2010年8月24日火曜日

ハマコー逮捕────       
 政界を去ってからもトラブル続きだった17年間

 いつか、こんな事態になると予想していた関係者は多かった。“ハマコー”こと、元自民党衆院議員の浜田幸一(81)が逮捕された一件だ。暴言とケンカ、果てはラスベガス賭博で議員辞職だったが、政界を去った後も無軌道ぶりは変わっていなかった。

 今回の逮捕容疑は背任。千葉県警によると、ハマコーは05年6月、千葉市稲毛区の産廃処理会社から2億円の融資を受ける際、担保として差し入れた株券を名義変更を理由に一時返還させると、勝手に売却し、同社に貸付金2億円相当の損害を与えた。本人は「答えるつもりはない」と供述を拒否。突っ張っているというから厚顔無恥ぶりには呆れてしまう。

 政界事情に詳しいジャーナリストが言う。「今回のトラブルは以前から流れていたが、慣れっこになっていたのか、ハマコーさんは特段、気にしたふうでもありませんでした。しばらく前に事務所で会うとクーラーをつけず、数キロのダンベルで腕力を鍛えていた。80歳のじいさんにはとても見えないほど元気でした」

 米ラスベガスのカジノで一晩4億円スッたことが原因で議員辞職に追い込まれたが、その後も反省のそぶりはなかった。当時と何も変わっていなかったのだ。 別の政治ジャーナリストはこう語る。「17年前に政界を引退し、後釜を息子の浜田靖一元防衛相に譲った後も、金銭がらみのトラブルは尽きなかったですね。ITベンチャーの未公開株投資に失敗したり、上場会社の三井埠頭の偽造手形乱発事件では手形の裏書などで10億円ともいわれる損を抱えてしまう。不動産では手付けが流れたり、肩入れしたベンチャー会社が上場前に税金滞納で不動産を差し押さえられて上場の話が白紙になるなどアブナイ話はいくつもありました」

 09年1月、ハマコーはとうとう千葉地裁から破産手続き開始の決定を受けている。債務は総額4億7000万円にのぼった。その5年前の04年に3億円近い所得税を納めた千葉県の高額納税者でもあったし、05年には東証マザーズ上場企業の大株主に名を連ねている。モンゴルの鉱山開発にも積極的だったという話もある。カネの出入りが乱暴で激しかったことだけは間違いない。で、「いつか事件化する」とみられていたのだ。

 そんな男が、テレビの政治バラエティー番組でモテはやされ、茶の間の人気者になっていたのだから、恐ろしい国だ。

 自ら「元ヤクザ」と公言してはばからなかった男を使い続け、1カ月約300万円もの出演料を払っていたとされる民放テレビは、ハマコーの信用力や箔付けに協力してきたことなど素知らぬ顔で、逮捕のニュースを流しているが、猛省すべきだ。でないと、また第2のハマコーが出てしまう。

────日刊ゲンダイ2010年8月11日掲載────

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