2009年11月3日火曜日

森田知事 定例記者会見
 「関東地方知事会議」(八ッ場ダムなど)

(知事)

 今日は、まず最初に、一昨日、群馬県前橋市で開催された「関東地方知事会議」等の結果についてご報告いたします。

 この会議は、「関東地方の1都6県」に、山梨、長野、静岡の3県を加えた「10都県」の知事が集まり、広域的な協力や国への提案・要望などについて話し合うものでございます。

 今回の会議で、千葉県からは「乳幼児・子どもの医療費助成制度の創設」を提案いたしました。

 私からは、「これからの日本を背負って立つ子どもたちを健全に育てていくために、国や地方がしっかりと支援していかなければならない。

 国において現物給付方式による乳幼児・子どもの医療費助成制度を創設するべきだ」と申し上げました。
この提案は、全員一致でご了承いただき、国に要望していくことになりました。

 また、神奈川県知事から、急遽、「子ども手当の地方負担は絶対に認めない」という緊急要望について提案がありました。

 私からは、「関東地方は力を持っているのにおとなしすぎる。おかしいと思ったら、もっと声を出していきましょう」と申し上げました。

 この提案も関東知事会として国に要望していくことになりました。

 また、当日は、「八ッ場ダム」の問題について前原国土交通大臣と関係する1都5県の知事との話し合いが急遽行われました。

 今回の話し合いでは、まず前原国土交通大臣から、「コンクリートから人へと税金の使い道を変える」という政権交代に当たっての約束に基づき、ダム事業のあり方を見直す方針が改めて示されました。

 その上で、八ッ場ダムについては、『マニフェストに掲げた基本的な方針は堅持しつつも、単なる中止ではなく、徹底的な情報公開のもと、治水・利水について再検証し、最終的な結論を得ていく』との説明がありました。

 これに対しまして、関係都県の知事からは、再検証の期限や進め方について質問があったほか、治水・利水上の必要性や地元との合意形成の重要性について意見が出されました。

 私からは、『事業の再検証はもちろん必要だが、まず地元の方々の「心の再検証」が大事であり、そのためにも、大臣は一度、中止を棚上げにするべきである』ということを申し上げたところでございます。

 今回、初めて国土交通大臣と関係都県知事との話し合いが行われましたが、今後は、国が進める再検証の中で示される代替案等の内容や、地元との話し合いの動向を十分に注視しながら、関係都県と連携を密にし、適切に対応してまいりたいと考えております。

 この大臣のいろいろな発言の中で、前よりは一歩進んだのかなという気はいたしました。
しかし、いつまでにどうする、こういうことをこうする、ああするということが具体的にまだ出てないのです。
 
 地元の人たちにしてみれば、合意、ダムをやりましょうと言ってから、それから180度転換して中止だと。

 対話もない。それでずうっと、いつまで引っ張られるんだと、余計不安に感じてしまいます。もちろん私たち関係都県もですが、地元の人たちにとっては非常に不安である。

 一刻も早く、国の方針を出していただきたい。

 また、どうしても中止をするというならば、それの総合的な計画、プランをぜひ出していただきたい、そのように思います。

 私は、一度、棚上げしたらどうだと。

 一度、「棚上げ論」を言いました。というのは、57年、翻弄された地元の人たち、私は非常に心にしみたのは、地元の人が初めは反対だったと。

 それからいろんなことがあったけれども、最後は自分の親戚も千葉県とか埼玉県にいる。そういうことを考えて、苦渋の選択をしたと、そのようなことをおっしゃっておりました。

 前原大臣も地元の人たちと話し合いたいと言うのです。ところが、群馬県の大澤知事の話によりますと、地元の人たちは中止(が白紙)でなければ話し合いをしないと、こうなっているのでね。

 これは大変不幸だなと、そう思います。

 ですから、何としても、もちろん私たち関係都県も話を聞いてほしいです。向こうの話も聞きたいです。

 ところが、今は報道の中の話し合いになっちゃっている。

 報道の中の言葉の行ったり来たりになっちゃっている。何としてもテーブルに着きたいという思いから、とりあえずは一度、棚上げにしたらどうだと、そう言っているのでございます。

 そうしないと、地元の人たちの57年間の翻弄、こういうことも考えた場合、今度はもっと心配なのは、こういう国家事業に対して、政権がかわったらどうなるかわからないという国民に不信感が芽生えてきて、そのときは話も聞いてもらえないんじゃないかと。

 そうしたら、このような国家事業に対して国民は協力するのを躊躇する、ためらってしまう、これが一番恐れているところでございます。

 ですから、いろんなやり方があると思います。政府は何とか、そういう地元の人たちの話を聞けるようなテーブルをつくっていただきたいなと。

 もちろん、私たちの話も聞いてもらう、そういうテーブルもつくっていただきたい、そのように思います。

(記者)

 よろしくお願いします。

 まず、関東知事会についてですが、前原大臣が再検証ということを打ち出されたわけですが、森田知事も一歩進んだかなという感想をお持ちだったというお話だったのですが、具体的に中止ありきというお話ですが、一歩進んだというのは、どのあたりが一歩進んだとお感じなのかということと、再検証ということの森田知事としての解釈を伺えたらと思います

(知事)

 一歩進んだというのは、正直な話、私の主観かもしれませんが、今までは絶対中止だという言葉がどんどん前へ出てきた。

 でも、今回は再検証という言葉が出てきたり、地元の人との話し合いもしたいという言葉が出てきたりと、見ていると、前より少し一歩進んだのかなと、そう感じたところでございます。

 再検証につきまして、本当に大事なことなんですね。こういう問題というのは、自然災害です。

 はっきり言って、予測のできないものもあるし、その問題点の見方によっては、いろいろ数値も違うところもあります。

 ですから、私はそういうことを検証し、またいろんな人の意見を聞いてもらいたいと、そのように、今までも申し上げてまいったので、再検証するということを聞いたことは非常によかったなと、そのように思いました。

(記者)

 もう一点、お願いします。

 先ほど森田知事も心の再検証も大切だという話をされたかと思いますが、住民の方々も前原さんが視察に行かれたときに話し合いのテーブルに出てこなかったりとか、かたくなな態度が地元側にも広がっていると思うのですが、そういった点は、今後どのようにしていったらいいと、森田知事はお考えでしょうか。

(知事)

 先ほども述べましたけれども、当事者にしてみれば、いろんな思いもあるし、最後は国のためということで苦渋の決断もあったと思います。

 私、何回も言うようですけども、こういう国策においては、国民、言うなれば地元の皆さんの協力というのは欠くことのできないものでございます。

 政権がかわったから、ばんと変わっちゃって、さあ、中止だぞ、このようにやれ、こう言われちゃうと、それで、いつまでどうなるということも何も示されてないわけですから、それは当事者には大変な不安だと思うんですね。

 それだけの負託を得た政権ですから、それは最後、政治決断、これはあると思います。

 でも、その前にいろいろ、心情も含めて、これからの生活再建も含めて、しっかり聞くということは、これは国の仕事だと思います。

 そういうものをきちっと聞いて、もし万が一、中止というならば、その考えを取り入れて、生活がしやすいように、国もしっかり考えていくということも大事だと思います。

 そういう意味において、心の再検証が必要だと言ったのでございます。

(記者)

 一番最初にあった質問について、確認ですが、一番最初に八ッ場の件で前原大臣が再検証するというふうにおっしゃったことについて、知事はどのように解釈されるのかということを、それをもう一回確認したくて。
前原大臣が再検証するとおっしゃったのは、例えば八ッ場についてのデータをいろいろ再検証してみたら、やっぱり八ッ場は要りませんでしたと。

 その理屈はこうですというふうに言ってくることが濃厚なんじゃないかなというふうに思ったのですが、知事としてはどのように解釈されましたか。

(知事)

 冒頭言ったように、主観ですがとお断りいたしますけれども、そういうこともあるかもしれませんし、また、前原大臣というのは非常に聡明な方です。

 非常に度量のある方、非常に理解をする方だと、私はそのように思っておりますので、ただ、中止に向けてそうだとは余り考えておりません。

 その中でも、確かアリバイづくりではないと言っていたよね。そういうふうに本人も言っておりますので、私は期待をしたいと、そのように思います。

  ────平成21年10月29日(木) 10時30分~11時12────

 

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