2010年2月16日火曜日

千葉
  県費50億円が回収不能
     かずさ破たんで債権者説明会

 今月25日に民事再生法の適用を千葉地裁に申請した第三セクターかずさアカデミアパーク(木更津市、相原茂雄社長)は28日、千葉市内のホールで債権者説明会を開き、同社再生のスキームなどを説明した。
 50万円までの債権は弁済するものの、50万円を超えた分は9割程度の大幅カットとなることを示唆。現在の株式も無価値になる。
 これにより県の出資金35億円は消滅し、直接貸し付けの約16億4千万円のほとんどを合わせた約50億円の県費が回収不能となる見通しだ。

 説明会には全債権者406社のうち82社110人が出席。冒頭、相原社長が「心からおわび申し上げる」と陳謝し、担当弁護士が再生スキームを説明した。 
 それによると、6~7月にホテル運営を引き継ぐスポンサー企業を決定。スポンサーからの出資を原資に債権者に弁済する。これら再生計画案は県や地元4市で議決を得ると共に、金融機関に対しホテルの抵当権を抹消してもらうべく交渉するため、決定は11~12月になるという。

 債権の弁済については、今月25日以降の債権は全額弁済。24日以前の債権で50万円(消費税込み)までは2月22日に弁済するが、50万円を超えた分の債権は大幅にカットを求めた上で再生計画決定後に弁済する。このため、同社は50万円を超えた分について債権放棄することも要請している。

    ────千葉日報1/29────


50万円以下 全額弁済へ
  アカデミアパーク問題 債権者説明会


 『再建後は新経営陣で』約80社が出席したかずさアカデミアパークの債権者説明会=千葉市で 県や木更津市などが出資する第三セクター「かずさアカデミアパーク」が民事再生法の適用を申請した問題で、同社は二十八日、千葉市内で債権者説明会を開き、五十万円以下の少額債権は全額弁済する方針を示した。五十万円超の債権は五十万円を弁済した上で、超過分を減額するという。 (小林孝一郎)
 説明会には約八十社が出席。同社の説明によると、弁済の対象となるのは、同社が再生法の適用を申請した二十五日より前の取引で発生した債権。少額債権は来月下旬にも弁済する予定で、五十万円超の債権は再生計画が確定してからの弁済になるという。
 債権者からは、継続する事業の内容や、債権の減額率などに関する質問のほか、現経営陣の責任を問う声も上がった。相原茂雄社長は「再建後は新スポンサーの下で新たな経営陣が就任し、私たちは辞める」と答えた。
 説明会後、木更津市内の会社の男性会長(68)は「(債権が五十万円以下で)全額返済してもらえるのは良かった。夏ごろから支払いが滞り、何かあるとは思ったが…」と複雑な表情。船橋市内の会社の男性は「(民事再生は)新聞で知った。昨年から得意先がいくつか廃業しているし、この景気の悪さでは仕方ない」とサバサバした表情で話していた。

◆森田知事 企業誘致への悪影響否定 森田健作知事は二十八日の定例記者会見で、県が約36%を出資する「かずさアカデミアパーク」の民事再生について、「なんとか再生に向けて頑張ってほしい。県のできることは応援していきたい」と話した。
 同社が業務を行っていた研究開発地区「かずさアカデミアパーク」(二百七十八ヘクタール)では、県や木更津市などが企業誘致に力を入れていた。同社の経営難について、森田知事は「(当初は東京湾)アクアラインをうまく活用していこうという話だった。アクアライン(の通行料)が高すぎたのも一つの要因」と持論を展開した。
 昨年八月からの社会実験でアクアラインの通行料が値下げされたため、県などは企業誘致の追い風にしたい考え。今回の民事再生でイメージの悪化が懸念されるが、森田知事は「企業誘致はすぐに結果は出ないが、少しずつ芽は出てきた。問い合わせは増えている」と悪影響を否定し、今後に自信ものぞかせた。
 ただ、筆頭株主としての県の責任を報道陣から問われると、「民事再生を決断したのは会社。県が決定したわけじゃない」「おのおのが考えること」などと、ちぐはぐな答えに終始した。
 県かずさアカデミアパーク推進室によると、県は同社設立時の一九九一年に三十五億円を出資したほか、二〇〇六年度以降を中心に計約十七億四千万円を融資。同社が銀行など民間金融機関から借り入れた約二十四億四千万円のうち、県は今月末現在で約七億七千万円分の信用保証を請け負っているという。 

  ────(小林孝一郎)東京1/29────

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