2012年9月25日火曜日

高齢化、売上100万未満4割 後継者不足浮き彫りに
────県指定伝統的工芸品────

 
 県が指定する伝統的工芸品生産者の高齢化と後継者不足が深刻化している。県が昨年実施したアンケート調査では、約8割が60歳以上で、跡継ぎがいない生産者は半数を超えた。作り手の高齢化とともに生産量は減少傾向にあり、約4割は年間売上が100万円未満と厳しい状況。後継者不足の解消や販路拡大へ支援を求める声も寄せられ、県は昔ながらの技術を現代ニーズに生かした新製品を開発、全国に誇れる「千葉ブランド」を作り出すことで、新たな担い手づくりにつなげたい考えだ。県は昨年度から、伝統的工芸品のブランド化事業に取り組んでおり、アンケートは新製品の開発に向け現状把握のため実施した。

 県指定伝統的工芸品の生産者94人を対象に、昨年11~12月の間、年齢や後継者の有無、生産量、売上などを尋ねる調査票を配布し、65人から回答を得た。年齢別では、60歳以上が52人と約8割に上り、70歳以上も31人(48%)で、高齢化が浮き彫りとなった。49人(75%)は従業員を雇わず1人で生産し、後継者がいないと回答した生産者は35人(54%)と担い手不足も深刻だ。

 県には「貴重な技術が絶えないよう後継者育成への支援を」(30代金工品職人)「大規模店やホテル内での実演販売を橋渡しして」(60代木工品職人)など切実な要望が相次いだ。 

 こうした現状について県は「後継者養成の補助制度はあるが、売上が伸びなければ生活できず担い手は出てこない」と懸念。売れ筋品の創出を目指し職人3人と協力し今年、現代の生活様式に伝統技術を取り入れた「江戸つまみかんざしを使ったグラスマーカー」「木象嵌(もくぞうがん)で作られたスマートフォンケース」「とんぼ玉で作られたペット用首飾り」を開発した。

────2012年05月28日千葉日報────

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