2011年3月8日火曜日

アクア値下げに暗雲
国交省案実験前の料金前提

 東京湾アクアラインの社会実験(ETC搭載の普通車800円)が終了する2011年4月以降の通行料について、国土交通省が現行社会実験前の料金を前提とし、割引の実現には地方負担を求める案を示したことがわかった。県が要望する「国負担による恒久的な値下げ」とは大きな隔たりがあり、要望活動を続けている県幹部や民主党国会議員らは反発している。

 新料金案が示されたのは9日の民主党国土交通部門会議。アクアラインは全国の高速道路の上限料金2000円とは別扱いで、「地方の負担をお願いしつつ、別途割増料金の設定を行う」とされた。

 同案が前提とする社会実験前の料金は普通車3000円(ETC搭載は2320円)。国交省は地方負担がないと、この料金から割引が行われないとの立場だ。

 同省高速道路課は「社会実験で恩恵を受けたのは南房総地域だけ。アクアの建設費は1兆4000億円に上り、多大な負債返済のためには、地方と利用者の負担は避けられない」と話す。 国交省の新料金案について、同党千葉12区の中後淳氏は「民主党は昨夏の衆院選で高速道路無料化を掲げ、政権交代した。到底、受け入れられない」と反発。県幹部も「地方負担が求められている上、割引は一時的なもので値下げの恒久化にはならない。県の要望とはかけ離れている」と不満を口にする。

 ただ県の要望が完全に受け入れられるのは難しいとの見方も出てきている。 県内のある首長は「全国の高速道路の料金体系を考えれば、まったく地方負担がないままの値下げは現実的ではない」と語る。

 10日には中後氏と水越勇雄・木更津市長らが国交省を訪れ「国策による恒久的な値下げ」を改めて要望したが、馬淵国交相は「限られた財源の中でしっかりと検討したい」と述べるにとどまり、明確な回答は得られなかった。

 今後の展開について、別の県幹部は「国交省では以前から『地方負担がないと厳しい』という意見があった。民主党内の議論次第だろう」と話す。 民主党は同案をたたき台に、年内に最終的な方針をまとめる予定だ。

────(2010年12月11日 読売新聞)────

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