伊能さんは「液状化を避けられないなら、せめて被害を減らし、次の修復工事の負担を軽減できないか」と、仲間に紹介された愛知県岡崎市の曳(ひ)き家工事業、谷沢元宣さん(54)らと相談。再び沈下、傾斜しても簡単に直せる工法として、従来からある工法を応用した「浦安工法」を考え、9月上旬に着工した。
この工法は、家の周囲を掘り下げ、基礎の下に「耐圧版」という頑丈なコンクリート板(縦1・2メートル、横80センチ、厚さ20センチ)を埋設。耐圧版と基礎の間にジャッキを置き、家を水平に戻した後、ジャッキを抜いて強化ブロックを置き、周囲を特殊なコンクリートで埋め、表土をかけるという。
被害が再度あった場合、耐圧版の周囲を掘り返し、再びジャッキを置いて修復する。伊能さん宅では21の耐圧版を埋設した。谷沢さんは「次は工期と費用が半分程度に抑えられる」と話す。
液状化対策に詳しいNPO法人「住宅地盤品質協会」(東京都文京区)によると、液状化被害を受けた一戸建て住宅の修復工法は主に4種類あり、耐圧版を使う工法もその一つ。いずれも一長一短ある。伊能さんの方法について、「再液状化に対応できる点が独創的。特殊コンクリートの組み合わせも有効ではないか」としている。
伊能さんは「従来の工法に比べ、費用は多少安い程度だが、将来の不安を払拭できる。住民の見学や問い合わせも多い。新たな工法として、ほかの被災者の選択肢になれば」と話した。
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