2009年12月4日金曜日

「千葉県の教育を元気にする有識者会議」
  日本大学の百地章氏の発言におどろく

 「なぜ子供たちの元気がなくなったのか?」その理由を百地章氏は、戦後教育のせいにし、愛国心教育などを主張している。
 しかし、子どもたちが苦しんでいる原因は、財界主導で新自由主義に基づく構造改革を自公政権が強行したからです。
 貧困率15.7%に象徴されるように、格差と貧困が深刻になり、子どもたちの教育を受ける権利までもが侵害されているから“元気がないのではないでしょうか。

 構造改革の急先鋒の
  中谷巌氏と亀井静氏の発言を紹介します。


 “リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった。
 構造改革の急先鋒であった著者が記す「懺悔の書」。いま話題の一橋大学名誉教授・中谷巌氏の著書『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)の帯に書かれているコピーです。”
 また、“亀井(静)氏は(10月)5日、内外ニュースの講演会で、日本経団連の御手洗冨士夫会長と以前会った際に、労働者を大切にする日本的な経営を捨てたとして大企業を批判したことを紹介した。
 「ため込んだ内部留保をそのままにしといて、リストラをやっている。
 人間を人間扱いしないで、自分たちが利益を得る道具として扱っている」と指摘。立件された国内の殺人事件の約半分が、親子や兄弟、夫婦といった親族間で起きていることを引き合いに、経営者側に「責任がある」とした。
 亀井氏は6日の閣議後会見で真意を聞かれた際も、「改革と称する極端な市場原理、市場主義が始まって以来、家族の崩壊、家族間の殺し合いが増えてきた。
 そういう風潮をつくったという意味で、(経団連に)責任がある」と発言を撤回しなかった。”



千葉県の教育を元気にする
  有識者会議第1回「自由討議」
     平成21年9月28日



 ────日本大学 百地章委員の提出資料────

1、なぜ子供たちの元気がなくなったのか?

(1)戦後教育の問題点 …教育荒廃の原因

①「真の人間教育」の不在 →子供たちが「生き甲斐」を喪失し(自分は何のために生まれ、何のために生きているのか分からない)、そのことが子供たちの自堕落や自暴自棄さらには非行化をもたらした
②「伝統」の否定・軽視、自虐史観 →郷土愛や日本人としての誇り・自信を喪失・「人格の完成」つまり「抽象的・普遍的な個人としての人間教育」のみを対象とした戦後教育 →「歴史伝統によって育まれる日本人教育・国民教育」の欠如
・それに加えて、偏向した歴史教育 →益々、日本人としての誇りや自信を喪失
③道徳の否定・軽視 →規範意識の喪失、自己中心主義、公共精神や「公」の喪失
・伝統的な道徳の否定・軽視によって、子供たちが「人間としていかに生きるべきか(規範意識)」を正しく教えられないまま成長 →善悪の判断さえつかず、自己中心主義が蔓延、公共精神や「公」の観念が著しく欠如
④「国家」の軽視・否定 →国家意識の欠如、「愛国心」の喪失
・戦後の「国家否定・軽視」の風潮 →国家意識の欠如・希薄化、「愛国心」「国を守る」意識の喪失
・「権力機構としての国家(政府)」と「歴史的・伝統的な国民共同体としての国家」とを区別する必要あり →「愛国心」=「政府」ではなく「歴史的・伝統的な国民共同体としての国家」を愛すること
⑤悪平等主義の蔓延 →正しい競争意識の喪失、エリート教育の否定
・悪平等主義、競争原理の否定 →子供たちから学ぶ意欲や向上心を奪い、エリート教育も否定
・英雄・偉人否定の風潮 →歴史の中に理想的な人間像や尊敬する人物を求め、それに向かって努力するということがなくなってきているのではないか

(2)親自身や教師にも問題あり(教育というものに対する信念や自信を喪失)

①戦後教育を受けて育ってきた親や教師 →「親教育」(親学)「教師教育」(師範塾)の必要性
・親自身、教師自身が子供をどのように教育したら良いのか分からなくなってきているのでは?
・モンスター・ペアレントの出現 →学校や教師はますます適切な対応ができないことに

(3)教育・社会環境の変化・劣化

2、千葉県の教育を元気にし、子供たちに元気を出させる教育とするためには?

(1)基本的な考え方として …教育の理念、教育内容

・「真の人間教育」→「生きる」ことの意味を教え、生甲斐と自信を持って生きさせるようにすること
・「真の日本人教育」→日本人としての自信と誇りを回復させること
→これによって子供たちが「元気と活力」を取り戻し、国際化時代に逞しく生きていく力を養うことが可能となるのではないか?

(2)アメリカとイギリスの「教育改革」に学ぶ

①アメリカの教育改革 …「自由放任教育」への反省から「ゼロ・トレランス」「バック・トゥー・ザ・ベイシス」へ
・1960年代から1970年代 …「学校の自由化、人間化、社会化」の名の下に、伝統的な管理体制に縛られない自由な教育 →学校から規律が失われ、教育が荒廃、犯罪の横行や学力の著しい低下

・1980年代、レーガン政権時代から始まった「ゼロ・トレランス」(寛容なしの厳しい指導)、「バック・トゥー・ザ・ベイシス」(教育の基本に帰れ)→学校には規律・秩序が戻り、教育も正常化
子供たちの学力は向上し、厳しい規律の中でむしろ自由で伸び伸びと明るい学校生活を送ることに
・厳格なピューリタンの古き良き伝統への回帰、かつての日本の教育(規律性、高い学力水準)を模範に
②イギリスの「教育改革」…1944年教育法から1988年教育改革法(サッチャー改革)へ
・1944年教育法 …「子供中心」の教育、自国に対する自信を喪失させる偏向教育、教育内容は教師の自主性に委ねられた →学力の低下、イギリス国民としての誇りを失った若者たちが増加
・1988年教育改革法 …イギリス国民としての誇りの回復(愛国心教育)、宗教教育の必修化(伝統教・道徳教育)、学校教育に対する国家の責任と権限の明確化 →イギリス病の克服(自国に対する誇りの回復、学力の向上等)

(3)「新教育基本法」(平成18年)および「新学習指導要領」(小中学校、平成20年、高等学校、平成21年)を踏まえた教育を

①真の人間教育、道徳教育 →人間としての「生き方」と「生き甲斐」、豊かな情操と道徳心(善悪の判断、自己の欲望の制御、「公」意識・公共精神の養成等)の涵養を
・新教育基本法 …「公共の精神を尊び」(前文)「豊かな情操と道徳心を培う」(第2条第1号)
・新学習指導要領 …「人間としての在り方生き方に関する教育」「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を重視」「全教師が協力して道徳教育を展開する」(高等学校)
②真の日本人教育・国民教育、伝統文化統育 →自国の伝統と文化に対する自信と誇り、日本人としての自覚を
・新教育基本法 …「伝統を継承し」(前文)「心身ともに健康な国民の育成」(第1条)、「伝統と文化を尊重し」(第2条5号)
・新学習指導要領 …「主体性のある日本人を育成」「神話・伝承などの読み聞かせ」「天皇についての理解」(小学校)「日本国民としての必要な自覚と資質を養う」(高等学校)
③郷土愛と愛国心教育 →郷土愛の育成と正しい「国民意識」「国家意識」の確立を
・新教育基本法 …「我が国と郷土を愛する」教育(第2条5号)
・新学習指導要領 …「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるように指導」(小学校)
④確かな学力と体力の向上を

(4)「千葉県教育の戦略的ビジョン」を基盤とする「千葉県教育振興基本計画」の策定を

①新教育基本法=政府が「教育振興基本計画」を作成 →これを参酌して、各地方公共団体は地域の実情に応じた「教育振興基本計画」を定めるよう努めなければならない(新教育基本法17条)
②新教育基本法や新学習指導要領さらに政府の「教育振興基本計画」を踏まえ、県民の希望に沿った「千葉県教育の戦略的ビジョン」と「千葉県教育振興基本計画」の策定を
〔政府の「教育振興基本計画」…重点的取り組み事項から〕
ⅰ)確かな学力の保証 …基礎的・基本的な知識・技能の習得や思考力・判断力・表現力等の育成などを通じ「確かな学力」を養うとともに、「生きる力」を育成する。学力調査による検証
ⅱ)道徳教育や伝統・文化に関する教育、体験活動等の推進
・道徳教育について、新学習指導要領に基づき、充実強化を図る
・新学習指導要領に基づき、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する教育を推進する
ⅲ)体力向上に向けた方策の推進
ⅳ)いじめ、暴力行為、不登校、少年非行、自殺等に対する取り組みの推進

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