2011年11月12日土曜日

東日本大震災:県管理の8水門閉鎖、間に合わず
千葉・中央区で浸水

東日本大震災が発生した際、県が管理する東京湾岸の水門8カ所の閉鎖が、津波到達時刻に間に合わず、千葉市中央区内で床下浸水3軒や道路冠水の被害が出ていたことがわかった。震災当日は電話がつながりにくく関係者間の連絡が遅れたうえ、道路渋滞で担当者の水門到着も遅れたという。

 県港湾課によると、同課が管理する県内の水門29カ所のうち閉鎖が間に合わなかったのは、千葉市中央区の4カ所のほか、同市美浜区(1カ所)▽富津市(2カ所)▽市原市(1カ所)。

 県から市内5カ所の水門閉鎖の委託を受けている千葉市によると、5カ所の閉鎖とも、津波の第1波到達の3月11日午後4時38分や、千葉中央港で2・84メートルの最高潮位が記録された同午後6時20分までに実施できず、閉鎖完了は午後7時~7時40分にずれ込んだという。

 また、水門閉鎖に関する県からの指示が届いたのは午後4時ごろで、すでに津波警報が出た後。交通渋滞のため担当者の到着はさらに遅れ、海水が逆流するなどの被害を防げなかったという。

 同市は「どんな渋滞でも1時間半あれば水門に着くと想定していた。閉門は専門的知識を要し、市町村が独自に判断できず、地区の住民に任せるわけにもいかない」と話す。県と同市は災害優先電話など連絡網の整備や、遠隔操作による水門閉鎖設備の設置も検討する方針という。

 水門閉鎖の遅れで店舗が浸水した同市中央区で居酒屋を営む斎藤勉さん(65)は「ざぶざぶ水が入ってきて、厨房(ちゅうぼう)の排水溝からも水が噴き出した。渋滞で水門が閉められないなんて理由にならず、人災だ。台風などもあり、早く対処してほしい」と憤った。

【斎藤有香、味澤由妃】
────毎日新聞 2011年10月8日 地方版────

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