2011年9月30日金曜日

────情報公開度:千葉県────
41位→26位
県内の市トップは流山市───10年度

 全国市民オンブズマン連絡会議は2日、全国の各自治体を対象にした、10年度の全国情報公開度調査結果を発表した。東北の被災地で調査できない自治体もあったが、県は70点満点中62点の26位で、昨年の41位より順位をあげた。県内各市では、トップは満点の流山市。2位以下は千葉、市川(65点)▽富津(59点)▽柏、市原(58点)と続く一方、県内ワースト3位は香取(10点)▽八街(13点)▽いすみ(15点)だった。

 県と県内全36市の平均は43・38点の全国15位でこちらも三つ順位をあげた。同会議によると、4月に44都道府県と東京23区、全市にアンケートを送付。首長交際費と議会議事録の公表状況のほか、情報公開請求の際の閲覧手数料の有無、開示文書のコピー代、請求権者の範囲--などの項目について集計した。閲覧手数料について、全国で9割以上の自治体が手数料を取らない一方、条件付きも含めて手数料を徴収している自治体数は県内37自治体のうち9自治体。また、情報公開請求権者の範囲は、全国で6割以上の自治体で誰でも請求できるが、千葉県と県内18市では住民以外は請求理由を明示するなど条件付きだった。同会議は「閲覧手数料の徴収は情報公開請求という住民の知る権利を阻害するもの。請求権者の制限とともに、完全に撤廃されるべきだ」と指摘している。

────【斎藤有香】毎日新聞 2011年9月3日 地方版────

2011年9月28日水曜日

【千葉】
除染計画で協力要望 原発事故
印旛郡市9市町、東電に

 印旛郡市広域圏九市町の市長らが九日、福島第一原発事故に伴う除染事業への協力などを東京電力に求める要望書を、成田市の成田支社で提出した。政府は放射性物質の除染の基本方針で、被ばく線量が年間1~20ミリシーベルトの地域では自治体が除染計画を立てることとしている。

 これを受け、自治体が放射線量を測定する際の人的・物的支援、除染で生じる土壌の仮置き場用地の提供など四項目を要望した。佐倉市の蕨和雄市長は「計画作りや除染作業で、できる限り協力をお願いしたい」と述べた。

 東電千葉補償相談センターの善如寺彰所長は「誠意を持って対処するが、仮置き場など難しい問題もある」と、月末までの回答を約束した。 (小沢伸介)

────2011年9月10日 東京────

2011年9月27日火曜日

────千葉県政報告────
「コスモ石油の火災・爆発事故とコンビナートの危険」の
テーマで報告 42人が参加

 恒例になっている「明るい民主県政をつくる会」(代表、河野泉医師)と「森田知事の政治責任を追及する会」(代表、三輪定宣千葉大名誉教授)共催の県政報告会がありました。今日は要請があって、いつもの県政全般ではなく、「コスモ石油千葉製油所の火災・爆発事故とコンビナートの危険」ということに絞って、約1時間お話しをしてきました。

 コスモの事故の概要を説明した後、それが安全や人命より効率(利益)を優先する企業の論理によって引き起こされたものだということを、緊急遮断弁をピンでロックしていたという違法行為などを例に指摘。隣接のチッソ石油化学に保管されていた劣化ウランの倉庫が延焼し、燃え落ちていたことなど、一歩間違えば、さらに重大な事態につながっていたと報告しました。

 その上で、コスモ以外にも、今回の震災で8件の危険物の漏えいがあったこと、コンビナートには、石油や高圧ガスに加えて、81基もの毒性ガスのタンクがあるにもかかわらず、住民には知らされておらず、避難訓練なども行われていないこと、耐震基準に足りていないタンクが相当数残されていること、施設の老朽化や職員の技術の継承に問題があり、2004年以降、火災やガス漏えいの事故が急増していること、液状化や側方流動、津波の対策が図られていないこと、等々、見えてきたコンビナートの危険を指摘しました。

 液状化は、県のアンケート調査でも、72の特定事業所のうち9事業所で、危険物施設で発生していたこと、その他の場所では、22の事業所で230ヶ所以上も発生していました。側方流動についても、60センチの護岸のせり出しが1件報告されています。しかしながら、企業の敷地内だということで、県当局も立ち入り調査をすることができず、その実態をつぶさには掴んでいません。雑誌「アエラ」では、東京湾岸コンビナートの側方流動による危険物タンクの破壊、湾への流出・炎上という、国交省関東地方整備局が専門家に委託した調査結果が暴露されていました。

 また、津波対策については、東京湾には津波は来ないという前提から、まったくの空白になっていることも指摘。企業岸壁の護岸高、強度がどれほどなのか、これまた県は、民間企業の敷地内ということでつかんでいません。東京湾最奥部の船橋で、2.4メートルの津波痕が観測されていることから、対策が急務であること等々、指摘させていただきました。お話しのあと、参加者の質問に答えました。最後に、誘われて初めて参加したという方から「良く調べたわかりやすい話で、感動した」とのお褒めをいただき、務めを果たせたかなと少し安心しました。

────11.09.08 小松実ブログ────





千葉
9.8県政報告会での小松実講演に対しての質問



  • 轟町からみた爆発の炎は赤紫色、そんな色は今までみたことがない、何が爆発したのかおしえてほしい。

  • 袖ヶ浦市にある住友化学はなぜ、65トンもの劣化ウランを貯蔵しているのか。住友化学の隣は富士石油のタンクがある。しかも住友化学の劣化ウランは建家がない状態で貯蔵されている。なぜ、住友化学は天然ウランも持っているのか。今度大震災が来ると劣化ウランはどうなるのか。

  • なぜ、県などがコンビナート地域の工場に調査に入れないのか。なぜ、コンビナート地域は、治外法権になっているのか。

  • これだけの事故で警察は現場に踏み込んだのか。

  • 神奈川のジョージワシントンが原発事故を起こすとどうなるのか。

  • 社員がもっと、内部告発しやすいように改善する必要がある。

2011年9月23日金曜日

【千葉】
県人口 5~7月で3000人減少
震災が影響 県外転出多く

 東日本大震災以降、県内でも人口の減少が進んでいることが県の調査で分かった。県が毎月まとめる人口調査によると、五~七月の三カ月間で計四万三百五十八人が県外に転出した。他県から県内に転入した分を差し引いても二千八百二十六人の減少。震災の影響とみられ、県人口は平成以降、一貫して増え続けてきたが今年、初めてマイナスに転じる可能性が出てきた。 (佐々木香理)

 県統計課は、人口流出の原因について「震災の影響で、人口移動が起こっているのでは」と推測している。最も減少幅が大きかった市川市は、三カ月で千七十五人減ったが、「市内にある官公庁の官舎や社宅の閉鎖が影響した」(同市)といった特別な事情もあるようだ。

 一方、深刻な液状化被害を受けた浦安市は「例年、四、五月は人口が増え、その後は横ばいが続くが、今年のようにマイナスになるのは珍しい」と震災の影響を示唆する。

 千葉市の担当者も例年微増していた市人口の変化を感じており、「五月ごろから、美浜区内の外国人が減っている」と指摘した。

 もともと人口の少ない九十九里や南房総の沿岸の自治体でも、三月以降七月までに旭市で三百五十一人減少、いすみ市でも二百六十六人減るなど、減少幅は例年より大きくなる傾向にある。

 半面、四街道市がこの三カ月で、昨年(六十二人)の四倍を超える二百八十八人も増えるなど、内陸部では一部、人口の流入が始まっている。県統計課は「海沿いに住んでいた人が内陸部に引っ越しているのでは」とみている。

 県内の人口移動の背景には、震災に対する県民の不安があるとみられるだけに、県は防災計画の見直しなど、人口流出に歯止めをかける対策を急ぐ必要がありそうだ。

────2011年9月11日 東京────




震災対応に103億円 千葉県9月補正
放射性物質検査など


 千葉県は9日、今年度一般会計予算を236億2800万円増額する9月補正予算案を発表した。東日本大震災対策に重点を置き、被災者支援や、東電福島第1原発事故に伴う農畜産物などの放射性物質検査事業として計103億2300万円を計上。補正後の今年度予算総額は1兆6702億8800万円となる。21日開会予定の県議会9月議会に提案する。

 震災対策費では、県内農畜産物の安全性を確保するため、市町村が実施する放射性物質検査の機器の整備や分析費に対して助成を行うほか、新規事業として医療施設への自家発電装置の整備(5400万円)▽節電対策により休日出勤した家庭の子供を預かる保育所などの開設費用助成(3045万円)▽新エネルギー活用推進検討事業(1033万円)を盛り込んだ。

 また、市町村における復興計画や災害対応強化の構想策定に対する助成に2千万円、石油コンビナート地区などの防災計画を見直すための事業に59万円をあてるなど、震災以降高まっている防災意識を反映し、災害予防にも力を入れた。

 震災対策以外では、3月に発生した高病原性鳥インフルエンザにより、経営に著しい損失を受けた養鶏農家の救済対策事業費として、8745万円を盛り込んだ。

 震災の影響による景気低迷を受け、県税収入は法人税などを中心に大幅な減収が見込まれており、依然、厳しい財政状況が続く。県では災害復興・地域再生基金(残高約26億円)、退職手当債の発行(180億円程度)などによって財源を確保するとしている。

────産経9/10────

2011年9月22日木曜日

森田知事は八ッ場ダム推進を求める
森田知事「液状化で堤防不安定」早期建設訴える

 「八ツ場(やんば)ダム建設事業関係地方公共団体からなる検討の場」が13日、都内で開かれ、千葉県の森田健作知事は「近年の気象状況は変化している。ダム建設案が最も効果的なことが確認された」として、速やかに本体工事を再開し、予定通り平成27年に完成するよう求めた。検討会には、群馬や埼玉など関係6都県の知事らが出席。森田知事は東日本大震災の県内被害を例に挙げ、「利根川下流域は液状化被害に見舞われた。堤防が不安定になっており、水害に対する住民の不安が高まっている」とし、治水上、欠かせない建設だと主張した。

────2011.9.13 産経────






東日本大震災:コスモ石油に県が行政処分
────火災爆発事故で/千葉────


 県は13日、コスモ石油に対し、3月11日に千葉製油所(市原市)で発生した液化石油ガス(LPガス)の火災爆発事故に関し、同製油所の危害予防規程の順守を命じる行政処分を行ったと発表した。高圧ガス保安法違反や保安上不適切な事実があったとしている。

 県保安課によると、同製油所は事故当時、LPガス漏えいを防ぐための緊急遮断弁を開状態で固定していたことが法令違反に当たっていたほか、点検のため、長期にわたりガスタンクに水を張るなど、万一の地震に対応した安全評価をしていなかったことなどが確認されたという。県は今後、同社に対し再発防止策の提出を求めるとともに、立ち入り調査を実施する方針。

───【斎藤有香】 毎日新聞 2011年9月14日 地方版───

2011年9月19日月曜日

────【千葉】────
放射線量測定装置 県、北西部に重点配備

 県は十二日の県議会東日本大震災復旧・復興対策特別委員会で、九月補正予算案に計上する六台の放射線量測定装置(モニタリングポスト)の増設について、東葛、葛南、印旛、香取、長生、安房の各地域に設置する方針を明らかにした。

 県によると、東葛、葛南、印旛の三地域は空間放射線量が比較的高いためで、それ以外は県全域のバランスを考慮した。既存施設は地上七~十メートルに設置されているが、新設の六台は、日常生活に近い地上一メートルに設置する。設置市町村は国との協議で最終決定する。

 福島第一原発事故の対処方針をめぐっては、県立学校の除染作業を「検討中」とした県教育委員会に対し、「各市町村教委は既に小中学校などの除染に取り組んでいる。県教委も実施すべきだ」などの批判も相次いだ。


────(小川直人) 2011年9月13日────

2011年9月18日日曜日

千  葉
モニタリングポスト新たに6ヶ所で整備
────震災対策特別委で────

 第7回目の県議会「東日本大震災復旧・復興対策特別委員会」が、今日、開かれました。

 議題は、①千葉県震災復旧及び復興に係る指針原案について②東京電力福島第一原子力発電所事故に係る対処方針について③千葉県地域防災計画の見直しについて④中間報告について、の4つ。

 最初の「復旧・復興に係る指針原案」について、私は、復興の部分の「総論」で、県民一人ひとりの減災の意識「自助」や住民の支えあいの「共助」が強調されているが、県の方針としては、まず「県自身が県民の命と安全を守り抜く」との断固たる決意を示すべきではないのか、と質しました。当局は「確かに、自助・共助を強調し過ぎたきらいがある。『公助』についても、きちんと読めるように整備していく。」との答弁を行いました。

 原発事故への対処方針について、大気のモニタリングの増設をどう考えているか。また、モニタリングの信頼性が揺らいでいる。地上、7メートル、10メートルの測定では、何の目安にもならないとの声が出ていると指摘、改善を求めました。県は「国が全国のモニタリングポストを全国で250ヶ所、増設する予定で、千葉県にも新たに6基が配置されることになる」「その6基のモニタリングポストは、地上1メートルに設置をする予定だ」と、答弁しました。6基のポストは、東葛、葛南、印旛、香取、長生、安房の各地域に設置される予定です。

 ひどかったのは、教育委員会の答弁です。子どもたちの食の安全に万全を期すために、学校給食会で独自の検査を行うべきだとの主張に、「放射能の基準を超えたものは、出荷制限がかかって流通していない。したがって、流通しているものは問題ない。」として、検査の考えのないことを表明したのです。子どもたちへの影響を極力少ないものにするために、せめて学校給食では、できるだけ放射能の含まれていない食品を提供すべきなのに、およそ子どもたちの命や健康に責任感はもちろん、関心すらないかのような答弁には、あきれるばかりです。

 地域防災計画の見直しについて、私が、コンビナートの津波対策について質したのに対して、消防課長は、今後の「コンビナート防災計画の見直しのなかに活かしてまいりたい」と、答弁。また、液状化対策として県が実施するボーリング調査に関連して、コンビナート企業について、どうするのか。少なくとも、企業の持っているデータを提供させるべき、としたのに対して、「企業は、建設時にボーリング調査のデータをつくっているはずで、その提供を求めていく」と、答弁しました。さらに、コンビナートの液状化について、実地調査を求めたのに対しては、9月から順次立ち入り調査して、実態把握に努めると、これまでより一歩踏み込んだ答弁をしました。さらに、県のアンケートに、60センチの護岸のせり出しが報告されていた点について、対策を求めた私に対して、消防課長は「すでに現地調査をしている」と、これまでより一歩進んだ答弁でした。

 さらに、私は、今回のコスモの火災・爆発の影響でチッソ石油化学の劣化ウランの保管倉庫が焼け落ちていたことに関連して、放射性物質の事故について、地域防災計画の震災編のなかにも盛り込むべきだと主張しましたが、これに対して、防災危機管理課長は、「これまでのように事故編だけでなく、震災編にも含めるかどうか、検討していく」と答弁しました。

 最後に、9月定例県議会(9/21開会)に提出する特別委員会としての中間報告の概要を確認して、終わりました。

────小松実ブログ 9月12日────

2011年9月17日土曜日

「明るい会」の
「大震災と元禄津波被災地視察会」に参加

 革新県政をめざして、毎回知事選挙に候補者を立ててたたかう「明るい民主県政をつくる会」の主催で「3.11大震災と元禄津波被災地視察会」があり、参加しました。

 朝、JR蘇我駅前を出発。まず、千葉市美浜区の液状化被害を受けた住宅地や護岸がせり出した側方流動の現場などを見ました。美浜区の現地では、液状化の被災者救済や対策に取り組む方々の説明を受けました。

 その後、一路茂原市へ。最初に鷲山寺(じゅせんじ)。1277年創建の法華宗本門流大本山とか。その境内、本堂前に、元禄津波の供養塔はありました。南無妙法蓮華経と刻まれた石塔の側面に、元禄16年(1703年)11月22日夜丑の刻、溺死者都合2154人と読めました。線香を手向け、合掌。講師の古山豊先生(元県立東金高等学校長)の「数としてでなく、一人ひとりの犠牲者に思いをはせて」との言葉は、胸に残りました。



 隣は、藻原寺(そうげんじ)。「茂原市」の地名の由来となった寺です。本堂の唐門に、「波の伊八」で有名な武志伊八郎信由の息子二代目信常の手になる龍や鳳凰の彫り物があり、写真に収めてきました。

 次に向かったのが、長生村の本興寺。本堂をお借りして、お弁当をいただきました。千葉県農民連お手製のボリュームたっぷりのお弁当でした。休憩のあと、境内にある津波供養塔をお参り、本堂に戻って、犠牲者700名ほど(古山豊先生推計)の戒名の刻まれた大位牌を特別に間近で見せていただきました。



 その後、古山先生から約1時間にわたって、元禄津波の被害の実態などを長年の調査・研究にもとづいて講義していただきました。

 ぶり返した暑さの中で、少々へこたれましたが、勉強になりました。主催者やお世話してくださった皆さん、ありがとうございました。

────11.09.13 小松実ブログ────

2011年9月16日金曜日

千葉県の公立中
歴史・公民とも育鵬社採択なし
(柏市の麗澤中のみ)

 来春から中学校で使用する教科書採択が終了し、千葉県内の公立中学校などの採択状況が1日、分かった。それによると、15採択地区と県立千葉中学校について、歴史教科書は東京書籍、教育出版、帝国書院の3社が占めた。県内25校の私立中学校(時任学園中等教育学校を含む)で回答を得られた21校のうち「日本教育再生機構」のメンバーらが執筆した育鵬社の採択を決めたのは、麗澤中(柏市)のみだった。

 採択状況をみると、新たに東葛飾東部、夷隅、安房の3地区が東京書籍の採用を決めた。各地区の採択協議会では、育鵬社の歴史教科書を推薦する委員もおり、8月5日に開催された船橋市地区の会議で、委員から「国民として知ってほしい事項や文化遺産、人物などを取り上げている」と評価する意見が出された。この委員は、東日本大震災からの復興のためにも、「次代を担う若者に日本を好きになってもらい、誇りを持ってもらわなければ、達成できるかどうか分からない」と、歴史教育の重要性を強調した。同地区は「地域から世界や現代社会を考えようといった、発展学習への配慮がされている」などとして、教育出版を採択した。

 一方、公民教科書については、東京書籍が13地区と最も多く、日本文教出版(船橋市地区)、教育出版(香取地区)、帝国書院(県立千葉中)がそれぞれ採択された。

────2011.9.1 産経────






千葉県の公立中学校における教科書採択について(談話)


2011年9月1日
全教千葉教職員組合中央執行委員長
    高橋成悟



 千葉県教育委員会は本日、2012年4月から県内の公立中学校(県立千葉中を含む)で使用される教科書の採択状況を発表した。9教科15種類の教科書採択状況には前回から若干の変更はあったものの、懸念されていた「自由社」「育鵬社」の歴史・公民教科書を採択した地区はなかった。
 全教千葉教職員組合はこれまでも、歴史の真実を歪め、特異な歴史認識と愛国心を押しつけようとする2社の教科書がはらむ問題点を明らかにしつつ、真理と真実を記述し、憲法と子どもの権利条約の理念を踏まえた教科書を子ども達に手渡すため、全力をあげて運動を進めてきた。よって、今回の採択結果は県民の願いに沿った妥当な結論であるといえる。
 千葉県ではこれまで、森田知事によって「日本教育再生機構」との関わりが深い人物が教育委員に起用され、愛国心を中心とした異常なまでの「道徳教育」への固執がみられるなど、教育への不当な介入が問題となってきた。また、千葉県は全国で唯一「男女共同参画条例」の制定がされないなど、歴史の流れに逆行する県政運営が平然と行われている。そのような状況下において、今回正常な判断に基づく教科書採択が行われたことは、広範な市民・労働団体と連携しながら「教育の自由」を守るために全教千葉が運動を進めてきたことの大きな成果である。
 また、この8月に6000人の参加で成功させた「教育のつどい2011」の力も大きかった。教育への不当な支配を許さず、教育の主人公は子どもであるという原則に立ち、すべての国民による協力と共同の力で震災後の日本を復興させるとともに、子ども達の健やかな成長と発達を願うという国民の声が集結した「教育のつどい」の成功が、県民の願いと結びついて今回の教科書採択における教育の正常化へ大きな流れをもたらしたものと考えている。
 しかし本来であれば、教科書は児童・生徒の実態を最も理解している教職員・保護者がその実態に合わせた教科書を自由に選択することができて当然である。子どもが学ぶ教科書を選ぶことは、子どもの成長過程を大切にすることでもあり、子どもの未来に責任をもつということでもある。また、教科書を選ぶ過程においては、それを使う子ども自身の意志が十分に反映されるような仕組みを備えることも重要である。加えて、現行の教科書採択制度のあり方を問い直し、広く市民に開かれた「公正・公平・公開」の原則にのっとった採択の実現へ向けて改善要求をしていくことが欠かせない。
 児童・生徒が使用する教科書は、その発達段階に沿って真理と真実が記述され、どの子にもわかるように十分吟味されて教材化されたものでなければならない。全教千葉は引き続き、教科書検定制度の問題点も明らかにしながら国民のための教育・学校づくりに全力をあげていく覚悟である。同時に、全国で行われている教科書採択の動向を注視しつつ、各教育委員会が現場教職員の声をふまえ、政治的な圧力に屈することなく、子どもを中心に据えた教科書採択を行うことを求めるものです。 以上