2012年10月2日火曜日

成田カジノ
県が経済効果1兆円超予想

 
 千葉県は、成田空港周辺に誘致を検討しているカジノを含む複合施設「統合リゾート(IR)」について、5年間で建設費を大幅に上回る1兆円超の経済波及効果があるとの予測をまとめた。県は明るい未来を描こうとするが、周辺自治体からは採算性や集客能力を疑問視する声が出ており、千葉市・幕張の方が適しているとの指摘もある。

 調査は県が昨年度実施し、成田空港を軸に経済活性化策を探る「グレード・アップ『ナリタ』活用戦略会議」に参画する経済団体や空港周辺自治体の関係者らに示された。 

 調査では、建物の高さ制限がある空港隣接地に小・中規模の施設を建設するA案(建設費2千億円)と、離れた場所に大規模施設を置くB案(同3600億円)を設定。

 5年間の経済波及効果は、建設投資による効果も含めA案で1兆1千億円、B案で1兆5千億円とした。雇用はA案で2万人、B案で2万8千人が見込めるとし、両案とも初年度からの黒字を想定している。 

 しかし、地元はこの試算に懐疑的だ。成田市の片山敏宏副市長は、「国際空港を持つ成田のポテンシャルは高いが、大規模施設で採算が取れるだけの需要があるかというと厳しい」と指摘。甘い需要予測に基づく施設整備は地方経済を疲弊させかねないだけに、「議論を深めていく必要がある」と慎重だ。

 幕張新都心へのIR誘致を目指す動きが出ている“ライバル”の千葉市も県の試算を疑問視する。世界最大のIRがあるシンガポールを視察したばかりの熊谷俊人市長は、「滞在する観光客が少ない成田では、投資が回収できるだけの客数を集められない」と指摘。その上で「幕張はコンベンション施設やアウトレット、海浜などがあり、(IR整備の)可能性はかなり高い」と千葉市に優位性があるとみている。

────2012.5.25 産経────

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