仮設住宅に木のぬくもりを――。県内の大工などが加入する労働組合「千葉土建」(千葉市中央区)が、災害時用の仮設住宅に活用できる木造住宅を試作した。被災者に木のぬくもりを感じてもらうとともに、県産材を使うことで地元林業などの振興を図りたいと、県に採用を働きかけている。(加瀬部将嗣)試作の木造住宅は、仮設住宅に関する国の基準に沿って、約30平方メートルの2DKとした。同組合の大工10人と千葉職業能力開発短期大学校の訓練生23人が、2月下旬から3月上旬にかけて、千葉市中央区の同校内に1戸を建てた。実用化後の想定建設費は約250万円。プレハブと比べ、結露が起きにくいのが特徴だ。
仮設住宅については、都道府県が建設すると災害救助法で定められており、47都道府県はプレハブ建築協会と協定を結んでいる。災害が起きた時には、同協会の会員業者が建設を請け負うのが通例で、東日本大震災で香取、旭両市に建設された計230戸の仮設住宅も同協会経由で建設された。すべてプレハブ住宅で、建設費は1戸約240万円だった。県外ではすでに、木造の仮設住宅の導入に向けた動きが進んでいる。全国の工務店などが昨年9月、木造の仮設住宅を供給する窓口として「全国木造建設事業協会」を設立。すでに徳島、高知県などと協定を結んでいる。木造の仮設住宅だと、千葉土建の場合、1か月に建設できる戸数は約1000戸に限られる。このため、いざという時にはプレハブとの併用が現実的という。千葉土建は、全国木造建設事業協会を通じて協定を締結したいと県に働きかけている。松岡守雄書記次長は、「地元木材を使った温かみのある住居を提供したい」と話す。県住宅課は「仮設住宅建設の受け皿が広くなるメリットがある」として、協定締結に向けて前向きに検討しているという。
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