「日本教育再生機構」の理事長は八木秀次氏です。
この日本再生機構の代表委員に森田健作知事、野口芳宏氏が名を連ねています。
森田知事のマニフェストである「教育日本一」を具体化させる布陣です。
戦前のようにお国に役立つ人間をつくるのが目的です。
森田健作知事の「教育日本一」は、「教育現場での国旗掲揚・国歌斉唱の徹底化」など、教え子を戦場に送った戦前の教育を思い起こします。
“野口氏はその著書のなかで、「(間違いをおかした子どもたちが、)どうしても謝罪しなかったら、どうするか。ひっぱたくのである。
叩きのめすのである。
『体罰』を断行するのである。そこまでしても人間社会のルールを身につけさせていく気迫がなければ、子どもの教育は実を結ばない」と語っています。
これは、学校教育法第11条で定められている「体罰の禁止」に反するのはいうまでもなく、それこそ恐怖による統制であって、人格の破壊そのものです”
日本共産党の丸山慎一県議の反対討論を下記に記しました。
野口芳宏氏を教育委員に
任命することへの反対討論
日本共産党・丸山慎一県議(2009年7月8日)
2009年6月県議会に森田健作知事から、教育委員に野口芳宏氏を任命することに同意を求める議案が提出されました。
教育委員は、知事が任命しますが、議会の同意が必要なので、同意を求める議案として提出され採決が行われます。
以下の反対討論(全文)は県議会最終日(7月8日)に、日本共産党の丸山慎一県議が採決に先立って行ったものです。
日本共産党を代表して、議案第44号、野口芳宏氏を教育委員会委員に任命することに、反対の立場から討論を行います。
いま教育に必要なのは憲法の立場
いま、日本の教育、千葉県の教育を考える上で、何よりも大事なことは、二度と再び戦争への道を歩んではならないとの決意をこめた日本国憲法の理念に、しっかりと立つことです。
そして教育は、主権在民、戦争放棄、基本的人権の尊重という、憲法が目指す日本社会の理想を実現するために、何よりも平和で民主的な国家及び社会の形成者として、人格の完成を目指して行われるものでなくてはなりません。
それは、理性と感性に働きかけるきわめて人間的な営みであって、体罰や強制などとは、ほんらい無縁のものです。
体罰や強制を奨励する野口芳宏氏
ところが、今回、知事から教育委員候補として提案されている野口芳宏氏は、こうした教育のあるべき姿に、真っ向から反する立場を表明している人物です。
たとえば、野口氏はその著書のなかで、「(間違いをおかした子どもたちが、)どうしても謝罪しなかったら、どうするか。ひっぱたくのである。叩きのめすのである。『体罰』を断行するのである。そこまでしても人間社会のルールを身につけさせていく気迫がなければ、子どもの教育は実を結ばない」と語っています。
これは、学校教育法第11条で定められている「体罰の禁止」に反するのはいうまでもなく、それこそ恐怖による統制であって、人格の破壊そのものです。
野口氏は同じ著書の中で、「教育とは、そもそも強制的なものである。小学校や中学校に通うのも、通わせるのも義務であり、これは強制以外の何物でもない。…教育は強制から逃れるわけにはいかないのである」とも語っていますが、こうした力による管理統制で、自主的な判断力を身に付けた主権者として子どもたちを育てることが、はたしてできるでしょうか。
体罰を奨励し、教育とは強制だと主張する人物を、教育委員にすることなど、決して容認できるものではありません。
また、野口氏は、「子供の教育のために親は金を使うべきだ」などと言って、家庭の負担を当然視していますが、自民党政治のもとで、家庭の経済力が大きく落ち込み、子どもたちが教育を受ける権利を奪われている状況が広がっているときに、こうした姿勢は、県民の願い反するものとならざるをえません。
野口氏は侵略戦争を正しかったとする
教育再生機構の代表委員
野口氏は、経歴の記載によると「日本教育再生機構」の代表委員とのことですが、教育再生機構とは、4年前に教科書採択の失敗をきっかけに分裂した「新しい歴史教科書をつくる会」の一方のメンバーが作った団体であり、天皇が国の主権者として全権力を握っていた、あの戦前の日本をほめたたえ、アジアへの侵略戦争を正しかったとする教科書の採択を画策しています。
そのホームページで理事長の八木秀次(ひでつぐ)氏は、「わたしは明治天皇が示された『五箇条の御誓文』の精神に立ち返ることを提唱したい。ここには、我が国の近代教育の原点が示されているように思う」と述べ、教育再生機構の結成呼び掛け文では、日本の国を「太古の昔、神々が作ったと伝えられる神秘の国…」、「有史以来、国の中心に一系の天皇をいただいてきた伝統の国」などとする一方で、戦後の教育については、「60年以上にわたって深く国民の心と体をむしばみ、ついには国家の中枢を犯すにいたった」と言って、むきだしの敵意をあらわにしています。
そして、その主張の最大の特徴は、アジアの国々を侵略し植民地にして迫害した戦前の日本の歴史の真実を、「自虐史観」だ、などと言って、あくまでも認めようとしないところにあります。
しかし、侵略戦争によって他国に大変な被害をあたえた国が、そのことについてきちんと反省する、これは国際社会、とりわけアジアの中で日本が生きていくうえで当然の責任です。
そして、この反省こそが、日本が国際社会の中で尊敬され、名誉ある地位を占める道を開く最も確かな力になります。その当然の立場を“自虐史観”などと呼んで中傷し、他国を侵略した歴史そのものを偽造しようなどというのは、真実にも正義にも背を向けることであって、日本の国民の前途にも、アジアの諸国民との関係にも、とりかえしのつかない事態を招くことは明らかです。
野口氏は、こうした団体の代表委員を務め、活動でも中心的役割を担っている人物です。千葉県の子どもたちと未来のために、戦後を否定し、戦前を美化するような教育を、進めさせるわけにはいきません。
特異な歴史観を
千葉県に持ち込むことは許されない
森田知事が、こういう教育理念と立場を鮮明にしている野口芳宏氏を教育委員に任命しようとしているのは、もちろん偶然ではありません。知事は、「戦前の教育の過ちを繰り返してはならないと思うが、どうか」という本会議でのわが党の小松実議員の質問に対して、「戦前の教育は、必ずしも一面的な教育であったとは、認識しておりません」と答え、戦争に国民を駆り立てるために行われてきた天皇中心の教育を、正しいものだったと認めています。
そして、何より、森田知事自身が、教育再生機構の代表委員であり、知事になった今も、その考えが変わっていないことを、教育再生機構が発行している雑誌「教育再生」6月号の対談で、自ら告白しています。
今回の教育委員の任命は、森田知事が、歴史に逆行し憲法の理念にも反する、自らの特異な歴史観にそった教育を、千葉県に直接持ち込む、その第一歩を、いよいよ踏み出したものであり、断じて容認できません。
最後に、日本国民の幸せとも、アジアの平和とも相容れないこのような道は、必ずや平和と民主主義を願う県民に行く手をふさがれ、みじめに挫折せざるを得なくなるであろうことを、厳しく指摘して、反対討論を終わります。
県議会:教育委員選任、中立性に疑問の声も
賛成多数で同意/千葉
森田健作知事は8日、副知事に厚生労働省大臣官房審議官の坂本森男氏(54)、教育委員に日本教育再生機構代表委員の野口芳宏・植草学園大学教授(73)を選任する人事案を県議会に提案した。ともに賛成多数で同意されたが、野口氏をめぐっては、「新しい歴史教科書をつくる会」系の活動歴や著作をもとに、教育の中立性への疑問が出された。
本会議の質疑で、湯浅和子議員(民主)が選考の手順と過程を質問。森田知事は「経歴や考え方を総合的に判断し、人物本位で選んだ」と答弁した。
川本幸立議員(市民ネット・社民・無所属)の「マニフェストで掲げた『強く、美しく、元気な心を育てる』の推進を期待しているのか」との問いには、森田知事は「大いに期待している」と述べた。丸山慎一議員(共産)は「野口氏は著作で体罰を奨励、容認している」と指摘し、人事案に反対した。森田知事は本会議終了後、教育委員について「全員賛成は難しい。きちんとやってくださると思っている」と話した。
県議会は46議案を可決し閉会した。【森有正、倉田陶子】毎日7/10
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