群馬県長野原町の「八ッ場ダム」建設中止方針を表明した前原国交相に、高山欣也町長らが反対していることに対し、町役場に「早く中止しろ」といった怒りの声が殺到している。
町総務課によると、前原国交相がダム中止を明言して以降、「ダムは中止するべき」との電話が寄せられ、一日中鳴りっ放しの状態という。
24日夕方から25日朝にかけては、抗議などのメールが約500本あり、「パンク状態」(町担当者)。
一方、一連の騒動で注目を浴びたせいか、八ッ場ダムの広報センター「やんば館」も観光客が殺到。連休中は1日の入館者が1000人を超えた日もあったという。
────『中日新聞』9月25日────
社説:八ッ場ダム中止
時代錯誤正す「象徴」に
民主党の政権公約通り前原誠司国土交通相は、群馬県の八ッ場(やんば)ダムの建設中止を表明した。23日に建設予定地を訪ね、意見交換会を開く方針だ。計画から半世紀以上、住民を翻弄(ほんろう)し苦しめてきたことを謝罪するとともに、中止の理由について意を尽くして説き、不安を取り除くのは政治の責任である。そのうえで、時代にあわない大型公共事業への固執がどんな問題を招くかを広く知ってもらい、こうした時代錯誤を終わりにすることをはっきり示す「象徴」としてほしい。
治水と利水を兼ねた八ッ場ダム計画は、1947年の台風による利根川決壊で浮上した。吾妻川沿いの温泉街をはじめ340戸の水没が前提で、首都圏住民のための犠牲を強いられる地元に激しい反対運動が続いた。苦渋の末、地元が同意に傾いたのは90年代に入ってからだ。時間がかかったため事業費は当初の2倍以上の4600億円に膨らんだ。
この間、首都圏の水需要は減少傾向にあり、洪水対策としてのダムの有効性に疑問が示された。しかし、そもそもの目的が疑わしくなり、悪影響が指摘されながら完成した長良川河口堰(ぜき)、諫早湾干拓、岐阜県の徳山ダムを追うように、ダム湖をまたぐ高架道路、移転住民のための用地造成などが進み、ダム本体の着工を残すだけになった。まさに「いったん動き出したら止まらない」大型公共事業の典型である。こうした中で、公共事業の全面的な見直しを政権公約に掲げた民主党が政権を握った。八ッ場は最初の一歩である。
これに対して利水・治水のため建設費を負担してきた1都5県の知事は「何が何でも推進していただきたい」(大澤正明・群馬県知事)などと異論を唱えている。すでに約3200億円を投じており、計画通りならあと約1400億円で完成する。中止の場合は、自治体の負担金約2000億円の返還を迫られ、770億円の生活再建関連事業も必要になるだろう。ダム完成後の維持費(年間10億円弱)を差し引いても数百億円高くつく。単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である。
だが、八ッ場だけの損得を論じても意味はない。全国で計画・建設中の約140のダムをはじめ、多くの公共事業を洗い直し、そこに組み込まれた利権構造の解体に不可欠な社会的コストと考えるべきなのだ。「ダム完成を前提にしてきた生活を脅かす」という住民の不安に最大限応えるべく多額の補償も必要になるが、それも時代錯誤のツケと言える。高くつけばつくほど、二度と過ちは犯さないものである。
────毎日社説 9月23日────
前原国交相はダマされるな!
八ッ場ダム建設中止に怒る
地元民の怪しい声
これは“やらせ”じゃないのか。怪しいにおいがプンプンする。
前原国交相が表明した八ッ場ダム建設中止に対する地元民の反発だ。
23日に行われた大臣視察では地元民が対話をボイコット。テーブルについた県知事、町長、県議らは口々に前原の方針転換を攻め立てた。
大マスコミが騒ぎ立て、前原はいきなり、悪者になっていたが、会場の外では「前原頑張れ」の声も飛んでいたのだ。
群馬県といえば、町議から代議士、知事まで「政治家は自民党にあらずんば人にあらず」というお国柄だ。
町長や県議、知事が前原批判をしても、額面通り、「地元の声」とは受け取れない。
さらに、こんな怪しい話もあるのだ。
「八ッ場ダムの地元には川原湯温泉がある。そこの観光協会会長は今年7月の朝日新聞のインタビューで『大事なのは時間。
生活再建の道筋が早くつくほうが正解なんです。
ダム建設はやめてもかまわない』と明言した。これが大方の声ですよ。
ところが、総選挙以降、この観光協会会長は態度を一変させて、ダム建設推進派に変わった。
裏で仕掛けている人がいるとしか思えない」(地元関係者)
反前原の地元民は「地元に一言も相談せずに中止方針をぶち上げた」と怒っているが、民主党は八ッ場ダム建設中止を堂々とマニフェストにうたっているのだから、「挨拶がねえぞ」と怒るヤクザのイチャモンみたいだ。
こんな屁理屈を知事や町長、地元民代表らがいっせいに口にし、ゴネている。
さて、黒幕は誰なのか。
手がかりになるのが別表だ。
国交省の職員がダム建設を落札している企業37社に52人も天下りしているのだ。
さらに7つの公益法人に25人。随意契約業者へもワンサカ天下っていて、こちらは57社に99人。
合計176人がダムを食い物にしてきたのである。
こうしたダム受注企業の中には自民党に献金しているところもある。
地元民の反発という形で、前原を立ち往生させれば、ダムは存続するし、民主党政権にも打撃になり、一石二鳥。
怪しい思惑が見え隠れする。
こんな芝居に前原はひるんではダメだ。地元民にきっちり生活再建の道筋をつけてやり、明日にでもダム建設はやめればいい。
■八ッ場ダム関連企業への国交省職員の天下り数
◎公益法人
(財)国土技術センター 6
(財)建設物価調査会 2
(財)ダム水源地環境整備センター 4
(財)ダム技術センター 2
(財)水資源協会 3
(財)日本気象協会 6
(社)関東建設弘済会 2
◎落札業者
オオバ 1
地下工業 1
池原工業 2
小田急建設 1
開発コンサルタント 4
一瀬調査設計 1
応用地質 1
オリエンタルコンサルタンツ 1
建成社 1
建設環境研究所 2
建設技術研究所 1
ダイヤコンサルタント 1
千代田コンサルタント 2
テクノプラン 2
東京建設コンサルタント 1
トテック 1
ニュージェック 4
日測 1
横打 1
川崎地質 1
協和補償コンサルタント 1
興亜開発 2
国土環境 2
佐藤鉄工 1
サンコーコンサルタント 1
新構造技術 1
住鉱コンサルタント 1
大日本コンサルタント 1
東武計画 1
日本建設コンサルタント 1
日本振興 2
パシフィックコンサルタンツ 2
東日本旅客鉄道 1
富士通 1
復建調査設計 2
三井共同建設コンサルタント 1
八重洲コンサルタント 1
※公益法人は04年10月現在、落札業者は03~05年の再就職者数
────『日刊ゲンダイ』9月26日号────
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