2011年8月19日金曜日

侵略美化教科書 自民、採択に躍起
全国ネット───警戒呼び掛け

 侵略戦争美化の教科書が各地で採択されています。現在、1都1県5市1区で育鵬社の歴史や公民の教科書が、東京都の特別支援学校で自由社の公民教科書が採択されました。まだ多くの地区の結論が出ておらず、自民党などが強力に推していることから、予断を許さぬ状況が続いています。

 自由社教科書は「新しい歴史教科書をつくる会」(藤岡信勝会長)のメンバーが中心になって作成。育鵬社教科書は「つくる会」を脱退した八木秀次氏を理事長とする「日本教育再生機構」と「教科書改善の会」が中心になって作成しました。

 いずれも、歴史教科書は日本の侵略戦争を「自存自衛」のための戦争、「アジア解放」の戦争と美化・合理化しています。公民教科書は憲法を敵視、改憲を強調しています。

 自民党は地方議員に育鵬社・自由社の教科書を採択させるための議会質問をさせ、決議をあげさせ、教育委員に働きかけさせるなど、党を挙げて侵略美化教科書の採択を図っています。

 子どもと教科書全国ネット21は「このままではどこでも育鵬社・自由社が採択されるおそれがある」として緊急アピールを発表。問題点を地域の人々に知らせ、教育委員会に働きかけるなど採択阻止に全力を挙げるよう呼びかけています。

 東京都杉並区では区民の運動で6年ぶりに「つくる会」系教科書を不採択にしました。赤旗8/13




歴史観は…議会でも質疑活発
千葉県内15地区で作業進む

 
 次代を担う子供たちは、この国の歴史をどう学び、どう理解するのか-。来年度から学校教育で使用される教科書の採択作業が千葉県内各地で進められている。このうち中学校の歴史教科書をめぐっては、県内自治体の議会でも質疑が行われるなど活発化している。8月31日までには県内の15地区で採択が終了する。

 教科書採択は「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」に基づいて4年に一度実施され、県内では15地区で作業が行われる。

 平成18年12月に改正された教育基本法では、新たに「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできたわが国と郷土を愛する」ことが教育の目標の一つとして示された。これを受けて改正された学校教育法では、義務教育の目標として「わが国と郷土の現状と歴史について、正しく理解に導く」ことを規定した。

 改正後初の教科書採択として、全国的に歴史教科書をめぐっては、自虐史観を否定する育鵬社や自由社の教科書の存在が注目を集めることになった。

 県議会をはじめ、各地の地方議会では、育鵬社や自由社の教科書の採択、不採択を求める複数の団体によって陳情活動などが展開された。

 教科書採択作業が始まる前に、県議会6月定例会では複数の議員が歴史教育や歴史観について、県の見解を問いただした。

歴史観は…議会でも質疑活発 千葉県内15地区で作業進む 
2011.8.13 14:28 (2/2ページ)
 これに対し、森田健作知事は「国を支えていく若者が歴史を学ぶことは重要だ」と明確な答弁を避けた。また、ある議員から「先の大戦を“侵略戦争”と認めるべきではないか」と聞かれた鬼沢佳弘教育長は「諸外国の歴史や文化を尊重する態度を培うことが、日本人としての誇りを育むと考える」などと述べるにとどめた。

 こうした県側の答弁に、自民党のベテラン議員の一人は「育鵬社や自由社の教科書を十分読まずに『戦争を美化した教科書だ』などと言って、圧力をかける団体もいると聞く。日本人としての誇りが持てるような教科書を採択できるように、県はきちんと見解を示す必要があったのでなはいか」と指摘している。

────2011.8.13 産経────







千葉市では傍聴席めぐりトラブルも


 今月3日に公立中学校の教科書採択が行われた千葉市の教育委員会議では、一般傍聴席をめぐってトラブルが起きた。抽選後に空席状態が続いた傍聴席の利用を要望した市民に対して、市教委側が応じなかったためだ。国では、採択に関する情報については積極的に公開するよう求めており、こうした対応は課題を残しそうだ。

 「あのまま空席なら傍聴させてほしい」

 会議開始から約3時間が経過し、廊下にいた男性が市職員に詰め寄った。

 会議の様子は一般にも公開されたが、傍聴席20人を求めて大勢の希望者が詰めかけた。最後は抽選となったが、このうち2席は会議開始から終了まで当選者が現れず、空席だった。抽選に漏れたとみられる男性は市教委担当者に抗議した。

 市教委側は男性に対して「(当選した)先方の事情は分からない」と説明するだけで、最後まで傍聴席に着く機会を与えなかった。男性は「3時間も空席なのはおかしい。特定の団体が傍聴を妨害しているのではないかと疑念を抱かせる。市教委は柔軟に対応すべきだ」と憤慨する。

 文部科学省では、開かれた教科書採択を推進するとして、採択結果やその理由など、採択に関する情報の積極的な公表に努めるよう市教委などに求めている。

 一方、会議では歴史教科書の採択にからみ、育鵬社や自由社の教科書の採択、不採択を求める陳情が10通寄せられたことが報告された。市教委は「平等で公平な議論を妨げ、教科書の選択の幅を狭める」として、陳情を全て不採択とした。
 採択に当たって市教委指導課では、育鵬社を含めて3社の歴史教科書を推薦。委員からは「バランスがとれている」との判断基準を理由に、最終的には東京書籍に決まった。育鵬社の教科書については「国民としての自覚を高める」「歴史の大きな流れをつかみ、多面的、多角的に判断している」との評価が上がったが、委員6人のうち投票したのは1人だった。

────2011.8.13 産経────

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