2010年6月20日日曜日

【2010年6月県議会】
日本共産党 岡田幸子議員
一般質問 1回目の質問(6月4日)

 日本共産党の岡田幸子です。一般質問を行います。

 まずはじめは、知事の政治姿勢についてうかがいます。

 6月2日、鳩山首相が辞任を表明しました。これは、この政権が、労働者派遣法見直しにしても、障害者の応益負担をなくすことにしても、党首と幹事長の「政治とカネ」の疑惑にしても、消費税増税にしても、ことごとく国民の期待を裏切り続け、それが国民の激しい怒りをよんだゆえの、当然の結果です。

 前代未聞の公約破りが、沖縄の米軍普天間基地問題です。民主党政権は、迷走を重ねたあげく、自民党時代の現行案と同じ、辺野古への移設に戻りました。しかし、「国外、最低でも県外」というのが、昨年の総選挙での鳩山党首の明確な約束です。その後鳩山氏は、あれは民主党の公約ではなく「私自身の発言だ」と述べましたが、あまりにも国民を愚弄するものです。党首の選挙中の言明が公約でないという、いったい有権者は何を信じればよいのか判らないではありませんか。同じ政治家として知事はどうお考えですか。お答え下さい。

 4月の県内移設に反対する沖縄県民大会に9万人が参加しました。この琉球新報の号外をご覧下さい。「国外・県外を要求、数万超、民意熱く」の大きな見出しが目に飛び込んできます。沖縄県民の、この燃え立つ思いは、もはや後戻りできません。徳之島の基地反対集会にも1万5千人、人口の6割が参加し、ここでも米軍基地ノーの意思が示されました。世界一危険な普天間基地を受け入れる所は、日本のどこにもないのです。この民意に従うことこそが政治家の務めだと、私は思うのですが、知事の見解をお聞かせ下さい。

 日本共産党の志位委員長は、4月には米国駐日大使と、そして5月にはワシントンに行って米国務省日本部長らと会談し、「唯一の解決の道は無条件撤去しかない」と強く主張しました。それとは対照的に鳩山首相の方は、のこのこ沖縄まで出かけ、日米合意を盾に基地の受け入れを迫りました。海兵隊は日本を守る「抑止力」なんだから、我慢しなさい、と首相は言いましたが、しかし、海兵隊は戦場への「殴りこみ部隊」です。数千人の市民を虐殺したイラク・ファルージャの総攻撃でも最前線にたちました。湾岸戦争やアフガン戦争しかりです。海兵隊は「抑止力」との呪縛をきっぱり断ち切り、無条件撤去を求めて米国と堂々と交渉する、これこそが解決の道です。知事もそう思いませんか、ご答弁下さい。

 後期高齢者医療制度の裏切りも断じて許せません。民主党のマニフェストは、制度を廃止するということでした。連立政権の合意も廃止を掲げました。これで高齢者差別の医療制度がなくなると、誰もが期待したのは当然です。ところが、廃止は2013年まで先送り。国庫補助で新たな負担増を抑えるという約束も反故にされた結果、今年度、千葉県を始め多くのところで保険料が引き上げられました。高すぎる保険料が払えない滞納者は、県内だけでも1万1千人をこえています。これは、高齢者・国民に痛みを押し付ける二重の裏切りだと思いませんか、後期高齢者医療制度を直ちに廃止するよう国に求めるべきです。お答え下さい。

 この間、厚労省の高齢者医療制度改革会議で75歳の区切りを65歳に引き下げて、全員国保に加入させ、現役世代とは「別勘定」とする新制度が検討されています。何のことはない「うば捨て山」の入山年齢の前倒しではありませんか。これでは県民の老後をより一層不安に陥れる制度改悪であり、到底許されないと思いますが、知事は、どうお考えですか。お答えください。

 なぜ民主党政権が、肝心要の問題で、国民の願いに背くのか。それは、この政権が、外交では日米軍事同盟優先、内政では財界の利益優先という、日本の政治の大もとにある、二つの異常なゆがみを正す足場を持たないからです。自民党政治をそのまま引きずっているからです。この点では、乱立する新党も同じ土俵に乗っています。しかし、これでは政治を変革することは出来ません。この「二つの異常」にメスを入れない限り、日本の政治を前に進めることは出来ないのです。日本共産党は、アメリカにも、財界にも言うべきことは堂々と言う、この立場を貫いて、国民の利益最優先で奮闘する決意です。



 次に、県が50億円の補助金を出している茂原のIPSアルファテクノロジをめぐって、今進められている日立グループの大リストラ計画について伺います。
 IPSアルファー社の株式のうち、日立ディスプレイズ社が保有している50%余りの株を、6月30日をもって、パナソニックに譲渡する意向が明らかになりました。
 これにともなって、日立ディスプレイズ社本体から、IPSアルファー社に出向している500人の社員は、日立が新たに作る分割会社を通じて、まるごとパナソニックに売り渡され、今度はパナソニック系列会社の社員として、IPSアルファー社に出向することになります。労働条件も、当面は、労働契約継承法により維持されるものの、パナソニックは残業代などの労働条件が悪いため、ゆくゆくは給与の減額などが懸念されています。
 また、IPSアルファー社には、この500人とは別に日立ディスプレイズの子会社からも、289人が出向しています。これらの社員はいったん解雇となり、IPSアルファー社に転籍させられます。その際、給与は15%カットの上、兵庫県姫路市にある工場への配転が条件とされており、生活への影響は極めて大きなものとなっています。

 こうした事態は、出向した当初には、全く予想もしていなかったことです。社員からは、「父親が週3日通院しており、姫路に行けと言われたら辞めるしかない」「今でも給料が安いのに、15%もカットされたら生活できない」など、悲痛な声が寄せられています。

 日立のリストラ計画はこれだけでは終わりません。

 第2弾のリストラ策として、日立ディスプレイズ社が新しい会社を設立することが、5月にわかりました。現在、働いている約3000人の社員のうち、2000人を新しい会社に移します。53歳以下は出向、54歳以上は転籍です。転籍にともなって、給与は30%カットです。今は、53歳以下の社員も、54歳になれば、同じように転籍となり、30%の給与カットです。54歳と言えば、中学生や高校生の子どもがいる家庭も少なくありません。住宅ローンも残っています。年に200万円も300万円も収入が減って、どうやって生活していけと言うのでしょうか。

 今回の日立グループのリストラ計画は、あまりにも乱暴であり、「法律にも違反するのではないか」との疑いが、強く指摘されています。

 パナソニックに身売りする、500人の社員を受け入れる分割会社は、社員全員がIPSアルファー社に出向することになるため、職業安定法が禁止している労働者供給事業にあたります。また、「54歳になったら全員転籍」と言うやり方は、60歳未満の定年を禁止している高齢者雇用安定法に反します。

 知事、知事は、こうしたやり方について、どう認識していますか。また、県として、事態を正確に掌握し、雇用確保や労働条件の切り下げ・配転の強要などがないよう手立てを講じる必要があると思いますがいかがでしょうか、お答えください。

 私たち日本共産党県議団は、県内有数の企業であり、しかも、県が補助金を支出している企業をめぐって、数千人規模の解雇・転籍、大幅な給与カットが強行されようとしている今回の事態は、労働者の生活と地域経済にとって極めて重大だと考え、県に事態の掌握と必要な手立てを取ることを申し入れました。労働者の生の声も伝えました。それにもかかわらず、県は、今日まで、全く動こうとしていません。

 IPSアルファー社は「地域経済の活性化と雇用の確保」という名目で、県から50億円、茂原市から40億円もの公的補助を受けている企業です。いったい、何のための補助金なのでしょうか。趣旨から外れたIPSへの補助金は、直ちに凍結するべきだと思いますが、いかがでしょうか。知事の見解を伺います。

 今回の大規模なリストラの背景に、自民党政権の下で進められてきた国の規制緩和があります。大企業の利益最優先に、使い捨て労働を可能にし、労働者を売り買いができるようにしてしまいました。この規制緩和は、その後の民主党政権でも改まっていません。労働者を絞り上げながら、株主への配当だけは確保する。今、こうしたやり方への規制がどうしても必要です。法制度をあらため、規制を強化するよう、県として国に求めるべきだと考えますがいかがでしょうか。

 次に、特別支援学校の過密化問題について伺います。

 障害のある子どもたちが、持てる能力を最大限に発揮できるようにするため、一人ひとりの特性に応じた支援と教育を保障することは当然のことです。しかし、近年、支援を必要とする児童生徒の増加により、特別支援学校の過密化が全国的にも大きな問題になっています。 

 全国調査によると、千葉県の特別支援学校の教室不足は、259で、全国ワースト2位です。その結果、例えば、富里特別支援学校では、生徒数が増えているのに、増築されないために、理科室、被服室、図書室、教材室などを次々につぶして、普通教室に変えてきました。今年度はとうとう音楽室も普通教室になり、音楽の授業は、体育館や教室で行わざるを得ず「大きな声で歌ってはいけません。太鼓を思いきりたたいてはいけません」と先生は言います。これが、音楽の授業と言えるでしょうか。また、雨の日は体育館もいっぱいで、廊下がグランド代わりです。狭い校内をぶつかりあいながら、危険と隣り合わせで授業が行われているのが実態で、「パニックや小さな怪我は日常茶飯事ですよ」と言う先生の訴えに胸が痛みました。障害を持つ子どもたちには、障害や困難に即した教育条件の整備が必要なのに、これで本当に一人ひとりの子どもたちに合った特別支援教育が尽くされていると言えるのでしょうか。教室不足や過密の実態をどう受けとめているのか伺います。

 この過密化を直ちに解消する。県は、その責任を果たすべきです。これを指摘すると県は、「分校・分教室の設置を進めている」と言います。しかし、その中身はと言えば、現在中学校の特別支援学級などで学んでいる、自力で通学できる、軽度な生徒の高等教育の場であり、特別支援学校に通う重度の子どもを対象にしたものではありません。もちろん軽度の障害を持つ生徒の学びの場を保障することは大事ですが、特別支援学校そのものの過密解消にはつながっていません。特別支援学校の生徒は、この5年間で838人も増えています。これは本来なら、毎年1校ずつ学校を増やすべきところですが、千葉県は平成8年に流山高等学園を作って以来、14年間も特別支援学校の新設はしていません。プレハブやわずかの増築で凌いでいるところです。

 重度のお子さんが通う特別支援学校の過密化や教室不足を、直ちに解消するための手立てを講じるべきではないでしょうか。現場からも、過密解消の「方向性が見えない」との声があがっています。検討会を設置するなどして、整備方針を作るべきであると考えますがいかがでしょうか。

 本気になって特別支援学校の過密化を解消するためには、学校そのものを新設することだと考えます。全国でも同じように、生徒が増え続けていますが、学校を新設する方向で対策が進められています。埼玉県では、教育長が議会で「早期に教室不足が解消できるよう検討を進める」とはっきり答弁し、県の東西南北に特別支援学校の建設を進めています。その他この2年間で、茨城県でも、東京都でも、神奈川県でも新設の学校を作っています。

 現場の関係者も「障害の種別も程度も一人ずつみんな違う。だから、学校の規模を100人から150人に抑えないと、一人ひとりに寄り添った教育は出来ないのです。」と言っています。しかし、今では200人を上回る子どもたちが詰め込まれているのが千葉県の現状です。千葉県も、新設校を作り、特別支援学校の大規模化と、教室不足の解消を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

 なぜ、小中学校や県立高校では考えられないような教室不足や過密化がおき、放置されるのでしょうか。それは、特別支援学校については、設置基準というものが、国にも県にもないからです。だから、教室の面積も学校によって、ばらばらなのです。また、音楽室や作業室などのような、特別教室の設置も義務付けがないために、普通教室に転用されて、無くなってしまっても、問題にもならないのです。特別支援学校の設置基準を国に作るよう申し入れるとともに、県としても、独自基準を作る必要があると考えますが、いかがでしょうか。


 次に、一連の不正経理問題について伺います。

 今議会冒頭、特別委員会の「調査結果報告」が了承されましたが、その「報告書」の中にも、「県の調査結果について『不十分である。』との意見があった」と、わざわざ指摘されているように、県の調査結果は、とうてい県民の納得を得られるものではありません。

 事実、1997年に寄せられた内部告発の文書に、生々しく記載されていた、幹部職員の飲食や接待の実態、巨額のプール金に象徴される業者との長年にわたる癒着の実態、等々、不正経理問題の本丸とも言える部分については、ついに未解明のままです。また、特別委員会では、知事自身を含めた幹部職員などの、重要な参考人からの聴取も実現しませんでした。

 そこで伺いますが、知事は、これで県民に納得いただけるような、また、再発を防止するための十分な解明ができたとお考えでしょうか。私は、少なくとも知事は、自ら積極的に特別委員会に出席をして、自らの考えを述べるべきだったと思いますが、いかがでしょうか。同時に、知事の責任において、幹部職員を特別委員会に出席させ、証言させるべきだったのではありませんか。それぞれ、お答えください。

 不正経理の背景に「不正」とわかっていながら、それを正すことができない「もの言えぬ職場」、非民主的な職場の実態があると言わなければなりません。だからこそ、これだけ重大問題になり、県民から厳しい批判を浴びている、その最中に46機関、のべ57件の不正経理が繰り返されていたことが発覚をし、21年度監査で厳しい指摘を受けました。

 さらに今回、安房地域整備センターなどで、工事遅延に伴う不正な経理処理が行われていたことも発覚しました。

 「森田県政のもとでは、こうした不正は、決して許さないし、決してやらせない」と、豪語してきたにもかかわらず、森田知事のもとでも、こうしたことが繰り返される。いったいなぜだと、知事は考えられますか。知事の下でおきた、これら一連の「不正経理」に、知事はどのような責任を感じているのでしょうか。さらに、先般の知事自身への処分については、これら新たに発覚した事態は、反映されていません。新たな事態を受けて、知事自身の処分について、当然、再検討が求められますが、どのようにお考えでしょうか、お答えください。

 不正経理問題の処理にあたって、最大の眼目は、なんと言っても万全な再発防止策の確立です。ところが、職員処分に絡んで、ある出先機関で、幹部職員の返還金を部下に半強制的にカンパをさせるという、信じられないことが行われていると、わが党に、内部告発が寄せられました。事実だとすれば許しがたいことです。

「上には逆らえない」という「もの言えぬ職場」の環境、不正経理の温床は、何一つ変わっていないことを示すものです、

 「調査結果報告」には、再発防止策として「もの言える風通しの良い職場づくりを行うこと。また、上司に対する意見具申制度や職員が感じていること、改善策等を提案できる場を創設すること」などの提言が盛り込まれました。

 知事、知事はこの民主的な職場づくりの提言をどのように受け止めていますか。また、現在まで、具体的にどのような改善策がされていますか。お答えください。


 最後に地元市川の赤レンガ建物について伺います。

 市川市国府台の旧千葉県血清研究所跡地には、旧陸軍の赤レンガの建物があります。これから、土壌調査が始まるとのことですが、広範な市民のみなさんや、建築家、歴史学者の方々から、「赤レンガの建物を解体することなく、歴史的、文化的建物として保存し、活用できるよう県としても取り計らってほしい。」との声が上がっています。

 今年2月6日には200名以上の参加で「赤レンガを生かす会」が発足し、その時のシンポジウムでも「この建物は、明治37年建造と言う、県内最古の赤レンガ建築であり、軍都であった、市川市の唯一残る軍の歴史的遺物であること。また、大震災を経ながら、亀裂もなく、保存状態が良く、環境を保ちながら復元や有効利用が十分可能であること」が確認されました。

 今後の利用に関しては、懇談を重ねるなど市民の声を聞き、有効利用が図れるように、県としても努力をするべきだと考えますが、いかがでしょうか。また、土壌調査の結果をふまえて、登録文化財として登録できるかどうかも含めて、必要な調査を行うよう求めますが、考えをうかがいます。 

 以上で、1回目の質問を終わります。

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