2012年5月19日土曜日

────千葉────
汚染で除去土壌1万3000トン
知事「国は責任もち対処を」

 
 国が放射性物質の除染費用を負担する「汚染状況重点調査地域」に指定された野田市や柏市など9市が、除染で取り除いた土壌の保管や処分に苦悩している。一時的な保管場所を設けたくても、放射線の影響を心配する周辺住民の反発が予想されるためだ。これまでに発生した汚染土壌は少なくとも計約1万3000トンに上るが、最終処分の見通しも立たず、今後も曲折が予想される。

柏市内の小学校で27日に始まった本格的な除染作業(柏市立柏第三小学校で) 東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、国が昨年10月に発表した汚染土壌の中間貯蔵施設などに関する工程表は、汚染土壌は、市町村が現場や「仮置き場」で一時的に保管した後、管理型最終処分場で処理すると定めている。

 だが、9市のうち、仮置き場を確保できたのは我孫子、印西、白井の3市だけで、大半は現場での保管を余儀なくされている。我孫子市は、現場保管を原則としつつ、放射線量が高い場所の土壌や、現場保管が困難な道路側溝の土はコンテナ袋に入れ、市クリーンセンター敷地内の仮置き場に保管している。市は今後、約2800万円をかけて建屋を建設して土壌の流出を防止する方針だ。

 印西、白井両市は、市役所の敷地を暫定的に仮置き場としたが、多くは現場で保管している。白井市は周辺住民に配慮し、市役所内の放射線量の測定結果をホームページで公表している。市放射線対策室の担当者は「仮置き場候補地の周辺住民と交渉は続けているが、めどは立っていない」と話している。ほかの6市は、放射性物質の拡散防止措置を取った上で現場に埋めたり、汚染土壌の上をコンクリートで覆ったりして対応している。これまでに除去した土壌は、各市が計量を終えた分だけで約1万2731トンだが、今後、除染や計量が進めば、更に量は増える。土壌の最終処分については、国が処分基準を定めていないため、実施のめどすら立っていない。

 森田知事は28日の県議会一般質問で、汚染土壌の処分について、「最終的には国が責任をもって対処すべきだ。県としては国に強く要望している」と述べ、政府に対して処分基準の早期策定などを求めていく考えを示した。

 政府の工程表では、最終処分場は、既存の施設を活用するとされている。

 だが、放射性セシウムに汚染された県内のごみ焼却灰のうち、国の基準で通常の埋め立てが可能とされる1キロ・グラム当たり8000ベクレル以下の灰についても、受け入れを拒む民間の処分場が多いのが現状だ。このため、「汚染土壌についても国の方針通りに処分できるとは思えない」(県幹部)との指摘が出ている。

────2012年2月29日 読売新聞────
 

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