2010年1月14日木曜日

09回顧

  1.「森田節」全開 新知事誕生

「千葉県のポテンシャルは高い!」。
あいさつや講演で「森田節」は常に全開=6月、千葉市内

 「おれがいる限りは千葉県は大丈夫だ!」



 森田健作知事は1日、フジテレビの生番組「笑っていいとも!」で、県民をスタジオ内で見つけると上機嫌に言い放った。「八街のピーナツはナンバーワン」「来年はゆめ半島千葉国体」・・・。県のPRに努める「森田節」は、俳優出身ならではのテレビ映えだった。
 3月の知事選。05年の選挙で堂本暁子知事に6千票の差で敗れた森田氏は、100万票を超す得票で大勝。記者会見や永田町訪問など、新たに誕生した「タレント知事」の一挙手一投足を多くの報道陣とともに追った。
 就任から1カ月そこそこの5月、東京湾アクアラインの通行料の値下げを発表。ETCに対象を限った社会実験という形とはいえ、早くも選挙公約を実現したのには驚かされた。7月には北総線の運賃値下げに向けた地元8市村との交渉も明らかになり、11月に合意を取りつけた。「まずはやってみる」という実行力の一端を見せたと言えるかもしれない。
 だが知事としての手腕を発揮しているのかどうか判断がつかない。アクアライン値下げは実質全額国費任せ。北総線値下げも割引率の低さから、地元では「値下げになっていない」といった批判が少なくない。特産品や観光PRでは精力的に見えるが、三番瀬や地域医療などの問題はほぼ手つかずのままだ。懸案に対しては動きが鈍い。「主戦場」である県議会では、職員のメモを読むのが精いっぱいな場面が続く。
 自民党支部長でありながら「完全無所属」を掲げて知事選を戦ったことに対し、公職選挙法違反の疑いで市民から刑事告発された問題は今も批判が絶えない。嫌疑不十分で不起訴となったが、市民側は検察審査会に不服を申し立てるなど追及は続く。説明を十分に尽くしたのか。森田知事には今一度省みてもらいたい。
 年明けには新年度予算が待ちかまえる。人件費をはじめとする義務的経費を含めた初の本格予算編成で、真の手腕が問われる大仕事となる。県民は森田知事がこの1年で何を学んだかを見ることができるかもしれない。知事には冒頭のテレビでの発言通りに県民を安心させ、言葉負けしないような施策を求めたい。

    ────(小沢邦男)朝日12/24────

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