20人のうち、コンサートマスター一人は別として、雇用契約のある楽団員は、11人です。雇用契約と言っても、その中身は、3年間の期限付き。給与はというと、固定給6万5千円+出来高払い。出来高とは、出演回数のことですが、1公演あたりの平均は、1万3800円です。公演回数は、年間平均で、101回ということでした。そうすると、雇用契約のある楽団員の年収は、固定給で78万円、それに出来高の平均が139万円、合わせて217万円程度ということになります。千葉県の文化の顔を支えている演奏家の、これが実態です。
さらに、雇用契約のない楽団員が8人います。演奏請負の楽団員というのだそうです。こちらは固定給なし。出来高払いのみです。平均は、139万円。とても、暮らしていける賃金ではありません。しかも、雇用契約がないのですから、社会保険もありません。
これらのことを明らかにしたうえで、「改善すべき」と迫ったのに対して、県民活動・文化課長は、「楽団の赤字縮減に努力中」と言うだけで、改善の意思を示そうとしませんでした。クラッシックのオーケストラに、黒字経営を求めること自体が、無理な話です。他県の楽団の状況を聞きました。神奈川フィルハーモニーは、65人の楽団員で、県の支援も、年間約2.5億円あります。群馬交響楽団は、70人の楽団員、県の支援も3.5億円です。20人の文字通りワーキングプア状態の楽団員、事務局の人件費補助や学校演奏会の補助金など、全部を含めて8000万円に満たない支援の千葉県とは、大きな違いがあります。文化に対する姿勢のあまりの違いに情けなくなります。
審査の最後に、委員長報告に特に反映させたい事柄はあるか、と委員長が聞きます。すかさず手をあげて「楽団員の雇用条件の改善」を強く求めました。
その他、環境分野では、産廃運搬業者の許可取り消し件数が、毎年平均28件程度出ていることから、許可の事前審査を委託している産廃協会への1520万円の委託金について。また、廃棄物焼却炉からの排出ガスやばいじんに含まれるダイオキシン類について、測定と県への報告が義務付けられているにもかかわらず、排出ガスで31施設、ばいじんで42施設が未報告になっている問題を質しました。立ち入り調査や文書等で、提出を促しているとの答弁でしたが、手ぬるいやり方が、県民の健康・安全に不安をもたらしています。
教育委員会の審査では、まず、文科省が毎年実施している地方教育費調査から質問に入りました。昨年度の学校教育費(幼稚園、小・中学校、高校、特別支援学校などへの支出)調査の結果、千葉県は、幼稚園から高校、特別支援学校のすべてで、児童生徒一人当たりの教育費が全国平均を下回り、低い水準にあることがわかりました。
金額は省略しますが、全国順位は、小学校42位、中学校が36位、高校全日制38位、特別支援学校38位ということでした。とりわけ、特別支援学校は、全国平均と一人当たり87.8万円もの開きがあります。これで「教育立県千葉」などと言えるのか。厳しく指摘しましたが、驚いたのは、県教委が、この数字を自ら答えておきながら、「この数字だけで判断できない」と、千葉県の教育予算の少なさを認めようとしなかったことです。再三のやりとりののち、では、文科省の調査は、当てにならないということか、と質すと、しぶしぶ数字の事実だけは認めました。
教育予算の中心は何か、との質問に、人件費と答えます。だとすれば、この数字は、千葉の教職員が少ないということ、雇用の仕方に問題があるということだと指摘。依然として、新規採用教員の約半数が、1年間限りの期限付き教員(期限付き講師)であることを質しました。とりわけ、特別支援教育は、障害を持つ子ども一人ひとりが、その持っている力を最大限伸ばせるように、教員の専門性、教育の継続性が求められると指摘、にもかかわらず、千葉市では、特別支援学級の4割の教員が、期限付き講師で占められていると批判、異常ではないかと見解を質しました。
県教委は、退職者数や退職再雇用者数の見通しが難しかったと、期限付きが多くなった言い訳をしつつ、千葉市の現状について、あくまでも「校長が適切に判断したもの」との立場に固執しました。驚くべきことです。
他の部局と比べて、残念ながら教育委員会の答弁に、異常なほどの頑なさが目立ちます。どんな事実、どんな数字を示されても、それを無視し、自分たちの立場に固執して、「適切」を繰り返すだけでは、まともな議論になりませんし、事態の改善につながりません。ゆきとどいたよい教育をと願う多くの県民の期待がかかっているという自覚に欠けるように思います。
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