津波避難ビルは、津波警報や大津波警報発令時に住民が一時避難するビル。内閣府が2005年に示した指針によると、想定される浸水の深さに応じて2~4階建て以上の耐震構造が施されたビルとなっている。ビルの選定は各自治体に任されており、指針を参考に検討する。
県内の27沿岸市町村のうち、震災後に津波避難ビルの指定数を増やしたのは南房総、鴨川、木更津、勝浦市、御宿、一宮、大網白里、白子町、長生村の9市町村。この結果、避難ビル数は震災前の10市町67棟から、15市町村129棟へとほぼ倍増した。富津市も指定に向けて準備を進める。一方、「条件を満たすビルがないため、指定できない」とする自治体もある。
震災後に避難ビル数が急増した鴨川市では、3月下旬から沿岸部を中心にホテルやマンション、病院などと交渉にあたった。担当した同市消防防災課の中島正芳さん(48)は「余震も続いており、いつ津波が来るかわからない状況だった」と説明する。
同市は早期に指定するため、協定を結ぶのではなく、市長名の指定承諾書に判をもらう形をとった。5月には40棟のビルを新たに指定して「津波避難ビル」図記号のステッカー=イラスト=を配布。入り口ドアなど、目立つ場所に貼ってもらうよう要請した。一方、浦安市や船橋市、習志野市などの京葉地区では、国や県が行う東京湾を震源とした地震による津波災害の予測がまだ出ていないなどとして、「地域防災計画の見直しの中で検討する」という回答が目立った。
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