2009年12月25日金曜日

千葉県における「不正経理」のルーツ

 千葉県における「不正経理」の内部告発は90年代に行われていた。

 しかし、当時の沼田知事などは、こうした実態をよく知ったうえで、県議会で「問題ない」とか「節度をもって対応している」などと答弁しているのである。

 千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第34号(1995年12月)に掲載されたものを下記に記します。




「官官接待」に思う

 

1.千葉県は実態解明と見直しに消極的


 この夏(1995年)以降、「官官接待」(税金を使った公務員同士の飲み食い)がマスコミなどで盛んに取り上げられ、その実態が次々と明らかになっている。そして、「官官接待」に批判が強まる中、全国の自治体の多くがその“見直し”を図っている。新聞報道によれば、10月中旬時点で、宮城県、高知県、仙台市など約10の自治体が「官官接待の原則廃止」を表明した。

 といっても、その内容をよくみると、「官官接待」の全廃ではない。いずれも「過度の接待は廃止する」というものであって、「意見交換や情報収集を目的とした懇談」などの「常識の範囲内での必要最小限の飲食」は今後も続けるというものである。

 ところで、千葉県庁はどうであろうか。先の9月定例県議会では「官官接待」も取り上げられ、たとえば小松実県議(共産党)が実態調査や見直しをせまった。しかし沼田知事は、中央官僚に対する接待や市町村から受けた接待については「必要最小限で節度を持って対応していると思う」としたうえで、「接待の金額は把握していない。(今後も)調査することは考えていない」と答弁している(読売、9月29日)。つまり、「本県の現状は問題がなく、実態調査や見直しは必要ないとの考えを明確にした」(同紙)のである。

 また、千葉ニュータウン整備事業にからんで、千葉県企業庁が1993、94年度の2年間で、関連市町村職員などとの懇談を約450回も繰り返し、総額5000万円もの会議費(会議を名目とした宴会費)を支出していたことを新聞が取り上げた。

 しかし、この報道内容についても、県幹部はまったく問題を感じていない。たとえば、同事業を担当している企業庁ニュータウン整備部の部長は、「土地買収などでは(市町村担当者との)信頼関係が欠かせないので懇談も必要」と発言し(読売、10月12日)、県総務部長も「企業庁には、民間企業のような『営利的』業務がある。地元対策の会合も多く、一概に高額だとは思わない」とか「問題ない」としている(同、10月3日)。

 このように、千葉県は、「官官接待」についてまったく問題を感じていないし、見直すことは考えていない。県予算の「食糧費」が1992年度以降、年々減少していることが報道されているが、これも「財政事情の悪化による経費節減が、結果として食糧費の減少に結びついた」(朝日、9月30日)ものである。

 ちなみに、千葉ニュータウン整備事業にからむ「官官接待」については、その後の市民オンブズマンの調査で、1991、92年度の2年間も5000万円を超える支出があったことが明らかになった。また、県企業庁の1994年度の会議費(食糧費)の決算額は1億9139万円であることも分かった(毎日、11月2日)。


2.全国有数の“官官接待県”


 沼田知事は、官官接待問題について「必要最小限で節度を持って対応している」とか「問題ない」としているが、これは大ウソである。千葉県庁でも税金を使った公務員同士の飲み食いはすごいものがある。むしろ、企業庁や土地開発公社、都市公社、道路公社、日本コンベンションセンター(幕張メッセを運営する第三セクター)など、大型開発にかかわる公営企業や外郭団体を多数かかえる千葉県は、全国有数の“官官接待県”といっても過言ではない。

 20年前になるが、1975年の5月、企業庁の職員が職を辞して企業庁運営の乱脈ぶりを告発したことがある。この内部告発をきっかけにして明らかになった点をいくつかあげると──

 企業庁は、松尾台工業団地を造成する際、自民党県議の斡旋によって「三共ブロック」なる会社の所有地をまわりの14倍の値段で買った。同社はこの売却で巨利を得た。


 同団地造成に関して、「協力費」として「地元協力会」に2700万円を交付した。しかし、この金の振込先は高橋啓三郎・松尾町長をはじめとする一部の有力者の個人口座であり、その金は地元住民に知らされないまま管理されていた。


 企業庁は、県地域振興公社(企業庁の外廓団体)にたいして「雑草除去業務委託費」として毎年2000万円近くの委託費を支出していたが、このうち名目通りに使われたのは300万円くらいであった。企業庁と公社が「雑草除去費」の“水増し”を打ち合わせ、実際は草も生えない区画に雑草が生えたことにし、「伺い書」「委託書」「成果確認書」などの一連の公文書を偽造して年間1000万円以上の公金を流用していた。なお、同公社の幹部のほとんどは、企業庁の現職幹部でもあった。


 地域振興公社発行の膨大な数のタクシーチケットが企業庁の幹部をはじめ係長にまで配られ、私用に使われていた。一部の幹部は、家族にまで使わせていた。


 企業庁は「会議」を名目にした宴会をひんぱんに開き、その費用の一部を公社に“ツケ回し”していた。その飲食費は、千葉市内の4料亭だけで年間2600万円にのぼり、そのうち公社へのツケ回し分は約1000万円であった。なお、企業庁会計には、「会議費」として年間1億2000万円が計上されていた。(以上については、75年6月10日付け読売新聞、同年5月31日付け朝日新聞などを参照)。


 企業庁の幹部は、県議会の企業常任委員会で以上の事実を認め、「あれこれとミスがあったことは事実であり、申し訳ない。今後改めるべきことは改める」と頭をさげてあやまった。

 しかし、あやまったのは形の上だけで、ほとぼりがさめると、再び同じようなことを繰り返している。たとえば、公費による幹部などの飲食費肩代わりは今も日常茶飯事的におこなわれている。
 県土地開発公社や県都市公社などの職員が知事部局や企業庁の関係各課の幹部を公社の費用で接待するのはよくみられることである。これはよく言われていることであるが、各公社の理事長は、年間1000万円とか数千万円の「交際費」をもっていて、この金が県幹部や政治家向けの接待費として自由に使われている、という。また、タクシーチケットの私的利用も幹部の間ではほとんど毎日のように行われている。

 ちなみに、筆者はかつて、企業庁が担当している開発事業の許認可事務にかかわったことがあるが、ちょっとした手続きの便宜を図っただけで、上司とともに高級料亭に案内され、金額にすれば1人1万円は下らないような接待にあずかり、驚いたことがある。あとで聞いてみると、そうしたことは日常茶飯事のことで、幹部クラスになるとたいへん豪華なもてなしになるとのことであった。


3.臨調「行革」以降、ひどくなった腐敗


 臨調「行革」以降、こうした腐敗はいっそうひどくなっている。企業庁や公社だけでなく、知事部局の間でも税金を使った飲み食いが日常茶飯事的におこなわれているのである。知事部局の課と課で接待しあうこともあるし、課内部の職員同士の飲み食いにも税金が平気で使われている。

 タクシーチケットの私的利用も同じである。各職場でおこなわれている各種の飲み会の際、幹部職員などは必ずといってよいほど公用のタクシーチケットを利用する。これはほとんどの職場でみられることであり、本庁では、係長クラスになるとタクシーチケットを飲み会のたびに自由に使うことができるようである。安房地域や夷隅地域など遠くから通勤している職員が多いことを考えると、タクシーを1回使えばどれほどになるか想像がつくであろう。こうした実態はタクシー会社がよく知っていることであるが、タクシー会社にしてみれば大変な儲け口になっているので、暴露などをすることはない。

 ところで、日常的に行われている「官官接待」の費用はどこから出るかというと、いわゆる「食糧費」から出ることは少ない。つまり、流用である。

 内実を少し書くと、まず一般的なのは職員の旅費である。じっさいには出張しないのに、課内の職員が何回も出張したように書類を作り、この分を飲食費にあてるのである。つまり、一時期問題になった「カラ出張」である。この場合、書類上出張したことになっている職員はそのことを知らないケースが多い。旅費が流用しやすいのは、現金化しやすいことと、税金がかからないためである。

 また、消耗品費や印刷製本費なども飲み食いに流用されており、領収書の偽造が日常的におこなわれている。たとえば、愛知県や秋田県では、市民オンブズマンや新聞社の調べなどで、県が食糧費を使って接待などで飲食した時、飲食店から受け取った請求書のうち、あて先や明細、日付の書かれていないものや改変されていたものが大量に発見された。また、大阪府や茨城県、沖縄県では、会計検査院の検査によって、国の補助金である公共事業費の事務費に含まれる食糧費が事業とは無関係の目的外に流用され、書類が改ざんされていたことが判明した。

 こうした書類の大規模な改ざんは、千葉県でも日常的に行われているのである。したがって、たとえば千葉ニュータウン事業にからむ会議費(食糧費)が2年間で5000万円とか、県企業庁の1994年度の会議費(食糧費)の決算額が約2億円というのは、表向きのものであって、実際に飲み食いに使われている分の氷山の一角でしかない。飲み食い費の大半を占める流用分については、公文書公開制度を利用しての開示では調べることが不可能なのである。

 千葉県では現在、財政事情の悪化によって経費節減が進められており、飲食費として流用されていた旅費や需用費(消耗品費、食糧費、印刷製本費)などが削減されているので、全体的には、飲み食いは数年前と比べれば減っている。

 しかし、公費による飲み食いそのものは相変わらず続いており、また、タクシーチケットの私的流用は相変わらず激しい。本庁についていえば、会館、料亭、スナックやタクシー会社などから請求書が届けられ、多くの課で支出担当者がその対応(つまり、書類改ざん)に頭を悩ましている。料亭やタクシー会社から次々と請求書が届けられてくるために、当該年度で支払いできず、借金が次年度に繰り越され、過年度分の支払いややりくりに追われている課も多いと聞く。こうした書類改ざんや過年度分飲食費の捻出などで連日残業や休日出勤を強いられている担当者も多い。国の会計検査がある時は徹夜状態が何日も続くという課も少なくない。

 本来は、監査委員がこうしたことを厳しくチェックしなければならないのだが、よく知られているように、監査委員は知事の任命であり、県職員OBなどで構成されているので、チェックする気はさらさらない。また、監査委員の監査を手助けする監査委員事務局の職員も一般の県職員であり、2、3年後には監査される立場に回るため、不正流用などが分かっていても、見てみぬふりをしている。かつて、監査委員事務局の職員がある職場の監査を厳しくおこなったために、この職員は左遷された、という話もあるくらいである。

 酒好きが課長になった知事部局のある課では、週に1日以上の割合で公費を使った飲み食いがおこなわれ、1年間に数百万円におよぶ予定外の飲食費を支出せざるをえなくなった。そのために、年度末に恒例のようにおこなわれていた職員の県外視察がとりやめになった、という話も耳にしている。

 沼田知事や蕨総務部長などは、こうした実態をよく知ったうえで、県議会で「問題ない」とか「節度をもって対応している」などと答弁しているのである。


4.県政運営の裏側


 税金を払っている県民、あるいは暮らしの向上などを願っている県民の立場からみれば、県政運営はたいへんひどい状況になっていると言っても決して言い過ぎではない。

 ほんのいくつかの例をあげると、まず、税金の無駄遣いがある。
 たとえば、県民の暮らしや県内中小業者の育成とはまったくといってよいほど無縁な幕張新都心開発には相変わらず湯水のように公金がつぎこまれている。幕張新都心の中核施設である幕張メッセについていえば、東京モーターショーの主催者である自動車工業振興会(自工振)が「会場が手狭だ」として増設要望を出したため、県は「自工振の主張を丸のみ」(朝日、10月21日)して、この12月から220億円をつぎこんで「第二メッセ」の増設工事をはじめる。

 幕張メッセは、稼働率が落ち込み、使用料収入が思うように上がらないために、県と千葉市が一般会計から累積で57億円もつぎこんでいるのに、さらに第二メッセ建設によって県は180億円もの借金を抱え込むことになるのである。このほか、幕張新都心については、ほとんど人が通らない道路やほとんど利用されない公園が、莫大な公費をつぎこんで豪華に整備されている。県が木更津・君津両市の丘陵地域で進めている「かずさアカデミアパーク」開発なども同様で、企業誘致がほとんど進まないのに、莫大な公費が投入され続けている。

 このように県民生活とはあまり関係のない大型開発に湯水のようにカネをつぎ込みながら、県民の暮らしにかかわる分野に対しては支出をなかなか増やさないか、あるいは削減している。高校を増やさないために、高校受験を迎える子と親、そして教師の苦労は相変わらず大変だと聞く。治水対策が進まないために、大型台風や集中豪雨に襲われれば大被害はまぬがれないという地域も多い。これについては、公共工事にかかわっている県職員も、こうグチっている。

 「“治水は治政の根幹をなす”という言い伝えもあるが、幹部や議員はこのことをなかなか分かってくれない。相変わらず道路が優先されている。治水への支出をケチって、たとえば幕張新都心内の道路や公園などに莫大な支出をするのは、愚の骨頂だ」

 いま県庁では、情実人事や腰掛け人事、ポスト遍歴優先が横行しており、県民のことや地域振興などはまったく念頭にない職員が幹部の大半を占めていると言われている。
 たとえば本庁の課長は、多くが1年で異動しつづけることもあり、課の仕事をよく知らなかったり、仕事に関心をもたない者が多い。たとえば、頻繁に行われている会議や打ち合わせ会のあいさつなどで、仕事に関連することを自分の頭で考えてしゃべれる課長は皆無に近いと言う。挨拶文などをすべて担当職員に書かせ、それを棒読みするだけなのである。こうした情実人事や腰掛け人事については不満も多い。職員から聞いた声を一部紹介する。

 「自分の担当している事業がまったく存在の意味がなくなったため、事業の廃止を提案したところ、“私が課長の時に廃止されたと言われたらまずい。事業はそのまま存続してくれ”と言われ、この課長の一言で存続が決まった。今は、次の行き先や出世、保身のことばかり考えて、とにかく問題を起こさずに過ごそうとする課長が多い」

 「10等級(給料表の最高等級)にまでのぼりつめて外郭団体に天下った幹部だが、課長の時、仕事の相談をしても、“俺は分からないから課長補佐に相談してくれ”と逃げ回っていた。また、課長が出席しなければならない会議でも、“俺はしゃべるのが苦手だから、主幹が代わりに出席してくれ”という具合で、ほとんどやる気がない。こうした人物がとんとん拍子で出世するんだから、今の人事はおかしい」

 「課長にひんぱんに酒飲みにつきあわされ、その支払いはすべて私が処理(公費流用)しなければならない。やりくりが大変だからもっと回数を減らしてもらえないかと、酒のいきおいで言ったところ、次の日に課長から総務課に話がいったらしく、総務課から“課長にはさからわないほうがよい”と注意された」

 「企業庁の乱脈経営ぶりは相当ひどく、たとえば千葉ニュータウンや房総臨海工業用水道などの事業は破産状態にある。しかし、幹部(トップは沼田知事)は誰も責任を感じておらず、また有効な対策を真剣に考えようとしていない。一方で、公費を使って飲み食いにあけくれている。真面目に働いたり、税金を払うのがばからしくなってくる」

 人事についていえば、県民生活向上や地域振興のためにどれくらい実績をあげたかなどはまったく評価されない。どのような職場やポストを渡り歩いたかという「職歴」や「ポスト遍歴」が大事で、さらに決定的に重要なのは人脈である。そのため、ゴマすりが横行する。

 また、知事や知事の側近に声をかけてもらったり接するために、あるいは子分をたくさんつくるためにさまざまな集まりがつくられており、ひんぱんに懇談会(宴会)が開かれている。たとえば、出身高校や出身大学の同窓会は数多くつくられている。また、職種ごとの親睦会や、各市町村や郡の居住者会、採用同期会、JR○○線通勤会、○○市出向者会なども無数につくられている。こうした集まりには、関係の県議や幹部OBも顧問などとして会に加わり、宴会などに出席している。こうした集まりの中には“裏の人事委員会”と言われているものもあり、こうした仲間に入って一生懸命にゴマをすったり、目立つ者が早く出世している。

 1985年1月6日付けの読売新聞(千葉版)は、県庁人事をとりあげ、「『彼が部長とはねえ』とOBがタメ息をついた例も聞く。さらに、自民党県議の後押しで、ぐんぐん出世した幹部もいる、との指摘もある」と書いているが、こうした情実人事は今も幅をきかしているのである。


◇ ◇

 以上、「官官接待」を中心として、県政運営の実態を少し書かせていただいた。
 現在、県自治体問題研究所などによって「県政白書」第6版の作成が進められていると聞く。なかなかむずかしい点もあるかと思うが、「官官接待」の横行などにみられる腐敗や、幹部の生態や発想、天下り、大企業や特定業者との癒着、監査委員の役割、県議会や報道機関に対する当局の対応、職員に対する締め付けなどの実態も調査し、できるだけ取りあげて欲しい。
 また、腐敗や乱脈運営がひどくなっている県政を民主化し、どのようにして県民の手にとりもどしていくかは、県民に課せられた大きな課題だと思われる。このことを強く願っている多くの県民や諸団体、知識人が協力しあい、70年代に東京都や大阪府、京都府などでみられたような「革新統一知事」が誕生することを切に望んでいる。

(1995年12月) 原田隆夫

 本稿は、千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第34号(1995年12月)に掲載されたものです。

2009年12月23日水曜日

1997年当時、闇に葬られた内部告発

 千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第35号(1997年4月)に掲載されたものを下記に記します。





千葉県庁における公費不正使用と官僚腐敗





1.内部告発が相次ぐ



 官庁における公費の不正使用や浪費、官官接待(公務員同士の飲み食い)、政財官の癒着、汚職などが全国的に問題になっている。千葉県庁も例外ではなく、最近は、知事選挙ともからみ、県職員からの内部告発が相次いでいる。
 まず、今年(1997年)の初め、「沼田知事の5選に反対し、情報公開を進める県職員の会」(以下、「県職員の会」という)という名の団体からマスコミなどに対して投書があった。
 「県職員の会」の代表者などは不明だが、投書の内容を要約すると次のとおりである。

《1997年1月6日付け投書》

 沼田知事の5選は県政の停滞、腐敗を招くという立場から、沼田5選に強く反対する。

 沼田県政を振り返ると、4期を迎えてから停滞と腐敗の兆候がいたるところに現れてきた。情実人事とことなかれ主義が県庁に横行し、県職員の多数は仕事にやる気を失っている。職員と知事の間には側近という厚い壁ができてしまい、我々職員の声は知事に伝わらず、一般県職員の間では知事は裸の王様と呼ばれている。

 県庁内で公費の乱用や使い込みが横行している。その手口は基本的には各県と同じで、各課の庶務主任が課長補佐と庶務係長の指示を受け、旅費、時間外、物件購入のカラ伝票を切り、裏金を作る。
 裏金の使いみちの第1は、課長個人のための完全な飲み食いで、もちろんタクシーの送り迎え付きである。
 第2は議会工作費である。多選を有利に運ぶため議会のまる抱えが知事周辺によって進められ、有力議員を接待したり、贈り物に使われている。
 第3は人事工作費である。情実人事が広く行われていることから、部長や知事側近の有力幹部、場合によっては知事自身を招いての接待が行われている。この第1から第3までの使いみちは、県庁幹部職員による県庁幹部職員のための接待であり、実際に職員が行っていない出張命令が作られ支出される。一般の県職員の旅費、時間外手当が不当に流用され、幹部職員の飲み食いに使われている。
 第4の使いみちは、現在の硬直化した予算、財政システムでは支出の困難な事務経費に使われるものである。計上した予算は1円残らず使い切らねばならないという非現実的なシステムを改善し、余った金は返す、必要な金は堂々と出すという当たり前のことができるようになれば、この使いみちはなくなる。

 以上のべた公費の乱用・腐敗は、知事の多選、議会政党のオール与党化のもとで、まさに鼻を突くほどのひどいものであり、おそらく秋田、福岡の例からいっても50億を楽に超える公費が乱用され、幹部職員の飲み食いに消えていることと思われる。これはもう立派な犯罪である。

 県政の主人公は県民であり、そのためには県行政にかかわる一切の情報は県民に開かれているべきだと考える。しかし、沼田執行部は都合の悪い情報は県民に隠そうと懸命である。我々は、今後、県民が正しく判断できるよう、沼田執行部がひた隠しにしてきた情報を県民に明らかにしてゆく。


《1997年2月3日付け投書》

 1997年1月下旬、会計検査院の検査で住宅課における事務費の不正使用が指摘され、おびただしいタクシーの不正使用が明らかになった。千葉県庁における公金の乱用(その実態は、知事側近幹部職員による私的飲み食い)は、住宅課だけではなくすべての課に及んでいる。公的機関の調査によって乱用の一端が明らかになった意義は大きいものがあり、後は記者の取り組みによって50億とも100億とも言われる千葉県における公金の不正使用の全貌をぜひ明らかにしていただきたい。

 議会中は各課で多数の職員が残業するが、これはほとんどすべて時間外手当が支給されていないサービス残業である。議会の期間中だけではなく、県職員のほとんどは時間外手当の申告はしていないのが実情で、職員が申告しない理由は、申告しても申告に基づいて手当が支給されないからである。申告すると上司にうるさいやつだとにらまれる。

 年度末は、各課の庶務は毎日残業である。不用額を1円も出してはいけないからである。予算はすべて使い切らねばならない、これが役所の常識で、無駄づかいという言葉は役所にはない。カラ伝票を操作しても帳じりを合わせる、これが庶務担当者の仕事になる。必要な経費が予算化されていないため、庶務担当者はカラ伝票の操作を余儀なくされる。硬直化した会計、予算システムのなかでカラ伝票を操作することに職員がおかしいと思わなくなること、抵抗がなくなること、これが一番の問題である。全国の自治体で吹き出している公金の不正使用の温床は実態に合わない会計、予算システムのなかにある。

 千葉県の場合、更に深刻なことは、各課の課長が幹部職員の私的飲み食いに充てるため積極的に裏金作りを部下に指示しており、これが広く慣行化していることである。どこの課でも、庶務がカラ伝票を作成し物品を購入したことにして、職員に旅費を支給したことにして、裏会計に回し、幹部職員の飲み食いに使っている。大量のタクシーチケットが幹部職員の夜の飲み食いに使用されている。

 どうしてこんなことになったのかというと、沼田政権が長期化し、側近が固定化し、人事が停滞していることと、議会のオール与党化が進み、県庁内に良い意味の緊張感がないことがこれらの腐敗を生んでいる。我々が沼田知事の5選に反対する理由はここにある。沼田知事とその側近にはこの腐敗を根絶することは不可能である。

 記者に要望したいことは、記者クラブを出て自分の足と頭でぜひ取材をして真実に迫って頂きたいということである。広報課から提供される記事は、当局の手によってあらかじめ問題点が削除され隠されたものであり、このような毒にも薬にもならない記事を読者である県民は喜ばない。
 もともと、国政と比べて地方の首長の権限は強大であり、しかも千葉県のように知事の任期が長期化すると、議会の翼賛化が進むので、権力の専横、腐敗をチェックする最後の砦は県民の目となり耳となるマスコミ以外にはない。
 沼田知事は、記者が直接、一般職員と接触し、真実を県民に報道することを心底から恐れている。そのため、記者に聞かれても、各課の課長補佐が対応し、直接職員が答えることは禁止されている。記者ひとりひとりの勇気と努力を期待する。

 ここに書かれている公費の乱用や使い込みは、すべて事実である。筆者も本誌前号に投稿し、県庁における公費私物化などの実態を書いたが(「『官官接待』に思う」、『ちば・地域とくらし』第34号、1995年12月)、投書が相次いでいることで、県庁内部の公費乱用や情実人事、官僚腐敗がいかにひどいものであるかがわかるであろう。




2.公費の乱用と私物化の実態



 さて、公費の乱用・私物化の実態について少し付け加えると、問題のひとつは、“予算さえ獲得すれば、あとはそれをどう使おうがかまわない”、あるいは「県職員の会」が指摘しているように、「計上した予算は1円残らず使い切らねばならない」という財政システムにある。

 毎年、夏から秋にかけて、各課で次年度の予算要求を作成し、財政課の査定を受ける。最終的に査定結果をつみあげたものが県の予算案となり、2月県議会に提案される。
 この場合、議会承認後に各課に配分された予算は、事業ごと、科目ごとに金額が細かく決まっている。しかし、実際には、各課がこれらの予算を事業ごと科目ごとに厳密に使っているわけではない。たとえば、「○○○事業費」という場合、内訳は、賃金、旅費、委託費、需用費(消耗品費、食糧費、印刷製本費)など、それぞれの科目ごとに金額が決まっている。

 しかし、たとえば業者に発注する委託費や印刷製本費をみた場合、予算額は特定の業者に見積書を出させたりして作成したものであるが、実際の事業実施段階では、複数業者による入札を行ったり、随意契約の場合でも、複数の業者から見積書をださせたりして、金額や内容によって業者を決定する場合が多い。したがって、実際には、業者への発注費は予算額よりも少なくなるケースが少なくない。

 この場合、本来は予算補正によって余った金を返すべきなのだが、そうすると次年度の予算確保がむずかしくなるということもあり、普通は返すことをしない。つまり、余った金は他に「流用」し、1円も残さず使い切ってしまうのである。(「流用」というのは役所用語であり、実態をみると公金横領というべきものが多い)。この「流用」はほとんどすべての課で日常茶飯事的に行われているもので、裏金づくりや幹部の飲み食いのなどにあてられている。

 「流用」の一般的な源泉は、職員の旅費である。じっさいには出張しないのに、課内の職員が何回も出張したように書類を作り、この分を幹部の飲み食い費などにあてるのである。つまり、全国的に問題になっている「カラ出張」である。
 また、カラ出張分をすべて幹部がつかうと不満がでたりすることから、その一部を“口止め料”としてすべての職員に分配している職場もある。ちなみに、旅費が「流用」しやすいのは、旅費が現金化しやすいことと、税金がかからないためである。

 消耗品費や印刷製本費、食糧費なども幹部の飲み食いや官官接待、「県県接待」(県庁内部の接待)として「流用」されており、伝票などの偽造が日常的におこなわれている。コピー用紙などの消耗品を購入したように書類をつくり、実際は飲み食い費につかったり、ビール券やパソコンなどを購入する。あるいは、刊行物発行の名目で印刷製本費の予算を確保しておき、実際には刊行物は発行せず、裏金に回すなどということが、ほとんどの課で行われている。

 時間外手当のピンハネもひどいものがある。この点については、「県職員の会」が投書の中で、職員が残業しても時間外手当が十分に支払われず、この未払い分が幹部の飲み食いなどに使われていることを訴えている。
このように時間外労働をさせておきながら、時間外手当をきちんと支払わない、しかも未払い分を幹部の飲み食いなどにあてるというのは、労働基準法違反であり、ピンハネである。まさに、「オール与党」に支えられ、腐敗化した知事側近幹部に牛耳られた県政のもとで、搾取(ピンハネ)や公費の私物化が半ば公然と日常的に行われているのである。

 県費を「流用」し、幹部の飲み食いにあてるという点で見逃せないのは、「馴染みの店」(料亭、スナック)の存在である。ほとんどの課がこれをもっており、そこで飲み食いした代金をツケにして、課に請求書を送らせる。課の庶務主任は、上司の指示を受け、裏金を捻出してこの店に支払う。幹部が連日のように「馴染みの店」に入り浸り、そのツケをすべて公費で支払っている課もある。

 現在は、財政事情の悪化によって経費節減が進められており、「流用」の源泉となっている旅費などが削減されているので、全体的には飲み食いの回数などは数年前と比べれば減っている。
 しかし、公費による飲み食いそのものは相変わらず続いており、また、タクシーチケットの私的使用は相変わらず激しい。本庁についていえば、「馴染みの店」や会館、タクシー会社などから請求書が届けられ、ほとんどの課で庶務担当がその対応(つまり、書類改ざん)に頭を悩ましている。料亭やタクシー会社から次々と請求書が届けられてくるために、当該年度で支払いできず、借金が次年度に繰り越され、過年度分の支払いややりくりに追われている課も多い。こうした書類改ざんや過年度分飲食費の捻出などで連日残業や休日出勤を強いられている担当者も多く、国の会計検査がある時は徹夜状態が何日も続くという課も少なくない。

 タクシーチケットについて一言ふれると、県庁の幹部は飲み食いの後、必ずといってよいほどタクシーチケットを利用している。
 この点について「県職員の会」は、「県庁御用達」となっている富士タクシーの運転手を取材するように記者に勧めている。
 しかし、以前、「県庁御用達」となっていたKタクシーの運転手が私的利用のひどい実態を告発したため、Kタクシーは「御用達」をはずされた。したがって、富士タクシーの運転手については、きびしいかんこう令がしかれている。

 ところで、本来は、監査委員がこうしたことを厳しくチェックしなければならないのだが、よく知られているように、監査委員は知事の任命であり、県職員OBなどで構成されているので、チェックする気はさらさらない。
 また、監査委員の監査を手助けする監査委員事務局の職員も一般の県職員であり、2、3年後には監査される立場に回るため、不正「流用」などが分かっていても、見てみぬふりをしている。

 年に1回、各職場で監査が行われるが、監査担当者は、形式的に書類を眺めるだけで、裏金作りを摘発したりはけっしてしない。
 ただ、何も指摘しないとメンツがたたないので、どうでもいいような些細な問題や初歩的なミスを指摘して、それで一件落着というのが、おきまりの監査となっている。ちなみに、かつて、監査委員事務局の職員がある職場の監査を厳しくおこなったところ、この職員は左遷された。




3.腐敗官僚に支配された県政



「県職員の会」は投書の中で、知事側近幹部が支配する県庁内で、腐敗や情実人事、ことなかれ主義が横行し、多数の県職員が仕事にやる気を失っていると書いているが、これも事実である。

 まず腐敗についていえば、先に述べたような公費の不正使用や裏金づくりを最大限に享受しているのは知事側近幹部である。おそらく、部長級で年間数百万円をくだらないような金額(公費)を私的に使用していると思われる。私が知っている幹部(本庁の課長級)は、ほとんど毎日のように、公費をつかって飲み食い(市町村、関連団体などによる接待の場合もある)をしており、帰りは必ずといってよいほどタクシーチケットを使用している。

 県庁では、こうした幹部の飲み食い費用などを捻出するために上手に「流用」する職員が早く出世する。本課でいえば、庶務係が支出や裏金作りを担当しているが、庶務係長は他の係長よりも格が上として位置づけられている。
 県民サービスの向上に精を出す者よりも、伝票などをうまく作り替え、裏金の捻出で幹部の私的飲み食いなどに貢献した者が早く出世するのである。
 したがって、人事においては、県民サービスや県民生活の向上、地域振興などのために一生懸命やっていることはほとんど評価されない。
 裏金づくりをどれだけ上手にやったか、あるいは知事側近幹部の私的飲み食いなどにどれだけを尽くしたかということが重要な要素となるのである。

 さらに、人事において決定的に重要なのは人脈である。そのため、ゴマすりが横行する。知事や知事の側近に声をかけてもらったり接するために、あるいは自分の手足となって動いてくれる子分をたくさんつくるために、さまざまな集まり(グループ)がつくられており、ひんぱんに懇談会(宴会)が開かれている。
 たとえば、出身高校や出身大学の県庁同窓会が数多くつくられている。また、職種ごとの親睦会や、各市町村や郡の居住者会、採用同期会、JR○○線通勤会、○○市出向者会なども無数につくられている。
 こうした集まりには、関係の県議や幹部OBも顧問などとして会に加わり、宴会などに出席している。また、知事側近が中心となった集まりには、知事も招待されている。
 仕事の面ではあまり能力のない者でも、こうした集まりをつうじて知事側近や自民党県議とつきあいができれば、とんとん拍子で出世することも十分に可能である。また、「自民党県議に100万円貢いで課長にしてもらった」という職員もいるくらいである。

 こうした点については、ある県職員は「明るい民主県政をつくる会」への投書で次のように書いている。

 「長期政権における県議会議員と県執行部との関係を、先日、紹介させていただいたが、今回は、長期政権なるがゆえの県職員人事のマイナス効果を紹介し、その中で生まれた天下りの現状・企業との癒着について説明させていただく。人事については、事務系と技術系に分けて検討され、事務系では佐原グループ(佐原高校卒業者中心)、長生グループ(長生高校卒業者中心)、千葉高グループなど数グループに分かれてそれぞれにポストがおり、その人物を中心とする人間関係で人事上のポスト争いが続いており、それらのグループに所属していない者は、仕事上優秀でなかなか重要なポストにつけない。その反対に、いずれかのグループに所属しておれば、それなりに重要なポストにつくことが可能である。技術系については、日本大学、千葉大学が特に目立っており、日本大学の県庁同窓会には知事(東京大学卒)を招待し、集団でゴマをすっている。もちろん長期政権なるがゆえにその効果も著しく、土木部や都市部では日大卒が多くの重要ポストを占めている。この様に、県庁職員の間では、事務系技術系をとわず知事及び一部幹部に対するゴマすり出世競争が激化しており、今や、『県民中心の行政』などほど遠い。ポスト争い、縄張り争いが多くの県庁職員の最も重要な関心ごとである。しかしながらまじめに県民のために一生懸命仕事をしている者も少しはいる」

 ちなみに、1985年1月6日付けの読売新聞(千葉版)は、県庁人事をとりあげ、「『彼が部長とはねえ』とOBがタメ息をついた例も聞く。さらに、自民党県議の後押しで、ぐんぐん出世した幹部もいる、との指摘もある」と書いているが、こうした情実人事は今も幅をきかしているのである。

 このように腐敗した人事のもとでは、職員がやる気をなくすのは当然のなりゆきであろう。県職労が全職員を対象に実施した「仕事と職場のアンケート」(前出)では、「今の仕事や職場で、喜び、やりがいを感じますか?」という問いに対して、23.8%(761人)の職員が「ほとんどない」と答えている(図3)。職種別にみると、事務職では、「ほとんどない」は33.7%(321人)にもおよんでいる。


4.壮大な無駄遣いを続行



 (省略)

5.緊急課題となっている情報公開



 内部告発が相次いでいることにみられるように、沼田県政に不満をいだいている県職員は数多い。今回の知事選挙でも、多くの県職員が知事の交替を望んでいた。
 しかし、結果的に沼田知事の5選が決まったいま、県政を民主化する方策のひとつは情報公開となっている。この点では、オンブズマンの活動がおおいに期待される。

 評論家の佐高信氏は、情報公開について、「公開しないのは、公開できるほどの仕事をしていないからだ。ソバの手打ちをガラス張りで見せるのがあるが、あれが情報公開だ。打っている場面を見られていれば、手抜きできない。自分のソバに自信があるなら、堂々と打つところを見せればいい」(千葉日報、1997年1月18日)と述べているが、まったく同感である。
 ガラス張りになれば、公費の私物化や無駄遣いがしにくくなる。また、公務員にとっても、やりがいが大いに生まれるのではないかと思っている。

 公費乱用や県民に背を向けた県政運営に対して、心を痛めたり、なんとかならないかと思っている県職員は数多い。次に紹介するのは、県職労青年部が昨年1月に実施した青年対象のアンケートに対して、ある職員から寄せられた一文である。

 「今、千葉県職員として第一に疑問を抱き叫ぶべきことは、露骨な政治的介入、組織の面子至上主義、ことなかれ主義、職員の低い士気等々により、まともに行政機関としての法の正義も公共の福祉も貫徹されていないことである。これについては具体例や理論上の説明は不要であろう。(中略)少しでも職場に根を張り現場の問題を考えているのならば、出先の職員は将来を悲観し無為に日々を過ごし公僕としての誇りを捨てていること、本課では議会やプレスに対する対外的なポーズを作ることに病的なまでに固執し、やはり公僕の理念を捨てていることなどがすぐに見えてくるはずである。行政の本質がまったく無視されたこうした現状を黙殺したままでは県民の支持協力は得られるわけはなく、全市民階級、勤労階級的な結束は無理であり、上部団体の運動だけ頑張ってそれでナショナルセンタ-としての機能をなしているといっても何の説得力もないであろう。この腐った県行政に対し疑問や怒りを感じている不満分子は特に若い女性を中心に意外と多く、これらの勢力をうまく結集できれば組織の勢力は質的にも強化されるのではないか。(中略)長々と偉そうなことを述べてきたが、そういう自分は何か行動を起こしているのかといえば何も考えてさえもいない。何よりあきらめの気持ちが先に立ち、完全なペシミズムに陥っている。この先どうしてよいかわからず、将来に対してどうにもならない不安と絶望を感じているだけである。ただ実際の活動家たる皆さんに訴えるよい機会であり、こういう考えを持っている人間がたくさんいるということを知ってほしかった次第である」

 ここに書かれているように、腐敗した県政運営や人事のもとで、数多くのまじめな職員がやる気をなくしたり、不安や苦悩をいだいている。
 こうした実態をより多くの方々に知っていただきたいと思い、長々と書かせていただいた。

 最後に、数的には多数を占めている真面目な職員と、労働組合や県民が力を合わせ、県政が県民本位に転換することを切に望んでいる。


(1997年4月)著者 原田隆夫

 本稿は、千葉県自治体問題研究所発行『ちば・地域とくらし』第35号(1997年4月)に掲載されたものです。

2009年12月22日火曜日

森田健作知事は12月18日、
  千葉県職員による巨額不正経理問題で、
   県当局が進めていた不正経理の
      追加調査結果を発表した。

 ここ数日のマスコミ報道を下記に記します。 
 次回は、90年代の内部告発について報道します。



千葉 13年前の内部告発黙殺
   県不正経理「うみを出していれば」


 総額36億円を超える不正経理が明らかになり、2200人余りの処分者を出した千葉県。調査中、約13年前の内部告発が黙殺されていた事実が明るみに出た。「あの時にうみを出し切れていたなら…」。県幹部は悔しさをにじませた。
 「公費の乱用、使い込みの手口は各県と同じ。旅費、時間外、物件購入のカラ伝票を切り、裏金をつくります」
 11月下旬。不正経理を調べる県議会の特別委員会で、1997年初めに内部告発する文書が県に寄せられたことが明らかにされた。告発人が匿名だったことを理由に県は調査を見送っていた。不正が漫然と放置され続けたことに、委員たちは言葉を失った。
 調査は県庁の全部署で行われた。「『差し替え』したことを覚えているか」。同時期、副課長の一人が部下の経理担当者を呼び出し、県の伝票と業者の帳簿との食い違いを問いただした。1件でも“自白”すれば、担当者だけでなく、決裁した課長、副課長も処分する徹底ぶりだった。
 不正とみなされたら、管理職は自ら判を押していない「代理決裁」でも処分対象に。幹部の一人は「『疑わしきも罰する』雰囲気だ」と漏らす。
 別の幹部は振り返る。「かつて官官接待が問題になったが、県は『ない』と言って終わらせてしまった。それが今回の遠因だ」

    ────千葉日報12/19────




千葉 戒告で昇進見送りも
   OB次第で現役に負担増
     堂本前知事は1000万円返還


 「家のローンは当然影響が出る。借金するしかない」。自ら不正にかかわったわけではないだけに、男性副課長はいらだった。男性部長も「戒告とは職員に冷たいと思ったが、管理者としてはしょうがない」と肩を落とした。
 今回の不祥事を受けて県は2003年度から08年度まで課長級以上の職員391人を組織責任があるとして、公金に手を付け手土産代や懇談会などに充てた“実行犯”ら職員44人と同じ戒告処分とした。県総務課によると、戒告処分となると、その年の昇給は4分の3ほどに、ボーナスも部長級で約20万円、課長級で約10万円減る。昇進も見送られるケースもある。
 さらに総額約9億円の返還金については、仮称職員返還会を設置。個人や各所属で行われた不正の返還額を除く8億2700万円については業者からのプール金(4億1800万円)が返還されないと、現職・元職の職員が全額負担する。現役職員は計3億7800万円を来年度末までに返還。OBには最大計4億4900万円を12年度末までに返還を求めるという。
 ただ、プール金はすでに5600万円が返済不能と見込まれ2億1600万円も交渉中。OBが返済を拒んだ分については、11年4月から、その時点のポストに応じて毎月給与が天引き(部長級1万2500円、次長級1万円、課長級7500円、主幹級2500円)されるポストリレー方式を導入した。
 総務課は「ポストリレーは5年程度にしたいが、OBや業者の返還状況により長くなる」と説明。男性部長は「ポストリレーでOBさんが返してくれないと、現役世代は戒告と返済のダブルパンチで苦しむ」とOBに返還を懇願する。
 小宮大一郎総務部長は、堂本暁子前知事は1千万円の返還金について応諾していると説明。元部長の一人も「(不正経理は)知らなかったが『払ってくれ』と言われれば払う」としつつ、「職員の倫理観が緩んだ面は否めないが“差し替え”などの不正経理の手口は現行の会計制度ではまた起こるのでは」と警鐘を鳴らした。

    ────千葉日報12/19────




千葉 不正経理2245人処分
  県職員9億円返還へ
      追加調査で新たに7億円


 県職員による巨額不正経理問題で、森田健作知事は18日、県当局が進めていた不正経理の追加調査結果を発表し、2008年度までの6年間で、新たに計約7億円の不正経理が見つかり、不正総額は約36億6千万円に膨らんだことを明らかにした。また一般職員や県立学校職員ら計2245人を大量処分するとともに、県の損害金を約9億円と推計し、OBを含む職員に全額を返還させる方針を決定したと発表した。
 追加調査の結果、08年度の需用費(消耗品など)で3億1千万円分の不正経理が判明。また需用費以外では、業務委託料や金券類(有料道路回数券など)で6千万円分、14課が保有していた預金通帳(20冊分)の5千万円分の入金の経緯が不透明として不正と認定した。
 また県立学校159校のの需用費(03~08年度分)を調べたところ、高校104校と特別支援学校22校の計126校で、計2億7千万円の不正経理が見つかった。
 不正経理による処分対象者は本庁で計1783人に上り、課長級以上の幹部職員全員を監督責任などを理由に処分した。処分者の内訳は部長級35人、次長級135人、課長級269人、主査級289人、副主査級以下1055人。このうち戒告などの懲戒処分は445人に上り、私的流用など極めて悪質だった4人(逮捕者1人を含む)を懲戒免職としたほか、1人を6カ月の停職とした。
 森田知事は減給10分の3-3カ月、副知事や教育長などその他の特別職は10分の1-1カ月を減給または自主返納とする処分とした。
 県立学校の処分は、校長107人、事務長127人、経理担当者228人の計462人を数えた。
 記者会見前に開かれた同日の県議会全員協議会で、追加調査結果を報告した森田知事は「コンプライアンス(法令順守)意識の欠如に加え、県庁全体で長年の慣習や前例踏襲によって、組織的に不正経理が行われていたことがあらためて明らかになった。こうした実態とともに、度重なる職員の逮捕について重ねて県民の皆さまに深くおわび申し上げる」と謝罪した。

    ────千葉日報12/19────




2245人処分 「膿出し切る」
    県不正経理総額36億に


 県の不正経理の総額は36億6100万円に膨れ上がり、この問題では全国最大規模の2245人の職員を処分する事態に発展した。県庁への信頼を大きく揺るがした前代未聞の不祥事。県は追加調査の結果、職員4人を業務上横領などの容疑で告訴するなどしたが、「膿(うみ)を出し切る」(森田知事)までには、まだ解明すべき点が残されている。
 「県庁職員が一丸となって、頑張って仕事をする。そして県民の皆様の信頼を取り戻す」。森田知事は18日の記者会見で改めて陳謝し、9月9日の会見に引き続き頭を下げた。
 従来の調査は、2007年度まで5年間の事務用品費などの「需用費」を対象としていたが、今回は同期間の旅費、賃金、業務委託料などの抽出調査を追加し、08年度分の各費目も対象とした。また、県立学校についても、08年度まで6年間の経理を調べた。
 その結果、08年度分の需用費は396部署のうち、305部署で3億1200万円の不正が発覚。業務委託料については、年度内に納入したと偽る「翌年度納入」の手口による5600万円の不正が判明した。また、預金通帳を用意して不正に現金を管理していたケースが14の課や出先事務所であり、通帳20冊分、総額5200万円だった。カラ出張、カラ雇用による裏金は確認されなかった。
 一方、県立学校は159校のうち、104の高校と22の特別支援学校で「翌年度納入」「預け」などの手口による総額2億7200万円の不正が明らかになった。業者に預けた「プール金」は253万円あったが、業務以外の用途に使った悪質事例はなかったという。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉県 4人懲戒免 私的流用も

 
 一連の不正経理問題で処分対象の職員は知事部局など1783人(うち懲戒処分は445人)、県立学校462人。一度にこれだけ大規模の処分者が出るのは、県政史上初めてだ。
 懲戒免職となったのは、環境政策課の高橋義詔副主幹(46)(業務上横領罪で起訴)、山武農林振興センターの藤下義巳副主幹(49)、知事室の稲田隆司副主査(37)、健康福祉政策課の砂生正晴主査(44)の4人。
 県の発表によると、高橋被告を除く3人は、過去に所属した部署で経理を扱う立場におり、不正にかかわった。
 業者に納品させたプラズマテレビなど二十数点(約400万円相当)の電化製品を自宅に持ち帰ったり、150万円分の図書カードを着服したりするなどしていた。3人は私的流用を認めているという。
 別の職員1人も、業者から納入させた商品券などを現金化し、数百万円の使途不明金に関与しているとしたが、この職員は「(現金化した金は)組織運営に充てた」とし、私的流用を否定しているという。
 県は、これら4人を18日付で業務上横領などの容疑で県警に告訴した。私的流用を否定する1人については、県警の判断を待って行政処分を検討する。
 特別職の処分では、減給10分の3(3か月)とした森田知事のほか、2人の副知事が減給10分の1(1か月)、教育長、公営企業管理者、代表監査委員は給料の10分の1を1か月分自主返納するとした。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉 損害9億 管理職に返還要求へ


 不正経理による県の損害額について、県は9億500万円と算定し、不正経理が判明した08年度までの6年間に在職した管理職(退職者を含む)から返還を求める。18日、職員返還会(代表・石渡哲彦副知事)を設置し、2011年3月末までの返還を目指す。
 1000万円を負担する堂本暁子前知事を含め、対象者は3576人。副知事経験者には300万円、出納長経験者には250万円の負担を求める。その他の負担額は部長級90万円、次長級70万円、課長級50万円、副課長・主幹級12万円。
 一方、県立学校の返還額については1400万円と算定。県と同様に08年度までの6年間で退職者を含む校長、教頭、事務長経験者計925人から返還を求める。返還額は校長2万円、教頭と事務長は1万6000円。
 18日現在、業者の口座にプールされた裏金は40業者に計4億1700万円残っている。県は返還を求めて交渉を始めている。このうち、31業者(計1億4600万円)については返還に前向きで、7業者(計2億1600万円)は交渉中。残る2業者(計5600万円)は、業者が既に倒産などしており、返還は不可能と判断した。この分は県職員で穴埋めする。

    ────2009年12月19日 読売新聞────




千葉 全容解明へ調査に余地


 県の不正経理の追加調査は、調査対象を広げるなどしたものの、不正の全容を解明するという点では不十分と言わざるを得ない。
 2000人を超える処分者を出し、沈痛な面持ちで頭を下げる森田知事ら(県庁で)記者会見で佐藤忠信行政改革監は、「『上司から指示されて伝票をやむを得ず書いた』という経理担当者もいる」と明らかにした。これまで県は上司の関与について言及していなかった。組織的に不正が行われていた実態を示す重要な証言だが、佐藤行革監は「それがすべて実態を反映するのかはわからない」と言葉を濁した。
 また、2002年度以前の経理に関して、小宮大一郎総務部長は「資料が残っていない」として、調査に消極的だ。不正経理は「長年の慣行」とされるが、いつ頃から始まったのか、職員から具体的な証言は得られていないという。
 県議会の不正経理調査特別委員会では、委員から「印刷・製本費」も不正の温床になりやすいとの指摘があり、県は「調査する」と約束している。まだ調べるべき費目は残っている。「膿を全部出す」。森田知事が再三繰り返し、18日も改めて強調した県民との重い約束。トップの責任でしっかり果たしてほしい。

   ────堀合英峰 2009年12月19日 読売新聞────




千葉 県民の信頼 回復なるか
    不正経理問題追加調査結果


 「県民の信頼を取り戻すため一生懸命やります」-。不正経理問題の追加調査結果と、懲戒免職四人を含む二千人超の職員の処分を発表した十八日の記者会見で、森田健作知事はこう述べ、深く頭を下げた。内部調査は区切りを迎え、職員らによる損害額の返還作業に入るが、県民の信頼を取り戻せるかは不透明だ。 (小川直人、小林孝一郎)
 調査結果について、森田知事は記者会見で「捜査権限のない中で外部委員会にも奮闘してもらい、現時点においては一生懸命できた」と評価した。
 二千人以上に及んだ職員の処分については、「(処分が)きついという意見もあったが、不況による倒産や賃金カットなど世間は甘くはない」などと述べた。
 県民の信頼回復に向けて、「生まれ変わってやるんだという気持ち。職員にもそういう気持ちを持ってもらった。頑張って仕事をするということだ」と力を込めた。
 一方、県の損害額として堂本暁子元知事に一千万円の返還を求めることについて、県総務部は「事前に(本人に)話をしている。支払っていただけると理解している」とした。
 記者会見に先立ち、県は県議会の全員協議会で追加の調査結果などを報告した。この日は質疑は行われず、十二月定例会最終日の二十二日に、各会派が緊急質問を行う。

◆職員返還金9億2000万円
 私的流用や使途不明などで県に損害を与えたとして、職員らが県に返還する額は、九月発表時の約七億円から約九億二千万円に増えた。二〇〇三~〇八年度に管理職(主幹級以上)だった現職約二千三百人、退職者約二千二百人が、一〇年度末までに返還する予定だ。
 それぞれの返還額は、堂本暁子前知事が一千万円、前副知事三人が各三百万円、元出納長が二百五十万円。以下、現職、退職者を問わず部長級が九十万円、次長級が七十万円、課長級が五十万円、副課長・主幹級が十二万円を負担する。
 返還の対象となった不正経理は、私的流用や使途不明に加え、▽伝票と異なる内容で納入させ、業務に使用したが、現物を確認できない物品▽公金を支出するべきでなかった物品-など。デジタルカメラや電子レンジ、加湿器などが不正経理処理で納入されていた。
 架空伝票を使って業者に公金をプールする「預け」という手口によって、現在も約四億二千万円が業者にプールされている。うち約六千万円は業者の倒産などで回収不能のため、職員らの返還額に算入された。東京12/21




千葉 不正経理問題 追加調査の詳細


 新たに約六億九千万円の不正経理が明らかになった今回の追加調査。県は、九月に発表した内部調査の対象外だった時期や費目について詳細に調べた。
 二〇〇八年度の知事部局の消耗品費などでは約三億一千万円の不正経理が判明。納品された物品のほとんどは業務に使われたが、伝票の内容と異なる物品を納入させるなどの不正経理が行われた。
 〇三~〇八年度の調査委託業務では、支払いの翌年度に成果を受け取る不正経理が約六千万円あった。〇三~〇八年度に県庁内で保管されていた預金通帳二十冊には、出所不明の入金が約五千万円あり、すべてを不正経理とみなした。
 県立学校の調査では〇三~〇八年度に、百五十九校のうち百二十六校で約二億七千万円の不正経理が判明。納品された物品はすべて業務に使われたが、支払いの前年度や翌年度に納入させるなどの不正経理があった。 一方、県警は調査が終わっていないとして発表しなかった。

    ────東京12/21────




千葉 職員4人を告訴
    プール金私的流用 電化製品4百万円


 不正経理の追加調査結果を受け県は18日、山武農林振興センターの藤下義巳副主幹(49)、知事室の稲田隆司副主査(37)、健康福祉政策課の砂生正晴主査(44)ら県職員4人を業務上横領容疑などで県警に刑事告訴した。
 総務課によると、藤下副主査はプラズマテレビやDVDなど400万円相当、稲田副主査はファクシミリなど42万円相当の電化製品を、プール金を使って業者に納品させ、自宅に持ち帰るなどしたとされる。また砂生主査は、プール金で計250万円相当の図書カードを納品させるなどし、公金の私的流用の疑いがもたれている。3人はいずれも同日付で懲戒免職処分となっている。
 また、公金を使い業者に納品させた商品券を現金化した数百万円が使途不明になっているとして、職員1人を告訴した。

    ────千葉日報12/21────

2009年12月19日土曜日

不正経理に関わった計2245人を処分し、
       約9億円の返還を求める

 処分の全容を添付しました。
(下のリンクで見てください。77頁)
http://www7a.biglobe.ne.jp/peace9/houkokusho.pdf
 


 千葉県議会で全員協議会が12月18日、開かれました。
 そこで、不正経理問題に対する処分の全容が報告されました。
 県は一般職員や県立学校の職員ら計2245人を処分し、約9億円の返還を求めることを明らかにしました。
 また、3人を業務上横領容疑などで刑事告訴し、この3人を含む計4人を懲戒免職としました。



千葉県30億円不正経理、2245人処分 懲戒免職4人


 千葉県で総額約30億円の不正経理が見つかった問題で、県は18日、追加調査分も含めて2003~08年度(一部09年度も含む)に不正経理に関係した担当者や管理監督者ら2245人の処分を発表した。このうち私的流用などケースが悪質だった職員4人は同日付で懲戒免職処分とした。森田健作知事自らも減給処分となった。また、県職員などに約9億円の返還金を求め、堂本暁子前知事にも1千万円を請求する。
 県によると、追加調査で各部署で新たに確認された不適正な経理処理は約4億2千万円。このほか、県立学校でも約2億7千万円の不正経理があり、追加調査では計6億9千万円の不正が新たに判明した。
 県では9月、03~07年度の5年間に事務機器購入などにあてた消耗品費64億8700万円のうち、29億7900万円で不正が判明した。その後、(1)08年度分の消耗品費(2)03~08年度で、会計検査院の調査対象となった農林水産部と県土整備部以外の部署の旅費やアルバイト賃金、委託料などの抽出分(3)03年度~09年11月半ばごろに購入した高速道路回数券やハイウェイカード――などを追加調査した。
 架空の物品発注で県から公金をだまし取ったとして元県職員が詐欺容疑で逮捕・起訴されたことをきっかけに、多額の不正経理が発覚した。朝日12/18



千葉県不正経理で県職員ら2245人処分、告訴4人に


 不正経理問題で、千葉県議会の全員協議会で謝罪する森田健作知事=18日午後、千葉県庁 千葉県庁で発覚した30億円に上る不正経理問題で、県は18日、不正経理総額が平成15年度から20年度までの累計で32億8千万円に上ることを明らかにした。また、私的流用が疑われる4人の県職員を、業務上横領容疑で千葉地検に告訴した。このほか4人を懲戒免職処分にするとともに、歴代管理監督者を減給処分とするなど、県職員の処分者は計1783人、うち懲戒処分者は445人となった。また、県立学校の職員ら462人も処分し、対象者は全体で計2245人にのぼった。県は約9億円の返還を求めるとしている。
 堂本暁子前知事についても管理監督責任を問い、1000万円の返還を求める。森田健作知事自身も10分の3(3カ月)の減給処分とした。
 県庁での不祥事による処分をめぐっては、過去には懲戒処分約千人を含む約4400人の処分者を出した岐阜県庁の裏金事件などがある。産経12/18



千葉県、職員2245人を処分
    3人告訴、不正経理総額32億円


 千葉県で明るみに出た不正経理問題で、県議会の全員協議会が18日開かれ、県は一般職員や県立学校の職員ら計2245人を処分し、約9億円の返還を求めることを明らかにした。3人を業務上横領容疑などで刑事告訴し、この3人を含む計4人を懲戒免職とした。
 また、新たに約3億円の不正経理が見つかり、不正経理の総額は32億8千万円となった。森田健作知事も減給10分の3、3カ月の処分。
 森田知事は「こうした不正経理の実態とともに、度重なる職員の逮捕について重ねて県民の皆さんに深くおわび申し上げる」と述べた。
 県は9月、内部調査結果を公表。偽の支払伝票を作成して事務用品の架空発注を繰り返す「預け」や、契約したものとは違う物品を納入させる「差し替え」などの手口で、2007年度までの5年間に約30億円の不正経理が判明。うち約7億円を県への損害と認定していた。

   ────千葉日報12/18────

2009年12月18日金曜日

不正経理に対する隠ぺい体質を改め、
  全容解明、再発防止、幹部責任を明確にせよ 

 千葉県庁の不正経理の処分が12月18日に発表されます。
 県庁の不正経理は県警を含む全部局で組織的・継続的に行われてきました。
 1997年の内部告発を共産党県議が取り上げ、県議会で追及したにもかかわらず、当時の知事は闇に葬り去りました。
 このような隠ぺい体質や物言わぬ公務員づくりが、不正経理につながりました。
 当然、幹部責任が鋭く問われます。
 「トカゲのしっぽ切り」ではすまされません。

 “小松実県議は、私的流用以外の不正経理は、担当者が勝手にできるものではなく、別の物品を納入させたり、夜食代として使ったりなどというのは、管理監督者の指示、あるいは承認のもとに行われたものだと指摘、当然、指示を出したものにより重い責任があるし、重い処分であってしかるべき、と県議会で迫りました。
 また、「公金の支出として不適当」とされ、職員に全額返金を求めている場合でも、管理監督者への処分が「文書訓告」のみというのでは、県民の理解は得られない、と指摘しました。
 答弁に立った小宮大一郎総務部長は、「ご指摘はその通り」とした上で、「報告書」で示した職員処分の基準については、変更がありうること、管理監督者への処分についても、「指摘を踏まえて検討する」と約束しました。”


 岩手県では県警の不正経理で歴代部長4人が処分されました。
 また、福井県では不正経理で職員1330人が処分、管理監督者ら340人には戒告処分が行われました。

 私たちは、知事の疑惑と県庁の不正経理について、全容解明、再発防止、責任の明確化を求めます。

2009年12月17日木曜日

「金権日本一」を一掃しよう

 「このままでは『年が越せない』という、深刻な事態が昨年以上に広がっています。
 失業者への緊急支援をおこなうなど、緊急対策が求められています。
 私たちはこの間、千葉県などに「公設派遣村」をつくれ!などの要求をしてきました。
 千葉では千葉労連や市民団体などで実行委員会をつくり、千葉市と東葛で「派遣村」を12月24日に行います。

 そのさなかに、千葉県庁に知事疑惑と不正経理の激震が走っています。

 3月の千葉知事選で「自民党支部長」を隠し、「完全無所属」をうたったのは公選法違反に当たるとして、「森田健作を告発する会」が刑事告発しました。
 ところが、千葉地検は不当にも不起訴にしました。
 この千葉地検の処分は不当として、「告発する会」のメンバーら218人が12月16日、千葉検察審査会に審査申立書を提出しました。
 申立では「森田氏の行為は一種の情報操作であり、選挙で情報操作がまかり通るのでは民主主義国家とは言えない」などと主張しています。
 不起訴処分は市民感覚とかけ離れています。
 検察審査会への申し立てをテレビや新聞が報道しています。
 検察審査会を県民は注視しています。
 民主主義を守る正義の判断を期待します。


 明日は不正経理をとりあげます。




「完全無所属」問題で不服審査申立て


 知事選のいわゆる「完全無所属」問題で、森田知事を刑事告発したメンバーらが、告発が不起訴処分となったのは不当だとして、検察審査会に不服審査の申立を行いました。
 この問題は、森田知事が自民党支部の代表を務めていながら知事選で「完全無所属」を強調した行為が、選挙違反に当たるかどうかで意見が対立しているものです。
 「森田健作氏を告発する会」では、4月15日に公職選挙法違反が禁じる虚偽事実の公表に当たるとして森田知事を刑事告発しましたが、千葉地検は9月30日に嫌疑不十分で不起訴処分としました。
 これを不服として、「告発する会」のメンバーら218人が、千葉検察審査会に審査申立書を提出しました。
 申立では「森田氏の行為は一種の情報操作であり、選挙で情報操作がまかり通るのでは民主主義国家とは言えない」などと主張しています。
    ────千葉テレビ12/16────




市民団体が森田知事不起訴で審査申し立て


 3月の千葉知事選で「完全無所属」をうたったのは公選法違反に当たるとして刑事告発された森田健作知事を不起訴にした千葉地検の処分は不当として、市民団体が16日、千葉検察審査会に審査を申し立てた。

 森田氏は自民党の政党支部代表を務めていたが、知事選で「完全無所属」を掲げて初当選した。市民団体は「誤った候補者の情報が流されると、有権者は公正な判断ができない。森田氏が行ったのは一種の情報操作だ」と主張している。

 市民団体は4月に森田知事を告発。この際、森田氏が外国人や外国法人の持ち株比率が50%を超えていた法人から献金を受けていたことも政治資金規正法違反に当たるとして告発し不起訴となったが、時効が完成したため申し立てを見送った。 
    ────2009年12月16日 日刊スポーツ────

2009年12月14日月曜日

「不正経理」「違法献金」などの
    金権腐敗一掃を求める要請書

2009年12月3日
千葉県知事 森田健作様

森田知事の政治責任を追及する会 代表 三輪定宣



 「不正経理」「違法献金」などの
    金権腐敗一掃を求める要請書


 世界的な金融危機を背景にして、「派遣切り・期間工切り」など大企業の横暴などで、失業者336万人、6月~12月に失業給付が切れる人が100万人近くにのぼっています。「このままでは年が越せない」という声が広がっており、雇用、医療、福祉などを求める緊急対策が県政に求められています。

 そのさなかに、千葉県庁で30億円にのぼる全国最大規模の不正経理問題が明らかになり、県民の大きな怒りと不信をまきおこしています。

 この不正経理問題は、1997年の内部告発に見られるように、組織的かつ長期にわたるものであり、県警を含む、県庁全体におよんでいます。今回、調査対象となったのは、2003年度から2007年度の消耗品費の支出65億円であり、2002年度以前の分や消耗品以外の支出については調査されていません。1兆6千億円という県の一般会計予算のごく一部にすぎません。

 県庁全体が、このような不正経理は二度と許さない、との強い決意のもと、再発防止に万全を期すべきことは言うまでありません。そのために職員の規範意識の確立は当然のことですが、とりわけ幹部職員の責任は極めて重いものがあります。

 担当職員だけの判断で不正経理が行えたはずはなく、県庁幹部職員がどう関与したのか、隠ぺい体質を改め、明らかにすることが、再発防止にかかせません。同時に、現在の会計処理システムを抜本的に見直し、二度と不正経理を起こさない仕組みを構築する必要があります。

 知事が今回の不正経理問題解明の先頭に立つのは当然ですが、そのためにも、この間、大きな批判をあびている「違法献金」「迂回献金」など森田知事自身の疑惑を明らかにすることが欠かせません。

先の千葉県知事選挙において「完全無所属」を強調した森田知事が、自民党東京都衆議院選挙区第二支部の支部長を務めていたこと、またその支部が2004年から2007年の4年間で1億6000万円もの企業献金を受け取り、そのうち1億4400万円が資金管理団体である「森田健作政経懇話会」に流れていたことが明らかになりました。選挙後、多くの有権者から「裏切られた」「騙された」などの怒りの声が沸き起こっています。

 とりわけ、同支部が2005年と2006年の2年間、外国人・外国法人の持ち株比率が50%を超える企業から1000万円を超える献金をうけていたことは、当時の政治資金規正法に明らかに違反しており、「知らなかった」などの言い訳は通用しません。この間、政治とカネの問題に対する有権者の怒りが広がり、厳しい目が注がれているもとで、この問題をいささかもあいまいにすることは許されません。

 知事が自らの疑惑を曖昧にしたままでは不正経理問題で「膿を出して再出発する」ことも、県民の信頼を回復することもできません。県民を偽り、不信を招いた森田知事に説明責任、道義的・政治的責任を果たすことを要請します。

 私たちは「不正経理」「違法献金」など、千葉県の金権腐敗体質の一掃を求めるものです。 ────以上────

2009年12月13日日曜日

千葉県知事 森田健作様
     「明るい民主県政をつくる会」
                  代表 河野泉
     「森田知事の政治責任を追及する会」
                  代表 三輪定宣

雇用、医療、福祉等を守る
         緊急対策を求める要請書


 貴職におかれましては、住民のくらしと福祉の向上、ならびに地方自治の発展にご尽力されていることに敬意を表します。

 さて、日本の完全失業者数は12カ月連続で増加し、この9月には過去最悪の363万にのぼっています。製造業の“派遣切り”が相次ぎ、東京・日比谷公園に「年越し派遣村」ができた昨年暮れよりも失業者は90万人以上増えています。
 また、政府の「貧困・困窮者支援チーム」(事務局長・湯浅誠内閣府参与)は11月16日、解雇などで職を失い、雇用保険の支給が切れた状態で年末を迎える人が約23万人に上るとの推計を公表しました。
 千葉県内でも各地で派遣村実行委員会が「派遣村」を実施していますが、生活保護の申請が相次ぐなど大変な状態悪化が続いています。 

 【政府の緊急雇用対策本部(本部長:内閣総理大臣)は、「求職中の貧困・困窮者が再び『派遣村』を必要とすることなく、安心して生活が送れるようにするため、国、地方自治体などの協力の下、利用者が、一つの窓口で必要な各種支援サービス(雇用・住居・生活支援)の相談・手続きができるよう、実行ある『ワンストップ・サービス』等の支援体制の強化にとり組むこととしています」
 「具体的には・・・①「ワンストップサービス・ディ」を試行実施、②「ワンストップサービス・ディ」の定期開催、年末年始の開催を検討、③年末年始の生活相談活動等の対策を推進することとしております。
 各都道府県におかれましても、本対策の趣旨をご理解いただき、以下のような対策の実施につき、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 1.「ワンストップサービス・ディ」の実施に際しての担当職員の派遣協力、
 2.年末年始の生活総合相談、一時入居施設の借り上げなどの実施、
 3.離職者向けに活用可能な公営住宅などのハローワークへの情報提供、各都道府県知事におかれましては、何卒、こうした趣旨にご理解を賜りますとともに、管内市町村のご協力も賜りますよう各自治体への連絡方ご配慮をよろしくお願いします」】
 このように政府も緊急雇用対策で自治体の協力を要請してます。

 「明るい民主県政をつくる会」(代表 河野泉)、「森田知事の政治責任を追及する会」(代表 三輪定宣)は、千葉県に県民の雇用と暮らしを守る緊急対策、知事の違法献金疑惑、県庁の不正経理など、金権腐敗一掃を求め下記のとおり要請します。


1. 緊急雇用対策を実施すること。

①政府の緊急雇用対策の理念に基づき、年末年始に千葉県「公設派遣村」を設置すること。
 また、すべての市町村で年末年始に「公設派遣村」が設置できるよう援助すること。
「公設派遣村」には、食料、寝具などを準備し、年末年始が過ごせるようにすること。
②失業者への生活援助を抜本的に強化し、新しい雇用の創出と再就職支援にとりくむこと。
また、生活密着型公共事業、耐震対策などで仕事を確保すること。
③県として公契約条例を制定するとともに、最低賃金の大幅引き上げで「働く貧困層」をなくすよう国に要請すること。 
④大企業に雇用への社会的責任を果たさせ、無法な「非正規切り」やリストラ、雇用破壊をやめさせること。
⑤労働者派遣法の抜本改正ををはじめ、長時間・過密労働を是正するよう国に要請すること。

2. セーフティーネットとしての「生活保護の適正な取り扱い」を徹底すること。

①「住所」がなくても生活保護は利用できるようにすること。
②ホームレスなど安定した居住の無い人が、「住宅の確保」のために敷金や生活のための家具・道具が必要な場合は生活保護費から支給すること。
③即日でも急迫状態の場合には保護決定をすること。
④失業者やワーキングプアも生活保護が利用できること。特に「能力があるものは生活保護が受けられない」という認識ではなく、はたらく能力があり、それを活用しようとしてもはたらく場が得られない者は生活保護が利用できるようにすること。
①ケースワーカーの担当世帯のの「標準数」を「法定数」に改めるとともに、当面「標準数」を60対1とすることを国に求めること。

3.安心して医療が受けられるように医療を充実すること。

①新型インフルエンザワクチン接種費用について、県独自の助成をすること。
②新型インフルエンザワクチン接種に関する正確な情報を周知すること。
③新型インフルエンザワクチンの優先接種対象者に介護従事者を加えるよう国に要請すること。
④中学三年生まで医療費を無料化すること。
⑤保育、介護をはじめ住民生活に関わる最低基準の切り下げをやめるよう政府に働きかけること。
⑥国の「公立病院改革ガイドライン」にもとづく県立・市町村立病院の経営形態の見直しや統廃合計画をやめること。全国的に最低水準にある医師・看護師・病床数の改善を図ることとあわせて、いのちと地域医療を守る中核としての県立・市町村立病院の存続・充実を図ること。とりわけ、県立東金病院を充実し、救急医療体制の強化を図ること。

4.格差と貧困の中で、行き届いた教育がでいるよう教育条件を整備すること。
①少人数学級など、教育条件を整備すること。
②学費を無償化するよう国に要請すること。
③「千葉県の教育を元気にする有識者会議」について

5. 不況のあおりを受けている中小企業や農業を支援すること。
① 中小業者の仕事確保に向けた支援を緊急に行うこと。
 まち工場、商店などへの直接支援を行うこと。
②金融機関による貸し渋り、貸しはがしを防止し、中小業者に必要な資金が行き届くよう緊急対策を行うこと。
③「生活福祉資金貸付制度」を中小業者が活用できるよう運用してください。
④政府が自ら決めた100万トン備蓄ルールに基づき、15万トンの即時買い入れをするよう国に申し入れすること。
⑤需要のないミニマムアクセス米について輸入を中止すること。
⑥生産費を補う最低18000円(1俵)の米価の下支えをすること。

6.千葉県の金権腐敗を一掃すること
① 県庁の「不正経理」の全容解明、再発防止、隠ぺい体質にメスを入れ、幹部責任を明らかにすること。
② 森田知事の虚偽記載、違法献金疑惑の全容解明、政治責任を明らかにすること。




12.3県民集会 公設派遣村を設置せよ


12.3県民集会 河野泉代表 三輪定宣代表が県に要請書提出


12.3県民集会 明るい会と追及する会の代表が県に要請

2009年12月10日木曜日

2009年「12.3県民集会」
 ────三輪定宣代表の閉会挨拶────

三輪定宣
 (森田知事の政治責任を追及する会代表、
            千葉大学名誉教授)


 年末のお忙しいなか、ご参加ありがとうございました。

 各団体、県会議員から、県政の動向や昨年来の世界的不況のもとでの厳しい生活実態が報告され、それに基づき、切実な要求が出されました。それらは、緊急雇用対策、生活保護の適正な扱い、医療の充実、教育条件の整備、中小企業や農業の支援等におよびます。

 8月の総選挙による政権交代は、「構造改革」のもとでの貧困・格差の拡大、世界同時不況などによる国民生活の急速な悪化を背景に国政レベルで実現したものですが、それは、県政、自治体レベルにも実質的な”政権交代”が突きつけられたものと受けとめられるべきです。深刻な状況下で県民のくらしを守る砦としての県政、自治体の役割は、かってなく大きくなっており、一部の利権との癒着ではなく、県民の生活要求に直結し、それに応える公正、透明、清潔な県政の確立が不可欠です(註1)。本日、ここに集約された緊急要請事項は、当面の県予算に関するいわば県民目線の「事業仕分け」基準であり、その真摯な実行を強く求めます。

 特に千葉県では、公職選挙法、政治資金規正法の違反容疑など、選挙疑惑まみれの森田県政の資格が厳しく問われ続け、当選後は、過去の経理不正が噴出し、県政への不信が頂点に達しています。

 千葉地検は、9月30日、選挙疑惑の告発を「嫌疑不十分」を理由に知事を不起訴処分としましたが、極めて不当な処分であり、検察不信が募り、検察審査会への不服申し立ては当然です。しかも、「嫌疑」は残り、県民は納得せず、知事の疑惑はそのままです。知事の説明責任が免罪されたわけではなく、県政の信頼回復のため、一日も早く、選挙疑惑の真相を県民に直接語り、率直に謝罪すべきです。当選後9ヶ月が経過しましたが、知事はこの問題で一度も正式に説明、釈明せず、ひたすら逃げ切りを図ろうとしているとしか思えなせん。それは、県民を愚弄するものです。当選時、知事に投票した有権者の割合は20.6%でしたが、その後、支持率が低落しているのも知事への不信の現れです。知事選挙で「完全無所属」の仮面により自民党支部長の立場を隠さなければ、その後の都議選、千葉市長選、総選挙の例に照らし、当選は無かったはずで、虚偽事実、嘘をついて当選したという蟠りは払拭できません。

 千葉地検の不起訴処分後も、東京都選管と総務省から知事の政治資金収支報告書が公表され(10月2日、朝日新聞)、知事が支部長をつとめた自民党支部が、2008年に受け取った企業・団体献金は1816万円、そのうち1212万円、65%が森田健作政経懇話会に流れたなど選挙資金の違法性が改めて問われる証拠が出ています(註2)。私たちは、民主政治を担う市民の義務としてその真相を究明し知事の政治責任を追及し続けます。

 知事が「完全無所属」ならば、自民党政治とは無縁のはずであり、その教育政策の要のような愛国心教育の推進などを県政に押しつけることは断じて許されません。県職員の不正経理は、全容解明、再発防止、幹部責任の明確化が求められ、虚偽・金権体質の知事のもとでの隠蔽は断じて許されません。県政の監視役、県議会の責任も重大です。

 公正、透明、清潔で県民の要求に応える県政をめざし、さらに県民共同の運動を強めましょう。



註(同日午後3時半から、千葉県要請で指摘)

1)千葉県の人口1人当たり民生費(児童福祉、社会福祉、生活保護、老人福祉などの経費。県と市町村の合計)は、47位であり、セイフティネットは全国最低ランクである。
2)2008年4月の船橋市・たきのい幼稚園「園長だより」によれば、同園は森田健作氏を「芸能人」として講演に招待したとのことであるが、そうであれば政治資金報告書に記載された講演料は免税措置を受けたことになり、所得税法違反の容疑が生ずる。

2009年12月4日金曜日

「千葉県の教育を元気にする有識者会議」
  日本大学の百地章氏の発言におどろく

 「なぜ子供たちの元気がなくなったのか?」その理由を百地章氏は、戦後教育のせいにし、愛国心教育などを主張している。
 しかし、子どもたちが苦しんでいる原因は、財界主導で新自由主義に基づく構造改革を自公政権が強行したからです。
 貧困率15.7%に象徴されるように、格差と貧困が深刻になり、子どもたちの教育を受ける権利までもが侵害されているから“元気がないのではないでしょうか。

 構造改革の急先鋒の
  中谷巌氏と亀井静氏の発言を紹介します。


 “リーマン・ショック、格差社会、無差別殺人、医療の崩壊、食品偽装。すべての元凶は「市場原理」だった。
 構造改革の急先鋒であった著者が記す「懺悔の書」。いま話題の一橋大学名誉教授・中谷巌氏の著書『資本主義はなぜ自壊したのか』(集英社インターナショナル)の帯に書かれているコピーです。”
 また、“亀井(静)氏は(10月)5日、内外ニュースの講演会で、日本経団連の御手洗冨士夫会長と以前会った際に、労働者を大切にする日本的な経営を捨てたとして大企業を批判したことを紹介した。
 「ため込んだ内部留保をそのままにしといて、リストラをやっている。
 人間を人間扱いしないで、自分たちが利益を得る道具として扱っている」と指摘。立件された国内の殺人事件の約半分が、親子や兄弟、夫婦といった親族間で起きていることを引き合いに、経営者側に「責任がある」とした。
 亀井氏は6日の閣議後会見で真意を聞かれた際も、「改革と称する極端な市場原理、市場主義が始まって以来、家族の崩壊、家族間の殺し合いが増えてきた。
 そういう風潮をつくったという意味で、(経団連に)責任がある」と発言を撤回しなかった。”



千葉県の教育を元気にする
  有識者会議第1回「自由討議」
     平成21年9月28日



 ────日本大学 百地章委員の提出資料────

1、なぜ子供たちの元気がなくなったのか?

(1)戦後教育の問題点 …教育荒廃の原因

①「真の人間教育」の不在 →子供たちが「生き甲斐」を喪失し(自分は何のために生まれ、何のために生きているのか分からない)、そのことが子供たちの自堕落や自暴自棄さらには非行化をもたらした
②「伝統」の否定・軽視、自虐史観 →郷土愛や日本人としての誇り・自信を喪失・「人格の完成」つまり「抽象的・普遍的な個人としての人間教育」のみを対象とした戦後教育 →「歴史伝統によって育まれる日本人教育・国民教育」の欠如
・それに加えて、偏向した歴史教育 →益々、日本人としての誇りや自信を喪失
③道徳の否定・軽視 →規範意識の喪失、自己中心主義、公共精神や「公」の喪失
・伝統的な道徳の否定・軽視によって、子供たちが「人間としていかに生きるべきか(規範意識)」を正しく教えられないまま成長 →善悪の判断さえつかず、自己中心主義が蔓延、公共精神や「公」の観念が著しく欠如
④「国家」の軽視・否定 →国家意識の欠如、「愛国心」の喪失
・戦後の「国家否定・軽視」の風潮 →国家意識の欠如・希薄化、「愛国心」「国を守る」意識の喪失
・「権力機構としての国家(政府)」と「歴史的・伝統的な国民共同体としての国家」とを区別する必要あり →「愛国心」=「政府」ではなく「歴史的・伝統的な国民共同体としての国家」を愛すること
⑤悪平等主義の蔓延 →正しい競争意識の喪失、エリート教育の否定
・悪平等主義、競争原理の否定 →子供たちから学ぶ意欲や向上心を奪い、エリート教育も否定
・英雄・偉人否定の風潮 →歴史の中に理想的な人間像や尊敬する人物を求め、それに向かって努力するということがなくなってきているのではないか

(2)親自身や教師にも問題あり(教育というものに対する信念や自信を喪失)

①戦後教育を受けて育ってきた親や教師 →「親教育」(親学)「教師教育」(師範塾)の必要性
・親自身、教師自身が子供をどのように教育したら良いのか分からなくなってきているのでは?
・モンスター・ペアレントの出現 →学校や教師はますます適切な対応ができないことに

(3)教育・社会環境の変化・劣化

2、千葉県の教育を元気にし、子供たちに元気を出させる教育とするためには?

(1)基本的な考え方として …教育の理念、教育内容

・「真の人間教育」→「生きる」ことの意味を教え、生甲斐と自信を持って生きさせるようにすること
・「真の日本人教育」→日本人としての自信と誇りを回復させること
→これによって子供たちが「元気と活力」を取り戻し、国際化時代に逞しく生きていく力を養うことが可能となるのではないか?

(2)アメリカとイギリスの「教育改革」に学ぶ

①アメリカの教育改革 …「自由放任教育」への反省から「ゼロ・トレランス」「バック・トゥー・ザ・ベイシス」へ
・1960年代から1970年代 …「学校の自由化、人間化、社会化」の名の下に、伝統的な管理体制に縛られない自由な教育 →学校から規律が失われ、教育が荒廃、犯罪の横行や学力の著しい低下

・1980年代、レーガン政権時代から始まった「ゼロ・トレランス」(寛容なしの厳しい指導)、「バック・トゥー・ザ・ベイシス」(教育の基本に帰れ)→学校には規律・秩序が戻り、教育も正常化
子供たちの学力は向上し、厳しい規律の中でむしろ自由で伸び伸びと明るい学校生活を送ることに
・厳格なピューリタンの古き良き伝統への回帰、かつての日本の教育(規律性、高い学力水準)を模範に
②イギリスの「教育改革」…1944年教育法から1988年教育改革法(サッチャー改革)へ
・1944年教育法 …「子供中心」の教育、自国に対する自信を喪失させる偏向教育、教育内容は教師の自主性に委ねられた →学力の低下、イギリス国民としての誇りを失った若者たちが増加
・1988年教育改革法 …イギリス国民としての誇りの回復(愛国心教育)、宗教教育の必修化(伝統教・道徳教育)、学校教育に対する国家の責任と権限の明確化 →イギリス病の克服(自国に対する誇りの回復、学力の向上等)

(3)「新教育基本法」(平成18年)および「新学習指導要領」(小中学校、平成20年、高等学校、平成21年)を踏まえた教育を

①真の人間教育、道徳教育 →人間としての「生き方」と「生き甲斐」、豊かな情操と道徳心(善悪の判断、自己の欲望の制御、「公」意識・公共精神の養成等)の涵養を
・新教育基本法 …「公共の精神を尊び」(前文)「豊かな情操と道徳心を培う」(第2条第1号)
・新学習指導要領 …「人間としての在り方生き方に関する教育」「人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を重視」「全教師が協力して道徳教育を展開する」(高等学校)
②真の日本人教育・国民教育、伝統文化統育 →自国の伝統と文化に対する自信と誇り、日本人としての自覚を
・新教育基本法 …「伝統を継承し」(前文)「心身ともに健康な国民の育成」(第1条)、「伝統と文化を尊重し」(第2条5号)
・新学習指導要領 …「主体性のある日本人を育成」「神話・伝承などの読み聞かせ」「天皇についての理解」(小学校)「日本国民としての必要な自覚と資質を養う」(高等学校)
③郷土愛と愛国心教育 →郷土愛の育成と正しい「国民意識」「国家意識」の確立を
・新教育基本法 …「我が国と郷土を愛する」教育(第2条5号)
・新学習指導要領 …「国歌『君が代』は、いずれの学年においても歌えるように指導」(小学校)
④確かな学力と体力の向上を

(4)「千葉県教育の戦略的ビジョン」を基盤とする「千葉県教育振興基本計画」の策定を

①新教育基本法=政府が「教育振興基本計画」を作成 →これを参酌して、各地方公共団体は地域の実情に応じた「教育振興基本計画」を定めるよう努めなければならない(新教育基本法17条)
②新教育基本法や新学習指導要領さらに政府の「教育振興基本計画」を踏まえ、県民の希望に沿った「千葉県教育の戦略的ビジョン」と「千葉県教育振興基本計画」の策定を
〔政府の「教育振興基本計画」…重点的取り組み事項から〕
ⅰ)確かな学力の保証 …基礎的・基本的な知識・技能の習得や思考力・判断力・表現力等の育成などを通じ「確かな学力」を養うとともに、「生きる力」を育成する。学力調査による検証
ⅱ)道徳教育や伝統・文化に関する教育、体験活動等の推進
・道徳教育について、新学習指導要領に基づき、充実強化を図る
・新学習指導要領に基づき、伝統と文化を尊重し、我が国と郷土を愛する教育を推進する
ⅲ)体力向上に向けた方策の推進
ⅳ)いじめ、暴力行為、不登校、少年非行、自殺等に対する取り組みの推進

2009年12月2日水曜日

年越し緊急要求実現、金権腐敗一掃!
 12.3 県庁要請行動を成功させよう!
  知事は「公設派遣村」を設置せよ!

  世界的な金融危機を背景にして、「派遣切り・期間工切り」など大企業の横暴などで、失業者336万人、6月~12月に失業給付が切れる人が100万人近くにのぼっています。

 千葉県内でも各地で「派遣村」を実施していますが、生活保護の申請が相次ぐなど大変な状態悪化が続いています。

 「このままでは年が越せない」という声が広がっています。

 私たちは国・県・市町村が連携して雇用、医療、福祉などの充実を緊急に実行することを求めます。

 とりわけ、千葉県が「公設派遣村」を設置し、人権を守ることを要請します。

 「明るい民主県政をつくる会」「森田知事の政治責任を追及する会」は、県議会開会中の12月3日、県庁門前に集まり、宣伝、座り込み、要請活動を行います。

 年越し緊急県民要求実現、金権腐敗一掃の行動をご一緒にひろげましょう



12.3年越し緊急要求実現、金権腐敗一掃行動
    (12月県議会中)
 県庁門前で宣伝・座り込み・要請

 
 ○ 日時:12月3日(木)

 ○ 場所:千葉県庁前

 ○ 内容

 ①企画 正午~
 司会 千葉土建
 開会挨拶 河野泉代表
 経過報告 事務局長
 決意表明 各団体2分
 議会報告 共産党県議団
 パフォーマンス 建交労
 閉会挨拶 三輪定宣代表

 ②宣伝(チラシ配布) 正午~

 ③座り込み 午後1時~3時(各団体5名以上)

④知事要請15時30~(団体代表団・各団体は要請文に基づき2分間) 
 要請会場は本庁舎5階応接室

 共催 明るい民主県政をつくる会
     森田知事の政治責任を追及する会





 

2009年11月20日金曜日

9月定例県議会が閉会、討論に登壇
 ────小松実ブログ 2009.10.22────

 9月定例県議会の最終日。議案・請願の討論に登壇しました。

 午後1時からの開会。冒頭、森田知事から、羽田空港をハブ空港にとの前原国交大臣の発言をめぐるこの間の動きについての説明があり、続いて、8つの各常任委員会の審議の経過と結果について、各常任委員長から報告がありました。その後、報告を受けての討論。民主、市社無に続いて、私が登壇。職員の人件費に財政のしわ寄せを押し付ける補正予算や県立富津公園の指定管理者にサンアメニティーを含むグループを指定する議案等に反対しました。職員給与については、この間、財政難を理由に県独自の削減措置が取られてきましたが、すでにその総額は、7月までで404億円に達しています。加えて、夏のボーナスの削減で59億円。さらに、今回の独自削減措置の延長で23億円です。10月9日に、人事委員会勧告が出ましたが、それによれば、給与の切り下げとボーナスの削減で総額108億円もの影響が出ます。勧告は、「民間給与との均衡を図る」のが目的ですが、県独自の削減措置の結果、勧告通りの実施となった場合、民間給与と比べて月額6074円のマイナスになります。

 富津公園の指定管理者となるサンアメニティーは、この間、違法行為によって指名停止を受けたり、指定管理期間の途中で採算を理由に撤退したりと不祥事を重ねてきた業者です。県立公園の、しかも、安全安心が第一であるべきプールの管理運営を委ねるわけにはいきません。

 日本共産党からは、その他、監査委員の選任について、丸山議員が反対討論を行い、三輪議員が、日本共産党提出の「八ツ場ダム建設中止と住民合意による生活再建・地域振興の促進を求める意見書案」の趣旨説明に登壇しました。

 散会後は、第一回の「不正経理問題」の調査特別委員会。日本共産党からは私が出席しました。委員長・副委員長の互選や今後の調査内容、日程などを確認が行われました。実質的な調査・審議は、次回の11月20日からとなります。




9月県議会 反対討論
────小松実ホームーページ────


 日本共産党を代表して、常任委員長報告に反対する主な議案と請願について、討論を行います。

 はじめに、議案第1号「平成21年度一般会計補正予算」は、総額881億円という、9月補正としては、過去最大規模の増額補正ですが、なかで、人件費だけが、約21億円の減額補正になっています。

 中心の一つは、職員給与の独自削減措置を来年3月末まで延長することによる23億4600万円の減額であります。しかし既に、この7月までの独自削減と夏のボーナスカットによって、職員の家計からは463億円もの所得が奪われてきました。今回の延長と合わせて、486億円であります。さらに、10月9日には、給与の切り下げとボーナスカットによる総額108億円にものぼるマイナスの人事委員会勧告が出ました。

 委員会質疑でも「職員の士気と県内経済に影響がある」と認めながら、議会の決議をも踏みにじって、独自の給与削減を続けることを断じて認めるわけにはまいりません。

 人件費削減のもう一つが職員減らしです。平成18年からの「定員適正化計画」でも、知事部局だけで既に、910人の正規職員が削減されてきましたが、今回の補正にも、警察職員の増員分を除くと、一般職、教育職員合わせて約18億円の人員削減による減額が計上されています。しかも、その中身は、地域整備センターの33人をはじめ、健康福祉センター、いわゆる保健所で、今大問題になっている新型インフルエンザなどの感染症に対応する健康生活支援課や母子保健事業などを担当する地域保健福祉課の職員など、住民の暮らしに密着した部分での削減が目立ちます。

 財政難のツケをもっぱら職員の人件費に押し付ける、安易で無秩序なやり方が、自治体本来の責務である県民サービスの低下をも招いていることを厳しく指摘しておきます。

 他に、今回の補正では、30億円もの国の直轄事業負担金の積み増しが行われ、道路特定財源の一般財源化にともなう地域活力基盤創造交付金が、引き続き、北千葉道路などの巨大道路建設に回されているなど、相も変わらず、巨大事業優先が貫かれています。

 甘い見通しで始めた巨大事業が、どのような結果を招くのか。今回の補正に組まれた「かずさアカデミアパーク環境整備事業」を見れば明らかです。企業進出がない空き地に、ペンペン草どころか、うっそうと樹木が茂り、とても職員の手に負えず、その伐採の委託費として5500万円が計上されているではありませんか。

 県庁全体が不正経理に大揺れに揺れている今、県民からお預かりした税金は、県民の暮らし第一に使われるべきだという、当たり前の原則を、改めて厳しく指摘して、議案第1号に反対いたします。

 次に、議案第22号は、乳がんの転移を調べる検査に、「先進医療」の名で、4万4500円の診療料を設定し、新たに料金を徴収しようとするものであります。この検査によって、転移を防ぐために、わきの下のリンパ節全体を切除しなくて済むようになり、予後が大きく改善されます。しかし、新たな料金設定は、低所得者などには大変な負担となります。お金のあるなしで命や健康が差別されてはなりません。そもそも、保険適用されていない医療に、「先進医療」の名で診療料を設定することは、混合診療そのものであり、国民皆保険制度を根底から掘り崩すものです。よって、反対いたします。

 次に、議案第32号は、県立富津公園の指定管理者に千葉県まちづくり公社、富津市の大富興業、東京都北区のサンアメニティーの三者からなる「富津みどりの公園グループ」を指定しようとするものであります。しかし、プール管理を担当するとされるサンアメニティーについては、平成19年に、北区のプールで、監視員として資格を満たさない18歳未満の者を採用したり、社員によるプリペイド料金の着服などがあり、指名停止を受けています。また平成20年には、茨城県の温浴施設において、採算を理由に指定管理中に撤退してしまい大問題になりました。こうした不祥事を繰り返してきた業者に、県立公園の、しかも安全安心が第一であるはずのプールの管理運営を委ねるわけにはまいりません。反対いたします。

 次に、請願についてです。

 請願第100号は、三番瀬の再生を求めるものですが、ここでいう「再生」とは、人工干潟の造成であり、これによって「昔からの自然が取り戻せる」などというのは、はなはだ疑問であります。全国で成功している人工干潟は、皆無に等しく、砂の流出を防ぐために莫大な資金の投入を強いられているというのが実態です。また人工干潟は、三番瀬再生計画の、これ以上「海域を狭めない」という原則にも反します。現在の護岸整備でさえ、海域を数ヘクタールつぶす形で進められていますが、「環境改善」を口実に、さらに海域を狭めるようなことは決してあってはなりません。知事も、6月議会で「三番瀬は、東京湾の奥に残された貴重な干潟、浅海域だ」と、その貴重な価値に言及されていますが、今回の請願は、その価値を保全してほしいとの県民の意思に逆行するものであり、採択に反対いたします。

 次に、請願第104号と106号はともに、国に対して、子どもの医療費無料制度の創設を求めるものです。子育てにかかる負担を軽減して、子育て世代を応援したいというのは、もはや大きな国民世論であり、今回の政権交代にもその意思は、明確に示されているのではないでしょうか。10月14日に発表された日本医師会の提言でも、この間、外来通院日数が減少しているなど、「受診抑制」が起こっていることを指摘し、その背景として、雇用情勢の悪化や諸外国と比べて高すぎる患者の一部負担をあげ、「0歳から義務教育就学期間中は、外来患者一部負担を無料にする」ことを提案しています。

 もはや制度創設は待ったなしです。にもかかわらず、健康福祉常任委員会では、自民・公明・民主が、採択に反対いたしました。これでは、千葉県議会の見識が問われます。2件の請願を採択し、県議会として国に、一日も早い制度の創設を求めるべきです。

 以上で、討論を終わります。

2009年11月18日水曜日

許されない、決算審査特別委員会の延期
 ────小松実ブログ 09.11.11────

 徹底解明が求められている千葉県庁の不正経理問題をめぐって、注目されていた2008年度決算を審査する決算特別委員会。すでに11月中に6日間の審査日程が決まっていました。ところが、9日に開かれた第一回目の審査で、委員会日程の延期を自民・公明などの賛成で決定しました。

 この間、県は、不正経理に関する追加調査結果を12月18日前後まで公表できないとして、委員会の開催日程の延期を求めていましたが、その12月18日というのは、12月定例議会の各常任委員会が終了する翌日。県の申し出を認めれば、結局、12月議会では、一切の資料が公表されず、実質審議ができないことになります。県の要求に応じた今回の延期決定は、極めて異例の事態です。

 不正経理問題については、先の9月定例県議会総務常任委員会での私の質疑を巡って、当局のあまりの情報隠しに、マスコミ各紙が、「『言えない』県側連発」(読売)「不誠実で議会軽視」(東京)などと報道しました。

 日本共産党県議団は、決算審査特別委員会の延期の意向が示された6日付で、抗議声明(ホームページ「政策・論戦集」に掲載)を出しましたが、議会(県民)がなんと言おうと、県が自ら公表するまでは、求められた資料も情報も出さないなどという姿勢は、とうてい許されるものではありません。

 折しも今日、会計検査院は08年度決算検査報告が公表しました。その中で、国交省、農水省の補助金関連の不正経理の検査で、26府県と2政令市で、14億7302万円の国庫補助の不正経理があったと指摘、そのうち最多は、千葉県の8億2766万円でした。しかも、検査院が最も重視していると言われる、架空発注などにより業者に代金をプールする、いわゆる「預け」は、7億8471万円見つかり、うち84%にあたる6億5599万円は千葉県だったことがわかりました。

 「隠ぺい体質」を改めない限り、「反省」は、本物にはなりません。

2009年11月17日火曜日

来年度予算への要望で森田知事と交渉
 ────小松実ブログ 09.11.13────

 日本共産党千葉県議団は、今日、森田健作知事に対し、来年度の予算編成に向けての緊急・重点要望を提出、交渉を行いました。日本共産党千葉県委員会からは、斎藤和子青年・学生部長が同席しました。

 冒頭、私から、政権が交代した国政でも、知事が変わった県政でも、来年度予算にどう国民・県民の願いが盛り込まれるか、たいへんな注目を集めていると指摘、大企業の利益第一、巨大事業優先のゆがみを正し、県民の願いに沿った、暮らしや福祉最優先の県政へと舵取りを切り替える必要があると主張しました。

 その後、各県議や斎藤和子さんから、それぞれの重点要望について説明。とりわけ、知事の公約でもある「子どもの医療費の無料化年齢の引き上げ」については、民主党政権の「子ども手当て」の創設を理由に先送り、あるいは取りやめ、などの動きがあることから、公約実現を強く訴えました。森田知事は、「そうなんだよ」と、そうした動きを認めた上で、「でもね、やりたいと思っています」と、前向きの答弁を行いました。

 斎藤和子さんが、青年・学生部長という立場から、この間の「ちば派遣村」の実態を報告し、「生活だけでなく、希望を奪われている」と訴え、若者の雇用対策を主張しましたが、知事は「いいねえ、青春だよ」と、よく意味のわからない反応でした。

 私からは、各県議の主張を受けて、財源対策として、「地方消費税に頼らないこと。この間、減税の恩恵を受けてきた大企業への法人事業税の超過課税に踏み切るように」という二点を主張させていただきました。

2009年11月15日日曜日

北総鉄道の不当な“値下げ”合意で
    沿線住民が厳しい指摘
──丸山慎一 ホームページ(2009.11.05)──

 千葉県が5日公表した北総鉄道の運賃引き下げ案について、「北総線の運賃値下げを実現する会」の吉田治男会長や住民などが同日県庁を訪れ、「合意内容は、利用者として承服できるものではない」ことを厳しく指摘しました(右の写真)。日本共産党の丸山慎一県議も同席しました。

 明らかになった合意では、運賃の引き下げは平均でわずか4・6%にしかならず、北総線全線(32・3キロメートル)乗車の運賃820円が40円引き下げられるだけで、JRの倍近い高運賃引き下げの実感はほとんどありません。「最低でも5%の引き下げは実現したい」としてきた県自身の言明にも反するものとなっています。

 引き下げの財源は、県と関係6市2村が3億円、北総鉄道と親会社の京成電鉄が3億円、合計6億円を毎年負担することとされていますが、額の根拠は示されていません。

 しかも自治体に合意案が示されたのが10月30日なのに11月4日までに回答を求め、条件変更は認めず「案を飲むか、もしくは引き下げをあきらめるか」の二者択一をせまるという強引で乱暴なものでした。

 丸山慎一県議は、「本来、北総鉄道の線路を使って成田新高速を運行する京成電鉄の発生利益や、親会社としての責任で料金の大幅な引き下げをやるべきであり、税金投入は県民の納得は得られない。森田知事は、自らの経済諮問会議に京成の役員をすえているが、これでは強く出られないのは当然だ。今回の合意の背景には、財界と一体の森田知事の姿勢がある」と話しています。

2009年11月10日火曜日

不正経理の解明を先送りする
 決算委員会の延期に抗議する
    日本共産党が声明

 11月6日、県議会の日本共産党控室に、遠藤澄夫決算特別委員会委員長が来て、「不正経理のまとめが12月18日ころになるので、決算審査の日程をそれ以降に延期したい」との話がありました。

 当初の決算委員会で確認されている日程では、来週の月曜日から始まり、6日間の委員会を3週間かけて行うことになっており、あまりにも突然で、前代未聞の事態です。

 9月県議会でも資料の提供を拒んだ県当局が、地方自治法100条の権限が付与されている決算委員会だと、逃れられなくなるから延期を申し入れ、自民党筋もそれを飲んだ、ということなのかもしれません。

 しかしもしそうだとしたら、議会軽視も甚だしく、注視している県民の願いにも背を向けるものです。

 日本共産党としては到底受け入れることはできず、以下の声明を発表しました。

────2009年11月6日 丸山慎一ホームページ────



決算審査特別委員会の開催延期に抗議する声明



    2009年11月6日 日本共産党千葉県議会議員団


一、本日、決算審査特別委員会委員長より、委員会の開催を延期したい旨の申し入れがあった。

 委員長の説明では、執行部から、不正経理に係る追加調査等を実施しており、平成20年度分を含めた調査結果を12月18日前後に公表するので、決算審査特別委員会の日程については「善処」してほしい旨、求められたとのことである。

 執行部が不正経理について、自ら調査し、公表するのは当然のことであるが、それを理由にして、すでに決定されている決算審査特別委員会の開催を延期することは到底認められない。



一、執行部が自ら調査結果の全体を公表するまでは、一切の資料・情報の公表、提供に応じないということになれば、不正経理問題調査特別委員会や12月県議会での十分な審議は保障されないことになる。

 県議会として、この問題の調査、審議を自ら縛るようなことは断じて許されない。



一、9月県議会総務常任委員会において、執行部は「議会軽視」との厳しい指摘をうけたが、決算審査特別委員会開催延期は、さらに議会軽視を重ねるものであり、全容の徹底解明と再発防止を求める県民世論にも背くものである。



一、県民世論に応え、県民の負託を受けた議会が、その機能を十分に発揮するためにも、決算審査特別委員会は、既定の日程通り開催すべきである。

 日本共産党は、百条の権限を発動するなど不正経理問題の徹底解明と再発防止に引き続き全力をあげる決意である。

                           以上

2009年11月8日日曜日

森田知事定例記者会見
   (成田・羽田問題)

(記者)

 よろしくお願いします。

 成田、羽田問題ですが、この間、成田市長や芝山町長などとお話しされたときには、オール千葉でやっていこうですとか、陳情型より提案型でやっていこうとか、そういう話が出たと思うのですが、一方で浦安市長とのお話の中では、まだまだ騒音問題ですとか、24時間化に対する理解を示すということは軽々な発言はやめてほしいなどということがありましたが、その辺、地元自治体と今後、改めてどのように関連をつくって、連携してやっていくかということをもう一度、お聞かせください。

(知事)

 空港問題というのは、騒音問題は大事でございます。ですから、そういうことにも傾聴しながら、騒音においては騒音軽減のために国と話してまいりたいと、そのように思っています。

(記者)

 先ほどの質問で、羽田で山砂の問題で千葉県は痛みを受けていて、それを上回るメリットは何かという質問に対して、お答えがなかったように思いますので。

(知事)

 正直な話、はっきりした数字が出てないんですよね。今、担当部局がいろいろ精査しているところでございます。ですから、またそれは出てきた段階において・・・。

(記者)

 羽田、成田の関連ですが、国交大臣は冬柴プランよりも多くの国際線を羽田に振り分ける考えを早くも示しているわけですが、騒音の増大という部分が県民にはマイナス影響としてくるのですが、このあたり、県としてどのように、検討過程には入っていかれるのか。もう一点、成田の30万回、それに向けて県はどのように今後働きかけやっていくのか、この2点、お願いします。

(知事)

 まず、冬柴プランにおいては、言うなれば、県は承知しているという報告を受けております。

 大臣に念を押したのは、2010年以降に関して、まず話をしてくださいね、説明してくださいね、そう言って、大臣もわかりました、そのようにいたしますと、そう言ってくれました。

 30万回に関しては、これからNAAといろいろもちろん話していかなきゃいけないし、また、関係市町村とも十分にご協議をしていかなきゃいけないと思っております。

 でも、これから成田発展のめたにも、この辺を頑張ってまいりたいなと思っております。

  ────日時 平成21年10月29日(木)
    10時30分~11時12分────




森田知事定例記者会見
    アクアライン値下げ問題


(記者)

 千葉県バス協会がアクアラインの値下げによって様々マイナスがあったということで、要望書を知事に出されたと思います。
 値下げの時間帯をこういうふうに変えたらどうかとか、具体的な提案もその中でされていたと思うのですが、知事はどう思われますでしょうか。

(知事)

 こういうことというのは、いいことばかりではないです。

 そういうマイナスもあります。今回は社会実験でございますから、ただプラス面だけを見るんじゃなくて、そういう影の部分もしっかり精査しながら、今後、考えてまいりたいと思います。

 これは関係市町村も含めて、しっかりと考えてまいりたいと思っております。

────日時 平成21年10月29日(木)
   10時30分~11時12分────

2009年11月6日金曜日

森田知事定例記者会見
   (北総線運賃値下げ)

(記者)

 よろしくお願いします。知事、北総鉄道の関係ですが、先日、成田でも前原大臣に要請されて、その際、今後話し合いを進めていくとおっしゃったかと思うのですが、その後の進捗状況、ありましたら、教えていただけますか。

(知事)

 10月20日、前原大臣に、私は何としても地元の強い要請ですと。

 そして、京成さんにお願いしているのは、これは国の指針に基づいて、私たちはやっているんですと。

 言うなれば、国の指導に基づいて、マイナス8億円に対して4億円は、地元と県が何とかしていかないと、これは進みませんよと、そういうご指導があったわけです。

 そのもとから、まず始まったのでございます。

 そして、6市2村、それぞれ地元の皆さん、議会もあります。

 それでも何としても最低5%、それ以上のものを望みたいということで、4億円に関しては何とか私たちで頑張ろうということで合意したのでございます。

 そのようなことを前原大臣とも話しました。そのようなことなので、何とか、京成さんにも一歩譲歩いただきたいし、これから京成さんと千葉県とより一層、千葉県の発展のために、頑張るためにも、再考願えないかと。また、大臣はひとつ力を貸してくれないか、そのようなことを話したのでございます。

 今、実際、あれから何度か大臣とも電話し合ったりしました。

 京成さんは非常に固うございます。前もお話ししたとおり、2.5億円以上は絶対出さない、そういうことでございました。

 でも、私は、またこれからもいろいろ大臣とも話していくつもりでございますが、昨日、花田京成社長にお手紙を書きまして、今、千葉県をより一層発展させるためには、言うなれば、北総鉄道の千葉ニュータウンも含めて、何とか活性化させたい。

 それと地元住民のこれだけの熱い要望があるということを、何とかご理解賜りたいと、そのような文でお届けしたところでございます。

 今のところ、まだはっきりわかりません。

 しかし、国も今、一生懸命やってくれております。京成さんは、私たちの気持ちを必ずわかってくれると思います。

 国も頑張ってくれると、私はそう信じております。以上です。

(記者)

 京成さんは、会社本体が経営的にかなり厳しいということを理由に挙げていらっしゃるのですが、経営面と気持ちをわかってもらうというのとなかなか難しいところもあると思うのですが、知事が昨日、お手紙を書かれたというところで、どうでしょう、打開策としては。

(知事)

 今度、成田新高速鉄道、言うなれば、線路の使用料も含めて、いろんな形が出てくると思うんですね。

 北総鉄道も含めて、京成さんがいろんな角度から精査し、将来をも考えてもらえるならば、これは理解していただけるのではないかなと。

 はっきり言って、心情論だけじゃないです。その心情論の裏には、そういう私たちの裏づけがあって話しております。ありがとうございます。

────日時 平成21年10月29日(木)
    10時30分~11時12分────

2009年11月3日火曜日

森田知事 定例記者会見
 「関東地方知事会議」(八ッ場ダムなど)

(知事)

 今日は、まず最初に、一昨日、群馬県前橋市で開催された「関東地方知事会議」等の結果についてご報告いたします。

 この会議は、「関東地方の1都6県」に、山梨、長野、静岡の3県を加えた「10都県」の知事が集まり、広域的な協力や国への提案・要望などについて話し合うものでございます。

 今回の会議で、千葉県からは「乳幼児・子どもの医療費助成制度の創設」を提案いたしました。

 私からは、「これからの日本を背負って立つ子どもたちを健全に育てていくために、国や地方がしっかりと支援していかなければならない。

 国において現物給付方式による乳幼児・子どもの医療費助成制度を創設するべきだ」と申し上げました。
この提案は、全員一致でご了承いただき、国に要望していくことになりました。

 また、神奈川県知事から、急遽、「子ども手当の地方負担は絶対に認めない」という緊急要望について提案がありました。

 私からは、「関東地方は力を持っているのにおとなしすぎる。おかしいと思ったら、もっと声を出していきましょう」と申し上げました。

 この提案も関東知事会として国に要望していくことになりました。

 また、当日は、「八ッ場ダム」の問題について前原国土交通大臣と関係する1都5県の知事との話し合いが急遽行われました。

 今回の話し合いでは、まず前原国土交通大臣から、「コンクリートから人へと税金の使い道を変える」という政権交代に当たっての約束に基づき、ダム事業のあり方を見直す方針が改めて示されました。

 その上で、八ッ場ダムについては、『マニフェストに掲げた基本的な方針は堅持しつつも、単なる中止ではなく、徹底的な情報公開のもと、治水・利水について再検証し、最終的な結論を得ていく』との説明がありました。

 これに対しまして、関係都県の知事からは、再検証の期限や進め方について質問があったほか、治水・利水上の必要性や地元との合意形成の重要性について意見が出されました。

 私からは、『事業の再検証はもちろん必要だが、まず地元の方々の「心の再検証」が大事であり、そのためにも、大臣は一度、中止を棚上げにするべきである』ということを申し上げたところでございます。

 今回、初めて国土交通大臣と関係都県知事との話し合いが行われましたが、今後は、国が進める再検証の中で示される代替案等の内容や、地元との話し合いの動向を十分に注視しながら、関係都県と連携を密にし、適切に対応してまいりたいと考えております。

 この大臣のいろいろな発言の中で、前よりは一歩進んだのかなという気はいたしました。
しかし、いつまでにどうする、こういうことをこうする、ああするということが具体的にまだ出てないのです。
 
 地元の人たちにしてみれば、合意、ダムをやりましょうと言ってから、それから180度転換して中止だと。

 対話もない。それでずうっと、いつまで引っ張られるんだと、余計不安に感じてしまいます。もちろん私たち関係都県もですが、地元の人たちにとっては非常に不安である。

 一刻も早く、国の方針を出していただきたい。

 また、どうしても中止をするというならば、それの総合的な計画、プランをぜひ出していただきたい、そのように思います。

 私は、一度、棚上げしたらどうだと。

 一度、「棚上げ論」を言いました。というのは、57年、翻弄された地元の人たち、私は非常に心にしみたのは、地元の人が初めは反対だったと。

 それからいろんなことがあったけれども、最後は自分の親戚も千葉県とか埼玉県にいる。そういうことを考えて、苦渋の選択をしたと、そのようなことをおっしゃっておりました。

 前原大臣も地元の人たちと話し合いたいと言うのです。ところが、群馬県の大澤知事の話によりますと、地元の人たちは中止(が白紙)でなければ話し合いをしないと、こうなっているのでね。

 これは大変不幸だなと、そう思います。

 ですから、何としても、もちろん私たち関係都県も話を聞いてほしいです。向こうの話も聞きたいです。

 ところが、今は報道の中の話し合いになっちゃっている。

 報道の中の言葉の行ったり来たりになっちゃっている。何としてもテーブルに着きたいという思いから、とりあえずは一度、棚上げにしたらどうだと、そう言っているのでございます。

 そうしないと、地元の人たちの57年間の翻弄、こういうことも考えた場合、今度はもっと心配なのは、こういう国家事業に対して、政権がかわったらどうなるかわからないという国民に不信感が芽生えてきて、そのときは話も聞いてもらえないんじゃないかと。

 そうしたら、このような国家事業に対して国民は協力するのを躊躇する、ためらってしまう、これが一番恐れているところでございます。

 ですから、いろんなやり方があると思います。政府は何とか、そういう地元の人たちの話を聞けるようなテーブルをつくっていただきたいなと。

 もちろん、私たちの話も聞いてもらう、そういうテーブルもつくっていただきたい、そのように思います。

(記者)

 よろしくお願いします。

 まず、関東知事会についてですが、前原大臣が再検証ということを打ち出されたわけですが、森田知事も一歩進んだかなという感想をお持ちだったというお話だったのですが、具体的に中止ありきというお話ですが、一歩進んだというのは、どのあたりが一歩進んだとお感じなのかということと、再検証ということの森田知事としての解釈を伺えたらと思います

(知事)

 一歩進んだというのは、正直な話、私の主観かもしれませんが、今までは絶対中止だという言葉がどんどん前へ出てきた。

 でも、今回は再検証という言葉が出てきたり、地元の人との話し合いもしたいという言葉が出てきたりと、見ていると、前より少し一歩進んだのかなと、そう感じたところでございます。

 再検証につきまして、本当に大事なことなんですね。こういう問題というのは、自然災害です。

 はっきり言って、予測のできないものもあるし、その問題点の見方によっては、いろいろ数値も違うところもあります。

 ですから、私はそういうことを検証し、またいろんな人の意見を聞いてもらいたいと、そのように、今までも申し上げてまいったので、再検証するということを聞いたことは非常によかったなと、そのように思いました。

(記者)

 もう一点、お願いします。

 先ほど森田知事も心の再検証も大切だという話をされたかと思いますが、住民の方々も前原さんが視察に行かれたときに話し合いのテーブルに出てこなかったりとか、かたくなな態度が地元側にも広がっていると思うのですが、そういった点は、今後どのようにしていったらいいと、森田知事はお考えでしょうか。

(知事)

 先ほども述べましたけれども、当事者にしてみれば、いろんな思いもあるし、最後は国のためということで苦渋の決断もあったと思います。

 私、何回も言うようですけども、こういう国策においては、国民、言うなれば地元の皆さんの協力というのは欠くことのできないものでございます。

 政権がかわったから、ばんと変わっちゃって、さあ、中止だぞ、このようにやれ、こう言われちゃうと、それで、いつまでどうなるということも何も示されてないわけですから、それは当事者には大変な不安だと思うんですね。

 それだけの負託を得た政権ですから、それは最後、政治決断、これはあると思います。

 でも、その前にいろいろ、心情も含めて、これからの生活再建も含めて、しっかり聞くということは、これは国の仕事だと思います。

 そういうものをきちっと聞いて、もし万が一、中止というならば、その考えを取り入れて、生活がしやすいように、国もしっかり考えていくということも大事だと思います。

 そういう意味において、心の再検証が必要だと言ったのでございます。

(記者)

 一番最初にあった質問について、確認ですが、一番最初に八ッ場の件で前原大臣が再検証するというふうにおっしゃったことについて、知事はどのように解釈されるのかということを、それをもう一回確認したくて。
前原大臣が再検証するとおっしゃったのは、例えば八ッ場についてのデータをいろいろ再検証してみたら、やっぱり八ッ場は要りませんでしたと。

 その理屈はこうですというふうに言ってくることが濃厚なんじゃないかなというふうに思ったのですが、知事としてはどのように解釈されましたか。

(知事)

 冒頭言ったように、主観ですがとお断りいたしますけれども、そういうこともあるかもしれませんし、また、前原大臣というのは非常に聡明な方です。

 非常に度量のある方、非常に理解をする方だと、私はそのように思っておりますので、ただ、中止に向けてそうだとは余り考えておりません。

 その中でも、確かアリバイづくりではないと言っていたよね。そういうふうに本人も言っておりますので、私は期待をしたいと、そのように思います。

  ────平成21年10月29日(木) 10時30分~11時12────

 

2009年11月1日日曜日

北総線に千葉県と関係6市2村が
   20億円の補助金支出を合意

大手私鉄子会社に税金投入は許せない
  ────丸山慎一ホームページ 2009年9月19日────


 京成高砂駅(東京都葛飾区)から船橋市(小室駅)を経由して印旛日本医大駅(千葉県印旛村)までを結ぶ北総線は運賃が高く、JRや京成線の倍以上になっています(下表参照)。

 周辺住民からは、「小室から日本橋まで6カ月定期で23万円もかかり、『財布落としても定期落とすな』というのは事実だ」「高校に通わせられないから、引っ越し先を探している」などの声が出され、運賃引き下げは待ったなしとなっています。

 一方、来年度には、京成上野駅から京成線と北総線を経由して成田空港まで行く「成田新高速鉄道」が開業する予定になっており(事業者は京成電鉄)、これを機に、北総線の運賃引き下げを実現しようと、住民運動も大きく盛り上がっています。

 日本共産党もこの間、住民のみなさんと一緒に、国土交通省や北総鉄道の親会社の京成電鉄、千葉県などに、運賃の大幅な引き下げを要求するとともに、そのための税金投入は県民の納得が得られないこと、値下げは国と京成電鉄の責任で実施することを求めてきました。

 ところが9月に入って県は、京成電鉄への正式な要求はしないまま、関係自治体に税金の支出を求め、県が2億円、関係6市2村が計2億円(船橋市は800万円)を5年間支出するという合意を取り付けてしまいました(5年間の総合計は20億円)。

 引き下げ幅はわずか5%です。

 「大手私鉄の子会社になぜ補助金を出すのか」「たった5%値下げでは、納得できない」など、県民の批判が広がっています。

〔北総線の運賃はJRや京成の倍〕

  


距離(㎞) 運賃
北総線 小室~京成高砂19・8㎞680円
JR総武線船橋~両国19・9㎞290円
京成線 京成船橋~千住大橋19・2㎞310円

2009年10月29日木曜日

「止めた方が高くつく」はごまかし
   八ツ場ダムは中止し町と生活の再生を

丸山慎一 ホームページ
  ────2009年10月1日────


 新政権のもとで建設中止が現実味を帯びてきた八ツ場ダム。

 しかし、「止めた方が高くつく」などの議論による逆流も生まれています。

 「無駄なダムは中止を」の国民の意思を、どう実行すべきなのでしょうか。

 国土交通省は、「建設を中止すると、ダム本体工事関連の約620億円は不要になるが、千葉県など1都5県がいままでに支出してきた約1460億円を返さなければならず、差し引き約840億円の新たな負担が国に生じる」としています。 

 しかし、この議論には様々なごまかしがあります。 

 そもそも工事を続けた場合、本体工事関連事業が、あと620億円で済む保証はどこにもありません。 

 たとえば東京電力への減電補償(※東京電力は八ツ場ダムの上流で発電のために取水していますが、八ツ場ダムに水をためるためには東電に取水量を減らしてもらう必要があり、そのための補償金が「減電補償」です)は、50%の取水制限を行った場合、直接関係する五つの発電所の影響額が、1年分だけで17億円、30年分で510億円にもなります。 ところがダム総事業費4600億円のうち減電補償などに充てる「特殊補償」枠の予算は217億円にすぎず、300億円近く足りません。

 このほか地滑り対策費の増加も予想され、工事費は1000億円程度増えると言われています。 
これらを考えれば、たとえ都県にお金を返したとしても、止めた方が国の支出は減ることになります。

 しかも、国交省が返さなければならないと言っている1460億円の中には、国からの補助金(約570億円)も含まれています。

 これは、もともと国のお金ですから、地方に返す必要はありません。

 また、国交省は国の収支だけしか見ていませんが、国が都県に返したとしても、そのお金が住民にたいして有効に使われれば、まったく問題はありません。

 いま一番大事なのは、町と住民の暮らしの再建です。 

 ある住民は、調査に訪れた日本共産党の塩川鉄也衆議院議員(北関東ブロック)にたいして、「総選挙後、いつの間にか、ダム湖がないと生活が破滅するという流れになってしまったが、ダムはいらないという人は各地区にいる。このまま進めても完成まで何年かかるかわからないが、いま中止すれば生活再建はすぐに始められる。
 頭を切り替えて、中止後の再建策を考えた方がいい」と語っています。 

 塩川議員は「地元の生活再建を先延ばしにしてきた国の責任は問われなければいけない。おわびの気持ちをきちんと示し補償を行う必要がある。ダム建設中止を前提に、地元の声と知恵を集めた地域振興を国がしっかりやっていくよう求めていく」と述べました。



八ッ場ダム建設:国交相中止明言
  江戸川改修促進同盟、意見書を提出へ
    ────千葉 毎日10月2日付────


 ◇国に意見書を提出へ 前原誠司・国土交通相が建設中止を明言している八ッ場(やんば)ダム(群馬県長野原町)について、江戸川流域の自治体で構成する「江戸川改修促進期成同盟会」(会長、根本崇・野田市長)は近く、国交省や衆参両院議長に、情報公開と必要性の再検証を求める意見書を提出する。

 計画上、発生するとされる毎秒2400立方メートルの洪水の処理策を国に問い、安全確保を求める。

 同盟会は、江戸川沿いの1都3県の13区市町の自治体で構成。治水事業の整備促進などを国会議員や関係省庁に要望してきた。

 国交省は、民主党議員の質問主意書に対し、答弁書で「1947年のカスリーン台風の洪水流量はダムがあっても変わらない」と回答。

 これが現政権の建設中止の理由のひとつとなっている。

 意見書では、答弁書が「過去に起きた31の洪水パターン中、29パターンでは、ダムは流量調節効果を有する」と答えている点を強調。

 「一つのパターンでダムを不要とするのは早計」と主張し、「効果がある29パターンすべての情報を開示し、下流域の住民の安全安心のために治水効果を検証してほしい」と訴えている。

      ────【橋本利昭】────

2009年10月27日火曜日

八ツ場ダム、やはり「中止」が道理です
   ────小松実ブログ 2009/09/29────

 今日、緑区の方から電話をいただきました。「八ツ場ダムについて、日本共産党はどう考えているのか、と知人に聞かれたのだが・・・」というもの。

 連日の報道で話題になっているようです。

 八ツ場ダムについては、県議会でしつこいほど取り上げてきましたし、このブログにもずいぶん書いたような気がしていますが、まだまだなのだと思いました。

 今、地域の住民のみなさんは、挙げてダム建設を主張されているように報道されていますが、半世紀以上にわたってダムに翻弄され続けてきた方々にとっては、当然の思いかもしれません。

 とにかく、この地で安心して暮らしていけるようにしてほしい、というのが地域の皆さんの切実な願いだと思います。

 日本共産党は、すでに公共事業を中止した場合の地域再建のための法律案骨子を発表しています。

 住民参加の協議会を設置し、住民の意向を反映した地域再建策を講じていくためのものです。 

 八ツ場ダムへの関心が高いことから、先日、大網白里の日本共産党後援会の方から、要請を受けて、後援会ニュース用に書いた記事を転載することにします。



<大網白里後援会ニュースに書いた記事>

八ツ場ダム やはり「中止」が道理です

 
 総事業費4600億円の八ツ場ダム(水源地域対策費を含めると5900億円、金利負担を含めると9000億円。

 千葉県の負担760億円)。建設中止の民主党政権が誕生したら、「今さら中止したら、かえって高くつく」そんなマスコミの論調が目につくようになりました。

 本当でしょうか。 

 「もう7割もできている」って? とんでもありません。

 7割というのは、事業費ベース。

 総事業費4600億円のうち、すでに7割のお金を使ってしまったということで、工事の進捗率とは違います。

 ではどれほどダムはできているのでしょうか。

 ダムの本体工事にはまだ手がついていません。

 本体工事を始めるには、国道、県道、鉄道、代替地の造成が終わらなければなりません。それぞれの工事の進捗率をみると、国道6%、県道2%、鉄道75%、代替地10%(2008年度末)。「2015年完成予定」は、とうてい無理な話です。 

 やはり「中止」が安上がり 

 わずか数%の工事進捗率。

 しかも、ダム周辺には22カ所もの地滑り危険地帯があり、その対策費は莫大なものになるでしょう。

 吾妻川から取水している東電への減電保障(発電量減少への補償も数百億円)も出てきます。

 これらに残事業費を加えるとおよそ2390億円。中止の場合は、地元生活関連の事業費が770億円。千葉県などの利水者への返還金も890億円程度。合わせて1660億円。やっぱり「中止」が安上がりです。
 
「中止」で「水」は大丈夫? 心配いりません。

 事実、千葉県も水余りの状況です。

 千葉県の資料でも、一日最大給水量(1年間でもっとも水使用量の多かった日)は、2005年までの10年間に4万トンも減少しました。

 その間に、給水人口は、35万人も増えているのに、です。

 しかも千葉県の人口は、今がピークで、これから先は減り始めます。

 国の研究機関の推計では、2020年の千葉県人口は、600万8千人。

今より、10万人以上減少するのです。

 生活用水だけでなく、工業用水道も今、売れ残りの余り水の処理に困っています。 

 こんな状況なのに「なぜ、ダムが必要なのか」県議会での質問に、県当局もまともに答えられません。 

 国交省も「洪水対策に役立たず」と

 八ツ場ダムのもう一つの目的とされる「洪水対策」。1947年の「カスリーン台風」の降雨量が基準です。

 ところが、昨年6月、国交省自らが、八ツ場ダムに治水効果がまったくないことを認めました。

 11日付朝日新聞は「『カスリーン台風』に備えるはずが 八ツ場ダム効果なし」と報じました。

 過去50年で最大の洪水時でも、八ツ場ダムの治水効果はごく僅か。

 利水・治水とも必要のないダムは、きっぱり「中止」が道理です。

2009年10月25日日曜日

千葉県議会に特別委設置へ
   不正経理を調査
    ────読売 2009年10月10日付────

 県の不正経理問題で、県議会は9日、各会派代表者会議を開き、不正経理を調査するため特別委員会を設置することで合意した。

 全会派の議員で構成し、原因を究明するとともに、再発防止策を打ち出す。

 特別委員会の設置案は定例会最終日の22日に提案される。

 調査対象は2007年度以前の経理処理で、県が内部調査を行った消耗品費のほか、備品購入費などについても調べるとみられる。

 委員は自民10人、民主4人、公明、共産、市民ネット・社民・無所属各1人の計17人。調査権の強い「百条委員会」の権限を付与することも検討する。 

 一方、08年度の県の決算を審議する決算審査特別委員会が9日開かれた。

 同委員会は通例として毎年度、百条委員会の権限を付与されており、この日、不正経理に関する審査で百条委として証人を呼ぶケースを想定して100万円の経費を議長に求めることを決めた。

 県議会事務局は「決算審査特別委員会で、百条委の権限を行使することを視野に経費請求するのは初めてではないか」(議事課)としている。




千葉県、業者への罰則条件追加
  不正経理関与で指名停止など
   ────読売2009年10月10日付────


 県の小宮大一郎総務部長は9日、「物品納入業者が今後、不正経理に関与した場合、1か月以上9か月以内の指名停止などのペナルティーを科す」と述べ、業者への罰則条件を見直したことを明らかにした。

 9月定例県議会で、阿部紘一議員(自民)の一般質問に答えた。改正は6日付。

 一方、県特別監察室によると、39業者が県から預かったプール金の返還については、各部局の幹部が直接、業者を訪れ、返還を要請するという。

 すでに複数の部局が業者への働きかけを始めている。

 同室は「年内には県への返還額や方法を確定させ、県職員の負担額を決定したい」としている。



不正経理:28府県市すべてで発覚、
    計二十数億円 検査院
    ────毎日10月9日付────


 昨年に愛知県など12道府県が会計検査院から不正経理を指摘された問題で、検査院が今年度26府県と2政令指定都市を対象に調べたところ、全自治体から計二十数億円の不正経理が見つかっていたことが分かった。

 千葉県だけで約11億円を占め、同県は飲食への流用が見つかるなどずさんさが際立つ。私的流用の温床として検査院が最も問題視する「預け」も約10県市で確認。

 昨年と今年に検査を受けた40自治体すべてで不正経理が発覚した。 

 不正経理が見つかったのは秋田▽山形▽茨城▽埼玉▽千葉▽山梨▽富山▽石川▽福井▽三重▽滋賀▽大阪▽奈良▽鳥取▽島根▽岡山▽広島▽山口▽徳島▽香川▽愛媛▽高知▽福岡▽熊本▽鹿児島▽沖縄--の26府県と千葉、大阪の2政令市。関係者によると、検査院は昨年同様、国土交通省と農林水産省から交付された補助金関連の支出を対象に、原則として03~07年度分を検査した。 

 昨年の検査報告で検査院は、不正経理の手法を「預け」(物品を架空発注して代金を業者に保管させる)
 ▽「一括払い」(代金を払わずに納入させ、後で別の名目でまとめて払う)
 ▽「差し替え」(発注した物品と異なる品物を納入させる)
 ▽「翌年度納入」(年度内の物品調達を装い翌年度に納入させる)
 ▽「前年度納入」(前年度の物品調達について現年度の調達を装う)
 ▽「不適切な賃金の支払い」(補助対象外の業務をした臨時職員の賃金を補助金で支出)
 ▽「不適切な旅費の支払い」(補助対象外の業務をした職員の旅費を補助金で支出)--の七つに分類。今年も28府県市から同様の不正経理が見つかった。

 このうち千葉県は今年3月、検査院から検査に入ると通知されたことから、本格的な内部調査を実施。

 国交省や農水省からの補助金関連以外も含めて総額約30億円の不正経理を9月に公表した。

 ほかに、やはり内部調査で約1億円の不正経理が見つかった熊本県などが多額。

 秋田県や高知県は少額だった 

 検査院は12道府県から計11億3713万円の不正経理が見つかった昨年の検査結果を踏まえ、ほかの35都府県と18政令市についても検査する方針を固めていた。

 今後、残る9都県16政令市も調べる方針。

    ────【苅田伸宏、松谷譲二】────

2009年10月23日金曜日

「千葉県の教育を元気にする有識者会議」の非常識

 一昨日(9月28日)、森田知事肝いりの「千葉県の教育を元気にする有識者会議」の第一回の会合が開かれました。 

 報道によれば、森田知事は冒頭のあいさつで「今こそ子どもたちに日本人としての誇りや自信を、千葉県人としての郷土愛を持ってもらいたい」と述べたとのこと。 

 「臆面もなく」と言わざるを得ません。自らの金権疑惑に答えようともせず、法に触れさえしなければ構わないとばかり、脱法行為に居直りを決め込む。

 中学生県議会で、子ども議員からさえ「うそはつかないでください」と、注文が出る。

 こんな知事の姿を見せつけられて、こんなごまかしがまかり通っている日本の政治を見せつけられて、どうして子どもたちが、日本人としての誇りや郷土への愛を育むことができるでしょうか。

 森田知事がみずから推薦して委員になった俳優の藤岡弘氏は、「世界に出たとき、自国を誇れない人間は馬鹿にされる。父から教わった武士道精神は世界中の人に認められた」(千葉日報9/29付)と述べたそうです。

 また、委員の百地章日大教授は「伝統を否定し、軽視するような自虐的な歴史観が日本人としての誇り、自信を喪失させた」(毎日9/29付)と、持論を展開したようです。 森田県政のもとで、こんな考え方が、千葉県の教育を席巻するようなら、千葉県の子どもたちや保護者、教育関係者にとって、これほどの不幸はありません。

 子どもたちは、未来の主権者、社会の宝として尊重されて、初めて「この国に生まれた喜び、誇り」を感じるはずですし、過ちは過ちとして認める、世界に通用する科学的、客観的歴史認識を持ってこそ、国際社会で堂々と胸を張って活躍することができるはずです。 その点で、千葉県教育の現状は、惨憺たるものです。

 すべてを紹介できませんが、たとえば、教員についていえば、今年度採用された2178人の教員のうち、正規採用は約半分の1130人、あとの1048人は、1年間という期限の付いた講師です。

 不安定な身分で、安い給料で、正規教員と同様の仕事をさせる。
安上がり教育の典型です。

 高校の無理な統廃合の結果、一学年9学級という過大規模の学校が何校も生まれています。高校を減らし、財政を浮かせる、とんでもないやり方が強行されてきた結果です。

 行政の本来の任務である教育条件の整備という仕事に背を向け、学校、教師、そして何より子どもたちに不自由な、切ない思いをさせておいて、「誇り」も「武士道」もないものだと言わなければなりません。

 「有識者会議」とやらの面々の非常識に注意が必要です。

    ────小松実ブログ <作成日時:2009/09/30>────




千葉 郷土愛育む教育目指し初会合

 
 家庭、学校、地域、行政が一体となって、千葉県の未来を担う子供たちを育てることを目的とした第1回「千葉県の教育を元気にする有識者会議」が28日、京成ホテルミラマーレ(千葉市中央区)で開かれた。 

 会議冒頭、森田健作知事は「もう一度、日本の教育や将来を考えなければいけない。

 子供たちに日本人としての誇り、自信、千葉県民として郷土愛をもってほしい」とあいさつ=写真。会議には木村治美・共立女子大名誉教授や俳優の「藤岡弘、」さんなど幅広い分野の有識者10人が委員として参加した。委員らからは「旧教育基本法ではなく、(伝統や文化を重んじた)新法を踏まえて考えるべき。基本が抜けている」といった意見や「具体的に現場を育てる仕組みを」「家庭教育はどうすればよいか」など活発な議論が飛び交った。
 会議での主な検討事項は▽千葉県教育の将来像▽郷土愛の育成や心を育てる教育▽伝統文化の奨励▽元気にあふれた教育現場の実現▽スポーツ立県千葉の実現-だ。

 会議は計4回開催され、臨時委員を含めて18人が参加予定。委員の意見を年内にも提言としてまとめ、今年度中に策定される「教育振興基本計画」に反映する方針だ。基本計画では、今後5年間で取り組むべき施策などが示される。 

 森田知事は公約で「教育日本一」を掲げ、道徳教育の充実や郷土愛の育成をうたっており、有識者会議の提言がどこまで踏み込んだ内容になるのか、関心を集めそうだ。

     ────産経9/29────




千葉 知事『教育変えねば』
   千葉市で有識者会議が初会合

 
 教育のあり方を話し合う「県の教育を元気にする有識者会議」の初会合が二十八日、千葉市内で開かれた。 
 冒頭のみ出席した森田健作知事は「子どもたちに日本人としての誇りと自信を、千葉県民として郷土愛を持ってもらいたい。

 国の教育を変えていかなきゃいけない」とあいさつした。 

 議長に就任した木村治美・共立女子大名誉教授は「人材豊かな有識者会議で闊達(かったつ)な意見を交わし、千葉から全日本が瞠目(どうもく)するような答申をまとめたい」と応えた。 

 この日は出席した委員十人が過去の実績や現在の活動、教育への思いを交えながら自己紹介。

 会議では、統計数理研究所の国民意識調査結果を踏まえ、体験学習の重要性を確認し合った。 次回は十月二十日に開催。年内に計四回の会合を開いて提言をまとめる。

提言は県が策定する教育振興基本計画に反映される見通し。

     ────(小林孝一郎)東京9/29────





千葉 県教委:教育有識者会議、
  木村氏が議長に───千葉で1回目

 

 県教委は28日、「千葉県の教育を元気にする有識者会議」の第1回会議を千葉市内のホテルで開いた。

 森田健作知事は「今こそ子どもたちに自信を持ってもらいたい」とあいさつした。

 議長には木村治美・共立女子大名誉教授が選ばれた。

 委員の百地章・日本大教授は「伝統を否定し、軽視するような自虐的な歴史観が日本人としての誇り、自信を喪失させた」と持論を展開した。

    ────【荻野公一】 毎日9/29────




「千葉県の教育を元気にする有識者会議」の構成

 

平成21年9月3日 【委 員】(五十音順) 

緒方明子 明治学院大学心理学部教授 
亀井明子 国立スポーツ科学センタースポーツ医学研究部研究員、管理栄養士 
木場弘子キャスター、千葉大学教育学部特命教授 
木村治美 共立女子大学名誉教授 
古賀正一市川学園理事長・学園長、千葉県私学団体連合会会長 
銭谷眞美 東京国立博物館長 
千代田真紀(有)キャリアステージ代表取締役、千葉経済大学短期大学部講師 
橋岡久太郎 能楽師(観世流)橋岡會代表 
藤岡弘、俳優、武道家 
町田義昭 (独)科学技術振興機構 理科教育支援センター主任アナリスト 
宮本みち子 放送大学教養学部教授 
百地章日本大学法学部教授 
諸富祥彦 明治大学文学部教授 【心を育てる教育に関する臨時委員】 
井内清満NPO法人ユース・サポート・センター友懇塾理事長 
神長美津子 東京成徳大学子ども学部教授 
こんのひとみ絵本作家、シンガーソングライター 
【スポーツ振興に関する臨時委員】 
京谷和幸千葉ホークス(車椅子バスケットボール)、北京パラリンピック日本選手団主将 
 冨田洋之順天堂大学スポーツ健康科学部助教、財団法人日本体操協会JOCコーチングディレクターアテネ・北京オリンピック体操男子メダリスト

「千葉県の教育を元気にする有識者会議」の設置について
 平成21年9月3日 
 千葉県教育庁企画管理部教育政策課 043‐223‐4177 

 

2009年10月21日水曜日

検察の森田知事不起訴処分は、
  「県民感情無視、検察の権威失墜」

 今回の森田知事に対する不起訴処分に多くの県民は検察に失望しています。

 市民感覚と検察の感覚のズレを感じます。

 政治家に甘く、市民に厳しい、といわれても仕方がありません。

 【千葉県の森田健作知事が昨年6月、船橋市の私立幼稚園で講演した際に受けた謝礼10万円を、同氏の資金管理団体「森田健作政経懇話会」の収入としていたことが9月30日、総務省が公表した2008年の政治資金収支報告書でわかりました。
教育基本法では学校の政治的活動を禁止しています】
  ────赤旗10月2日付────

 幼稚園の講演料を計上は、明らかに違法献金です。

日本の民主主義を守るためにも、虚偽記載、違法献金のやり得は許せません。

今回の不起訴決定に対し、「森田健作氏を告発する会」は、「検察審査会にすみやかに不服審査を申し立て、厳正なる再審査を願い出ることとした」との抗議文を発表しました。


 下記に「森田知事を告発する会」ブログの記事を記します。


 

ついにXデー
  結果は不起訴!
     県民は不服!


 本日、午後4時に、西島弁護士は千葉地方検察庁からの呼び出しに応えて、当方の告発に対する結果を聞いてきました。

 結果は「不起訴」!その後、4時45分から県庁記者クラブで記者会見を開きました。まず、西島弁護士から不起訴の顛末の報告があり、その後記者との質疑。

 井村代表は「今回の検察庁の判断は、偏ったものであり、断じて認めがたい」という怒りの声を上げております。

 また「われわれは今後、今回の不起訴決定に対して、検察審査会にすみやかに不服審査を申し立てる意思がある」ことを記者に伝えました。

結果はとても納得のできるものではありません。

 検察庁が「不起訴」とした見解の概要は以下の通りです。
(詳細については、後日西島弁護士から報告があります)

① 公職選挙法違反を問うた「完全無所属」を謳った法定ビラの記載については、必ずしも虚偽表記という要件ではない。
 「政党推薦は受けていない」という森田側の説明を「よし」とする。
 今回、根拠法とした第235条の根拠規定のうち、「身分」「所属」のいずれについても、「虚偽」という要件にはあたらないと判断して「嫌疑不十分」とした。

② 政治資金規正法第26条の2に該当するドン・キホーテからの献金(外国人、外国法人またはその主たる構成員が外国人もしくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄付を受けてはならない)に違反する、という告発に関しては、告発の時点で一部すでに時効になっており、また、その他の献金についても、森田に「違反の認識がない」という答えだったので「故意」ではないと判断し、「嫌疑不十分」とした。
 今後は、できるだけ早く「不服審査の申し立て」やその他のアクションを起したいと考えています。
不正経理問題をはじめ、あまりに不祥事の多い千葉県ですが、最大の千葉県の不祥事はうそつき「知事本人」を擁していることであろうと思います。
 あきらめず声を上げていくため皆様のなお一層のご協力をお願いします。



「抗議文」を記者会見で発表
  以下全文------------


   森田健作知事への刑事告発に対する千葉地方検察庁の処分決定について

 2009年9月30日我々は、2009年4月15日、被告発人森田健作氏を、公職選挙法第235条第1項の罪に該当、また被告発人氏名不詳として、政治資金規正法(平成18年12月改正前)第26条の2により処罰の対象とされる同法第22条の5に違反するという理由で、捜査の上、厳重な処罰を願いたいとして、853名の委任状を添えて千葉地方検察庁に刑事告発を行った。

 その後、多くの賛同者とともに、今日まで検察庁による「受理」および厳正なる捜査を期待し、一日千秋の想いで同被告人に対する「起訴処分」を待ち続けてきた。

 その間も同被告発人森田健作氏は、自民党支部長の座に座り続け、告発された案件はもとより、自民党国会議員からの寄付金記載漏れや、公立高校で行なった講演会の講師料を政治団体で受け取るなどの所得税法違反の問題など、新たに出てきた疑惑に関しても、県民と議会に対する説明責任を放棄したままであり、知事としての資質を疑うほかない。

本日、千葉地方検察庁から代理人弁護士の呼び出があり、ついに「不起訴処分」という最悪の事態を告げられることとなった。

 「完全無所属」を標榜し、法定ビラ等で虚偽記載により選挙民を欺いたこと、また、明らかに政治資金規正法に違反した行為を行ったこと、こうした事実が歴然としているにもかかわらず、証拠と照らして十分に捜査検証することもなく、不起訴処分としたことはまことに遺憾であり、われわれとしてはこの結果を断じて受け入れることはできない。

 千葉地方検察庁に厳重に抗議するものである。

 また我々は、今回の不起訴決定に対し、検察審査会にすみやかに不服審査を申し立て、厳正なる再審査を願い出ることとした。

 今度こそ、当局の中立公正なる判断によって、われわれの申し立てが正当に受け入れられることを強く期待する次第である。 

 告発人ら代理人 弁護士 西島和「森田健作氏を告発する会」代表 井村弘子 他853名





告発の不起訴判断に森田知事「理解得た」
 「非常に残念」────産経10月1日付────


 「森田知事のいい加減さを検察が認めたという感じ。納得できない」。

 千葉地検による森田健作知事の不起訴処分を受けて、市民団体「森田健作氏を告発する会」の井村弘子代表(88)は30日、県庁で記者会見し、怒りをあらわにした。

 一方、森田知事は「(検察に)私の説明を十分ご理解いただけた」とコメント。

 知事就任後、告発に発展した問題は一つの区切りを迎えた。 

 同会の西島和(いずみ)弁護士は会見で、公選法違反について、地検は「『完全無所属』という表記だが、政党推薦を受けていないことは事実。『自民党をやめた』など明確な言葉はなく、違法ではない」と説明したという。

 また、政治資金規正法についても、地検は「森田知事が『法律自体を知らなかった』と話し、違反認識がない。もしくは違反認識があったことを立証できない」と、いずれも嫌疑不十分で不起訴処分にしたとしている。

 同会の大野博美県議は「時効の関係もあるので、すみやかに検察審査会に不服申し立てをする」と、引き続き争う姿勢を示した。 

 森田知事は同会が4月に告発した際、「(自民党から)所属党派証明書をもらっておらず、無所属で立候補した」として、「完全無所属」であることに問題はないと反論。

 また、森田知事が代表を務めていた「自民党東京都衆議院選挙区第2支部」が当時の政治資金規正法が禁じた、外国人、外国法人の持ち株比率が50%を超えた企業「ドン・キホーテ」から献金を受け取ったとした問題についても、「刑事罰に触れるものではなく、法律上の問題はない」と繰り返し主張していた。

 森田知事は7月、自民党を離党し、同支部を解散。今回の判断について「検察が適正に調べた結果だ」と評価している。



森田健作知事「完全無所属」告発、不起訴に

 
 千葉地検は30日、3月に行われた千葉県知事選の法定ビラを巡り、市民団体「森田健作氏を告発する会」(井村弘子代表)から公職選挙法違反容疑で告発されていた森田健作知事を、嫌疑不十分などで不起訴にしたと発表した。 

 同会は、不服として検察審査会に審査を申し立てる方針。

 同会は、森田知事が当時、自民党東京都衆議院選挙区第2支部の支部長でありながら、法定ビラに「完全無所属」と、政党とは無関係のように表記したことが、公選法で禁じる虚偽事項の公表にあたるとしていた。 

 地検幹部は不起訴の理由について、「『完全無所属』が、どの政党にも所属していないという意味で使われているとは断定できない」と説明した。

 森田知事は「検察が適正に調べた結果であり、当方の説明を理解していただけた」とのコメントを出した。

    ────読売10/1────



森田知事:企業・団体から1734万円
  解散の自民支部受け皿に/千葉
────毎日9月30日付────


 今年の知事選で「完全無所属」を名乗って当選した森田健作知事が代表を務め、強い批判を浴びた「自民党東京都衆議院選挙区第2支部」(東京都中央区京橋、現在は解散)の08年分政治資金収支報告書も、都選管から発表された。

 同支部は08年の1年間に、企業・団体の8社・法人から計1734万円を集める一方で、森田知事の資金管理団体へ1212万円を寄付した。

 同支部の08年度1年間の収入の合計は1866万円。

 このうち個人献金は32万円で、企業団体献金が大半を占めている。

 一方、光熱水費や備品・消耗品費、事務所費はゼロで、活動実態はみられず、資金管理団体「森田健作政経懇話会」へ多額の寄付を行っている。

 違法ではないものの、企業献金の受け皿となっていたのは明白だ。

 献金企業には過去の一時期、外資比率で政治資金規正法に抵触していた可能性が指摘された「ドン・キホーテ」(360万円)も含まれている。

 一方、資金管理団体へ流れた金がどう使われたかは、所管の総務省が30日公表する同政経懇話会の収支報告書で判明する。


 

2009年10月19日月曜日

森田知事の虚偽記載、違法献金等のやり得は許さない

 私たちは、引き続き森田知事に虚偽記載、違法献金の説明責任と政治責任を求めます。

 先の県知事選挙において、森田健作氏は「完全無所属」をかかげて、あたかも政党とは無関係であるかのようにふるまいました。 

 少なくない有権者が、政党と関係ない候補者と信じて森田健作氏に投票しました。

 あの知事選挙で森田健作氏が「完全無所属」だとウソをつかずに、自民党を名乗っていたら当選は覚束なかったと思います。 

 だから、森田健作氏の行為は公選法に違反する虚偽記載だと追及されているのです。

 森田健作氏は「自由民主党東京都衆議院選挙区第二支部」の支部長として多額の企業献金をうけとり、この4年間だけでも1億5千万円もの資金を「森田健作政経懇話会」に移していました。 

 これは、個人では受け取れない企業献金を、自民党支部をトンネルにして自分の個人事務所に流し込んだ「迂回献金」ではありませんか。 

 しかも、森田健作氏が自慢している4年間の知事選挙の準備活動には、この資金が必要だったのではありませんか。 

 この疑問に正面から答えることが千葉県民に対する森田健作氏の最低限の責任です。

 森田健作氏は、記者会見で、「問題ない」と言って、こうした疑問について自ら県民に解明しようとしていません。 

 このような態度をあなたが続けるのであれば、県知事にふさわしくないと多くの県民がみています。 

 今回の不起訴処分に多くの県民は納得していないのではないでしょうか。 

 この問題はこれで終わりにはなりません。 

 「森田知事の政治責任を追及する会」の三輪定宣代表は「完全無所属」を装った露骨な政党隠しは公職選挙法違反だとし、「選挙民をだまして公職に就く。

 これでは民主政治は死んだも同然。

 これを告発し追及するのは市民の責任」だと9.25県民集会で訴えました。 

 知事自らがこの疑惑を解明して、県民に説明し、自らの政治責任を明らかにするまで県民の追及は続きます。




不起訴処分でも
 「森田健作知事」を襲う内憂外患
   さらば涙と言おう~♪
     ────週刊新潮10月15日号────


 千葉県・森田健作知事(59)はその瞬間、心中で、自身の大ヒットドラマ「おれは男だ!」の主題歌を、リフレーンしたに違いない。 

 9月30日、千葉地検は、市民団体が森田氏を「公選法違反」容疑などで告発した案件について、知事を「不起訴処分」とした。 

 焦点は、森田氏が自民党支部の代表を務めながら「完全無所属」として、知事選に立候補したこと。「灰色」と報じられただけに“お咎めなし”に、知事が喜びをかみ殺している姿は、想像に難くない。

 しかも、「折も折、告発の呼びかけ人で、知事批判の急先鋒・吉川洋県議(無所属)の『政務調査費』不正流用疑惑が明るみに出ました」と、県政関係者。

 「吉川氏は、自らと会派の政務調査費、そして政治団体の収支報告書に同じ領収書を添付していました。

 また、人気歌手・川嶋あいのエッセイや推理小説『13階段』の代金も落としていた。これらの疑惑を追及する柏市議のことを、吉川氏が提訴した裁判の判決が9月11日に出て、“領収書の改ざんや、不適正な支出の疑いは濃厚”と、訴えが退けられました」 当の吉川氏は「添付の重複は事務的なミス。判決には納得できないので控訴しました」と言うが、窮地に陥るのは必至。それを予見してか、近頃、森田氏はやや上機嫌という。

 「月に一度、知事が庁内放送で職員に行う話に高笑いが入るのです。

 例えば、選挙後は“自民負けちゃったよな、アハハハハ”“まあ、巻き返すから心配ないよ”。居酒屋談義のような話が流れるので、聞く人は皆、吃驚(びっくり)でした」(県政担当記者) 聞いてなくとも吃驚だが、知事は今、とても笑っていられる状況にない。9月に発覚した30億円に上る職員の不正経理問題への対応に、批判の狼煙(のろし)が上がっている。

 「口では“膿(うみ)を出す”と言うものの、設置された『特別監察室』はすべて県庁のメンバーで、実効性は疑問です。

 また、裏金作りに関与した職員の処分の目安も、他に比べて甘かった。

 これでは18%の支持率は上向かないはず」(さる県議)課題は山積。

 涙と“おさらば”出来るかは、自らの手腕にかかっているのだ。

2009年10月17日土曜日

森田知事 また違法献金 幼稚園の講演料を計上
     ────赤旗10月2日────

 千葉県の森田健作知事が昨年6月、船橋市の私立幼稚園で講演した際に受けた謝礼10万円を、同氏の資金管理団体「森田健作政経懇話会」の収入としていたことが9月30日、総務省が公表した2008年の政治資金収支報告書でわかりました。
教育基本法では学校の政治的活動を禁止しています。

 森田健作政経懇話会の昨年の収入は4944万円。森田氏が代表の自民党東京都衆議院選挙区第二支部から1212万円の寄付を受け、講演料収入1008万円、昨年12月の出版記念パーティーで2616万円の収入を届け出ました。

 主な講演収入は、私立幼稚園の他、建国記念の日奉祝委員会50万円、幸福の科学関連団体100万円、改憲団体の日本会議世田谷・目黒支部10万円、千葉県宅地建物取引協会50万円、千葉県トラック協会支部23万円、東京電力20万円など。

 森田氏は、福岡の県立高校や千葉県PTA協議会からの講演料を同懇話会の収入にしていたことが4月の知事就任後に発覚。

 「自治体から補助金を受けている団体から政治資金を受けることは問題だ」と批判があり、返金したばかりです。

 森田氏は08年、自民党支部を受け皿に1734万円の企業団体献金を受け、その大半を森田健作政経懇話会に流しています。



自民支部から1212万円 森田知事の政治団体
     ────千葉日報10月2日付け────


 総務省は30日、森田健作知事が代表を務める政治団体「森田健作政経懇話会」の2008年分の収支報告書を公開した。

 収入総額は5458万円で、08年分の収入は4944万円。

 収入のうち寄付は1212万円で、寄付団体は森田知事が代表を務める自由民主党東京都衆議院選挙区第2支部(今年6月30日に解散)だけだった。

 政治資金パーティーは出版記念パーティーで2616万円。

 講演料は1103万円で、企業や法人など29団体を記載。

 幸福の科学(計100万円)からの講演料もあった。 

 支出総額は3335万円だった。

 そのうち事務所費や人件費など経常経費が1648万円。

 政治活動費は1687万円。

 選挙関係費は記載がなく、政治資金パーティーの開催費(795万円)が大部分だった。



森田知事:幸福の科学から講演料
  --08年分・政治資金収支報告書 /千葉
      ────毎日 10月2日付────


 森田健作知事が昨年、宗教法人「幸福の科学」(大川隆法総裁)とその関連団体から講演料として計100万円の収入を得て政治資金としていたことが分かった。

 30日公開された資金管理団体「森田健作政経懇話会」の08年分政治資金収支報告書に記載していた。 

 講演は、
 ▽8月12日に幸福の科学四国支部から講演料60万円
 ▽10月3日に幸福の科学出版から20万円
 ▽12月13日に幸福の科学から20万円--の3回。 

 森田知事は、初当選した3月の知事選で幸福の科学から組織的な支援を受けていたことを認めたうえで、「僕ら政治家はいろんな団体、宗教団体が応援してくれる。

 (幸福の科学は)ワン・オブ・ゼムの一つ」などと説明していた。【倉田陶子】

 

2009年10月15日木曜日

県民要求実現、金権腐敗一掃
 9.25千葉県民集会、三輪定宣代表の挨拶

 ご参加ありがとうございました。

 各団体、県会議員から、厳しい生活実態、切実な要求、知事や議会の状況などが報告されました。


 10年に及ぶ「構造改革」に加え、「百年に一度」の世界的不況が生活を直撃しています。1929年の世界恐慌が世界大戦の引き金になったように、この不況はさらなる深刻化が予想され、それだけに、県民のくらしを守る砦としての県政、自治体の役割は、かってなく大きくなっています。

 そのために、県民の生活要求に直結し、それに応える公正、透明、清潔な県政の実現が不可欠です。 

 疑惑にまみれた森田県政はその資格が問われているのです。

 選挙民を騙し、違法な金を使って公職につき、あとはやりたい放題ーこんなことがまかりとおるようでは、民主政治は死んだも同然です。

 そんなことないよう法律がルールを定め、市民が監視する社会的責務を明記しています。 公職選挙法、政治資金規正法などです。 

 「森田知事の政治責任を追及する会」は、結成以来5ヶ月、その選挙疑惑の真相究明、政治責任を追及する県民共同の運動をすすめてきましたが、依然、疑惑は晴れず、県政の基盤、知事への信頼が揺らいでいます。

 なにより、選挙での虚偽記載が当選に決定的でした。

 知事が自民党隠しをしなかったら、千葉市長選挙、総選挙等に照らし、厳しい結果となったはずです。

 6月の新聞世論調査でも、知事を「評価する」は18.1%にとどまり、県民の根深い不信は続いています。 
 知事が「完全無所属」ならば、就任後の県政も自民党政治とは無縁のはずです。

 しかし、「日本教育再生機構」という安倍内閣の教育基本法改定を裏で推進した”靖国派”教育団体の代表委員、野口芳宏氏を教育委員に選ぶなど、県政は「完全無所属」とほど遠いものです。

 知事もこの団体の代表委員であり、野口氏は、法律が禁止する体罰の礼賛者であるなど、教育をめぐって県民に不安が広がっています。 

 過日(9月17日)発表の東京都選管の政治資金収支報告書によれば、知事が支部長をつとめた自民党支部が、2008年に受け取った企業・団体献金は1734万円、その65%を森田健作政経懇話会に流れたことが判明し、選挙資金の違法性が改めて問われる証拠になりました。

 知事は、6月県議会で、疑惑について「告発処理手続き中」と答弁し、検察が捜査中を理由に説明責任を逃れています。

 検察が、県民の信託に応え、厳正な捜査を行うことは当然ですが、知事はそれを待たず、一日も早く県民に直接、虚偽・違法献金疑惑について説明し、県民の判断を仰ぐべきです。 最近の県職員の不正経理問題に県民の怒りが沸騰し、その全容解明、再発防止、責任の明確化が求められています。

 虚偽・金権体質の知事のもとでの隠蔽は断じて許されません。

 県政の監視役、県議会の責任も重大です。

 公正、透明、清潔で県民の要求に応える県政をめざし、さらに、県民共同の運動を強めましょう。

────森田知事の政治責任を追及する会代表、
      千葉大学名誉教授
────

2009年10月12日月曜日

「八ッ場ダム中止しろ」
   町役場に抗議殺到

 抗議の電話、メールが殺到──。

 群馬県長野原町の「八ッ場ダム」建設中止方針を表明した前原国交相に、高山欣也町長らが反対していることに対し、町役場に「早く中止しろ」といった怒りの声が殺到している。

 町総務課によると、前原国交相がダム中止を明言して以降、「ダムは中止するべき」との電話が寄せられ、一日中鳴りっ放しの状態という。

 24日夕方から25日朝にかけては、抗議などのメールが約500本あり、「パンク状態」(町担当者)。

 一方、一連の騒動で注目を浴びたせいか、八ッ場ダムの広報センター「やんば館」も観光客が殺到。連休中は1日の入館者が1000人を超えた日もあったという。

     ────『中日新聞』9月25日──── 




社説:八ッ場ダム中止
  時代錯誤正す「象徴」に


 民主党の政権公約通り前原誠司国土交通相は、群馬県の八ッ場(やんば)ダムの建設中止を表明した。23日に建設予定地を訪ね、意見交換会を開く方針だ。計画から半世紀以上、住民を翻弄(ほんろう)し苦しめてきたことを謝罪するとともに、中止の理由について意を尽くして説き、不安を取り除くのは政治の責任である。そのうえで、時代にあわない大型公共事業への固執がどんな問題を招くかを広く知ってもらい、こうした時代錯誤を終わりにすることをはっきり示す「象徴」としてほしい。

 治水と利水を兼ねた八ッ場ダム計画は、1947年の台風による利根川決壊で浮上した。吾妻川沿いの温泉街をはじめ340戸の水没が前提で、首都圏住民のための犠牲を強いられる地元に激しい反対運動が続いた。苦渋の末、地元が同意に傾いたのは90年代に入ってからだ。時間がかかったため事業費は当初の2倍以上の4600億円に膨らんだ。

 この間、首都圏の水需要は減少傾向にあり、洪水対策としてのダムの有効性に疑問が示された。しかし、そもそもの目的が疑わしくなり、悪影響が指摘されながら完成した長良川河口堰(ぜき)、諫早湾干拓、岐阜県の徳山ダムを追うように、ダム湖をまたぐ高架道路、移転住民のための用地造成などが進み、ダム本体の着工を残すだけになった。まさに「いったん動き出したら止まらない」大型公共事業の典型である。こうした中で、公共事業の全面的な見直しを政権公約に掲げた民主党が政権を握った。八ッ場は最初の一歩である。

 これに対して利水・治水のため建設費を負担してきた1都5県の知事は「何が何でも推進していただきたい」(大澤正明・群馬県知事)などと異論を唱えている。すでに約3200億円を投じており、計画通りならあと約1400億円で完成する。中止の場合は、自治体の負担金約2000億円の返還を迫られ、770億円の生活再建関連事業も必要になるだろう。ダム完成後の維持費(年間10億円弱)を差し引いても数百億円高くつく。単純に考えれば、このまま工事を進めた方が得である。

 だが、八ッ場だけの損得を論じても意味はない。全国で計画・建設中の約140のダムをはじめ、多くの公共事業を洗い直し、そこに組み込まれた利権構造の解体に不可欠な社会的コストと考えるべきなのだ。「ダム完成を前提にしてきた生活を脅かす」という住民の不安に最大限応えるべく多額の補償も必要になるが、それも時代錯誤のツケと言える。高くつけばつくほど、二度と過ちは犯さないものである。

     ────毎日社説 9月23日────




前原国交相はダマされるな!
  八ッ場ダム建設中止に怒る
     地元民の怪しい声


 これは“やらせ”じゃないのか。怪しいにおいがプンプンする。

 前原国交相が表明した八ッ場ダム建設中止に対する地元民の反発だ。

 23日に行われた大臣視察では地元民が対話をボイコット。テーブルについた県知事、町長、県議らは口々に前原の方針転換を攻め立てた。

 大マスコミが騒ぎ立て、前原はいきなり、悪者になっていたが、会場の外では「前原頑張れ」の声も飛んでいたのだ。

 群馬県といえば、町議から代議士、知事まで「政治家は自民党にあらずんば人にあらず」というお国柄だ。
町長や県議、知事が前原批判をしても、額面通り、「地元の声」とは受け取れない。
さらに、こんな怪しい話もあるのだ。

「八ッ場ダムの地元には川原湯温泉がある。そこの観光協会会長は今年7月の朝日新聞のインタビューで『大事なのは時間。
 生活再建の道筋が早くつくほうが正解なんです。
 ダム建設はやめてもかまわない』と明言した。これが大方の声ですよ。
 ところが、総選挙以降、この観光協会会長は態度を一変させて、ダム建設推進派に変わった。
 裏で仕掛けている人がいるとしか思えない」(地元関係者)

 反前原の地元民は「地元に一言も相談せずに中止方針をぶち上げた」と怒っているが、民主党は八ッ場ダム建設中止を堂々とマニフェストにうたっているのだから、「挨拶がねえぞ」と怒るヤクザのイチャモンみたいだ。
 こんな屁理屈を知事や町長、地元民代表らがいっせいに口にし、ゴネている。

 さて、黒幕は誰なのか。
手がかりになるのが別表だ。
国交省の職員がダム建設を落札している企業37社に52人も天下りしているのだ。
さらに7つの公益法人に25人。随意契約業者へもワンサカ天下っていて、こちらは57社に99人。
合計176人がダムを食い物にしてきたのである。

 こうしたダム受注企業の中には自民党に献金しているところもある。
地元民の反発という形で、前原を立ち往生させれば、ダムは存続するし、民主党政権にも打撃になり、一石二鳥。
怪しい思惑が見え隠れする。

 こんな芝居に前原はひるんではダメだ。地元民にきっちり生活再建の道筋をつけてやり、明日にでもダム建設はやめればいい。

■八ッ場ダム関連企業への国交省職員の天下り数

◎公益法人
 (財)国土技術センター 6
 (財)建設物価調査会 2
 (財)ダム水源地環境整備センター 4
 (財)ダム技術センター 2
 (財)水資源協会 3
 (財)日本気象協会 6
 (社)関東建設弘済会 2

◎落札業者
 オオバ 1
 地下工業 1
 池原工業 2
 小田急建設 1
 開発コンサルタント 4
 一瀬調査設計 1
 応用地質 1
 オリエンタルコンサルタンツ 1
 建成社 1
 建設環境研究所 2
 建設技術研究所 1
 ダイヤコンサルタント 1
 千代田コンサルタント 2
 テクノプラン 2
 東京建設コンサルタント 1
 トテック 1
 ニュージェック 4
 日測 1
 横打 1
 川崎地質 1
 協和補償コンサルタント 1
 興亜開発 2
 国土環境 2
 佐藤鉄工 1
 サンコーコンサルタント 1
 新構造技術 1
 住鉱コンサルタント 1
 大日本コンサルタント 1
 東武計画 1
 日本建設コンサルタント 1
 日本振興 2
 パシフィックコンサルタンツ 2
 東日本旅客鉄道 1
 富士通 1
 復建調査設計 2
 三井共同建設コンサルタント 1
 八重洲コンサルタント 1


※公益法人は04年10月現在、落札業者は03~05年の再就職者数 

     ────『日刊ゲンダイ』9月26日号────

八ツ場ダムの総事業費
  予算超過の公算大
     完成なら東電に多額補償

 国土交通省が群馬県に計画する八ツ場(やんば)ダムの総事業費が同省が予定する予算4600億円を超過する公算が大きいことがわかりました。これは、ダム周辺に水力発電所を持つ東京電力への補償金に数百億円が見込まれるため。建設の継続はより多くの事業費負担を生み、国民の批判を受けるのは必至です。(矢野昌弘)

 同ダム予定地を流れる吾妻川の水系は水力発電の一大産地。東京電力の水力発電所が14あります。

 現在、同ダム予定地上流の三つの堰(せき)で取水した毎秒30トンの水は、発電のため川を通らずに送水管を通ります。大量の水がダム予定地をう回する格好です。

 この状態では、仮に八ツ場ダムが完成しても水が貯まらないダムになってしまいます。そのため国交省は東電から水利権を譲り受ける必要があります。

 そこで発生するのが、発電量が減ることへの補償金(減電補償)です。東電への減電補償がいくらになるのか、国交省は「個別企業の経営上の問題にかかわる」として明らかにしていません。

 日本共産党の伊藤祐司前群馬県議は、近隣の県営発電所の買電価格などを参考に試算。2004年10月の県議会で取り上げました。50%の取水制限を行った場合、直接関係する五つの発電所の影響額は、1年分だけで17億円、30年分で510億円と見積もりました。

 ところがダム事業費4600億円のうち減電補償などに充てる「特殊補償」枠の予算は217億円にすぎません。しかも、これは導水管の移設工事費なども含んだ金額。予算不足は明らかです。

 「八ツ場ダムをストップさせる市民連絡会」の嶋津暉之さんは「減電補償はダム完成直前に支払うものなので、それまで伏せておくことができる。それをよいことに国交省は東電と交渉中だとか、4600億円に織り込みずみなどと言ってごまかしているが、数百億円の規模になって事業費再増額の一要因になることは確実だ」といいます。

 八ツ場ダムの工事費をめぐっては、減電補償の他にも、地すべり対策工事費や関連工事の進捗率が低いことから、さらなる増額の恐れが指摘されています。

     ────赤旗9/25────

2009年10月9日金曜日

千葉県庁の不正経理に県民は怒っています

 「内部告発はなかったのか」

 内部告発はありましたが、闇に葬られました。

 沼田元知事は朝日新聞の取材に、当時の答弁や告発文などについて「記憶にない」と話した。

 1997年当時の内部告発文は下記のとおりです。 

http://www7a.biglobe.ne.jp/peace9/091009tousho.pdf





千葉 不正経理/内部告発 県生かさず
  ────朝日10月9日付────



 県の不正経理問題に絡み、97年に公費の乱用についての内部告発文が届きながら、県が積極的に解明しなかった当時のやりとりが判明した。

 実態調査を求める県議会での質問に対し、当時の沼田武知事は「匿名文書で、公式の場でお答えすることは適当でない」と答弁するにとどまり、この段階で、不正が明らかにされることはなかった。(多田晃子)

 文書は「沼田知事の五選に反対し、情報公開を進める県職員の会」を名乗って97年に県、県内各党、県職員労働組合などに配られた。

 代表者などの記載はない。当時の事情を知る職員によると、県職員の有志の会で、県の不正をただす目的で作られたという。

 文書は「公費の乱用、使い込みの手口は基本的には各県と同じ。

 旅費、物件購入のカラ伝票を切り、裏金を作ります」と指摘。

 使い道として(1)幹部職員らの飲み食い(2)議会工作費(3)人事を有利にするための接待費(4)支出の困難な事務経費――を挙げている。

 「実際に職員が行っていない出張命令が作られ、旅費などが不当に流用されている」とも述べている。

 こうした内容は、今月、朝日新聞の取材に応じた元県職員が、70年代以降の県庁での裏金づくりや使われ方について証言した内容とも、合致する点が多い。

 告発文を踏まえ、97年2月県議会では共産党の県議が「知事は裏金作りの実態の有無について調査を開始すべきだと思うが、なされるか」と質問した。

 知事は文書が送られてきたことの報告を受けたとしたうえで「公式の場でお答えすることは適当でない」と答弁。

 この議員が再度質問したが、「内部告発だということもはっきりしない段階ですから、お答えする問題ではないと考える」としていた。

 県の当時の対応はどうだったのか。

 沼田元知事は今月、朝日新聞の取材に、当時の答弁や告発文などについて「記憶にない」と話した。

 県総務課は、「当時も課にいた職員に確認したが、内部告発の存在は記憶になく、県が当時調査したかどうかは不明で分からない」としている。

 不正経理問題を受けて今月1日に県総務部に新設された特別監察室は、「過去のものは可能な限り調査したい」としたうえで、「今は公益通報制度もあるので、当時のような職員の声があれば対応するが、当時、どういう経緯を歩んだのかは分からない」と説明している。

 一方、県職労の当時の関係者は、告発文をコピーしたビラを県庁前で配ったり、当時の県総務課長に調査を要請したりした、と説明。

 「当時は今回のような全庁的な調査ではなく、内部的な対応で済まされてしまった。中途半端な形だった」と話した。

千葉・森田追及デモ
   森田知事の違法献金・県庁不正経理一掃
    県民要求実現めざしデモ行進



 千葉県9月定例議会開会日の9月25日、森田健作知事の違法献金疑惑の解明や県民要求実現、30億円の県庁不正経理などの金権腐敗一掃をめざす2回目の「県民集会・デモ・請願・署名提出行動」が行われました。森田知事の政治責任を追及する会と明るい民主県政をつくる会の共催。

 会場の千葉市中央公園には「怒!生活苦しい!」「まともに暮らせる賃金を」などのプラカードを手に400人の県民が参加。

 追及する会の松本悟事務局長は「金権腐敗一掃へ歴史を動かす集会にしよう」と強調。同会の三輪定宣代表(千葉大名誉教授)は「県民をだまして公職に就き不正経理を隠ぺいする知事や議会では民主政治は死んだも同然。県政の大転換を」と呼びかけました。

 日本共産党の小松実県議団長は不正経理を徹底追及する決意と、自身の疑惑を棚上げする森田知事への批判を表明。県民の仕事確保や地域再建へ、生きた税金の使い方をめざす決意を述べました。

 集会後、県庁までデモ行進し要請書と約7600人分の署名を坂本森男副知事らに提出。集会や要請の場で「仕事がなく昨年4月から今年4月までに人の仲間が自殺。仕事確保の制度を」(千葉土建)、「すべての子どもにお金の心配なく教育を」(全教千葉)、「新型インフルエンザの予防接種への助成、地域医療整備を」(千葉民医連)など訴えました。

 「オレ大工 仕事くれ」のプラカードを持った小巻喜信さん(72)は「こっちは仕事がないのに県庁では不正経理とは腹が立つ」と憤慨。2歳の長女と参加した母親(23)は「子どもへの手当は少ないのに知事が違法献金とはとんでもない」と語りました。
    ────赤旗9月26日付け────

 

2009年10月8日木曜日

千葉県の不正経理について質疑
  (2009年9月18日)

 千葉県庁で明らかになった30億円の不正経理について、議会として当局に説明をもとめ、質疑するための全員協議会が開かれました。

 日本共産党の丸山慎一議員の質問全文は次の通りです。

 なお、質問時間は片道(質問時間だけ)10分です。


 最大級の怒りと批判が広がっている

 質問いたします。

 この間、千葉市では、市長と議長が逮捕され、県では森田知事の迂回献金疑惑が取りざたされるなど、金にまつわる不祥事が相次いできました。

 これに追い打ちをかけるように、県庁内での30億円に上る全国最大規模の不正経理が明るみに出て、県民からは、「開いた口がふさがらない」、「私たちには財政難だと言って我慢させておきながら、ひどすぎる」など、最大級の怒りと批判の声が広がっています。

 今回、県庁内の96%の部署で不正経理が明らかになり、40年前から行われていたとの業者の証言も報道されるなど、組織的に長期にわたって積み重ねられてきたことは明らかです。

 なぜ、このような不正が県庁内に蔓延し続けたのか。その解明なしに、県民の信頼回復や再発の防止はあり得ません。

 この点で、県庁のトップもしくはトップ集団が、これまで、どう対応してきたのかが決定的ですが、今回の調査では、極めて不十分なものとなっています。


 経理担当者への上司の関与があったのか

 たとえば、不正な経理が担当者だけの判断だったのかどうか、幹部職員は知っていたのか、などは、まったく明らかになっていません。

 「硬直的な予算で使いづらかった」とか、「業務で必要なものに予算が付いていなかった」などの理由があるにしても、ルール違反は許されるものではありません。同時に、不正経理を実際に行った担当者のなかには、心に痛みを感じながら、仕方なくやっていたという職員がたくさんいます。

 しかも、消耗品費で備品を購入することなどは、担当職員だけの判断ではできないと言われています。原因を究明するうえで、上司がどう関与したのかを明らかにすることが、どうしても必要です。ぜひ、やるべきだが、お答えいただきたい。


 12年前の隠蔽はまぎれもない事実

 私が、トップ集団の対応を重視するのは、過去に、隠蔽された経緯があるからです。

 1997年1月に、手口や使い道まで詳しく明らかにした県庁職員からの内部告発がありました。告発文書では、「各課の庶務主任が課長補佐と庶務係長の指示を受け、旅費、時間外、物件購入のカラ伝票を切り、裏金をつくる」とされており、その使い道として

 「課長本人の飲み食い」、
 「議会工作費として、有力議員の接待や贈り物」、
 「人事工作費として、部長や知事側近の有力幹部、場合によっては知事自身を招いての接待」、
 「硬直化した予算、財政システムでは支出困難な事務経費」

の4つの使い道が示され、「第4の使い道を口実にして裏金がつくられ、その結果として、第1から第3の全く不当な使いこみが行われている」と指摘しています。

 わが党は、当時、告発があった直後の県議会でこの問題を取り上げ、「カラ伝票による裏金づくりの実態について調査を開始すべきだ」と求めました。

 ところが、当時の沼田知事は、こともあろうに「誰が書いたのかわからない。県職員かどうかもわからない」といって、調査を拒否しました。もしこのとき、まともな調査が行われていれば、その後の不正経理は防げたはずです。

 こうした県のトップによる許しがたい隠蔽体質が、長期にわたって組織的な不正を許してきた最大の要因だと考えますが、ぜひ、知事の認識をお聞かせいただきたい。


 幹部職員からの聞き取りは欠かせない

 今回の問題についても、幹部集団の認識が決定的です。

 不正があることを知っていたのかどうか、知っていたとしたら、いつ、どこで知ったのか、なぜ、正すための行動をとらなかったのか――県庁のトップ集団や幹部職員から、こうした聞き取り調査をやり、全体像を明らかにする必要があると思いますが、答弁を求めます。


 依然として隠蔽体質が

 この間、県庁トップの隠ぺい体質が、いまだに続いていると思わせる出来事もありました。

 2006年ころに岐阜県などで不正経理が明らかになりましたが、千葉県では、このときも、何ら具体的な手立ては取られませんでした。

 やっと昨年10月になって調査チームが設置され、今年の3月には不適正な経理処理が見つかっていたにもかかわらず、公表されませんでした。もし、3月の時点で公表されていれば、原因や再発防止策などを掘り下げることができたのは明らかです。

 なぜ、他県で発覚したそのときに、調査をしなかったのか。また、なぜ、3月の時点で、県民に公表しなかったのか、お答えいただきたい。


 調査対象を広げて全容解明を

 次に、今回の調査結果そのものについてですが、驚いたことの一つは、納品書の添付が義務付けられていなかったということです。納品書がつけられていれば、こうした不正経理のかなりの部分が防げた可能性があります。

 全国的に見ても、ほとんどの都道府県で納品書が義務付けられているのに、こんな初歩的な実務さえ行われていなかったところにも、公金を扱っているという緊張感の欠如があったと思います。

 また、今回、調査の対象にしたのは、2003年度からの5年間の消耗品費に限られており、その対象額は65億円に過ぎません。これは、1兆6千億円の県の一般会計の0・1%で、ごくごく一部に過ぎません。消耗品以外の調査や、2002年度以前についても調べて公表する必要があると思いますが、どうか、お答えいただきたい。


 知事の疑惑を正さずに信頼は回復できない

 最後に、県庁内で組織的に行われてきた不正経理の問題を正していくうえで、欠かせないのが森田知事自身の疑惑を明らかにすることです。

 6月県議会でも、すべての疑惑にたいして「法的に問題はない」の一点張りで、だまされたと感じた県民への責任について、一言の反省もありませんでした。

 今回の30億円の不正経理の全容を明らかにして原因や責任を解明し、2度とふたたび起こらない体制を作り上げることは知事としての当然の責務ですが、県民の信頼を回復するためには、知事自身の疑惑も早急に正すべきだと思いますが、どうか。はっきりとお答えいただきたい。

 以上で、1回目の質問を終わります。 

   ────丸山慎一ホームページ────

2009年10月7日水曜日

不正経理問題、県議会全員協議会で追及

 昨日開かれた「不正経理」問題での全員協議会。日本共産党からは丸山慎一議員が登壇。組織的、長期的な不正の解明と再発防止を求めました。

 丸山県議は、全国最大規模の不正に県民から最大級の怒りと批判が上がっているとして、「上司の関与の実態解明なしに、再発防止はあり得ない」と強調。県幹部の対応を重視する背景として、1997年に詳細な内部告発を受けた日本共産党県議団が、本会議質問で調査を求めたのに対して、当時の沼田武知事が、これを拒否したことを指摘。「県トップの隠ぺい体質が、長期的・組織的不正を許してきた最大の原因だ」と、厳しく批判しました。

 答弁に立った小宮大一郎総務部長は、「長年の慣行で経理事務担当者が、不正を漠然と認識しながら事務引き継ぎが行われてきた」「不正を見過ごし、みずから調査する自浄作用が働かない土壌があった」と、これを一部認める発言をしました。

 さらに、今回の調査が、03年から5年間の消耗品費に限られていることについて、調査対象や期間の拡大、今後内部告発があった場合の対応を迫ったのに対して「消耗品以外も含め調査する」「幹部職員への聞き取り調査を行い、しかるべき処分も検討する」「内部告発があれば調査する」などと、答弁しました。

 県民に謝罪し「膿を出し切る」と述べた森田健作知事に対し丸山県議は、知事の違法献金疑惑を指摘、「不正経理問題の全容解明や原因追及の上でも、知事自身の疑惑解明は欠かせない」と追及。森田知事は「法に従い適正に処理した」と、自らの疑惑には蓋をする従来通りの答弁を繰り返しました。


 日本共産党県議団は全員協議会散会後、「不正経理問題の徹底解明と再発防止を求める声明」発表しました。(「声明」全文は、「政策・論戦集」掲載)
http://komatsu3.ptu.jp/category/debates/data_html/090919mousiire.html 




不正経理問題、百条委の設置を!


 昨日の各派代表者会議。不正経理問題で、18日午後1時から全員協議会を開き、集中審議することが合意されました。その後の議会運営委員会で、各党10分間の質疑、質問は三回まで、ということになりました。

 日本共産党からは、丸山慎一県議が質問します。インターネットでの中継がありますので、都合のつく方はぜひご覧ください。

 全員協議会の開催は、私たちの要求でもあり、全力で実態の解明、原因と責任の追及、再発防止策など、求めていきたいと思いますが、一日だけの審議ですべてが解明されるとは思えません。

 徹底解明のためには、証人の喚問や証拠書類の提出を求めることができ、正当な理由なく、これを拒否した場合には告発することができる、強い調査権限を持った「百条委員会」の設置が必要です。日本共産党は、民主党などと共同して、不正経理問題の「百条委員会」の設置を提案していきたいと思います。6月議会では、森田知事の金権疑惑追及のための「百条委員会」設置の提案が、自民・公明の反対で否決された経緯がありますが、この不正経理問題の解明のための「百条委員会」設置にも反対するようなら、県民の皆さんからの厳しい指弾を免れないでしょう。

 「百条委員会」の提案は、25日からの9月定例県議会になります。 <<小松実 ブログ>>
http://komatsu3.at.webry.info/200909/article_7.html


 

2009年10月6日火曜日

県民要求を実現し、
 知事の違法献金と県庁の不正経理をただせ!
   9.25県民集会に400人集う

 6月に続き、9月県議会開会日の25 日、森田健作知事の違法献金疑惑解明や県民要求実現、県庁の不正経理などの金権腐敗一掃をめざす『県民集会』が、千葉中央公園で行なわれました。
 


金権腐敗一掃へ歴史を動かす集会


 集会は、3月の知事選をたたかった〝明るい民主県政をつくる会?と〝森田知事の政治責任を追及する会?の共催で、会場には「怒!生活苦しい!」「まともに暮らせる賃金を」などのプラカードを手に400人が集まりました。

 追及する会の松本悟事務局長は「森田知事は自らの疑惑を一切解明しようとしない。

 県庁の不正経理は許せない」と指摘し、「金権腐敗一掃へ歴史を動かす集会」だと強調しました



「県民をだまして公職に就く。
  これでは民主政治は死ぬ」( 三輪代表)


 森田知事の政治責任を追及する会の三輪定宣代表( 千葉大名誉教授) は「完全無所属」を装った露骨な政党隠しは公職選挙法違反だとし、「選挙民をだまして公職に就く。これでは民主政治は死んだも同然。

 これを告発し追及するのは市民の責任」だと述べ、県政の大転換を呼びかけました。

 この間集められた〝知事の政治責任を求める署名?約7600人分を提出しました。(署名は、前回6月議会の第一次分と合わせて12700を超えました)。

 集会で県政報告を行なった日本共産党の小松実県議団長は、県庁の不正経理問題を告発。県議会に百条委員会を設置し全容解明を図る決意を表明。

 また、八ツ場ダムは9月県議会の焦点になっているとし、ムダな公共事業はストップし、税金の使い方を大もとから改める決意を述べました。



坂本副知事に各団体が緊急要請書を提出


 集会参加者は、県庁までデモ行進し、金権腐敗一掃と政治の転換を市民に訴えました。

 県庁では、千葉土建の組合員が、仕事確保などを求める個人請願を行ないました。

 集会参加の各団体の代表が坂本森男副知事に要請。「仕事がなく、1年間で14人の仲間が自殺している。

 仕事確保の制度を」( 千葉土建)、「すべての子どもにお金の心配なく教育を」( 全教千葉)、「新型インフルエンザの予防接種への助成と地域医療整備を」( 千葉民医連) など、県民の声を届けました。

 要請に対し坂本副知事は、「市町村とタイアップし対応していきたい」「誠心誠意努力したい」と答えました。











 

2009年9月26日土曜日

千葉県庁の不正経理問題の
 徹底究明と再発防止を求める声明
  ────詳細は添付────

日本共産党千葉県議会議員団は9月18日、以下の声明を発表しました。

一、千葉県庁で明らかになった30億円にのぼる全国最大規模の不正経理問題で、本日、千葉県議会全員協議会がひらかれた。この問題は、県民の大きな怒りと不信をまきおこしており、日本共産党は、県当局にたいして、猛省を促すとともに、全容解明と再発防止を求めて厳しく質した。しかしながら県は「長年の慣行」や「自浄作用の働かなかった土壌」には言及したものの、それを生んだ背景を直視しない不十分なものであった。これでは県民の怒りにこたえ、不信を払拭するものとは言えない。

二、この不正経理問題は、組織的かつ長期にわたるものであり、県庁全体におよんでいるが、今回、調査対象となったのは、2003年度から2007年度の消耗品費の支出65億円であり、2002年度以前の分や消耗品以外の支出については調査されていない。1兆6千億円という県の一般会計予算のごく一部にすぎないものである。わが党は、県の歳出全体を総点検し、その全容を明らかにすることなしに、県民からの信頼回復も、再発防止もあり得ない、と考える。

三、県庁全体が、このような不正経理は二度と許さない、との強い決意のもと、再発防止に万全を期すべきことは言うまでもない。そのために職員の規範意識の確立は当然のことではあるが、とりわけ幹部職員の責任は極めて重いものがある。わが党は、本日の県議会全員協議会でも、担当職員だけの判断で不正経理が行えたはずはなく、県庁幹部職員がどう関与したのか、明らかにするよう要求したが、県の答弁は、職員の意識の問題に触れるだけで、県庁幹部の特別の責任をあいまいにするものだった。
こうした姿勢を改めてこそ、再発防止への道が切りひらかれる。同時に、現在の会計処理システムを抜本的に見直し、二度と不正経理を起こさない仕組みを構築することが必要である。
四、知事が今回の不正経理問題解明の先頭に立つのは当然であるが、そのためにも、この間、大きな批判をあびている「違法献金」「迂回献金」など森田知事自身の疑惑を明らかにすることが欠かせない。知事が自らの疑惑を曖昧にしたままでは「膿を出して再出発する」ことも、県民の信頼を回復することもできない。
五、行政のチェック機能を果たすべき県議会が、そのイニシアチブを発揮し、県民の負託に応えることが求められている。日本共産党は、証人喚問など強力な調査権限を持つ百条調査委員会の設置をはじめとして、他の会派とも共同・協力しながら徹底究明と再発防止に全力をあげるものである。




内部調査着手後も不正
   県庁 深い病巣


 2008年度にも約8000万円の不正経理が明るみに出た18日の県議会全員協議会。この問題で県が内部調査に着手した昨年10月以降も、ルールを逸脱した経理が続いていたことが発覚するなど、県庁全体を覆う病巣の深さを改めて浮き彫りにした。 
 07年度までの5年間で約30億円に上る県の不正経理。約8000万円に上る新たな不正は、08年度の定期監査結果として、県の袴田哲也代表監査委員が報告した。ただ、業者からの聞き取りなどは行っておらず、総務部内のプロジェクトチームが引き続き実施する調査により、「不正額はさらに膨らむ可能性が高い」(関係者)とみられる。

 会計検査院は昨年10月、12道府県で国の補助金利用に問題があったと指摘。これを踏まえて国土交通省は翌11月、再発防止の徹底を求める通達を県土整備部にも出したが、橋場克司部長は「その後も行われていた」と不正が続いていたことを認め、「大変に遺憾で申し訳ない」と陳謝した。 
 また、業者へのプール金4億1800万円のうち、12部署で残高が1000万円以上あったことも分かった。いずれも国の補助金を多く扱う県土整備部(県土整備政策課、道路整備課、道路環境課、河川整備課、河川環境課、住宅課、下水道課、技術管理課、安房地域整備センター)と農林水産部(耕地課、森林課、漁港課)に集中していた。

 プール金から手数料を取っていた業者の責任を問う質問も複数あったが、小宮大一郎総務部長は「業者には『調査以外に使用しない、公表しない』ことを条件に、帳簿の提出と調査への協力を依頼した。業者側にも一定の責任があるが、一義的な責任は県職員が負うべきだ」と理解を求めた。 
一方、森田知事は再発防止策として、18日から納品書添付を義務付けるとともに、新たに納品確認の担当者を各部署に置いたことなどを明らかにした。

     ────2009年9月19日 読売新聞────




プール金 香典・送別会費用に


 県職員が各部署で管理していたプール金を使い、県議の香典や職場の送別会費用などに充てていたことが18日、分かった。県議会の市民ネット・社民・無所属の4議員が18日、県から提出を受けた通帳の写しを記者会見で明らかにした。 通帳は、総合企画、健康福祉、環境生活各部の計9冊分。古いものは1989年度分からあり、出金内容の一部が、通帳にメモ書きで残されていた。具体的には「県議の香典1万円」(廃棄物指導課)、「船橋市送別会1万500円」(同)、「クッキー6万8000円」(児童家庭課)などがあった。使途が明記されていない出金も多数あった。 庁舎内のプール金のうち通帳管理分は1266万3634円に上り、このうち9割以上が県土整備、農林水産両部であることが判明しているが、県が公表した通帳に両部は含まれていなかった。県は「私的流用につながる疑いがあり、調査中だ」として公表を拒んでいる。

     ────読売9/19────




県不正経理 業者の責任問う声も相次ぐ


 県の不正経理問題を巡って18日にあった県議会全員協議会で、県の監査委員は、08年度の不正経理額を新たに明らかにした。また以前、内部告発の文書が届けられたが、県が調査していなかったことも分かった。

 森田知事は「県民、議員の皆様にあらためてお詫び申し上げる」と陳謝し、再発防止策として、知事直轄のコンプライアンス担当組織や監察組織を設置し、年度ごとに調査や職員の研修を実施することなどを挙げた。また同日から、納品書の受け取り、保管を義務づけたことなどを報告した。「県庁の土壌にメスを入れる。膿を出し切る」と決意を表明した。さらに全員協議会で、議員の質問により、幾つかの新たな事実が判明した。プール金が1千万円以上あったのは農林水産部と県土整備部の計12部署だった。

 また、プール金の総額は、03年度当初に3億4500万円だったが、06年度末に4億9400万円まで増加し、現在は4億1800万円となっているという。「生え抜き」の石渡哲彦副知事に対して「以前から知っていたのか」「(県職員が県職員を接待する)県の接待費にも使われていたのでは」との質問があった。石渡副知事は「今回の調査まで知らなかった。県、県接待の存在は否定はできない」と話した。

 また、97年に匿名の内部告発文書が県や政党などに届けられたものの、県が調査をしなかったことも判明した。告発は県のさまざまな部署で「空伝票による裏金づくり」が行われているという内容。議会で共産党が当時の沼田武知事に問いただしたが、文書が匿名であったことなどを理由に調査しないと答えたという。各会派からは業者の責任を問う声もあり、業者名公表などを求める声も上がった。森田知事は全員協議会後、「県職員と業者とのパワーバランスもあると思う。外部委員の先生の意見を聞きながら考えたい」と話した。

     ────朝日9月20日────




県不正経理:昨年度も8000万円
  うち350万円は使途不明金/千葉

 
 県庁で発覚した計約30億円(03~07年度)の不正経理問題で、08年度も約8000万円の不正経理があったことが分かった。監査委員が18日、県議会全員協議会で明らかにした。 監査委員は定期監査の一環で、全部署を対象に消耗品費約10億円分を調査。うち約8000万円が「預け」などの不正経理で、約350万円は私的流用の疑いもある「使途不明金」だったという。県費詐取容疑で職員が逮捕された事件を受け、業者から帳簿の提出を求める監査方法に切り替えていた。25日に詳細を明らかにする。 

 森田健作知事は「こういうことを二度と起こさないと決意を新たにしたい」と話した。 不正経理問題を受け、民主党県議団は18日、「情報提供窓口」(ファクス043・302・7720)を設置した。県議会の市民ネット・社民・無所属は「議会への資料提供拒否があった」として森田知事に抗議文を提出。共産党県議団も「県当局に猛省をうながす」との声明を出した。

     ────【倉田陶子】毎日9月20日────




千葉 「後始末」課題多く 県不正経理

 
 不正経理の総額は03~07年度に30億円、08年度も8千万円――。県が「慣例」として長年続けてきた経理の実態が次々に明るみに出ている。県は、1億1千万円に上る使途不明金は、職員らに返還させる方針だ。ただ、業者に今も管理されている「プール金」回収の進め方や、不正経理に絡む情報公開のあり方など、今後の課題も少なくない。(安原裕人)

 問題の発覚後、県庁7階の総務課では、職員が苦情の対応に追われている。

 「何やっているんだ」「税金を無駄に使うな」……。電話やメールの件数は、これまでに数千件に上る。1億1千万円もの使途不明金や、業者に不正に管理させていた「プール金」に、県民の怒りが爆発した形だ。

 プール金で購入された物品の中には、卓球台(北総県民センター海匝事務所、12万9千円)、テニス用ネット(県土整備部亀山・片倉ダム管理事務所、17万4千円)、将棋盤(千葉整備事務所、1512円)などもあった。いずれも福利厚生や娯楽のためだったという。 

 また、コピー用紙や文房具などに使ったことにして、冷蔵庫、電子レンジ、ホットカーペットなどを買っていた例も見つかった。

 県民生活課では、家庭用ゲーム機「プレイステーション2」を3万2千円で購入。県は、青少年へ影響のあるゲームソフトをチェックする目的で使っていた、と説明している。 県庁各部署の金庫から、プール金を還流させたとみられる現金、金券、切手などが合わせて4443万円分見つかっている。

 各課の担当者は現金や金券が保管されていることすら知らないケースもあり、ずさんな管理がうかがえる。 
 ある業者は「プール金から現金を出し、金券に換えて持っていった。県職員が『現金で』というときには一度金券に換えてから再び現金に換えて持っていった」という。 朝日新聞が入手した、金庫に保管されていた通帳の表紙のコピーをみると、課名のほか、代表者名が記載されている。以前の代表者名に横線を引き、その下に新たな代表者名を書き加える形で、5代にわたって担当者が引き継いできたことが見て取れる。ある課では、通帳を2冊、2口座分保管していた。

 一方、39業者が今も保管するプール金は4億1758万円。業者の中にはプール金を運転資金に回している例もあり、県は「業者と相談しながら返還してもらう」とし業者への影響も配慮しながら、慎重に回収を進める方針だ。 県は今後、現職やOBの返済額を確定させ、国と補助金の返還などを話し合う。1億1千万円の使途不明金の調査で私的流用などが見つかった場合、免職・停職さらには刑事告訴など、厳しい姿勢で臨む。処分人数は年内に確定させる見込みだという。 

 また再発防止へ向け、県は18日から、業者からの納品書の受け取り・保管を職員に義務づけた。11月には、再発防止・特別監察の新たな組織を設置する。再発防止策を検証し、毎年度、すべての費目を対象とした調査を抜き打ちで実施するという。問題がみつかった部署については、消耗品などの需用費以外も過去にさかのぼって調査する方針だ。

 ただ、県の情報公開の姿勢には批判の声がある。県議会の「市民ネット・社民・無所属」会派は、18日の全員協議会後、県土整備や農林水産の両部に保管してあった預金通帳を開示するよう県に抗議した。同会派は各課で保管していた通帳の開示を求め、一部は開示されたが、両部については「使途不明金などを調査中である」との理由で開示を拒否されたという。

 同会派は「知事は『膿を出し切る』というならば、開示するべきだ」としている。朝日9月22




通帳コピー開示要求
   市民・社・無 「情報隠ぺい」と批判

 
 県議会の「市民ネット・社民・無所属」は十八日、県庁内で管理していたとみられる不正経理金の通帳のコピーすべてを開示するよう森田知事あてに文書で求めた。

 同会派は、県庁内で保管されているとされた約四千四百万円のうち、通帳で管理されている約千二百万円分の資料提供を要求。総合企画部などの通帳九冊が開示されたが、金額の多い農林水産、県土整備の両部分は開示されなかったという。 

 全員協議会で県側は「職員の処分に関係する」などと非開示の理由を説明。同会派は「すべてのうみを出し切るというなら開示すべきだ。情報の隠ぺいだ」と批判している。 

     ────(小川直人)東京9・20────




  千葉県庁の不正経理問題の
      徹底究明と再発防止を求める声明