2010年12月10日金曜日

【千葉】 ラムサール条約湿地
 三番瀬登録しよう──── きょう船橋で集い

 東京湾最奥部に残る干潟と浅瀬の三番瀬を、ラムサール条約湿地に登録しようと呼び掛けるイベント「『みんなの力で守ろう三番瀬!』の集い」が三十日午後六時から、船橋市本町二の市民文化ホールで開かれる。歌手の山本リンダさんらのコンサートや、登録の意義について考えるシンポジウムがある。 (林容史)

 ルーマニア・ブカレストで二〇一二年に開催される予定のラムサール条約第十一回締約国会議(COP11)での登録を目指し、県民の声を盛り上げるのが目的。非政府組織(NGO)や市民団体などでつくる実行委員会が主催する。

 第一部は、三番瀬の保全に賛同する山本さんや、よさこいチーム、合唱団などがコンサートを行う。午後七時半からの第二部では、倉阪秀史千葉大教授が基調講演した後、「今、なぜラムサールなのか」についてシンポジウムを開く。

 実行委に入っている「三番瀬のラムサール条約登録を実現する会」の岸本紘男理事は「三番瀬は首都圏から三十分で行ける貴重な湿地。登録で船橋を世界に発信し、まちおこしにつなげたい」と話している。

 環境省は九月、三番瀬など国内百七十二カ所を、国際基準を満たすと認められる湿地に選定。一一年三月までに六カ所以上に絞り込み、COP11での登録を目指す。

 集いは入場無料。問い合わせは岸本さん=電047(318)4807=へ。

────東京11/30────





三番瀬再生会議を終了
     知事方針 識者のみで新組織


 森田知事は30日、東京湾の三番瀬の再生や利用に関する知事の諮問機関「三番瀬再生会議」(会長・大西隆東大教授)を、現在の委員の任期が終わる12月26日で終了し、同会議に代わる新たな組織を年度内に設置する方針を明らかにした。同会議には、漁業関係者、環境保護団体をはじめ様々な分野から参加しているが、新組織は学識経験者だけで構成される見通し。知事は「行政が主体的に取り組むことが重要」と説明している。

 同会議は、堂本暁子前知事が2002年1月に設置した三番瀬再生計画検討会議(円卓会議)の後継組織。三番瀬の「自然環境、再生事業の評価」や「再生、保全、利用に関して知事に意見を述べる」ことなどが役割で、2004年12月に設置された。「三番瀬再生を県民とのパートナーシップのもとに進める」と、学識経験者、地元住民、公募委員、漁業関係者、環境保護団体、産業界の計21人で構成されている。

 ただ、様々な分野の委員がいるため、意見が分かれることも多かった。人工的な干潟の造成や漁場改善のために潮の流れを変える事業などについては、一部の委員に自然環境に手を加えることへの反対が根強く、県三番瀬再生推進室は「市川市で護岸工事が進められているほかは、事業実施前の試験段階にとどまり、再生事業は前に進まなかった」と認める。

 02~07年度には再生事業の調査費などとして約2億2000万円の補助金・交付金を環境省から受けていたが、「今後の再生に向けた具体的なスケジュールが提示できなかったため」(同室)、交付対象から外れた。県議会からは「時間と費用がかかっているのに再生が進んでいない」といった批判が出ていた。

 このため県は、新組織を学識経験者だけで構成するほか、現行の三番瀬再生の事業計画の実施年度は06~10年度の5年間だが、策定中の新事業計画の実施年度は11~13年度の3年間に短縮し、スピードアップも目指す。

 同会議の終了については、懸念の声も出ている。環境保護団体の竹川未喜男委員は「新しい組織に引き継いでいくことを議論せずに、ただ終わるとしたら納得が出来ない。(再生会議は)情報公開や住民参加という千葉方式が原則だった。その大きな枠組みは残すべき」と指摘する。

 県は、「新組織とは別に、住民や漁業関係者など誰でも意見を述べることが出来る場を設けたい」(同室)としている。





ラムサール登録「尚早」の意見書


 船橋漁協海苔研究会など 船橋市漁業協同組合の海苔(のり)研究会(会員6人)と小型底引網漁業研究会(会員11人)が「三番瀬のラムサール条約登録は時期尚早」などとする意見書を船橋市に提出していたことが30日、わかった。市議会一般質問の答弁で市が明らかにした。

 同組合は2008年3月に条約登録促進の決議をしているが、藤代孝七市長は「不安を持っている人が顕在化した。十分な合意形成をはかった上でベストな形で進めたい」と述べた。

 市農水産課によると、海苔研究会は9月22日、小型底引網漁業研究会は11月24日に意見書を提出し、「漁場再生も進めず、青潮被害にも目を向けずにいるラムサール条約登録論には断固反対」などとしている。

 同漁協の大野一敏組合長は「意見書については聞いていない。臨時総会の決議が漁協の公式見解だ」と話している。

────(2010年12月1日 読売新聞)────

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