることを決めている。【味澤由妃】

────毎日新聞 2012年2月28日 地方版────

東日本大震災:企業庁分譲地「埋め立ては適法」
副知事、液状化の責任再び否定
────千葉────

 
 東日本大震災で県企業庁が分譲した東京湾岸部の土地が液状化被害を受けたことについて、坂本森男副知事は27日の県議会で「埋め立て事業は当時の法令に基づき適切に実施した」と説明し、法令上の問題がなかったことを強調した。丸山慎一議員(共産)の代表質問に答えた。

 坂本副知事は、分譲地の液状化対策の実施主体について「(分譲地を取得した)開発事業者が戸建て住宅やマンションなど建築物の種類などに応じ、必要な措置を講ずるものと考えている」との認識を示した。

 また、同庁が東京湾岸の浦安、千葉市などに所有する未分譲の土地約200ヘクタールについて、今後、県として液状化対策を講じるかについては「ボーリングなどの地質調査結果を提供するなど、開発事業者が適切な対策を図れるよう対応したい」と話した。一方、埋め立てや分譲開始当時の液状化の予見可能性については、高梨国雄企業庁長は「1964年の新潟地震以降に液状化の研究が行われており、企業庁の土地造成事業が始まった当時はまだ有効な対策や公式な施工基準がなかった」と答えた。【斎藤有香】

────毎日新聞 2012年2月28日 地方版────

2012年5月10日木曜日

県外残土、搬入禁止に
県内初、君津市が条例改正案
────千葉────

 
 君津市は、県内初となる県外発生残土の搬入禁止などを盛り込んだ市残土条例改正案を、開会中の3月定例議会に提案した。全体の約9割を占める県外発生残土を規制することで、山砂採取場跡地などへの“出どころ不明”残土の搬入を防ぐ狙い。さらに市が工事現場など残土発生元を直接調査できる権限も加え、安全性向上に配慮した。市原市に次ぎ県内2番目に市域が広い君津市は7割弱を山林が占め、山砂採取場も22カ所あるため、残土処分場の候補地は多い。現在4カ所の処分場が稼働中だが、大雨による崩落やアスベストを含むスレート片の混入、安全基準を超えるヒ素の検出など問題が多発。2003年には市議会で条例改正の請願が全会一致で採択されるなど、市民から対策を求める要望が挙がっていた。

 改正案の要点は残土の発生元を県内に限定し、全搬入量の91%(08~10年度)を占める県外発生残土の搬入を禁止する。

────2012年02月24日千葉日報────

東日本大震災:東京湾、放射性物質蓄積
検査態勢の強化を
知事、国に求める意向
────千葉────

 
 東京電力福島第1原発事故の影響により、雨水で流された放射性物質が、河川や海底の泥などに高濃度で蓄積しているという指摘が専門家らから出ている。この件について、森田健作知事は23日の県議会で「指摘は承知している。(汚染の)把握はきわめて重要」と述べ、国に対し水質調査など検査態勢の強化を求める方針を示した。県議会で横堀喜一郎議員(民主)の代表質問に答えた。

 また、江戸川の「行徳可動堰」(市川市)付近の川底で指摘されている汚染について、石渡哲彦副知事は「江戸川は国が管理しており、生活圏の除染が一定程度終われば除染を検討すると聞いている」と答弁した。

 一方、三番瀬周辺など東京湾の海産物について、石渡副知事は「今月に入り水産物の魚種や件数を増やして検査したが、いずれも暫定規制値を大きく下回っている」と話した。関東地方の河川や海底の放射性物質については、環境省が今月、東京湾に通じる隅田川と荒川で川の水や川底の泥の調査を実施するなど、国が現状把握に乗り出している。【斎藤有香】

────毎日新聞 2012年2月24日 地方版────

放射性物質:食品新基準4月施行
高精度検出器で対応
────千葉────

 
 4月から食品に含まれる放射性セシウムの新基準値が施行されることについて、森田健作知事は23日の県議会で「簡易検出器では基準値の厳しい飲料水や牛乳などには対応できない」として、現在、県の衛生研究所と農林総合研究センターにある高精度のゲルマニウム半導体検出器で、当面は検査などに対応する方針を示した。横堀喜一郎議員(民主)の代表質問に答えた。

 森田知事は答弁で「精度の高い検出器は高額な外国製品で入手困難なうえ、設置場所の整備が必要となるなど課題がある」と述べた。  新基準値では、飲料水は1キロ当たり10ベクレル(暫定規制値は同200ベクレル)、牛乳は50ベクレル(同)となる。【斎藤有香】

────毎日新聞 2012年2月25日 地方版────

2012年5月6日日曜日

────千葉 学校統廃合────
3高校の存続求め要望書
御宿町長ら提出

 
 県教育委員会が示した夷隅地域の県立大原、岬、勝浦若潮高校の3校統合案に対して、石田義広・御宿町長や町農漁業組合長らが21日、県庁を訪れ、3校の存続を求める要望書と、2531人の署名簿を県教育長あてに提出した。

 要望書は「水産業、農業を基幹産業としている外房地域にとって、多くの担い手を輩出してきた」として、勝浦若潮高の海洋科学系列、岬高校の園芸科を存続させ、計画見直しを求めるもの。要望書を提出した石田町長は「町から3校に通う生徒も多く、統合は地域の活力をそぐ。もっと地元の声を聞いてほしい」と訴えた。

 県の統合案は、15年度から3校を統合し、校舎は大原高を使用して新たに総合学科を設置するもの。県教委は「県議会の審議なども踏まえ、年度内には方針を決めたい」としている。【斎藤有香】

────毎日新聞 2012年2月23日 地方版────

TPP:交渉参加に反対
農協など知事に要請書
────千葉────

 
 高いレベルの貿易自由化を目指す環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉参加問題で、県内の農協など農林水産関係の団体でつくる「TPP交渉対策千葉県連絡会議」は22日、県庁で、交渉参加反対に関する要請書を森田健作知事に提出した。

 要請書は「県の農林水産業をはじめとする地域経済、県民生活を守るため、例外なき自由化を強いる交渉に参加しないよう、国に対して強い働きかけ」を県に求める内容。同会議代表の、林茂寿・JA千葉中央会会長は「県議会でもTPP交渉参加反対の意見書を採択してもらい、心強く思っている。市場原理に支配されず、県民生活を守るため、知事も強く働きかけてほしい」と訴えた。

 これに対し、森田知事は「千葉は全国3位の農業県。TPPに関しては、あまりにも情報不足だと感じる」と話したが、交渉参加の賛否については明言を避けた。

────【斎藤有香】毎日新聞 2012年2月23日 地方版────

廃止移譲は4施設
乳児院など12施設も見直し
────県行革委方針案────

 
 千葉県の行財政改革について有識者の意見を聞く「県行政改革推進委員会」(会長・辻琢也一橋大学院教授)が16日、県庁で開かれ、県が設置する107施設の見直し方針案を了承した。

 方針案では、すでに譲渡が決まっているサンライズ九十九里(九十九里町)と譲渡先を検討中の南房パラダイス(館山市)のほか、花植木センター(成田市)、アグリチャレンジファーム(東金市)の4施設を「廃止・移譲」とした。

 また、移譲の可能性を含めた利用策の抜本的見直しを行う施設として、乳児院(千葉市)や手賀沼親水広場(我孫子市)など12施設を区分した。

 県内3カ所の少年自然の家や青年の家2施設、博物館5施設など55施設では統合や施設の一部譲渡などを検討する。県まちづくり公社の民営化や県産業振興センターの県関与縮小など県の外郭37団体の見直し方針案も了承された。

────2012年02月17日千葉日報────

2012年5月2日水曜日

日本人訪問意欲5割
成田空港周辺のカジノ複合施設
────ネット調査中間報告────

 
 成田空港を生かしたカジノや国際会議場を含む複合施設(IR)の導入可能性を検討している県は18日、成田市内でシンポジウムを開き、基礎調査を受託した三菱総研が、中間報告を行った。インターネットによる日本人1500人(うち年収1千万円以上が千人)へのアンケートで、カジノを含む総合娯楽IRが成田空港周辺に出来た場合、訪問意欲を示したのは5割程度。アジアの旅行会社15社への意識調査では、訪問先を日本に変えるカジノVIP客の割合を「1~2割」と見込む回答が多かった。

 前提として(1)空港隣接地に中低層で延べ床面積20万平方メートルの日本文化体験型のIR(2)空港からやや離れた場所に高層建築で同50万~60万平方メートルの国際標準型IR-の2パターンを仮定。訪問意欲を示した日本人は(2)の方がやや多かったが、国内旅行会社12社に聞いた訪日外国人客の拡大見込みでは(1)が上回った。

────2012年02月19日千葉日報────

────千葉────
県不正経理:業者プール金
職員・OBら返還額が損害額を上回る

 
 県庁不正経理問題で、不正な手法で県職員が、取引業者の口座に蓄えていたプール金(公金)について、県は17日、職員や業者からの返還金が1月31日現在で10億4400万円となり、返還すべき損害額10億3900万円を500万円上回ったと発表した。

 県行政改革推進課によると、返還額の内訳は、職員やOBら計3677人から計約8億7500万円、業者からは1億6900万円。プール金未返還の業者は9社で計約2億5100万円あり、うち6社は分割返納中だが、1社は約8100万円分の返還に応じず、2社は倒産などで関係者と連絡が取れないという。

 未返還金について県は、返還期限の13年3月まで、業者などに返還を求めるが「不正経理は一義的には県職員の責任。業者に強制して返還を求めるなど法的な手続きは取らない」としている。

 上回った返還金について同課は「今後も業者側にひき続き、期限まで返済を求めていく以上、現時点では何とも言えない」としている。

────【斎藤有香】毎日新聞 2012年2月18日地方版────