一、千葉県庁で明らかになった30億円にのぼる全国最大規模の不正経理問題で、本日、千葉県議会全員協議会がひらかれた。この問題は、県民の大きな怒りと不信をまきおこしており、日本共産党は、県当局にたいして、猛省を促すとともに、全容解明と再発防止を求めて厳しく質した。しかしながら県は「長年の慣行」や「自浄作用の働かなかった土壌」には言及したものの、それを生んだ背景を直視しない不十分なものであった。これでは県民の怒りにこたえ、不信を払拭するものとは言えない。
二、この不正経理問題は、組織的かつ長期にわたるものであり、県庁全体におよんでいるが、今回、調査対象となったのは、2003年度から2007年度の消耗品費の支出65億円であり、2002年度以前の分や消耗品以外の支出については調査されていない。1兆6千億円という県の一般会計予算のごく一部にすぎないものである。わが党は、県の歳出全体を総点検し、その全容を明らかにすることなしに、県民からの信頼回復も、再発防止もあり得ない、と考える。
三、県庁全体が、このような不正経理は二度と許さない、との強い決意のもと、再発防止に万全を期すべきことは言うまでもない。そのために職員の規範意識の確立は当然のことではあるが、とりわけ幹部職員の責任は極めて重いものがある。わが党は、本日の県議会全員協議会でも、担当職員だけの判断で不正経理が行えたはずはなく、県庁幹部職員がどう関与したのか、明らかにするよう要求したが、県の答弁は、職員の意識の問題に触れるだけで、県庁幹部の特別の責任をあいまいにするものだった。
こうした姿勢を改めてこそ、再発防止への道が切りひらかれる。同時に、現在の会計処理システムを抜本的に見直し、二度と不正経理を起こさない仕組みを構築することが必要である。
四、知事が今回の不正経理問題解明の先頭に立つのは当然であるが、そのためにも、この間、大きな批判をあびている「違法献金」「迂回献金」など森田知事自身の疑惑を明らかにすることが欠かせない。知事が自らの疑惑を曖昧にしたままでは「膿を出して再出発する」ことも、県民の信頼を回復することもできない。
五、行政のチェック機能を果たすべき県議会が、そのイニシアチブを発揮し、県民の負託に応えることが求められている。日本共産党は、証人喚問など強力な調査権限を持つ百条調査委員会の設置をはじめとして、他の会派とも共同・協力しながら徹底究明と再発防止に全力をあげるものである。
内部調査着手後も不正
県庁 深い病巣
2008年度にも約8000万円の不正経理が明るみに出た18日の県議会全員協議会。この問題で県が内部調査に着手した昨年10月以降も、ルールを逸脱した経理が続いていたことが発覚するなど、県庁全体を覆う病巣の深さを改めて浮き彫りにした。
07年度までの5年間で約30億円に上る県の不正経理。約8000万円に上る新たな不正は、08年度の定期監査結果として、県の袴田哲也代表監査委員が報告した。ただ、業者からの聞き取りなどは行っておらず、総務部内のプロジェクトチームが引き続き実施する調査により、「不正額はさらに膨らむ可能性が高い」(関係者)とみられる。
会計検査院は昨年10月、12道府県で国の補助金利用に問題があったと指摘。これを踏まえて国土交通省は翌11月、再発防止の徹底を求める通達を県土整備部にも出したが、橋場克司部長は「その後も行われていた」と不正が続いていたことを認め、「大変に遺憾で申し訳ない」と陳謝した。
また、業者へのプール金4億1800万円のうち、12部署で残高が1000万円以上あったことも分かった。いずれも国の補助金を多く扱う県土整備部(県土整備政策課、道路整備課、道路環境課、河川整備課、河川環境課、住宅課、下水道課、技術管理課、安房地域整備センター)と農林水産部(耕地課、森林課、漁港課)に集中していた。
プール金から手数料を取っていた業者の責任を問う質問も複数あったが、小宮大一郎総務部長は「業者には『調査以外に使用しない、公表しない』ことを条件に、帳簿の提出と調査への協力を依頼した。業者側にも一定の責任があるが、一義的な責任は県職員が負うべきだ」と理解を求めた。
一方、森田知事は再発防止策として、18日から納品書添付を義務付けるとともに、新たに納品確認の担当者を各部署に置いたことなどを明らかにした。
────2009年9月19日 読売新聞────
プール金 香典・送別会費用に
県職員が各部署で管理していたプール金を使い、県議の香典や職場の送別会費用などに充てていたことが18日、分かった。県議会の市民ネット・社民・無所属の4議員が18日、県から提出を受けた通帳の写しを記者会見で明らかにした。 通帳は、総合企画、健康福祉、環境生活各部の計9冊分。古いものは1989年度分からあり、出金内容の一部が、通帳にメモ書きで残されていた。具体的には「県議の香典1万円」(廃棄物指導課)、「船橋市送別会1万500円」(同)、「クッキー6万8000円」(児童家庭課)などがあった。使途が明記されていない出金も多数あった。 庁舎内のプール金のうち通帳管理分は1266万3634円に上り、このうち9割以上が県土整備、農林水産両部であることが判明しているが、県が公表した通帳に両部は含まれていなかった。県は「私的流用につながる疑いがあり、調査中だ」として公表を拒んでいる。
────読売9/19────
県不正経理 業者の責任問う声も相次ぐ
県の不正経理問題を巡って18日にあった県議会全員協議会で、県の監査委員は、08年度の不正経理額を新たに明らかにした。また以前、内部告発の文書が届けられたが、県が調査していなかったことも分かった。
森田知事は「県民、議員の皆様にあらためてお詫び申し上げる」と陳謝し、再発防止策として、知事直轄のコンプライアンス担当組織や監察組織を設置し、年度ごとに調査や職員の研修を実施することなどを挙げた。また同日から、納品書の受け取り、保管を義務づけたことなどを報告した。「県庁の土壌にメスを入れる。膿を出し切る」と決意を表明した。さらに全員協議会で、議員の質問により、幾つかの新たな事実が判明した。プール金が1千万円以上あったのは農林水産部と県土整備部の計12部署だった。
また、プール金の総額は、03年度当初に3億4500万円だったが、06年度末に4億9400万円まで増加し、現在は4億1800万円となっているという。「生え抜き」の石渡哲彦副知事に対して「以前から知っていたのか」「(県職員が県職員を接待する)県の接待費にも使われていたのでは」との質問があった。石渡副知事は「今回の調査まで知らなかった。県、県接待の存在は否定はできない」と話した。
また、97年に匿名の内部告発文書が県や政党などに届けられたものの、県が調査をしなかったことも判明した。告発は県のさまざまな部署で「空伝票による裏金づくり」が行われているという内容。議会で共産党が当時の沼田武知事に問いただしたが、文書が匿名であったことなどを理由に調査しないと答えたという。各会派からは業者の責任を問う声もあり、業者名公表などを求める声も上がった。森田知事は全員協議会後、「県職員と業者とのパワーバランスもあると思う。外部委員の先生の意見を聞きながら考えたい」と話した。
────朝日9月20日────
県不正経理:昨年度も8000万円
うち350万円は使途不明金/千葉
県庁で発覚した計約30億円(03~07年度)の不正経理問題で、08年度も約8000万円の不正経理があったことが分かった。監査委員が18日、県議会全員協議会で明らかにした。 監査委員は定期監査の一環で、全部署を対象に消耗品費約10億円分を調査。うち約8000万円が「預け」などの不正経理で、約350万円は私的流用の疑いもある「使途不明金」だったという。県費詐取容疑で職員が逮捕された事件を受け、業者から帳簿の提出を求める監査方法に切り替えていた。25日に詳細を明らかにする。
森田健作知事は「こういうことを二度と起こさないと決意を新たにしたい」と話した。 不正経理問題を受け、民主党県議団は18日、「情報提供窓口」(ファクス043・302・7720)を設置した。県議会の市民ネット・社民・無所属は「議会への資料提供拒否があった」として森田知事に抗議文を提出。共産党県議団も「県当局に猛省をうながす」との声明を出した。
────【倉田陶子】毎日9月20日────
千葉 「後始末」課題多く 県不正経理
不正経理の総額は03~07年度に30億円、08年度も8千万円――。県が「慣例」として長年続けてきた経理の実態が次々に明るみに出ている。県は、1億1千万円に上る使途不明金は、職員らに返還させる方針だ。ただ、業者に今も管理されている「プール金」回収の進め方や、不正経理に絡む情報公開のあり方など、今後の課題も少なくない。(安原裕人)
問題の発覚後、県庁7階の総務課では、職員が苦情の対応に追われている。
「何やっているんだ」「税金を無駄に使うな」……。電話やメールの件数は、これまでに数千件に上る。1億1千万円もの使途不明金や、業者に不正に管理させていた「プール金」に、県民の怒りが爆発した形だ。
プール金で購入された物品の中には、卓球台(北総県民センター海匝事務所、12万9千円)、テニス用ネット(県土整備部亀山・片倉ダム管理事務所、17万4千円)、将棋盤(千葉整備事務所、1512円)などもあった。いずれも福利厚生や娯楽のためだったという。
また、コピー用紙や文房具などに使ったことにして、冷蔵庫、電子レンジ、ホットカーペットなどを買っていた例も見つかった。
県民生活課では、家庭用ゲーム機「プレイステーション2」を3万2千円で購入。県は、青少年へ影響のあるゲームソフトをチェックする目的で使っていた、と説明している。 県庁各部署の金庫から、プール金を還流させたとみられる現金、金券、切手などが合わせて4443万円分見つかっている。
各課の担当者は現金や金券が保管されていることすら知らないケースもあり、ずさんな管理がうかがえる。
ある業者は「プール金から現金を出し、金券に換えて持っていった。県職員が『現金で』というときには一度金券に換えてから再び現金に換えて持っていった」という。 朝日新聞が入手した、金庫に保管されていた通帳の表紙のコピーをみると、課名のほか、代表者名が記載されている。以前の代表者名に横線を引き、その下に新たな代表者名を書き加える形で、5代にわたって担当者が引き継いできたことが見て取れる。ある課では、通帳を2冊、2口座分保管していた。
一方、39業者が今も保管するプール金は4億1758万円。業者の中にはプール金を運転資金に回している例もあり、県は「業者と相談しながら返還してもらう」とし業者への影響も配慮しながら、慎重に回収を進める方針だ。 県は今後、現職やOBの返済額を確定させ、国と補助金の返還などを話し合う。1億1千万円の使途不明金の調査で私的流用などが見つかった場合、免職・停職さらには刑事告訴など、厳しい姿勢で臨む。処分人数は年内に確定させる見込みだという。
また再発防止へ向け、県は18日から、業者からの納品書の受け取り・保管を職員に義務づけた。11月には、再発防止・特別監察の新たな組織を設置する。再発防止策を検証し、毎年度、すべての費目を対象とした調査を抜き打ちで実施するという。問題がみつかった部署については、消耗品などの需用費以外も過去にさかのぼって調査する方針だ。
ただ、県の情報公開の姿勢には批判の声がある。県議会の「市民ネット・社民・無所属」会派は、18日の全員協議会後、県土整備や農林水産の両部に保管してあった預金通帳を開示するよう県に抗議した。同会派は各課で保管していた通帳の開示を求め、一部は開示されたが、両部については「使途不明金などを調査中である」との理由で開示を拒否されたという。
同会派は「知事は『膿を出し切る』というならば、開示するべきだ」としている。朝日9月22
通帳コピー開示要求
市民・社・無 「情報隠ぺい」と批判
県議会の「市民ネット・社民・無所属」は十八日、県庁内で管理していたとみられる不正経理金の通帳のコピーすべてを開示するよう森田知事あてに文書で求めた。
同会派は、県庁内で保管されているとされた約四千四百万円のうち、通帳で管理されている約千二百万円分の資料提供を要求。総合企画部などの通帳九冊が開示されたが、金額の多い農林水産、県土整備の両部分は開示されなかったという。
全員協議会で県側は「職員の処分に関係する」などと非開示の理由を説明。同会派は「すべてのうみを出し切るというなら開示すべきだ。情報の隠ぺいだ」と批判している。
────(小川直人)東京9・20────
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