2012年5月26日土曜日

────千葉────
地盤沈下 九十九里全域で
14市町村県が調査 匝瑳、最大6.5センチ

 
 県は15日、東日本大震災による九十九里地域の地盤沈下調査の結果を公表した。14市町村の107地点の全てで沈下が発生し、沈下幅は匝瑳市東小笹で最も大きい6・51センチだった。県は、堤防かさ上げや浸水予測図作製など今後の津波対策で、こうした地盤沈下のデータを考慮に入れる方針だ。(中村みほ)

 調査は2011年10月、匝瑳市から勝浦市までの九十九里地域のうち、御宿町を除く14市町村内で実施された。11年1月1日時点と比べ、全地点で標高が低くなっており、沈下幅が最小だったいすみ市行川でも1・93センチだった。東日本大震災の震源に近い北東部ほど沈下幅が大きくなる傾向があった。県は天然ガス採掘や井戸水くみ上げによる地盤沈下を監視するため、毎年1月1日時点で、県内1130か所の標高を調査している。天然ガス田が多い九十九里地域では特に地盤沈下の監視が重要なため、県は震災による沈下量を早期に把握する必要があるとして、同地域のみ緊急に調査した。今年1月現在の調査結果は10月に発表する。

 県水質保全課によると、例年は調査地点によって隆起や沈下が見られるが、地下水くみ上げなどによる沈下量は最大でも年2センチ程度にとどまる。今回調査した14市町村のうち、南北両端の匝瑳市と勝浦市にはガス田がなく、「今回判明した地盤沈下の大半は震災による地殻変動と見られる」(同課)という。

 東日本大震災後の地盤沈下を巡っては、国土地理院が震災直後に全地球測位システム(GPS)を使って実施した調査で、宮城県石巻市で107センチ、女川町で89センチなど、三陸沿岸で大きな地盤沈下が確認されている。同じ調査で県内でも広範囲にわたって沈下が見られ、銚子市東小川町が15センチと最も大きく、成田市多良貝で12センチ、千葉市花見川区で9センチなどだった。県の調査は実際に現地を測量したため、国土地理院のGPSによる調査より精度が高いという。

 県は15年度までに、九十九里沿岸の堤防かさ上げを行う予定で、この堤防の高さに地盤沈下幅を反映させるため、さらに詳しく調査する。また、今月中に公表する新たな津波浸水予測図でも、沿岸部の地盤沈下を考慮して作製を進めている。

────2012年3月16日 読売新聞────

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