県統計課は、人口流出の原因について「震災の影響で、人口移動が起こっているのでは」と推測している。最も減少幅が大きかった市川市は、三カ月で千七十五人減ったが、「市内にある官公庁の官舎や社宅の閉鎖が影響した」(同市)といった特別な事情もあるようだ。
一方、深刻な液状化被害を受けた浦安市は「例年、四、五月は人口が増え、その後は横ばいが続くが、今年のようにマイナスになるのは珍しい」と震災の影響を示唆する。
千葉市の担当者も例年微増していた市人口の変化を感じており、「五月ごろから、美浜区内の外国人が減っている」と指摘した。
もともと人口の少ない九十九里や南房総の沿岸の自治体でも、三月以降七月までに旭市で三百五十一人減少、いすみ市でも二百六十六人減るなど、減少幅は例年より大きくなる傾向にある。
半面、四街道市がこの三カ月で、昨年(六十二人)の四倍を超える二百八十八人も増えるなど、内陸部では一部、人口の流入が始まっている。県統計課は「海沿いに住んでいた人が内陸部に引っ越しているのでは」とみている。
県内の人口移動の背景には、震災に対する県民の不安があるとみられるだけに、県は防災計画の見直しなど、人口流出に歯止めをかける対策を急ぐ必要がありそうだ。
震災対応に103億円 千葉県9月補正
放射性物質検査など
千葉県は9日、今年度一般会計予算を236億2800万円増額する9月補正予算案を発表した。東日本大震災対策に重点を置き、被災者支援や、東電福島第1原発事故に伴う農畜産物などの放射性物質検査事業として計103億2300万円を計上。補正後の今年度予算総額は1兆6702億8800万円となる。21日開会予定の県議会9月議会に提案する。
震災対策費では、県内農畜産物の安全性を確保するため、市町村が実施する放射性物質検査の機器の整備や分析費に対して助成を行うほか、新規事業として医療施設への自家発電装置の整備(5400万円)▽節電対策により休日出勤した家庭の子供を預かる保育所などの開設費用助成(3045万円)▽新エネルギー活用推進検討事業(1033万円)を盛り込んだ。
また、市町村における復興計画や災害対応強化の構想策定に対する助成に2千万円、石油コンビナート地区などの防災計画を見直すための事業に59万円をあてるなど、震災以降高まっている防災意識を反映し、災害予防にも力を入れた。
震災対策以外では、3月に発生した高病原性鳥インフルエンザにより、経営に著しい損失を受けた養鶏農家の救済対策事業費として、8745万円を盛り込んだ。
震災の影響による景気低迷を受け、県税収入は法人税などを中心に大幅な減収が見込まれており、依然、厳しい財政状況が続く。県では災害復興・地域再生基金(残高約26億円)、退職手当債の発行(180億円程度)などによって財源を確保するとしている。
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