2011年11月23日水曜日

────千葉────
住宅修復「浦安工法」で
液状化被害、舞浜の住民
工事短く安く

基礎部分に置いたジャッキで家の傾斜を直していく液状化復旧の作業(浦安市で)東日本大震災により深刻な液状化被害が出た浦安市で、住民らが様々な工法で住宅の復旧をしている。工法にはおもに4種類あるというが、従来の工法を発展させて被災住宅の修復工事を行う市民も出ている。「浦安工法」と名付けた工法は将来、再び液状化被害が出た際にも、工事が短期間で安く済むといい、ほかの住民も見学に訪れているという。「浦安工法」で自宅を修復するのは、同市舞浜3の自主震災対策グループ「チームM3」のリーダー伊能隆男さん(50)。伊能さん宅は最大で35センチ沈下し、家は約2・7度傾いた。複数の専門業者の見積額で修復には数百万円かかるとされた。

 伊能さんは「液状化を避けられないなら、せめて被害を減らし、次の修復工事の負担を軽減できないか」と、仲間に紹介された愛知県岡崎市の曳(ひ)き家工事業、谷沢元宣さん(54)らと相談。再び沈下、傾斜しても簡単に直せる工法として、従来からある工法を応用した「浦安工法」を考え、9月上旬に着工した。

 この工法は、家の周囲を掘り下げ、基礎の下に「耐圧版」という頑丈なコンクリート板(縦1・2メートル、横80センチ、厚さ20センチ)を埋設。耐圧版と基礎の間にジャッキを置き、家を水平に戻した後、ジャッキを抜いて強化ブロックを置き、周囲を特殊なコンクリートで埋め、表土をかけるという。

 被害が再度あった場合、耐圧版の周囲を掘り返し、再びジャッキを置いて修復する。伊能さん宅では21の耐圧版を埋設した。谷沢さんは「次は工期と費用が半分程度に抑えられる」と話す。

 液状化対策に詳しいNPO法人「住宅地盤品質協会」(東京都文京区)によると、液状化被害を受けた一戸建て住宅の修復工法は主に4種類あり、耐圧版を使う工法もその一つ。いずれも一長一短ある。伊能さんの方法について、「再液状化に対応できる点が独創的。特殊コンクリートの組み合わせも有効ではないか」としている。

 伊能さんは「従来の工法に比べ、費用は多少安い程度だが、将来の不安を払拭できる。住民の見学や問い合わせも多い。新たな工法として、ほかの被災者の選択肢になれば」と話した。

────2011年10月5日 読売新聞────

0 件のコメント:

コメントを投稿