2009年12月22日火曜日

森田健作知事は12月18日、
  千葉県職員による巨額不正経理問題で、
   県当局が進めていた不正経理の
      追加調査結果を発表した。

 ここ数日のマスコミ報道を下記に記します。 
 次回は、90年代の内部告発について報道します。



千葉 13年前の内部告発黙殺
   県不正経理「うみを出していれば」


 総額36億円を超える不正経理が明らかになり、2200人余りの処分者を出した千葉県。調査中、約13年前の内部告発が黙殺されていた事実が明るみに出た。「あの時にうみを出し切れていたなら…」。県幹部は悔しさをにじませた。
 「公費の乱用、使い込みの手口は各県と同じ。旅費、時間外、物件購入のカラ伝票を切り、裏金をつくります」
 11月下旬。不正経理を調べる県議会の特別委員会で、1997年初めに内部告発する文書が県に寄せられたことが明らかにされた。告発人が匿名だったことを理由に県は調査を見送っていた。不正が漫然と放置され続けたことに、委員たちは言葉を失った。
 調査は県庁の全部署で行われた。「『差し替え』したことを覚えているか」。同時期、副課長の一人が部下の経理担当者を呼び出し、県の伝票と業者の帳簿との食い違いを問いただした。1件でも“自白”すれば、担当者だけでなく、決裁した課長、副課長も処分する徹底ぶりだった。
 不正とみなされたら、管理職は自ら判を押していない「代理決裁」でも処分対象に。幹部の一人は「『疑わしきも罰する』雰囲気だ」と漏らす。
 別の幹部は振り返る。「かつて官官接待が問題になったが、県は『ない』と言って終わらせてしまった。それが今回の遠因だ」

    ────千葉日報12/19────




千葉 戒告で昇進見送りも
   OB次第で現役に負担増
     堂本前知事は1000万円返還


 「家のローンは当然影響が出る。借金するしかない」。自ら不正にかかわったわけではないだけに、男性副課長はいらだった。男性部長も「戒告とは職員に冷たいと思ったが、管理者としてはしょうがない」と肩を落とした。
 今回の不祥事を受けて県は2003年度から08年度まで課長級以上の職員391人を組織責任があるとして、公金に手を付け手土産代や懇談会などに充てた“実行犯”ら職員44人と同じ戒告処分とした。県総務課によると、戒告処分となると、その年の昇給は4分の3ほどに、ボーナスも部長級で約20万円、課長級で約10万円減る。昇進も見送られるケースもある。
 さらに総額約9億円の返還金については、仮称職員返還会を設置。個人や各所属で行われた不正の返還額を除く8億2700万円については業者からのプール金(4億1800万円)が返還されないと、現職・元職の職員が全額負担する。現役職員は計3億7800万円を来年度末までに返還。OBには最大計4億4900万円を12年度末までに返還を求めるという。
 ただ、プール金はすでに5600万円が返済不能と見込まれ2億1600万円も交渉中。OBが返済を拒んだ分については、11年4月から、その時点のポストに応じて毎月給与が天引き(部長級1万2500円、次長級1万円、課長級7500円、主幹級2500円)されるポストリレー方式を導入した。
 総務課は「ポストリレーは5年程度にしたいが、OBや業者の返還状況により長くなる」と説明。男性部長は「ポストリレーでOBさんが返してくれないと、現役世代は戒告と返済のダブルパンチで苦しむ」とOBに返還を懇願する。
 小宮大一郎総務部長は、堂本暁子前知事は1千万円の返還金について応諾していると説明。元部長の一人も「(不正経理は)知らなかったが『払ってくれ』と言われれば払う」としつつ、「職員の倫理観が緩んだ面は否めないが“差し替え”などの不正経理の手口は現行の会計制度ではまた起こるのでは」と警鐘を鳴らした。

    ────千葉日報12/19────




千葉 不正経理2245人処分
  県職員9億円返還へ
      追加調査で新たに7億円


 県職員による巨額不正経理問題で、森田健作知事は18日、県当局が進めていた不正経理の追加調査結果を発表し、2008年度までの6年間で、新たに計約7億円の不正経理が見つかり、不正総額は約36億6千万円に膨らんだことを明らかにした。また一般職員や県立学校職員ら計2245人を大量処分するとともに、県の損害金を約9億円と推計し、OBを含む職員に全額を返還させる方針を決定したと発表した。
 追加調査の結果、08年度の需用費(消耗品など)で3億1千万円分の不正経理が判明。また需用費以外では、業務委託料や金券類(有料道路回数券など)で6千万円分、14課が保有していた預金通帳(20冊分)の5千万円分の入金の経緯が不透明として不正と認定した。
 また県立学校159校のの需用費(03~08年度分)を調べたところ、高校104校と特別支援学校22校の計126校で、計2億7千万円の不正経理が見つかった。
 不正経理による処分対象者は本庁で計1783人に上り、課長級以上の幹部職員全員を監督責任などを理由に処分した。処分者の内訳は部長級35人、次長級135人、課長級269人、主査級289人、副主査級以下1055人。このうち戒告などの懲戒処分は445人に上り、私的流用など極めて悪質だった4人(逮捕者1人を含む)を懲戒免職としたほか、1人を6カ月の停職とした。
 森田知事は減給10分の3-3カ月、副知事や教育長などその他の特別職は10分の1-1カ月を減給または自主返納とする処分とした。
 県立学校の処分は、校長107人、事務長127人、経理担当者228人の計462人を数えた。
 記者会見前に開かれた同日の県議会全員協議会で、追加調査結果を報告した森田知事は「コンプライアンス(法令順守)意識の欠如に加え、県庁全体で長年の慣習や前例踏襲によって、組織的に不正経理が行われていたことがあらためて明らかになった。こうした実態とともに、度重なる職員の逮捕について重ねて県民の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。

    ────千葉日報12/19────




2245人処分 「膿出し切る」
    県不正経理総額36億に


 県の不正経理の総額は36億6100万円に膨れ上がり、この問題では全国最大規模の2245人の職員を処分する事態に発展した。県庁への信頼を大きく揺るがした前代未聞の不祥事。県は追加調査の結果、職員4人を業務上横領などの容疑で告訴するなどしたが、「膿(うみ)を出し切る」(森田知事)までには、まだ解明すべき点が残されている。
 「県庁職員が一丸となって、頑張って仕事をする。そして県民の皆様の信頼を取り戻す」。森田知事は18日の記者会見で改めて陳謝し、9月9日の会見に引き続き頭を下げた。
 従来の調査は、2007年度まで5年間の事務用品費などの「需用費」を対象としていたが、今回は同期間の旅費、賃金、業務委託料などの抽出調査を追加し、08年度分の各費目も対象とした。また、県立学校についても、08年度まで6年間の経理を調べた。
 その結果、08年度分の需用費は396部署のうち、305部署で3億1200万円の不正が発覚。業務委託料については、年度内に納入したと偽る「翌年度納入」の手口による5600万円の不正が判明した。また、預金通帳を用意して不正に現金を管理していたケースが14の課や出先事務所であり、通帳20冊分、総額5200万円だった。カラ出張、カラ雇用による裏金は確認されなかった。
 一方、県立学校は159校のうち、104の高校と22の特別支援学校で「翌年度納入」「預け」などの手口による総額2億7200万円の不正が明らかになった。業者に預けた「プール金」は253万円あったが、業務以外の用途に使った悪質事例はなかったという。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉県 4人懲戒免 私的流用も

 
 一連の不正経理問題で処分対象の職員は知事部局など1783人(うち懲戒処分は445人)、県立学校462人。一度にこれだけ大規模の処分者が出るのは、県政史上初めてだ。
 懲戒免職となったのは、環境政策課の高橋義詔副主幹(46)(業務上横領罪で起訴)、山武農林振興センターの藤下義巳副主幹(49)、知事室の稲田隆司副主査(37)、健康福祉政策課の砂生正晴主査(44)の4人。
 県の発表によると、高橋被告を除く3人は、過去に所属した部署で経理を扱う立場におり、不正にかかわった。
 業者に納品させたプラズマテレビなど二十数点(約400万円相当)の電化製品を自宅に持ち帰ったり、150万円分の図書カードを着服したりするなどしていた。3人は私的流用を認めているという。
 別の職員1人も、業者から納入させた商品券などを現金化し、数百万円の使途不明金に関与しているとしたが、この職員は「(現金化した金は)組織運営に充てた」とし、私的流用を否定しているという。
 県は、これら4人を18日付で業務上横領などの容疑で県警に告訴した。私的流用を否定する1人については、県警の判断を待って行政処分を検討する。
 特別職の処分では、減給10分の3(3か月)とした森田知事のほか、2人の副知事が減給10分の1(1か月)、教育長、公営企業管理者、代表監査委員は給料の10分の1を1か月分自主返納するとした。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉 損害9億 管理職に返還要求へ


 不正経理による県の損害額について、県は9億500万円と算定し、不正経理が判明した08年度までの6年間に在職した管理職(退職者を含む)から返還を求める。18日、職員返還会(代表・石渡哲彦副知事)を設置し、2011年3月末までの返還を目指す。
 1000万円を負担する堂本暁子前知事を含め、対象者は3576人。副知事経験者には300万円、出納長経験者には250万円の負担を求める。その他の負担額は部長級90万円、次長級70万円、課長級50万円、副課長・主幹級12万円。
 一方、県立学校の返還額については1400万円と算定。県と同様に08年度までの6年間で退職者を含む校長、教頭、事務長経験者計925人から返還を求める。返還額は校長2万円、教頭と事務長は1万6000円。
 18日現在、業者の口座にプールされた裏金は40業者に計4億1700万円残っている。県は返還を求めて交渉を始めている。このうち、31業者(計1億4600万円)については返還に前向きで、7業者(計2億1600万円)は交渉中。残る2業者(計5600万円)は、業者が既に倒産などしており、返還は不可能と判断した。この分は県職員で穴埋めする。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉 全容解明へ調査に余地


 県の不正経理の追加調査は、調査対象を広げるなどしたものの、不正の全容を解明するという点では不十分と言わざるを得ない。
 2000人を超える処分者を出し、沈痛な面持ちで頭を下げる森田知事ら(県庁で)記者会見で佐藤忠信行政改革監は、「『上司から指示されて伝票をやむを得ず書いた』という経理担当者もいる」と明らかにした。これまで県は上司の関与について言及していなかった。組織的に不正が行われていた実態を示す重要な証言だが、佐藤行革監は「それがすべて実態を反映するのかはわからない」と言葉を濁した。
 また、2002年度以前の経理に関して、小宮大一郎総務部長は「資料が残っていない」として、調査に消極的だ。不正経理は「長年の慣行」とされるが、いつ頃から始まったのか、職員から具体的な証言は得られていないという。
 県議会の不正経理調査特別委員会では、委員から「印刷・製本費」も不正の温床になりやすいとの指摘があり、県は「調査する」と約束している。まだ調べるべき費目は残っている。「膿を全部出す」。森田知事が再三繰り返し、18日も改めて強調した県民との重い約束。トップの責任でしっかり果たしてほしい。

   ────堀合英峰 2009年12月19日 読売新聞────




千葉 県民の信頼 回復なるか
    不正経理問題追加調査結果


 「県民の信頼を取り戻すため一生懸命やります」-。不正経理問題の追加調査結果と、懲戒免職四人を含む二千人超の職員の処分を発表した十八日の記者会見で、森田健作知事はこう述べ、深く頭を下げた。内部調査は区切りを迎え、職員らによる損害額の返還作業に入るが、県民の信頼を取り戻せるかは不透明だ。 (小川直人、小林孝一郎)
 調査結果について、森田知事は記者会見で「捜査権限のない中で外部委員会にも奮闘してもらい、現時点においては一生懸命できた」と評価した。
 二千人以上に及んだ職員の処分については、「(処分が)きついという意見もあったが、不況による倒産や賃金カットなど世間は甘くはない」などと述べた。
 県民の信頼回復に向けて、「生まれ変わってやるんだという気持ち。職員にもそういう気持ちを持ってもらった。頑張って仕事をするということだ」と力を込めた。
 一方、県の損害額として堂本暁子元知事に一千万円の返還を求めることについて、県総務部は「事前に(本人に)話をしている。支払っていただけると理解している」とした。
 記者会見に先立ち、県は県議会の全員協議会で追加の調査結果などを報告した。この日は質疑は行われず、十二月定例会最終日の二十二日に、各会派が緊急質問を行う。

◆職員返還金9億2000万円
 私的流用や使途不明などで県に損害を与えたとして、職員らが県に返還する額は、九月発表時の約七億円から約九億二千万円に増えた。二〇〇三~〇八年度に管理職(主幹級以上)だった現職約二千三百人、退職者約二千二百人が、一〇年度末までに返還する予定だ。
 それぞれの返還額は、堂本暁子前知事が一千万円、前副知事三人が各三百万円、元出納長が二百五十万円。以下、現職、退職者を問わず部長級が九十万円、次長級が七十万円、課長級が五十万円、副課長・主幹級が十二万円を負担する。
 返還の対象となった不正経理は、私的流用や使途不明に加え、▽伝票と異なる内容で納入させ、業務に使用したが、現物を確認できない物品▽公金を支出するべきでなかった物品-など。デジタルカメラや電子レンジ、加湿器などが不正経理処理で納入されていた。
 架空伝票を使って業者に公金をプールする「預け」という手口によって、現在も約四億二千万円が業者にプールされている。うち約六千万円は業者の倒産などで回収不能のため、職員らの返還額に算入された。東京12/21




千葉 不正経理問題 追加調査の詳細


 新たに約六億九千万円の不正経理が明らかになった今回の追加調査。県は、九月に発表した内部調査の対象外だった時期や費目について詳細に調べた。
 二〇〇八年度の知事部局の消耗品費などでは約三億一千万円の不正経理が判明。納品された物品のほとんどは業務に使われたが、伝票の内容と異なる物品を納入させるなどの不正経理が行われた。
 〇三~〇八年度の調査委託業務では、支払いの翌年度に成果を受け取る不正経理が約六千万円あった。〇三~〇八年度に県庁内で保管されていた預金通帳二十冊には、出所不明の入金が約五千万円あり、すべてを不正経理とみなした。
 県立学校の調査では〇三~〇八年度に、百五十九校のうち百二十六校で約二億七千万円の不正経理が判明。納品された物品はすべて業務に使われたが、支払いの前年度や翌年度に納入させるなどの不正経理があった。 一方、県警は調査が終わっていないとして発表しなかった。

    ────東京12/21────




千葉 職員4人を告訴
    プール金私的流用 電化製品4百万円


 不正経理の追加調査結果を受け県は18日、山武農林振興センターの藤下義巳副主幹(49)、知事室の稲田隆司副主査(37)、健康福祉政策課の砂生正晴主査(44)ら県職員4人を業務上横領容疑などで県警に刑事告訴した。
 総務課によると、藤下副主査はプラズマテレビやDVDなど400万円相当、稲田副主査はファクシミリなど42万円相当の電化製品を、プール金を使って業者に納品させ、自宅に持ち帰るなどしたとされる。また砂生主査は、プール金で計250万円相当の図書カードを納品させるなどし、公金の私的流用の疑いがもたれている。3人はいずれも同日付で懲戒免職処分となっている。
 また、公金を使い業者に納品させた商品券を現金化した数百万円が使途不明になっているとして、職員1人を告訴した。

    ────千葉日報12/21────

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