2009年12月25日金曜日

千葉県における「不正経理」のルーツ

 千葉県における「不正経理」の内部告発は90年代に行われていた。

 しかし、当時の沼田知事などは、こうした実態をよく知ったうえで、県議会で「問題ない」とか「節度をもって対応している」などと答弁しているのである。

 千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第34号(1995年12月)に掲載されたものを下記に記します。




「官官接待」に思う

 

1.千葉県は実態解明と見直しに消極的


 この夏(1995年)以降、「官官接待」(税金を使った公務員同士の飲み食い)がマスコミなどで盛んに取り上げられ、その実態が次々と明らかになっている。そして、「官官接待」に批判が強まる中、全国の自治体の多くがその“見直し”を図っている。新聞報道によれば、10月中旬時点で、宮城県、高知県、仙台市など約10の自治体が「官官接待の原則廃止」を表明した。

 といっても、その内容をよくみると、「官官接待」の全廃ではない。いずれも「過度の接待は廃止する」というものであって、「意見交換や情報収集を目的とした懇談」などの「常識の範囲内での必要最小限の飲食」は今後も続けるというものである。

 ところで、千葉県庁はどうであろうか。先の9月定例県議会では「官官接待」も取り上げられ、たとえば小松実県議(共産党)が実態調査や見直しをせまった。しかし沼田知事は、中央官僚に対する接待や市町村から受けた接待については「必要最小限で節度を持って対応していると思う」としたうえで、「接待の金額は把握していない。(今後も)調査することは考えていない」と答弁している(読売、9月29日)。つまり、「本県の現状は問題がなく、実態調査や見直しは必要ないとの考えを明確にした」(同紙)のである。

 また、千葉ニュータウン整備事業にからんで、千葉県企業庁が1993、94年度の2年間で、関連市町村職員などとの懇談を約450回も繰り返し、総額5000万円もの会議費(会議を名目とした宴会費)を支出していたことを新聞が取り上げた。

 しかし、この報道内容についても、県幹部はまったく問題を感じていない。たとえば、同事業を担当している企業庁ニュータウン整備部の部長は、「土地買収などでは(市町村担当者との)信頼関係が欠かせないので懇談も必要」と発言し(読売、10月12日)、県総務部長も「企業庁には、民間企業のような『営利的』業務がある。地元対策の会合も多く、一概に高額だとは思わない」とか「問題ない」としている(同、10月3日)。

 このように、千葉県は、「官官接待」についてまったく問題を感じていないし、見直すことは考えていない。県予算の「食糧費」が1992年度以降、年々減少していることが報道されているが、これも「財政事情の悪化による経費節減が、結果として食糧費の減少に結びついた」(朝日、9月30日)ものである。

 ちなみに、千葉ニュータウン整備事業にからむ「官官接待」については、その後の市民オンブズマンの調査で、1991、92年度の2年間も5000万円を超える支出があったことが明らかになった。また、県企業庁の1994年度の会議費(食糧費)の決算額は1億9139万円であることも分かった(毎日、11月2日)。


2.全国有数の“官官接待県”


 沼田知事は、官官接待問題について「必要最小限で節度を持って対応している」とか「問題ない」としているが、これは大ウソである。千葉県庁でも税金を使った公務員同士の飲み食いはすごいものがある。むしろ、企業庁や土地開発公社、都市公社、道路公社、日本コンベンションセンター(幕張メッセを運営する第三セクター)など、大型開発にかかわる公営企業や外郭団体を多数かかえる千葉県は、全国有数の“官官接待県”といっても過言ではない。

 20年前になるが、1975年の5月、企業庁の職員が職を辞して企業庁運営の乱脈ぶりを告発したことがある。この内部告発をきっかけにして明らかになった点をいくつかあげると──

 企業庁は、松尾台工業団地を造成する際、自民党県議の斡旋によって「三共ブロック」なる会社の所有地をまわりの14倍の値段で買った。同社はこの売却で巨利を得た。


 同団地造成に関して、「協力費」として「地元協力会」に2700万円を交付した。しかし、この金の振込先は高橋啓三郎・松尾町長をはじめとする一部の有力者の個人口座であり、その金は地元住民に知らされないまま管理されていた。


 企業庁は、県地域振興公社(企業庁の外廓団体)にたいして「雑草除去業務委託費」として毎年2000万円近くの委託費を支出していたが、このうち名目通りに使われたのは300万円くらいであった。企業庁と公社が「雑草除去費」の“水増し”を打ち合わせ、実際は草も生えない区画に雑草が生えたことにし、「伺い書」「委託書」「成果確認書」などの一連の公文書を偽造して年間1000万円以上の公金を流用していた。なお、同公社の幹部のほとんどは、企業庁の現職幹部でもあった。


 地域振興公社発行の膨大な数のタクシーチケットが企業庁の幹部をはじめ係長にまで配られ、私用に使われていた。一部の幹部は、家族にまで使わせていた。


 企業庁は「会議」を名目にした宴会をひんぱんに開き、その費用の一部を公社に“ツケ回し”していた。その飲食費は、千葉市内の4料亭だけで年間2600万円にのぼり、そのうち公社へのツケ回し分は約1000万円であった。なお、企業庁会計には、「会議費」として年間1億2000万円が計上されていた。(以上については、75年6月10日付け読売新聞、同年5月31日付け朝日新聞などを参照)。


 企業庁の幹部は、県議会の企業常任委員会で以上の事実を認め、「あれこれとミスがあったことは事実であり、申し訳ない。今後改めるべきことは改める」と頭をさげてあやまった。

 しかし、あやまったのは形の上だけで、ほとぼりがさめると、再び同じようなことを繰り返している。たとえば、公費による幹部などの飲食費肩代わりは今も日常茶飯事的におこなわれている。
 県土地開発公社や県都市公社などの職員が知事部局や企業庁の関係各課の幹部を公社の費用で接待するのはよくみられることである。これはよく言われていることであるが、各公社の理事長は、年間1000万円とか数千万円の「交際費」をもっていて、この金が県幹部や政治家向けの接待費として自由に使われている、という。また、タクシーチケットの私的利用も幹部の間ではほとんど毎日のように行われている。

 ちなみに、筆者はかつて、企業庁が担当している開発事業の許認可事務にかかわったことがあるが、ちょっとした手続きの便宜を図っただけで、上司とともに高級料亭に案内され、金額にすれば1人1万円は下らないような接待にあずかり、驚いたことがある。あとで聞いてみると、そうしたことは日常茶飯事のことで、幹部クラスになるとたいへん豪華なもてなしになるとのことであった。


3.臨調「行革」以降、ひどくなった腐敗


 臨調「行革」以降、こうした腐敗はいっそうひどくなっている。企業庁や公社だけでなく、知事部局の間でも税金を使った飲み食いが日常茶飯事的におこなわれているのである。知事部局の課と課で接待しあうこともあるし、課内部の職員同士の飲み食いにも税金が平気で使われている。

 タクシーチケットの私的利用も同じである。各職場でおこなわれている各種の飲み会の際、幹部職員などは必ずといってよいほど公用のタクシーチケットを利用する。これはほとんどの職場でみられることであり、本庁では、係長クラスになるとタクシーチケットを飲み会のたびに自由に使うことができるようである。安房地域や夷隅地域など遠くから通勤している職員が多いことを考えると、タクシーを1回使えばどれほどになるか想像がつくであろう。こうした実態はタクシー会社がよく知っていることであるが、タクシー会社にしてみれば大変な儲け口になっているので、暴露などをすることはない。

 ところで、日常的に行われている「官官接待」の費用はどこから出るかというと、いわゆる「食糧費」から出ることは少ない。つまり、流用である。

 内実を少し書くと、まず一般的なのは職員の旅費である。じっさいには出張しないのに、課内の職員が何回も出張したように書類を作り、この分を飲食費にあてるのである。つまり、一時期問題になった「カラ出張」である。この場合、書類上出張したことになっている職員はそのことを知らないケースが多い。旅費が流用しやすいのは、現金化しやすいことと、税金がかからないためである。

 また、消耗品費や印刷製本費なども飲み食いに流用されており、領収書の偽造が日常的におこなわれている。たとえば、愛知県や秋田県では、市民オンブズマンや新聞社の調べなどで、県が食糧費を使って接待などで飲食した時、飲食店から受け取った請求書のうち、あて先や明細、日付の書かれていないものや改変されていたものが大量に発見された。また、大阪府や茨城県、沖縄県では、会計検査院の検査によって、国の補助金である公共事業費の事務費に含まれる食糧費が事業とは無関係の目的外に流用され、書類が改ざんされていたことが判明した。

 こうした書類の大規模な改ざんは、千葉県でも日常的に行われているのである。したがって、たとえば千葉ニュータウン事業にからむ会議費(食糧費)が2年間で5000万円とか、県企業庁の1994年度の会議費(食糧費)の決算額が約2億円というのは、表向きのものであって、実際に飲み食いに使われている分の氷山の一角でしかない。飲み食い費の大半を占める流用分については、公文書公開制度を利用しての開示では調べることが不可能なのである。

 千葉県では現在、財政事情の悪化によって経費節減が進められており、飲食費として流用されていた旅費や需用費(消耗品費、食糧費、印刷製本費)などが削減されているので、全体的には、飲み食いは数年前と比べれば減っている。

 しかし、公費による飲み食いそのものは相変わらず続いており、また、タクシーチケットの私的流用は相変わらず激しい。本庁についていえば、会館、料亭、スナックやタクシー会社などから請求書が届けられ、多くの課で支出担当者がその対応(つまり、書類改ざん)に頭を悩ましている。料亭やタクシー会社から次々と請求書が届けられてくるために、当該年度で支払いできず、借金が次年度に繰り越され、過年度分の支払いややりくりに追われている課も多いと聞く。こうした書類改ざんや過年度分飲食費の捻出などで連日残業や休日出勤を強いられている担当者も多い。国の会計検査がある時は徹夜状態が何日も続くという課も少なくない。

 本来は、監査委員がこうしたことを厳しくチェックしなければならないのだが、よく知られているように、監査委員は知事の任命であり、県職員OBなどで構成されているので、チェックする気はさらさらない。また、監査委員の監査を手助けする監査委員事務局の職員も一般の県職員であり、2、3年後には監査される立場に回るため、不正流用などが分かっていても、見てみぬふりをしている。かつて、監査委員事務局の職員がある職場の監査を厳しくおこなったために、この職員は左遷された、という話もあるくらいである。

 酒好きが課長になった知事部局のある課では、週に1日以上の割合で公費を使った飲み食いがおこなわれ、1年間に数百万円におよぶ予定外の飲食費を支出せざるをえなくなった。そのために、年度末に恒例のようにおこなわれていた職員の県外視察がとりやめになった、という話も耳にしている。

 沼田知事や蕨総務部長などは、こうした実態をよく知ったうえで、県議会で「問題ない」とか「節度をもって対応している」などと答弁しているのである。


4.県政運営の裏側


 税金を払っている県民、あるいは暮らしの向上などを願っている県民の立場からみれば、県政運営はたいへんひどい状況になっていると言っても決して言い過ぎではない。

 ほんのいくつかの例をあげると、まず、税金の無駄遣いがある。
 たとえば、県民の暮らしや県内中小業者の育成とはまったくといってよいほど無縁な幕張新都心開発には相変わらず湯水のように公金がつぎこまれている。幕張新都心の中核施設である幕張メッセについていえば、東京モーターショーの主催者である自動車工業振興会(自工振)が「会場が手狭だ」として増設要望を出したため、県は「自工振の主張を丸のみ」(朝日、10月21日)して、この12月から220億円をつぎこんで「第二メッセ」の増設工事をはじめる。

 幕張メッセは、稼働率が落ち込み、使用料収入が思うように上がらないために、県と千葉市が一般会計から累積で57億円もつぎこんでいるのに、さらに第二メッセ建設によって県は180億円もの借金を抱え込むことになるのである。このほか、幕張新都心については、ほとんど人が通らない道路やほとんど利用されない公園が、莫大な公費をつぎこんで豪華に整備されている。県が木更津・君津両市の丘陵地域で進めている「かずさアカデミアパーク」開発なども同様で、企業誘致がほとんど進まないのに、莫大な公費が投入され続けている。

 このように県民生活とはあまり関係のない大型開発に湯水のようにカネをつぎ込みながら、県民の暮らしにかかわる分野に対しては支出をなかなか増やさないか、あるいは削減している。高校を増やさないために、高校受験を迎える子と親、そして教師の苦労は相変わらず大変だと聞く。治水対策が進まないために、大型台風や集中豪雨に襲われれば大被害はまぬがれないという地域も多い。これについては、公共工事にかかわっている県職員も、こうグチっている。

 「“治水は治政の根幹をなす”という言い伝えもあるが、幹部や議員はこのことをなかなか分かってくれない。相変わらず道路が優先されている。治水への支出をケチって、たとえば幕張新都心内の道路や公園などに莫大な支出をするのは、愚の骨頂だ」

 いま県庁では、情実人事や腰掛け人事、ポスト遍歴優先が横行しており、県民のことや地域振興などはまったく念頭にない職員が幹部の大半を占めていると言われている。
 たとえば本庁の課長は、多くが1年で異動しつづけることもあり、課の仕事をよく知らなかったり、仕事に関心をもたない者が多い。たとえば、頻繁に行われている会議や打ち合わせ会のあいさつなどで、仕事に関連することを自分の頭で考えてしゃべれる課長は皆無に近いと言う。挨拶文などをすべて担当職員に書かせ、それを棒読みするだけなのである。こうした情実人事や腰掛け人事については不満も多い。職員から聞いた声を一部紹介する。

 「自分の担当している事業がまったく存在の意味がなくなったため、事業の廃止を提案したところ、“私が課長の時に廃止されたと言われたらまずい。事業はそのまま存続してくれ”と言われ、この課長の一言で存続が決まった。今は、次の行き先や出世、保身のことばかり考えて、とにかく問題を起こさずに過ごそうとする課長が多い」

 「10等級(給料表の最高等級)にまでのぼりつめて外郭団体に天下った幹部だが、課長の時、仕事の相談をしても、“俺は分からないから課長補佐に相談してくれ”と逃げ回っていた。また、課長が出席しなければならない会議でも、“俺はしゃべるのが苦手だから、主幹が代わりに出席してくれ”という具合で、ほとんどやる気がない。こうした人物がとんとん拍子で出世するんだから、今の人事はおかしい」

 「課長にひんぱんに酒飲みにつきあわされ、その支払いはすべて私が処理(公費流用)しなければならない。やりくりが大変だからもっと回数を減らしてもらえないかと、酒のいきおいで言ったところ、次の日に課長から総務課に話がいったらしく、総務課から“課長にはさからわないほうがよい”と注意された」

 「企業庁の乱脈経営ぶりは相当ひどく、たとえば千葉ニュータウンや房総臨海工業用水道などの事業は破産状態にある。しかし、幹部(トップは沼田知事)は誰も責任を感じておらず、また有効な対策を真剣に考えようとしていない。一方で、公費を使って飲み食いにあけくれている。真面目に働いたり、税金を払うのがばからしくなってくる」

 人事についていえば、県民生活向上や地域振興のためにどれくらい実績をあげたかなどはまったく評価されない。どのような職場やポストを渡り歩いたかという「職歴」や「ポスト遍歴」が大事で、さらに決定的に重要なのは人脈である。そのため、ゴマすりが横行する。

 また、知事や知事の側近に声をかけてもらったり接するために、あるいは子分をたくさんつくるためにさまざまな集まりがつくられており、ひんぱんに懇談会(宴会)が開かれている。たとえば、出身高校や出身大学の同窓会は数多くつくられている。また、職種ごとの親睦会や、各市町村や郡の居住者会、採用同期会、JR○○線通勤会、○○市出向者会なども無数につくられている。こうした集まりには、関係の県議や幹部OBも顧問などとして会に加わり、宴会などに出席している。こうした集まりの中には“裏の人事委員会”と言われているものもあり、こうした仲間に入って一生懸命にゴマをすったり、目立つ者が早く出世している。

 1985年1月6日付けの読売新聞(千葉版)は、県庁人事をとりあげ、「『彼が部長とはねえ』とOBがタメ息をついた例も聞く。さらに、自民党県議の後押しで、ぐんぐん出世した幹部もいる、との指摘もある」と書いているが、こうした情実人事は今も幅をきかしているのである。


◇ ◇

 以上、「官官接待」を中心として、県政運営の実態を少し書かせていただいた。
 現在、県自治体問題研究所などによって「県政白書」第6版の作成が進められていると聞く。なかなかむずかしい点もあるかと思うが、「官官接待」の横行などにみられる腐敗や、幹部の生態や発想、天下り、大企業や特定業者との癒着、監査委員の役割、県議会や報道機関に対する当局の対応、職員に対する締め付けなどの実態も調査し、できるだけ取りあげて欲しい。
 また、腐敗や乱脈運営がひどくなっている県政を民主化し、どのようにして県民の手にとりもどしていくかは、県民に課せられた大きな課題だと思われる。このことを強く願っている多くの県民や諸団体、知識人が協力しあい、70年代に東京都や大阪府、京都府などでみられたような「革新統一知事」が誕生することを切に望んでいる。

(1995年12月) 原田隆夫

 本稿は、千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第34号(1995年12月)に掲載されたものです。

2009年12月23日水曜日

1997年当時、闇に葬られた内部告発

 千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第35号(1997年4月)に掲載されたものを下記に記します。





千葉県庁における公費不正使用と官僚腐敗





1.内部告発が相次ぐ



 官庁における公費の不正使用や浪費、官官接待(公務員同士の飲み食い)、政財官の癒着、汚職などが全国的に問題になっている。千葉県庁も例外ではなく、最近は、知事選挙ともからみ、県職員からの内部告発が相次いでいる。
 まず、今年(1997年)の初め、「沼田知事の5選に反対し、情報公開を進める県職員の会」(以下、「県職員の会」という)という名の団体からマスコミなどに対して投書があった。
 「県職員の会」の代表者などは不明だが、投書の内容を要約すると次のとおりである。

《1997年1月6日付け投書》

 沼田知事の5選は県政の停滞、腐敗を招くという立場から、沼田5選に強く反対する。

 沼田県政を振り返ると、4期を迎えてから停滞と腐敗の兆候がいたるところに現れてきた。情実人事とことなかれ主義が県庁に横行し、県職員の多数は仕事にやる気を失っている。職員と知事の間には側近という厚い壁ができてしまい、我々職員の声は知事に伝わらず、一般県職員の間では知事は裸の王様と呼ばれている。

 県庁内で公費の乱用や使い込みが横行している。その手口は基本的には各県と同じで、各課の庶務主任が課長補佐と庶務係長の指示を受け、旅費、時間外、物件購入のカラ伝票を切り、裏金を作る。
 裏金の使いみちの第1は、課長個人のための完全な飲み食いで、もちろんタクシーの送り迎え付きである。
 第2は議会工作費である。多選を有利に運ぶため議会のまる抱えが知事周辺によって進められ、有力議員を接待したり、贈り物に使われている。
 第3は人事工作費である。情実人事が広く行われていることから、部長や知事側近の有力幹部、場合によっては知事自身を招いての接待が行われている。この第1から第3までの使いみちは、県庁幹部職員による県庁幹部職員のための接待であり、実際に職員が行っていない出張命令が作られ支出される。一般の県職員の旅費、時間外手当が不当に流用され、幹部職員の飲み食いに使われている。
 第4の使いみちは、現在の硬直化した予算、財政システムでは支出の困難な事務経費に使われるものである。計上した予算は1円残らず使い切らねばならないという非現実的なシステムを改善し、余った金は返す、必要な金は堂々と出すという当たり前のことができるようになれば、この使いみちはなくなる。

 以上のべた公費の乱用・腐敗は、知事の多選、議会政党のオール与党化のもとで、まさに鼻を突くほどのひどいものであり、おそらく秋田、福岡の例からいっても50億を楽に超える公費が乱用され、幹部職員の飲み食いに消えていることと思われる。これはもう立派な犯罪である。

 県政の主人公は県民であり、そのためには県行政にかかわる一切の情報は県民に開かれているべきだと考える。しかし、沼田執行部は都合の悪い情報は県民に隠そうと懸命である。我々は、今後、県民が正しく判断できるよう、沼田執行部がひた隠しにしてきた情報を県民に明らかにしてゆく。


《1997年2月3日付け投書》

 1997年1月下旬、会計検査院の検査で住宅課における事務費の不正使用が指摘され、おびただしいタクシーの不正使用が明らかになった。千葉県庁における公金の乱用(その実態は、知事側近幹部職員による私的飲み食い)は、住宅課だけではなくすべての課に及んでいる。公的機関の調査によって乱用の一端が明らかになった意義は大きいものがあり、後は記者の取り組みによって50億とも100億とも言われる千葉県における公金の不正使用の全貌をぜひ明らかにしていただきたい。

 議会中は各課で多数の職員が残業するが、これはほとんどすべて時間外手当が支給されていないサービス残業である。議会の期間中だけではなく、県職員のほとんどは時間外手当の申告はしていないのが実情で、職員が申告しない理由は、申告しても申告に基づいて手当が支給されないからである。申告すると上司にうるさいやつだとにらまれる。

 年度末は、各課の庶務は毎日残業である。不用額を1円も出してはいけないからである。予算はすべて使い切らねばならない、これが役所の常識で、無駄づかいという言葉は役所にはない。カラ伝票を操作しても帳じりを合わせる、これが庶務担当者の仕事になる。必要な経費が予算化されていないため、庶務担当者はカラ伝票の操作を余儀なくされる。硬直化した会計、予算システムのなかでカラ伝票を操作することに職員がおかしいと思わなくなること、抵抗がなくなること、これが一番の問題である。全国の自治体で吹き出している公金の不正使用の温床は実態に合わない会計、予算システムのなかにある。

 千葉県の場合、更に深刻なことは、各課の課長が幹部職員の私的飲み食いに充てるため積極的に裏金作りを部下に指示しており、これが広く慣行化していることである。どこの課でも、庶務がカラ伝票を作成し物品を購入したことにして、職員に旅費を支給したことにして、裏会計に回し、幹部職員の飲み食いに使っている。大量のタクシーチケットが幹部職員の夜の飲み食いに使用されている。

 どうしてこんなことになったのかというと、沼田政権が長期化し、側近が固定化し、人事が停滞していることと、議会のオール与党化が進み、県庁内に良い意味の緊張感がないことがこれらの腐敗を生んでいる。我々が沼田知事の5選に反対する理由はここにある。沼田知事とその側近にはこの腐敗を根絶することは不可能である。

 記者に要望したいことは、記者クラブを出て自分の足と頭でぜひ取材をして真実に迫って頂きたいということである。広報課から提供される記事は、当局の手によってあらかじめ問題点が削除され隠されたものであり、このような毒にも薬にもならない記事を読者である県民は喜ばない。
 もともと、国政と比べて地方の首長の権限は強大であり、しかも千葉県のように知事の任期が長期化すると、議会の翼賛化が進むので、権力の専横、腐敗をチェックする最後の砦は県民の目となり耳となるマスコミ以外にはない。
 沼田知事は、記者が直接、一般職員と接触し、真実を県民に報道することを心底から恐れている。そのため、記者に聞かれても、各課の課長補佐が対応し、直接職員が答えることは禁止されている。記者ひとりひとりの勇気と努力を期待する。

 ここに書かれている公費の乱用や使い込みは、すべて事実である。筆者も本誌前号に投稿し、県庁における公費私物化などの実態を書いたが(「『官官接待』に思う」、『ちば・地域とくらし』第34号、1995年12月)、投書が相次いでいることで、県庁内部の公費乱用や情実人事、官僚腐敗がいかにひどいものであるかがわかるであろう。




2.公費の乱用と私物化の実態



 さて、公費の乱用・私物化の実態について少し付け加えると、問題のひとつは、“予算さえ獲得すれば、あとはそれをどう使おうがかまわない”、あるいは「県職員の会」が指摘しているように、「計上した予算は1円残らず使い切らねばならない」という財政システムにある。

 毎年、夏から秋にかけて、各課で次年度の予算要求を作成し、財政課の査定を受ける。最終的に査定結果をつみあげたものが県の予算案となり、2月県議会に提案される。
 この場合、議会承認後に各課に配分された予算は、事業ごと、科目ごとに金額が細かく決まっている。しかし、実際には、各課がこれらの予算を事業ごと科目ごとに厳密に使っているわけではない。たとえば、「○○○事業費」という場合、内訳は、賃金、旅費、委託費、需用費(消耗品費、食糧費、印刷製本費)など、それぞれの科目ごとに金額が決まっている。

 しかし、たとえば業者に発注する委託費や印刷製本費をみた場合、予算額は特定の業者に見積書を出させたりして作成したものであるが、実際の事業実施段階では、複数業者による入札を行ったり、随意契約の場合でも、複数の業者から見積書をださせたりして、金額や内容によって業者を決定する場合が多い。したがって、実際には、業者への発注費は予算額よりも少なくなるケースが少なくない。

 この場合、本来は予算補正によって余った金を返すべきなのだが、そうすると次年度の予算確保がむずかしくなるということもあり、普通は返すことをしない。つまり、余った金は他に「流用」し、1円も残さず使い切ってしまうのである。(「流用」というのは役所用語であり、実態をみると公金横領というべきものが多い)。この「流用」はほとんどすべての課で日常茶飯事的に行われているもので、裏金づくりや幹部の飲み食いのなどにあてられている。

 「流用」の一般的な源泉は、職員の旅費である。じっさいには出張しないのに、課内の職員が何回も出張したように書類を作り、この分を幹部の飲み食い費などにあてるのである。つまり、全国的に問題になっている「カラ出張」である。
 また、カラ出張分をすべて幹部がつかうと不満がでたりすることから、その一部を“口止め料”としてすべての職員に分配している職場もある。ちなみに、旅費が「流用」しやすいのは、旅費が現金化しやすいことと、税金がかからないためである。

 消耗品費や印刷製本費、食糧費なども幹部の飲み食いや官官接待、「県県接待」(県庁内部の接待)として「流用」されており、伝票などの偽造が日常的におこなわれている。コピー用紙などの消耗品を購入したように書類をつくり、実際は飲み食い費につかったり、ビール券やパソコンなどを購入する。あるいは、刊行物発行の名目で印刷製本費の予算を確保しておき、実際には刊行物は発行せず、裏金に回すなどということが、ほとんどの課で行われている。

 時間外手当のピンハネもひどいものがある。この点については、「県職員の会」が投書の中で、職員が残業しても時間外手当が十分に支払われず、この未払い分が幹部の飲み食いなどに使われていることを訴えている。
このように時間外労働をさせておきながら、時間外手当をきちんと支払わない、しかも未払い分を幹部の飲み食いなどにあてるというのは、労働基準法違反であり、ピンハネである。まさに、「オール与党」に支えられ、腐敗化した知事側近幹部に牛耳られた県政のもとで、搾取(ピンハネ)や公費の私物化が半ば公然と日常的に行われているのである。

 県費を「流用」し、幹部の飲み食いにあてるという点で見逃せないのは、「馴染みの店」(料亭、スナック)の存在である。ほとんどの課がこれをもっており、そこで飲み食いした代金をツケにして、課に請求書を送らせる。課の庶務主任は、上司の指示を受け、裏金を捻出してこの店に支払う。幹部が連日のように「馴染みの店」に入り浸り、そのツケをすべて公費で支払っている課もある。

 現在は、財政事情の悪化によって経費節減が進められており、「流用」の源泉となっている旅費などが削減されているので、全体的には飲み食いの回数などは数年前と比べれば減っている。
 しかし、公費による飲み食いそのものは相変わらず続いており、また、タクシーチケットの私的使用は相変わらず激しい。本庁についていえば、「馴染みの店」や会館、タクシー会社などから請求書が届けられ、ほとんどの課で庶務担当がその対応(つまり、書類改ざん)に頭を悩ましている。料亭やタクシー会社から次々と請求書が届けられてくるために、当該年度で支払いできず、借金が次年度に繰り越され、過年度分の支払いややりくりに追われている課も多い。こうした書類改ざんや過年度分飲食費の捻出などで連日残業や休日出勤を強いられている担当者も多く、国の会計検査がある時は徹夜状態が何日も続くという課も少なくない。

 タクシーチケットについて一言ふれると、県庁の幹部は飲み食いの後、必ずといってよいほどタクシーチケットを利用している。
 この点について「県職員の会」は、「県庁御用達」となっている富士タクシーの運転手を取材するように記者に勧めている。
 しかし、以前、「県庁御用達」となっていたKタクシーの運転手が私的利用のひどい実態を告発したため、Kタクシーは「御用達」をはずされた。したがって、富士タクシーの運転手については、きびしいかんこう令がしかれている。

 ところで、本来は、監査委員がこうしたことを厳しくチェックしなければならないのだが、よく知られているように、監査委員は知事の任命であり、県職員OBなどで構成されているので、チェックする気はさらさらない。
 また、監査委員の監査を手助けする監査委員事務局の職員も一般の県職員であり、2、3年後には監査される立場に回るため、不正「流用」などが分かっていても、見てみぬふりをしている。

 年に1回、各職場で監査が行われるが、監査担当者は、形式的に書類を眺めるだけで、裏金作りを摘発したりはけっしてしない。
 ただ、何も指摘しないとメンツがたたないので、どうでもいいような些細な問題や初歩的なミスを指摘して、それで一件落着というのが、おきまりの監査となっている。ちなみに、かつて、監査委員事務局の職員がある職場の監査を厳しくおこなったところ、この職員は左遷された。




3.腐敗官僚に支配された県政



「県職員の会」は投書の中で、知事側近幹部が支配する県庁内で、腐敗や情実人事、ことなかれ主義が横行し、多数の県職員が仕事にやる気を失っていると書いているが、これも事実である。

 まず腐敗についていえば、先に述べたような公費の不正使用や裏金づくりを最大限に享受しているのは知事側近幹部である。おそらく、部長級で年間数百万円をくだらないような金額(公費)を私的に使用していると思われる。私が知っている幹部(本庁の課長級)は、ほとんど毎日のように、公費をつかって飲み食い(市町村、関連団体などによる接待の場合もある)をしており、帰りは必ずといってよいほどタクシーチケットを使用している。

 県庁では、こうした幹部の飲み食い費用などを捻出するために上手に「流用」する職員が早く出世する。本課でいえば、庶務係が支出や裏金作りを担当しているが、庶務係長は他の係長よりも格が上として位置づけられている。
 県民サービスの向上に精を出す者よりも、伝票などをうまく作り替え、裏金の捻出で幹部の私的飲み食いなどに貢献した者が早く出世するのである。
 したがって、人事においては、県民サービスや県民生活の向上、地域振興などのために一生懸命やっていることはほとんど評価されない。
 裏金づくりをどれだけ上手にやったか、あるいは知事側近幹部の私的飲み食いなどにどれだけを尽くしたかということが重要な要素となるのである。

 さらに、人事において決定的に重要なのは人脈である。そのため、ゴマすりが横行する。知事や知事の側近に声をかけてもらったり接するために、あるいは自分の手足となって動いてくれる子分をたくさんつくるために、さまざまな集まり(グループ)がつくられており、ひんぱんに懇談会(宴会)が開かれている。
 たとえば、出身高校や出身大学の県庁同窓会が数多くつくられている。また、職種ごとの親睦会や、各市町村や郡の居住者会、採用同期会、JR○○線通勤会、○○市出向者会なども無数につくられている。
 こうした集まりには、関係の県議や幹部OBも顧問などとして会に加わり、宴会などに出席している。また、知事側近が中心となった集まりには、知事も招待されている。
 仕事の面ではあまり能力のない者でも、こうした集まりをつうじて知事側近や自民党県議とつきあいができれば、とんとん拍子で出世することも十分に可能である。また、「自民党県議に100万円貢いで課長にしてもらった」という職員もいるくらいである。

 こうした点については、ある県職員は「明るい民主県政をつくる会」への投書で次のように書いている。

 「長期政権における県議会議員と県執行部との関係を、先日、紹介させていただいたが、今回は、長期政権なるがゆえの県職員人事のマイナス効果を紹介し、その中で生まれた天下りの現状・企業との癒着について説明させていただく。人事については、事務系と技術系に分けて検討され、事務系では佐原グループ(佐原高校卒業者中心)、長生グループ(長生高校卒業者中心)、千葉高グループなど数グループに分かれてそれぞれにポストがおり、その人物を中心とする人間関係で人事上のポスト争いが続いており、それらのグループに所属していない者は、仕事上優秀でなかなか重要なポストにつけない。その反対に、いずれかのグループに所属しておれば、それなりに重要なポストにつくことが可能である。技術系については、日本大学、千葉大学が特に目立っており、日本大学の県庁同窓会には知事(東京大学卒)を招待し、集団でゴマをすっている。もちろん長期政権なるがゆえにその効果も著しく、土木部や都市部では日大卒が多くの重要ポストを占めている。この様に、県庁職員の間では、事務系技術系をとわず知事及び一部幹部に対するゴマすり出世競争が激化しており、今や、『県民中心の行政』などほど遠い。ポスト争い、縄張り争いが多くの県庁職員の最も重要な関心ごとである。しかしながらまじめに県民のために一生懸命仕事をしている者も少しはいる」

 ちなみに、1985年1月6日付けの読売新聞(千葉版)は、県庁人事をとりあげ、「『彼が部長とはねえ』とOBがタメ息をついた例も聞く。さらに、自民党県議の後押しで、ぐんぐん出世した幹部もいる、との指摘もある」と書いているが、こうした情実人事は今も幅をきかしているのである。

 このように腐敗した人事のもとでは、職員がやる気をなくすのは当然のなりゆきであろう。県職労が全職員を対象に実施した「仕事と職場のアンケート」(前出)では、「今の仕事や職場で、喜び、やりがいを感じますか?」という問いに対して、23.8%(761人)の職員が「ほとんどない」と答えている(図3)。職種別にみると、事務職では、「ほとんどない」は33.7%(321人)にもおよんでいる。


4.壮大な無駄遣いを続行



 (省略)

5.緊急課題となっている情報公開



 内部告発が相次いでいることにみられるように、沼田県政に不満をいだいている県職員は数多い。今回の知事選挙でも、多くの県職員が知事の交替を望んでいた。
 しかし、結果的に沼田知事の5選が決まったいま、県政を民主化する方策のひとつは情報公開となっている。この点では、オンブズマンの活動がおおいに期待される。

 評論家の佐高信氏は、情報公開について、「公開しないのは、公開できるほどの仕事をしていないからだ。ソバの手打ちをガラス張りで見せるのがあるが、あれが情報公開だ。打っている場面を見られていれば、手抜きできない。自分のソバに自信があるなら、堂々と打つところを見せればいい」(千葉日報、1997年1月18日)と述べているが、まったく同感である。
 ガラス張りになれば、公費の私物化や無駄遣いがしにくくなる。また、公務員にとっても、やりがいが大いに生まれるのではないかと思っている。

 公費乱用や県民に背を向けた県政運営に対して、心を痛めたり、なんとかならないかと思っている県職員は数多い。次に紹介するのは、県職労青年部が昨年1月に実施した青年対象のアンケートに対して、ある職員から寄せられた一文である。

 「今、千葉県職員として第一に疑問を抱き叫ぶべきことは、露骨な政治的介入、組織の面子至上主義、ことなかれ主義、職員の低い士気等々により、まともに行政機関としての法の正義も公共の福祉も貫徹されていないことである。これについては具体例や理論上の説明は不要であろう。(中略)少しでも職場に根を張り現場の問題を考えているのならば、出先の職員は将来を悲観し無為に日々を過ごし公僕としての誇りを捨てていること、本課では議会やプレスに対する対外的なポーズを作ることに病的なまでに固執し、やはり公僕の理念を捨てていることなどがすぐに見えてくるはずである。行政の本質がまったく無視されたこうした現状を黙殺したままでは県民の支持協力は得られるわけはなく、全市民階級、勤労階級的な結束は無理であり、上部団体の運動だけ頑張ってそれでナショナルセンタ-としての機能をなしているといっても何の説得力もないであろう。この腐った県行政に対し疑問や怒りを感じている不満分子は特に若い女性を中心に意外と多く、これらの勢力をうまく結集できれば組織の勢力は質的にも強化されるのではないか。(中略)長々と偉そうなことを述べてきたが、そういう自分は何か行動を起こしているのかといえば何も考えてさえもいない。何よりあきらめの気持ちが先に立ち、完全なペシミズムに陥っている。この先どうしてよいかわからず、将来に対してどうにもならない不安と絶望を感じているだけである。ただ実際の活動家たる皆さんに訴えるよい機会であり、こういう考えを持っている人間がたくさんいるということを知ってほしかった次第である」

 ここに書かれているように、腐敗した県政運営や人事のもとで、数多くのまじめな職員がやる気をなくしたり、不安や苦悩をいだいている。
 こうした実態をより多くの方々に知っていただきたいと思い、長々と書かせていただいた。

 最後に、数的には多数を占めている真面目な職員と、労働組合や県民が力を合わせ、県政が県民本位に転換することを切に望んでいる。


(1997年4月)著者 原田隆夫

 本稿は、千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第35号(1997年4月)に掲載されたものです。

2009年12月22日火曜日

森田健作知事は12月18日、
  千葉県職員による巨額不正経理問題で、
   県当局が進めていた不正経理の
      追加調査結果を発表した。

 ここ数日のマスコミ報道を下記に記します。 
 次回は、90年代の内部告発について報道します。



千葉 13年前の内部告発黙殺
   県不正経理「うみを出していれば」


 総額36億円を超える不正経理が明らかになり、2200人余りの処分者を出した千葉県。調査中、約13年前の内部告発が黙殺されていた事実が明るみに出た。「あの時にうみを出し切れていたなら…」。県幹部は悔しさをにじませた。
 「公費の乱用、使い込みの手口は各県と同じ。旅費、時間外、物件購入のカラ伝票を切り、裏金をつくります」
 11月下旬。不正経理を調べる県議会の特別委員会で、1997年初めに内部告発する文書が県に寄せられたことが明らかにされた。告発人が匿名だったことを理由に県は調査を見送っていた。不正が漫然と放置され続けたことに、委員たちは言葉を失った。
 調査は県庁の全部署で行われた。「『差し替え』したことを覚えているか」。同時期、副課長の一人が部下の経理担当者を呼び出し、県の伝票と業者の帳簿との食い違いを問いただした。1件でも“自白”すれば、担当者だけでなく、決裁した課長、副課長も処分する徹底ぶりだった。
 不正とみなされたら、管理職は自ら判を押していない「代理決裁」でも処分対象に。幹部の一人は「『疑わしきも罰する』雰囲気だ」と漏らす。
 別の幹部は振り返る。「かつて官官接待が問題になったが、県は『ない』と言って終わらせてしまった。それが今回の遠因だ」

    ────千葉日報12/19────




千葉 戒告で昇進見送りも
   OB次第で現役に負担増
     堂本前知事は1000万円返還


 「家のローンは当然影響が出る。借金するしかない」。自ら不正にかかわったわけではないだけに、男性副課長はいらだった。男性部長も「戒告とは職員に冷たいと思ったが、管理者としてはしょうがない」と肩を落とした。
 今回の不祥事を受けて県は2003年度から08年度まで課長級以上の職員391人を組織責任があるとして、公金に手を付け手土産代や懇談会などに充てた“実行犯”ら職員44人と同じ戒告処分とした。県総務課によると、戒告処分となると、その年の昇給は4分の3ほどに、ボーナスも部長級で約20万円、課長級で約10万円減る。昇進も見送られるケースもある。
 さらに総額約9億円の返還金については、仮称職員返還会を設置。個人や各所属で行われた不正の返還額を除く8億2700万円については業者からのプール金(4億1800万円)が返還されないと、現職・元職の職員が全額負担する。現役職員は計3億7800万円を来年度末までに返還。OBには最大計4億4900万円を12年度末までに返還を求めるという。
 ただ、プール金はすでに5600万円が返済不能と見込まれ2億1600万円も交渉中。OBが返済を拒んだ分については、11年4月から、その時点のポストに応じて毎月給与が天引き(部長級1万2500円、次長級1万円、課長級7500円、主幹級2500円)されるポストリレー方式を導入した。
 総務課は「ポストリレーは5年程度にしたいが、OBや業者の返還状況により長くなる」と説明。男性部長は「ポストリレーでOBさんが返してくれないと、現役世代は戒告と返済のダブルパンチで苦しむ」とOBに返還を懇願する。
 小宮大一郎総務部長は、堂本暁子前知事は1千万円の返還金について応諾していると説明。元部長の一人も「(不正経理は)知らなかったが『払ってくれ』と言われれば払う」としつつ、「職員の倫理観が緩んだ面は否めないが“差し替え”などの不正経理の手口は現行の会計制度ではまた起こるのでは」と警鐘を鳴らした。

    ────千葉日報12/19────




千葉 不正経理2245人処分
  県職員9億円返還へ
      追加調査で新たに7億円


 県職員による巨額不正経理問題で、森田健作知事は18日、県当局が進めていた不正経理の追加調査結果を発表し、2008年度までの6年間で、新たに計約7億円の不正経理が見つかり、不正総額は約36億6千万円に膨らんだことを明らかにした。また一般職員や県立学校職員ら計2245人を大量処分するとともに、県の損害金を約9億円と推計し、OBを含む職員に全額を返還させる方針を決定したと発表した。
 追加調査の結果、08年度の需用費(消耗品など)で3億1千万円分の不正経理が判明。また需用費以外では、業務委託料や金券類(有料道路回数券など)で6千万円分、14課が保有していた預金通帳(20冊分)の5千万円分の入金の経緯が不透明として不正と認定した。
 また県立学校159校のの需用費(03~08年度分)を調べたところ、高校104校と特別支援学校22校の計126校で、計2億7千万円の不正経理が見つかった。
 不正経理による処分対象者は本庁で計1783人に上り、課長級以上の幹部職員全員を監督責任などを理由に処分した。処分者の内訳は部長級35人、次長級135人、課長級269人、主査級289人、副主査級以下1055人。このうち戒告などの懲戒処分は445人に上り、私的流用など極めて悪質だった4人(逮捕者1人を含む)を懲戒免職としたほか、1人を6カ月の停職とした。
 森田知事は減給10分の3-3カ月、副知事や教育長などその他の特別職は10分の1-1カ月を減給または自主返納とする処分とした。
 県立学校の処分は、校長107人、事務長127人、経理担当者228人の計462人を数えた。
 記者会見前に開かれた同日の県議会全員協議会で、追加調査結果を報告した森田知事は「コンプライアンス(法令順守)意識の欠如に加え、県庁全体で長年の慣習や前例踏襲によって、組織的に不正経理が行われていたことがあらためて明らかになった。こうした実態とともに、度重なる職員の逮捕について重ねて県民の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。

    ────千葉日報12/19────




2245人処分 「膿出し切る」
    県不正経理総額36億に


 県の不正経理の総額は36億6100万円に膨れ上がり、この問題では全国最大規模の2245人の職員を処分する事態に発展した。県庁への信頼を大きく揺るがした前代未聞の不祥事。県は追加調査の結果、職員4人を業務上横領などの容疑で告訴するなどしたが、「膿(うみ)を出し切る」(森田知事)までには、まだ解明すべき点が残されている。
 「県庁職員が一丸となって、頑張って仕事をする。そして県民の皆様の信頼を取り戻す」。森田知事は18日の記者会見で改めて陳謝し、9月9日の会見に引き続き頭を下げた。
 従来の調査は、2007年度まで5年間の事務用品費などの「需用費」を対象としていたが、今回は同期間の旅費、賃金、業務委託料などの抽出調査を追加し、08年度分の各費目も対象とした。また、県立学校についても、08年度まで6年間の経理を調べた。
 その結果、08年度分の需用費は396部署のうち、305部署で3億1200万円の不正が発覚。業務委託料については、年度内に納入したと偽る「翌年度納入」の手口による5600万円の不正が判明した。また、預金通帳を用意して不正に現金を管理していたケースが14の課や出先事務所であり、通帳20冊分、総額5200万円だった。カラ出張、カラ雇用による裏金は確認されなかった。
 一方、県立学校は159校のうち、104の高校と22の特別支援学校で「翌年度納入」「預け」などの手口による総額2億7200万円の不正が明らかになった。業者に預けた「プール金」は253万円あったが、業務以外の用途に使った悪質事例はなかったという。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉県 4人懲戒免 私的流用も

 
 一連の不正経理問題で処分対象の職員は知事部局など1783人(うち懲戒処分は445人)、県立学校462人。一度にこれだけ大規模の処分者が出るのは、県政史上初めてだ。
 懲戒免職となったのは、環境政策課の高橋義詔副主幹(46)(業務上横領罪で起訴)、山武農林振興センターの藤下義巳副主幹(49)、知事室の稲田隆司副主査(37)、健康福祉政策課の砂生正晴主査(44)の4人。
 県の発表によると、高橋被告を除く3人は、過去に所属した部署で経理を扱う立場におり、不正にかかわった。
 業者に納品させたプラズマテレビなど二十数点(約400万円相当)の電化製品を自宅に持ち帰ったり、150万円分の図書カードを着服したりするなどしていた。3人は私的流用を認めているという。
 別の職員1人も、業者から納入させた商品券などを現金化し、数百万円の使途不明金に関与しているとしたが、この職員は「(現金化した金は)組織運営に充てた」とし、私的流用を否定しているという。
 県は、これら4人を18日付で業務上横領などの容疑で県警に告訴した。私的流用を否定する1人については、県警の判断を待って行政処分を検討する。
 特別職の処分では、減給10分の3(3か月)とした森田知事のほか、2人の副知事が減給10分の1(1か月)、教育長、公営企業管理者、代表監査委員は給料の10分の1を1か月分自主返納するとした。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉 損害9億 管理職に返還要求へ


 不正経理による県の損害額について、県は9億500万円と算定し、不正経理が判明した08年度までの6年間に在職した管理職(退職者を含む)から返還を求める。18日、職員返還会(代表・石渡哲彦副知事)を設置し、2011年3月末までの返還を目指す。
 1000万円を負担する堂本暁子前知事を含め、対象者は3576人。副知事経験者には300万円、出納長経験者には250万円の負担を求める。その他の負担額は部長級90万円、次長級70万円、課長級50万円、副課長・主幹級12万円。
 一方、県立学校の返還額については1400万円と算定。県と同様に08年度までの6年間で退職者を含む校長、教頭、事務長経験者計925人から返還を求める。返還額は校長2万円、教頭と事務長は1万6000円。
 18日現在、業者の口座にプールされた裏金は40業者に計4億1700万円残っている。県は返還を求めて交渉を始めている。このうち、31業者(計1億4600万円)については返還に前向きで、7業者(計2億1600万円)は交渉中。残る2業者(計5600万円)は、業者が既に倒産などしており、返還は不可能と判断した。この分は県職員で穴埋めする。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉 全容解明へ調査に余地


 県の不正経理の追加調査は、調査対象を広げるなどしたものの、不正の全容を解明するという点では不十分と言わざるを得ない。
 2000人を超える処分者を出し、沈痛な面持ちで頭を下げる森田知事ら(県庁で)記者会見で佐藤忠信行政改革監は、「『上司から指示されて伝票をやむを得ず書いた』という経理担当者もいる」と明らかにした。これまで県は上司の関与について言及していなかった。組織的に不正が行われていた実態を示す重要な証言だが、佐藤行革監は「それがすべて実態を反映するのかはわからない」と言葉を濁した。
 また、2002年度以前の経理に関して、小宮大一郎総務部長は「資料が残っていない」として、調査に消極的だ。不正経理は「長年の慣行」とされるが、いつ頃から始まったのか、職員から具体的な証言は得られていないという。
 県議会の不正経理調査特別委員会では、委員から「印刷・製本費」も不正の温床になりやすいとの指摘があり、県は「調査する」と約束している。まだ調べるべき費目は残っている。「膿を全部出す」。森田知事が再三繰り返し、18日も改めて強調した県民との重い約束。トップの責任でしっかり果たしてほしい。

   ────堀合英峰 2009年12月19日 読売新聞────




千葉 県民の信頼 回復なるか
    不正経理問題追加調査結果


 「県民の信頼を取り戻すため一生懸命やります」-。不正経理問題の追加調査結果と、懲戒免職四人を含む二千人超の職員の処分を発表した十八日の記者会見で、森田健作知事はこう述べ、深く頭を下げた。内部調査は区切りを迎え、職員らによる損害額の返還作業に入るが、県民の信頼を取り戻せるかは不透明だ。 (小川直人、小林孝一郎)
 調査結果について、森田知事は記者会見で「捜査権限のない中で外部委員会にも奮闘してもらい、現時点においては一生懸命できた」と評価した。
 二千人以上に及んだ職員の処分については、「(処分が)きついという意見もあったが、不況による倒産や賃金カットなど世間は甘くはない」などと述べた。
 県民の信頼回復に向けて、「生まれ変わってやるんだという気持ち。職員にもそういう気持ちを持ってもらった。頑張って仕事をするということだ」と力を込めた。
 一方、県の損害額として堂本暁子元知事に一千万円の返還を求めることについて、県総務部は「事前に(本人に)話をしている。支払っていただけると理解している」とした。
 記者会見に先立ち、県は県議会の全員協議会で追加の調査結果などを報告した。この日は質疑は行われず、十二月定例会最終日の二十二日に、各会派が緊急質問を行う。

◆職員返還金9億2000万円
 私的流用や使途不明などで県に損害を与えたとして、職員らが県に返還する額は、九月発表時の約七億円から約九億二千万円に増えた。二〇〇三~〇八年度に管理職(主幹級以上)だった現職約二千三百人、退職者約二千二百人が、一〇年度末までに返還する予定だ。
 それぞれの返還額は、堂本暁子前知事が一千万円、前副知事三人が各三百万円、元出納長が二百五十万円。以下、現職、退職者を問わず部長級が九十万円、次長級が七十万円、課長級が五十万円、副課長・主幹級が十二万円を負担する。
 返還の対象となった不正経理は、私的流用や使途不明に加え、▽伝票と異なる内容で納入させ、業務に使用したが、現物を確認できない物品▽公金を支出するべきでなかった物品-など。デジタルカメラや電子レンジ、加湿器などが不正経理処理で納入されていた。
 架空伝票を使って業者に公金をプールする「預け」という手口によって、現在も約四億二千万円が業者にプールされている。うち約六千万円は業者の倒産などで回収不能のため、職員らの返還額に算入された。東京12/21




千葉 不正経理問題 追加調査の詳細


 新たに約六億九千万円の不正経理が明らかになった今回の追加調査。県は、九月に発表した内部調査の対象外だった時期や費目について詳細に調べた。
 二〇〇八年度の知事部局の消耗品費などでは約三億一千万円の不正経理が判明。納品された物品のほとんどは業務に使われたが、伝票の内容と異なる物品を納入させるなどの不正経理が行われた。
 〇三~〇八年度の調査委託業務では、支払いの翌年度に成果を受け取る不正経理が約六千万円あった。〇三~〇八年度に県庁内で保管されていた預金通帳二十冊には、出所不明の入金が約五千万円あり、すべてを不正経理とみなした。
 県立学校の調査では〇三~〇八年度に、百五十九校のうち百二十六校で約二億七千万円の不正経理が判明。納品された物品はすべて業務に使われたが、支払いの前年度や翌年度に納入させるなどの不正経理があった。 一方、県警は調査が終わっていないとして発表しなかった。

    ────東京12/21────




千葉 職員4人を告訴
    プール金私的流用 電化製品4百万円


 不正経理の追加調査結果を受け県は18日、山武農林振興センターの藤下義巳副主幹(49)、知事室の稲田隆司副主査(37)、健康福祉政策課の砂生正晴主査(44)ら県職員4人を業務上横領容疑などで県警に刑事告訴した。
 総務課によると、藤下副主査はプラズマテレビやDVDなど400万円相当、稲田副主査はファクシミリなど42万円相当の電化製品を、プール金を使って業者に納品させ、自宅に持ち帰るなどしたとされる。また砂生主査は、プール金で計250万円相当の図書カードを納品させるなどし、公金の私的流用の疑いがもたれている。3人はいずれも同日付で懲戒免職処分となっている。
 また、公金を使い業者に納品させた商品券を現金化した数百万円が使途不明になっているとして、職員1人を告訴した。

    ────千葉日報12/21────

2009年12月19日土曜日

不正経理に関わった計2245人を処分し、
       約9億円の返還を求める

 処分の全容を添付しました。
(下のリンクで見てください。77頁)
http://www7a.biglobe.ne.jp/peace9/houkokusho.pdf
 


 千葉県議会で全員協議会が12月18日、開かれました。
 そこで、不正経理問題に対する処分の全容が報告されました。
 県は一般職員や県立学校の職員ら計2245人を処分し、約9億円の返還を求めることを明らかにしました。
 また、3人を業務上横領容疑などで刑事告訴し、この3人を含む計4人を懲戒免職としました。



千葉県30億円不正経理、2245人処分 懲戒免職4人


 千葉県で総額約30億円の不正経理が見つかった問題で、県は18日、追加調査分も含めて2003~08年度(一部09年度も含む)に不正経理に関係した担当者や管理監督者ら2245人の処分を発表した。このうち私的流用などケースが悪質だった職員4人は同日付で懲戒免職処分とした。森田健作知事自らも減給処分となった。また、県職員などに約9億円の返還金を求め、堂本暁子前知事にも1千万円を請求する。
 県によると、追加調査で各部署で新たに確認された不適正な経理処理は約4億2千万円。このほか、県立学校でも約2億7千万円の不正経理があり、追加調査では計6億9千万円の不正が新たに判明した。
 県では9月、03~07年度の5年間に事務機器購入などにあてた消耗品費64億8700万円のうち、29億7900万円で不正が判明した。その後、(1)08年度分の消耗品費(2)03~08年度で、会計検査院の調査対象となった農林水産部と県土整備部以外の部署の旅費やアルバイト賃金、委託料などの抽出分(3)03年度~09年11月半ばごろに購入した高速道路回数券やハイウェイカード――などを追加調査した。
 架空の物品発注で県から公金をだまし取ったとして元県職員が詐欺容疑で逮捕・起訴されたことをきっかけに、多額の不正経理が発覚した。朝日12/18



千葉県不正経理で県職員ら2245人処分、告訴4人に


 不正経理問題で、千葉県議会の全員協議会で謝罪する森田健作知事=18日午後、千葉県庁 千葉県庁で発覚した30億円に上る不正経理問題で、県は18日、不正経理総額が平成15年度から20年度までの累計で32億8千万円に上ることを明らかにした。また、私的流用が疑われる4人の県職員を、業務上横領容疑で千葉地検に告訴した。このほか4人を懲戒免職処分にするとともに、歴代管理監督者を減給処分とするなど、県職員の処分者は計1783人、うち懲戒処分者は445人となった。また、県立学校の職員ら462人も処分し、対象者は全体で計2245人にのぼった。県は約9億円の返還を求めるとしている。
 堂本暁子前知事についても管理監督責任を問い、1000万円の返還を求める。森田健作知事自身も10分の3(3カ月)の減給処分とした。
 県庁での不祥事による処分をめぐっては、過去には懲戒処分約千人を含む約4400人の処分者を出した岐阜県庁の裏金事件などがある。産経12/18



千葉県、職員2245人を処分
    3人告訴、不正経理総額32億円


 千葉県で明るみに出た不正経理問題で、県議会の全員協議会が18日開かれ、県は一般職員や県立学校の職員ら計2245人を処分し、約9億円の返還を求めることを明らかにした。3人を業務上横領容疑などで刑事告訴し、この3人を含む計4人を懲戒免職とした。
 また、新たに約3億円の不正経理が見つかり、不正経理の総額は32億8千万円となった。森田健作知事も減給10分の3、3カ月の処分。
 森田知事は「こうした不正経理の実態とともに、度重なる職員の逮捕について重ねて県民の皆さんに深くおわび申し上げる」と述べた。
 県は9月、内部調査結果を公表。偽の支払伝票を作成して事務用品の架空発注を繰り返す「預け」や、契約したものとは違う物品を納入させる「差し替え」などの手口で、2007年度までの5年間に約30億円の不正経理が判明。うち約7億円を県への損害と認定していた。

   ────千葉日報12/18────

2009年12月18日金曜日

不正経理に対する隠ぺい体質を改め、
  全容解明、再発防止、幹部責任を明確にせよ 

 千葉県庁の不正経理の処分が12月18日に発表されます。
 県庁の不正経理は県警を含む全部局で組織的・継続的に行われてきました。
 1997年の内部告発を共産党県議が取り上げ、県議会で追及したにもかかわらず、当時の知事は闇に葬り去りました。
 このような隠ぺい体質や物言わぬ公務員づくりが、不正経理につながりました。
 当然、幹部責任が鋭く問われます。
 「トカゲのしっぽ切り」ではすまされません。

 “小松実県議は、私的流用以外の不正経理は、担当者が勝手にできるものではなく、別の物品を納入させたり、夜食代として使ったりなどというのは、管理監督者の指示、あるいは承認のもとに行われたものだと指摘、当然、指示を出したものにより重い責任があるし、重い処分であってしかるべき、と県議会で迫りました。
 また、「公金の支出として不適当」とされ、職員に全額返金を求めている場合でも、管理監督者への処分が「文書訓告」のみというのでは、県民の理解は得られない、と指摘しました。
 答弁に立った小宮大一郎総務部長は、「ご指摘はその通り」とした上で、「報告書」で示した職員処分の基準については、変更がありうること、管理監督者への処分についても、「指摘を踏まえて検討する」と約束しました。”


 岩手県では県警の不正経理で歴代部長4人が処分されました。
 また、福井県では不正経理で職員1330人が処分、管理監督者ら340人には戒告処分が行われました。

 私たちは、知事の疑惑と県庁の不正経理について、全容解明、再発防止、責任の明確化を求めます。

2009年12月17日木曜日

「金権日本一」を一掃しよう

 「このままでは『年が越せない』という、深刻な事態が昨年以上に広がっています。
 失業者への緊急支援をおこなうなど、緊急対策が求められています。
 私たちはこの間、千葉県などに「公設派遣村」をつくれ!などの要求をしてきました。
 千葉では千葉労連や市民団体などで実行委員会をつくり、千葉市と東葛で「派遣村」を12月24日に行います。

 そのさなかに、千葉県庁に知事疑惑と不正経理の激震が走っています。

 3月の千葉知事選で「自民党支部長」を隠し、「完全無所属」をうたったのは公選法違反に当たるとして、「森田健作を告発する会」が刑事告発しました。
 ところが、千葉地検は不当にも不起訴にしました。
 この千葉地検の処分は不当として、「告発する会」のメンバーら218人が12月16日、千葉検察審査会に審査申立書を提出しました。
 申立では「森田氏の行為は一種の情報操作であり、選挙で情報操作がまかり通るのでは民主主義国家とは言えない」などと主張しています。
 不起訴処分は市民感覚とかけ離れています。
 検察審査会への申し立てをテレビや新聞が報道しています。
 検察審査会を県民は注視しています。
 民主主義を守る正義の判断を期待します。


 明日は不正経理をとりあげます。




「完全無所属」問題で不服審査申立て


 知事選のいわゆる「完全無所属」問題で、森田知事を刑事告発したメンバーらが、告発が不起訴処分となったのは不当だとして、検察審査会に不服審査の申立を行いました。
 この問題は、森田知事が自民党支部の代表を務めていながら知事選で「完全無所属」を強調した行為が、選挙違反に当たるかどうかで意見が対立しているものです。
 「森田健作氏を告発する会」では、4月15日に公職選挙法違反が禁じる虚偽事実の公表に当たるとして森田知事を刑事告発しましたが、千葉地検は9月30日に嫌疑不十分で不起訴処分としました。
 これを不服として、「告発する会」のメンバーら218人が、千葉検察審査会に審査申立書を提出しました。
 申立では「森田氏の行為は一種の情報操作であり、選挙で情報操作がまかり通るのでは民主主義国家とは言えない」などと主張しています。
    ────千葉テレビ12/16────




市民団体が森田知事不起訴で審査申し立て


 3月の千葉知事選で「完全無所属」をうたったのは公選法違反に当たるとして刑事告発された森田健作知事を不起訴にした千葉地検の処分は不当として、市民団体が16日、千葉検察審査会に審査を申し立てた。

 森田氏は自民党の政党支部代表を務めていたが、知事選で「完全無所属」を掲げて初当選した。市民団体は「誤った候補者の情報が流されると、有権者は公正な判断ができない。森田氏が行ったのは一種の情報操作だ」と主張している。

 市民団体は4月に森田知事を告発。この際、森田氏が外国人や外国法人の持ち株比率が50%を超えていた法人から献金を受けていたことも政治資金規正法違反に当たるとして告発し不起訴となったが、時効が完成したため申し立てを見送った。 
    ────2009年12月16日 日刊スポーツ────

2009年12月14日月曜日

「不正経理」「違法献金」などの
    金権腐敗一掃を求める要請書

2009年12月3日
千葉県知事 森田健作様

森田知事の政治責任を追及する会 代表 三輪定宣



 「不正経理」「違法献金」などの
    金権腐敗一掃を求める要請書


 世界的な金融危機を背景にして、「派遣切り・期間工切り」など大企業の横暴などで、失業者336万人、6月~12月に失業給付が切れる人が100万人近くにのぼっています。「このままでは年が越せない」という声が広がっており、雇用、医療、福祉などを求める緊急対策が県政に求められています。

 そのさなかに、千葉県庁で30億円にのぼる全国最大規模の不正経理問題が明らかになり、県民の大きな怒りと不信をまきおこしています。

 この不正経理問題は、1997年の内部告発に見られるように、組織的かつ長期にわたるものであり、県警を含む、県庁全体におよんでいます。今回、調査対象となったのは、2003年度から2007年度の消耗品費の支出65億円であり、2002年度以前の分や消耗品以外の支出については調査されていません。1兆6千億円という県の一般会計予算のごく一部にすぎません。

 県庁全体が、このような不正経理は二度と許さない、との強い決意のもと、再発防止に万全を期すべきことは言うまでありません。そのために職員の規範意識の確立は当然のことですが、とりわけ幹部職員の責任は極めて重いものがあります。

 担当職員だけの判断で不正経理が行えたはずはなく、県庁幹部職員がどう関与したのか、隠ぺい体質を改め、明らかにすることが、再発防止にかかせません。同時に、現在の会計処理システムを抜本的に見直し、二度と不正経理を起こさない仕組みを構築する必要があります。

 知事が今回の不正経理問題解明の先頭に立つのは当然ですが、そのためにも、この間、大きな批判をあびている「違法献金」「迂回献金」など森田知事自身の疑惑を明らかにすることが欠かせません。

先の千葉県知事選挙において「完全無所属」を強調した森田知事が、自民党東京都衆議院選挙区第二支部の支部長を務めていたこと、またその支部が2004年から2007年の4年間で1億6000万円もの企業献金を受け取り、そのうち1億4400万円が資金管理団体である「森田健作政経懇話会」に流れていたことが明らかになりました。選挙後、多くの有権者から「裏切られた」「騙された」などの怒りの声が沸き起こっています。

 とりわけ、同支部が2005年と2006年の2年間、外国人・外国法人の持ち株比率が50%を超える企業から1000万円を超える献金をうけていたことは、当時の政治資金規正法に明らかに違反しており、「知らなかった」などの言い訳は通用しません。この間、政治とカネの問題に対する有権者の怒りが広がり、厳しい目が注がれているもとで、この問題をいささかもあいまいにすることは許されません。

 知事が自らの疑惑を曖昧にしたままでは不正経理問題で「膿を出して再出発する」ことも、県民の信頼を回復することもできません。県民を偽り、不信を招いた森田知事に説明責任、道義的・政治的責任を果たすことを要請します。

 私たちは「不正経理」「違法献金」など、千葉県の金権腐敗体質の一掃を求めるものです。 ────以上────

2009年12月13日日曜日

千葉県知事 森田健作様
     「明るい民主県政をつくる会」
                  代表 河野泉
     「森田知事の政治責任を追及する会」
                  代表 三輪定宣

雇用、医療、福祉等を守る
         緊急対策を求める要請書


 貴職におかれましては、住民のくらしと福祉の向上、ならびに地方自治の発展にご尽力されていることに敬意を表します。

 さて、日本の完全失業者数は12カ月連続で増加し、この9月には過去最悪の363万にのぼっています。製造業の“派遣切り”が相次ぎ、東京・日比谷公園に「年越し派遣村」ができた昨年暮れよりも失業者は90万人以上増えています。
 また、政府の「貧困・困窮者支援チーム」(事務局長・湯浅誠内閣府参与)は11月16日、解雇などで職を失い、雇用保険の支給が切れた状態で年末を迎える人が約23万人に上るとの推計を公表しました。
 千葉県内でも各地で派遣村実行委員会が「派遣村」を実施していますが、生活保護の申請が相次ぐなど大変な状態悪化が続いています。 

 【政府の緊急雇用対策本部(本部長:内閣総理大臣)は、「求職中の貧困・困窮者が再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにするため、国、地方自治体などの協力の下、利用者が、一つの窓口で必要な各種支援サービス(雇用・住居・生活支援)の相談・手続きができるよう、実行ある『ワンストップ・サービス』等の支援体制の強化にとり組むこととしています」
 「具体的には・・・①「ワンストップサービス・ディ」を試行実施、②「ワンストップサービス・ディ」の定期開催、年末年始の開催を検討、③年末年始の生活相談活動等の対策を推進することとしております。
 各都道府県におかれましても、本対策の趣旨をご理解いただき、以下のような対策の実施につき、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 1.「ワンストップサービス・ディ」の実施に際しての担当職員の派遣協力、
 2.年末年始の生活総合相談、一時入居施設の借り上げなどの実施、
 3.離職者向けに活用可能な公営住宅などのハローワークへの情報提供、各都道府県知事におかれましては、何卒、こうした趣旨にご理解を賜りますとともに、管内市町村のご協力も賜りますよう各自治体への連絡方ご配慮をよろしくお願いします」】
 このように政府も緊急雇用対策で自治体の協力を要請してます。

 「明るい民主県政をつくる会」(代表 河野泉)、「森田知事の政治責任を追及する会」(代表 三輪定宣)は、千葉県に県民の雇用と暮らしを守る緊急対策、知事の違法献金疑惑、県庁の不正経理など、金権腐敗一掃を求め下記のとおり要請します。


1. 緊急雇用対策を実施すること。

①政府の緊急雇用対策の理念に基づき、年末年始に千葉県「公設派遣村」を設置すること。
 また、すべての市町村で年末年始に「公設派遣村」が設置できるよう援助すること。
「公設派遣村」には、食料、寝具などを準備し、年末年始が過ごせるようにすること。
②失業者への生活援助を抜本的に強化し、新しい雇用の創出と再就職支援にとりくむこと。
また、生活密着型公共事業、耐震対策などで仕事を確保すること。
③県として公契約条例を制定するとともに、最低賃金の大幅引き上げで「働く貧困層」をなくすよう国に要請すること。 
④大企業に雇用への社会的責任を果たさせ、無法な「非正規切り」やリストラ、雇用破壊をやめさせること。
⑤労働者派遣法の抜本改正ををはじめ、長時間・過密労働を是正するよう国に要請すること。

2. セーフティーネットとしての「生活保護の適正な取り扱い」を徹底すること。

①「住所」がなくても生活保護は利用できるようにすること。
②ホームレスなど安定した居住の無い人が、「住宅の確保」のために敷金や生活のための家具・道具が必要な場合は生活保護費から支給すること。
③即日でも急迫状態の場合には保護決定をすること。
④失業者やワーキングプアも生活保護が利用できること。特に「能力があるものは生活保護が受けられない」という認識ではなく、はたらく能力があり、それを活用しようとしてもはたらく場が得られない者は生活保護が利用できるようにすること。
①ケースワーカーの担当世帯のの「標準数」を「法定数」に改めるとともに、当面「標準数」を60対1とすることを国に求めること。

3.安心して医療が受けられるように医療を充実すること。

①新型インフルエンザワクチン接種費用について、県独自の助成をすること。
②新型インフルエンザワクチン接種に関する正確な情報を周知すること。
③新型インフルエンザワクチンの優先接種対象者に介護従事者を加えるよう国に要請すること。
④中学三年生まで医療費を無料化すること。
⑤保育、介護をはじめ住民生活に関わる最低基準の切り下げをやめるよう政府に働きかけること。
⑥国の「公立病院改革ガイドライン」にもとづく県立・市町村立病院の経営形態の見直しや統廃合計画をやめること。全国的に最低水準にある医師・看護師・病床数の改善を図ることとあわせて、いのちと地域医療を守る中核としての県立・市町村立病院の存続・充実を図ること。とりわけ、県立東金病院を充実し、救急医療体制の強化を図ること。

4.格差と貧困の中で、行き届いた教育がでいるよう教育条件を整備すること。
①少人数学級など、教育条件を整備すること。
②学費を無償化するよう国に要請すること。
③「千葉県の教育を元気にする有識者会議」について

5. 不況のあおりを受けている中小企業や農業を支援すること。
① 中小業者の仕事確保に向けた支援を緊急に行うこと。
 まち工場、商店などへの直接支援を行うこと。
②金融機関による貸し渋り、貸しはがしを防止し、中小業者に必要な資金が行き届くよう緊急対策を行うこと。
③「生活福祉資金貸付制度」を中小業者が活用できるよう運用してください。
④政府が自ら決めた100万トン備蓄ルールに基づき、15万トンの即時買い入れをするよう国に申し入れすること。
⑤需要のないミニマムアクセス米について輸入を中止すること。
⑥生産費を補う最低18000円(1俵)の米価の下支えをすること。

6.千葉県の金権腐敗を一掃すること
① 県庁の「不正経理」の全容解明、再発防止、隠ぺい体質にメスを入れ、幹部責任を明らかにすること。
② 森田知事の虚偽記載、違法献金疑惑の全容解明、政治責任を明らかにすること。




12.3県民集会 公設派遣村を設置せよ


12.3県民集会 河野泉代表 三輪定宣代表が県に要請書提出


12.3県民集会 明るい会と追及する会の代表が県に要請

2009年12月10日木曜日

2009年「12.3県民集会」
 ────三輪定宣代表の閉会挨拶────

三輪定宣
 (森田知事の政治責任を追及する会代表、
            千葉大学名誉教授)


 年末のお忙しいなか、ご参加ありがとうございました。

 各団体、県会議員から、県政の動向や昨年来の世界的不況のもとでの厳しい生活実態が報告され、それに基づき、切実な要求が出されました。それらは、緊急雇用対策、生活保護の適正な扱い、医療の充実、教育条件の整備、中小企業や農業の支援等におよびます。

 8月の総選挙による政権交代は、「構造改革」のもとでの貧困・格差の拡大、世界同時不況などによる国民生活の急速な悪化を背景に国政レベルで実現したものですが、それは、県政、自治体レベルにも実質的な”政権交代”が突きつけられたものと受けとめられるべきです。深刻な状況下で県民のくらしを守る砦としての県政、自治体の役割は、かってなく大きくなっており、一部の利権との癒着ではなく、県民の生活要求に直結し、それに応える公正、透明、清潔な県政の確立が不可欠です(註1)。本日、ここに集約された緊急要請事項は、当面の県予算に関するいわば県民目線の「事業仕分け」基準であり、その真摯な実行を強く求めます。

 特に千葉県では、公職選挙法、政治資金規正法の違反容疑など、選挙疑惑まみれの森田県政の資格が厳しく問われ続け、当選後は、過去の経理不正が噴出し、県政への不信が頂点に達しています。

 千葉地検は、9月30日、選挙疑惑の告発を「嫌疑不十分」を理由に知事を不起訴処分としましたが、極めて不当な処分であり、検察不信が募り、検察審査会への不服申し立ては当然です。しかも、「嫌疑」は残り、県民は納得せず、知事の疑惑はそのままです。知事の説明責任が免罪されたわけではなく、県政の信頼回復のため、一日も早く、選挙疑惑の真相を県民に直接語り、率直に謝罪すべきです。当選後9ヶ月が経過しましたが、知事はこの問題で一度も正式に説明、釈明せず、ひたすら逃げ切りを図ろうとしているとしか思えなせん。それは、県民を愚弄するものです。当選時、知事に投票した有権者の割合は20.6%でしたが、その後、支持率が低落しているのも知事への不信の現れです。知事選挙で「完全無所属」の仮面により自民党支部長の立場を隠さなければ、その後の都議選、千葉市長選、総選挙の例に照らし、当選は無かったはずで、虚偽事実、嘘をついて当選したという蟠りは払拭できません。

 千葉地検の不起訴処分後も、東京都選管と総務省から知事の政治資金収支報告書が公表され(10月2日、朝日新聞)、知事が支部長をつとめた自民党支部が、2008年に受け取った企業・団体献金は1816万円、そのうち1212万円、65%が森田健作政経懇話会に流れたなど選挙資金の違法性が改めて問われる証拠が出ています(註2)。私たちは、民主政治を担う市民の義務としてその真相を究明し知事の政治責任を追及し続けます。

 知事が「完全無所属」ならば、自民党政治とは無縁のはずであり、その教育政策の要のような愛国心教育の推進などを県政に押しつけることは断じて許されません。県職員の不正経理は、全容解明、再発防止、幹部責任の明確化が求められ、虚偽・金権体質の知事のもとでの隠蔽は断じて許されません。県政の監視役、県議会の責任も重大です。

 公正、透明、清潔で県民の要求に応える県政をめざし、さらに県民共同の運動を強めましょう。



註(同日午後3時半から、千葉県要請で指摘)

1)千葉県の人口1人当たり民生費(児童福祉、社会福祉、生活保護、老人福祉などの経費。県と市町村の合計)は、47位であり、セイフティネットは全国最低ランクである。
2)2008年4月の船橋市・たきのい幼稚園「園長だより」によれば、同園は森田健作氏を「芸能人」として講演に招待したとのことであるが、そうであれば政治資金報告書に記載された講演料は免税措置を受けたことになり、所得税法違反の容疑が生ずる。

2009年12月4日金曜日

「千葉県の教育を元気にする有識者会議」
  日本大学の百地章氏の発言におどろく

 「なぜ子供たちの元気がなくなったのか?」その理由を百地章氏は、戦後教育のせいにし、愛国心教育などを主張している。
 しかし、子どもたちが苦しんでいる原因は、財界主導で新自由主義に基づく構造改革を自公政権が強行したからです。
 貧困率15.7%に象徴されるように、格差と貧困が深刻になり、子どもたちの教育を受ける権利までもが侵害されているから“元気がないのではないでしょうか。

 構造改革の急先鋒の
  中谷巌氏と亀井静氏の発言を紹介します。


 “リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった。
 構造改革の急先鋒であった著者が記す「懺悔の書」。いま話題の一橋大学名誉教授・中谷巌氏の著書『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)の帯に書かれているコピーです。”
 また、“亀井(静)氏は(10月)5日、内外ニュースの講演会で、日本経団連の御手洗冨士夫会長と以前会った際に、労働者を大切にする日本的な経営を捨てたとして大企業を批判したことを紹介した。
 「ため込んだ内部留保をそのままにしといて、リストラをやっている。
 人間を人間扱いしないで、自分たちが利益を得る道具として扱っている」と指摘。立件された国内の殺人事件の約半分が、親子や兄弟、夫婦といった親族間で起きていることを引き合いに、経営者側に「責任がある」とした。
 亀井氏は6日の閣議後会見で真意を聞かれた際も、「改革と称する極端な市場原理、市場主義が始まって以来、家族の崩壊、家族間の殺し合いが増えてきた。
 そういう風潮をつくったという意味で、(経団連に)責任がある」と発言を撤回しなかった。”



千葉県の教育を元気にする
  有識者会議第1回「自由討議」
     平成21年9月28日



 ────日本大学 百地章委員の提出資料────

1、なぜ子供たちの元気がなくなったのか?

(1)戦後教育の問題点 …教育荒廃の原因

①「真の人間教育」の不在 →子供たちが「生き甲斐」を喪失し(自分は何のために生まれ、何のために生きているのか分からない)、そのことが子供たちの自堕落や自暴自棄さらには非行化をもたらした
②「伝統」の否定・軽視、自虐史観 →郷土愛や日本人としての誇り・自信を喪失・「人格の完成」つまり「抽象的・普遍的な個人としての人間教育」のみを対象とした戦後教育 →「歴史伝統によって育まれる日本人教育・国民教育」の欠如
・それに加えて、偏向した歴史教育 →益々、日本人としての誇りや自信を喪失
③道徳の否定・軽視 →規範意識の喪失、自己中心主義、公共精神や「公」の喪失
・伝統的な道徳の否定・軽視によって、子供たちが「人間としていかに生きるべきか(規範意識)」を正しく教えられないまま成長 →善悪の判断さえつかず、自己中心主義が蔓延、公共精神や「公」の観念が著しく欠如
④「国家」の軽視・否定 →国家意識の欠如、「愛国心」の喪失
・戦後の「国家否定・軽視」の風潮 →国家意識の欠如・希薄化、「愛国心」「国を守る」意識の喪失
・「権力機構としての国家(政府)」と「歴史的・伝統的な国民共同体としての国家」とを区別する必要あり →「愛国心」=「政府」ではなく「歴史的・伝統的な国民共同体としての国家」を愛すること
⑤悪平等主義の蔓延 →正しい競争意識の喪失、エリート教育の否定
・悪平等主義、競争原理の否定 →子供たちから学ぶ意欲や向上心を奪い、エリート教育も否定
・英雄・偉人否定の風潮 →歴史の中に理想的な人間像や尊敬する人物を求め、それに向かって努力するということがなくなってきているのではないか

(2)親自身や教師にも問題あり(教育というものに対する信念や自信を喪失)

①戦後教育を受けて育ってきた親や教師 →「親教育」(親学)「教師教育」(師範塾)の必要性
・親自身、教師自身が子供をどのように教育したら良いのか分からなくなってきているのでは?
・モンスター・ペアレントの出現 →学校や教師はますます適切な対応ができないことに

(3)教育・社会環境の変化・劣化

2、千葉県の教育を元気にし、子供たちに元気を出させる教育とするためには?

(1)基本的な考え方として …教育の理念、教育内容

・「真の人間教育」→「生きる」ことの意味を教え、生甲斐と自信を持って生きさせるようにすること
・「真の日本人教育」→日本人としての自信と誇りを回復させること
→これによって子供たちが「元気と活力」を取り戻し、国際化時代に逞しく生きていく力を養うことが可能となるのではないか?

(2)アメリカとイギリスの「教育改革」に学ぶ

①アメリカの教育改革 …「自由放任教育」への反省から「ゼロ・トレランス」「バック・トゥー・ザ・ベイシス」へ
・1960年代から1970年代 …「学校の自由化、人間化、社会化」の名の下に、伝統的な管理体制に縛られない自由な教育 →学校から規律が失われ、教育が荒廃、犯罪の横行や学力の著しい低下

・1980年代、レーガン政権時代から始まった「ゼロ・トレランス」(寛容なしの厳しい指導)、「バック・トゥー・ザ・ベイシス」(教育の基本に帰れ)→学校には規律・秩序が戻り、教育も正常化
子供たちの学力は向上し、厳しい規律の中でむしろ自由で伸び伸びと明るい学校生活を送ることに
・厳格なピューリタンの古き良き伝統への回帰、かつての日本の教育(規律性、高い学力水準)を模範に
②イギリスの「教育改革」…1944年教育法から1988年教育改革法(サッチャー改革)へ
・1944年教育法 …「子供中心」の教育、自国に対する自信を喪失させる偏向教育、教育内容は教師の自主性に委ねられた →学力の低下、イギリス国民としての誇りを失った若者たちが増加
・1988年教育改革法 …イギリス国民としての誇りの回復(愛国心教育)、宗教教育の必修化(伝統教・道徳教育)、学校教育に対する国家の責任と権限の明確化 →イギリス病の克服(自国に対する誇りの回復、学力の向上等)

(3)「新教育基本法」(平成18年)および「新学習指導要領」(小中学校、平成20年、高等学校、平成21年)を踏まえた教育を

①真の人間教育、道徳教育 →人間としての「生き方」と「生き甲斐」、豊かな情操と道徳心(善悪の判断、自己の欲望の制御、「公」意識・公共精神の養成等)の涵養を
・新教育基本法 …「公共の精神を尊び」(前文)「豊かな情操と道徳心を培う」(第2条第1号)
・新学習指導要領 …「人間としての在り方生き方に関する教育」「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を重視」「全教師が協力して道徳教育を展開する」(高等学校)
②真の日本人教育・国民教育、伝統文化統育 →自国の伝統と文化に対する自信と誇り、日本人としての自覚を
・新教育基本法 …「伝統を継承し」(前文)「心身ともに健康な国民の育成」(第1条)、「伝統と文化を尊重し」(第2条5号)
・新学習指導要領 …「主体性のある日本人を育成」「神話・伝承などの読み聞かせ」「天皇についての理解」(小学校)「日本国民としての必要な自覚と資質を養う」(高等学校)
③郷土愛と愛国心教育 →郷土愛の育成と正しい「国民意識」「国家意識」の確立を
・新教育基本法 …「我が国と郷土を愛する」教育(第2条5号)
・新学習指導要領 …「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるように指導」(小学校)
④確かな学力と体力の向上を

(4)「千葉県教育の戦略的ビジョン」を基盤とする「千葉県教育振興基本計画」の策定を

①新教育基本法=政府が「教育振興基本計画」を作成 →これを参酌して、各地方公共団体は地域の実情に応じた「教育振興基本計画」を定めるよう努めなければならない(新教育基本法17条)
②新教育基本法や新学習指導要領さらに政府の「教育振興基本計画」を踏まえ、県民の希望に沿った「千葉県教育の戦略的ビジョン」と「千葉県教育振興基本計画」の策定を
〔政府の「教育振興基本計画」…重点的取り組み事項から〕
ⅰ)確かな学力の保証 …基礎的・基本的な知識・技能の習得や思考力・判断力・表現力等の育成などを通じ「確かな学力」を養うとともに、「生きる力」を育成する。学力調査による検証
ⅱ)道徳教育や伝統・文化に関する教育、体験活動等の推進
・道徳教育について、新学習指導要領に基づき、充実強化を図る
・新学習指導要領に基づき、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する教育を推進する
ⅲ)体力向上に向けた方策の推進
ⅳ)いじめ、暴力行為、不登校、少年非行、自殺等に対する取り組みの推進

2009年12月2日水曜日

年越し緊急要求実現、金権腐敗一掃!
 12.3 県庁要請行動を成功させよう!
  知事は「公設派遣村」を設置せよ!

  世界的な金融危機を背景にして、「派遣切り・期間工切り」など大企業の横暴などで、失業者336万人、6月~12月に失業給付が切れる人が100万人近くにのぼっています。

 千葉県内でも各地で「派遣村」を実施していますが、生活保護の申請が相次ぐなど大変な状態悪化が続いています。

 「このままでは年が越せない」という声が広がっています。

 私たちは国・県・市町村が連携して雇用、医療、福祉などの充実を緊急に実行することを求めます。

 とりわけ、千葉県が「公設派遣村」を設置し、人権を守ることを要請します。

 「明るい民主県政をつくる会」「森田知事の政治責任を追及する会」は、県議会開会中の12月3日、県庁門前に集まり、宣伝、座り込み、要請活動を行います。

 年越し緊急県民要求実現、金権腐敗一掃の行動をご一緒にひろげましょう



12.3年越し緊急要求実現、金権腐敗一掃行動
    (12月県議会中)
 県庁門前で宣伝・座り込み・要請

 
 ○ 日時:12月3日(木)

 ○ 場所:千葉県庁前

 ○ 内容

 ①企画 正午~
 司会 千葉土建
 開会挨拶 河野泉代表
 経過報告 事務局長
 決意表明 各団体2分
 議会報告 共産党県議団
 パフォーマンス 建交労
 閉会挨拶 三輪定宣代表

 ②宣伝(チラシ配布) 正午~

 ③座り込み 午後1時~3時(各団体5名以上)

④知事要請15時30~(団体代表団・各団体は要請文に基づき2分間) 
 要請会場は本庁舎5階応接室

 共催 明るい民主県政をつくる会
     森田知事の政治責任を追及する会